ようこそ実力至上主義の教室へ ~ギフテッドとN.I.N.J.Aと……~   作:山上真

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第87話:試験結果発表。

 干支試験最終日、池と須藤は呼び出された。

 呼んだのは月ノ輪クロス。もっとも、用があるのはクロスではない。二人を呼んだのは他の人で、クロスは仲介役に過ぎない。

 用件も呼び出し主の詳細も不明なまま、それでも二人がその呼び出しに応じたのは、池とクロスが知人であり最低限の信用があったのも一因だが、それ以上に予感があったからだ。

 船内では山内の『そっくりさん騒動』が起こったばかりだ。このタイミングで自分たち二人だけを呼び出すなど如何にも怪しい。……池と須藤がそう思うのは至極妥当であり、だからこそ怪しい呼び出しに応じたのだ。

 クロスの先導に従い、二人は船内を歩いていく。誰一人としてすれ違わない。自分たちの靴音だけが静かに響く。

 雰囲気に耐えきれず、二人の不安と緊張がピークに達しようかという頃合い、目的地に着いたらしい。

 

「着いたぞ。ここだ」

 

 クロスのその言葉で、二人はそれを理解した。

 

「池寛治と須藤健の二名を連れてきたぞ」

「ありがとうございます。入ってください」

 

 クロスが室内に声をかけると、中から応えがあった。

 ドア越しでくぐもってはいたが、二人はその声に覚えがあった。()()()という思いが二人を襲う。

 顔を見合わせ、一つ頷き、池と須藤はドアを開けた。

 

「よお、久しぶりだな」

 

 ドアの先にいたのは予想通りの人物だった。山内春樹が、二人へと軽く手を振っていた。

 

「取り敢えず入ってくれ。時間も限られているんでな」

 

 山内に促され、二人は困惑を露わに室内に足を踏み入れる。クロスが最後に入り、施錠した。

 

「最初に言っておくと、俺は高度育成高等学校のDクラスに初期配属され、お前たちと一緒に学校生活を送った山内春樹だ」

 

 そう前置きした山内は、次いで自らの顔に手を掛けた。

 その手が動くたび、顔が剥がれていく。下から別の顔が現れる。

 

「そして、これがボクの本当の顔だ」

 

 そう告げる顔は山内とは似ても似つかない。

 

「なるほどな……。お前が俺たちの知る春樹だってのは分かった。理屈じゃねえ。感覚がそう教えてくれる」

「この船で働いているっていう春樹にも会ったけど、その雰囲気は俺たちの知る春樹じゃなかった。その一方で、お前からは確かにその雰囲気を感じる」

「ありがとう。すんなりと納得してくれて嬉しいよ」

 

 須藤と池の言葉に、偽山内は笑顔を露わにした。

 

『だから、まずは一発殴らせろ』

 

 それに対し、須藤と池は拳を握って静かに告げた。

 

「あ~、そうくる。そうきちゃうか~。理由は分からなくはないし、ボクとしては一発なら殴られるのも吝かではないんだけど……」

 

 言いながら、偽山内はチラリとクロスへ視線を向けた。

 

「寛治くん、それから須藤くん。殴るのは構わないが、宣言通りに一発だけで済ませてくれ。それから、顔を殴るのは止めてくれ。変装用のマスクが着けづらくなるからな。――だからそう、殴るならボディを殴れ」

 

 本人とクロスから了承は出た。

 

「春樹いいいぃぃっ!」

「覚悟しやがれえええぇぇっ!」

 

 須藤と池の雄叫びが室内に響き渡り、その拳は偽山内のボディに突き刺さったのであった。

 

「ぐはっ!? …………良い拳、してるじゃないか……。ガクッ……」

 

 二人のパンチを同時に食らった偽山内は、それでもどうにかサムズアップ。一言いい残して気を失った。

 

『春樹いいいぃぃっ!?』

 

 そして池と山内の二人は、そんな偽山内の身体を抱きかかえて絶叫する。

 

「いや、何の寸劇だ、これ……?」

 

 そんな様子を前に、呆れを隠さずに呟くクロスの姿があった。

 

 ♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢ 

 

 人知れずそんな一幕があったりはしたが、人知れないために大半は認知していない。

 今現在、生徒たちの注目を集めているのは学校からの試験結果の通達である。

 

 星之宮クラス:結果③、結果①、結果①

 真嶋クラス:結果③、結果③、結果①

 坂上クラス:結果③、結果①、結果①

 茶柱クラス:結果③、結果③、結果①

 

 これが、各クラスの代表による申告結果である。もし学校からの発表がこれと不一致だった場合、誰かが代表に嘘を言っていることになる。

 そして、各自の携帯に通達が来た。

 

 星之宮クラス:-50CP。

 真嶋クラス:CP変動なし。

 坂上クラス:-50CP。

 茶柱クラス:+100CP。

 

「申告結果と違いは無し。各クラスから『裏切り者』は出なかったようです。良かったですね」

「ハッ! 抜かせよ色ボケ娘。俺が先手を取って噂を流さなけりゃあ、お前は自クラスのCPにダメージを負ってでも時任の奴を『クラスの裏切り者』に仕立て上げるつもりだったんじゃねえか?」

「ええ、その通りですけど何か? アレだけ明確な弱点があるんです。狙わない方が逆に失礼というものでしょう?

 それに、同じことはこちらにも言えますよ。今回は不発に終わりましたが、まさしく龍園くんの行いそうな手じゃないですか。だから龍園くんも気付いたんでしょう? 特にうちのクラスなんて狙いどころじゃないですか」

 

 現在、辰グループのメンバーはラウンジに集まっていた。試験結果が通達される二十三時以降、クラスも性別も異なる面々が一堂に会せる場所はラウンジやカフェくらいなものだ。

 そして案の定と言うべきか、試験結果が通達されるや否や、有栖と龍園による舌戦が始まったのだ。

 

「チッ! やっぱりそっちも警戒してたってことかよ。まあ、そうじゃなきゃ、いくら何でもあの短時間での噂の上書きは不可能だ。元からパターン別で用意してたってところか?」

「そうなりますね。いや、本当に参りましたよ。何せ、龍園くんが法則に気付いたかどうかを確認する術がこちらには無いんですからね。おかげで、先手をそちらに譲る破目になってしまいました。

 同じ方法を取るにしても、こちらは一手しか使えず、そちらは二手使うことが出来ます。この違いは大きい。葛城派と中立派閥の双方に楔を打たれては、こちらとしても困ったことになりますからね」

 

 有栖の言う通りだ。自クラスの生徒が『優待者』であった場合、『肉を切らせて骨を断つ』覚悟さえ決めてしまえば、理論上はどのクラスにも楔を打ち込めることになる。

 実際には『統制の利いているクラス』には効果を望むことは出来ないだろうが、逆に言うと、『統制が利いていないクラス』であれば、付け込む隙はそれだけ大きいことになる。

 その点で、クラスメイトからの人気が高い帆波と平田が代表を務める星之宮クラスと茶柱クラスを狙う意味は薄い。――しかし、あくまでもその『天才性』を認められているだけで、個人の人気自体は然程でもない有栖が代表を務める真嶋クラスであれば、狙いどころとしては十分だ。

 

「おかげでこっちもその手が使えなくなっちゃったからね~。まあ、元よりターゲッティングが難しくはあったんだけど……」

 

 二人の間に帆波が割って入った。肩をすくめて溜息を吐く。

 この方法を取るに当たって重要なのは、『元よりリーダーに反感を抱いている生徒』を狙うところにある。この条件からズレてしまえば、ダメージを負ってポイントをプレゼントするだけの結果になりかねないのだ。

 相手次第では『恩には恩』で返してくれるかもしれないが、一回で清算されてはつまらない。どうせなら()()()買ってもらいたいし、()()買ってもらいたいのが売る側の本音である。

 言い換えれば『影響力の保持』だ。その点でも、『獅子身中の虫』を狙うに越したことはない。

 そして、前提として『CPにダメージを負う』必要があるのだから、一番CPに余裕のある星之宮クラスが行ってもおかしくはない方法だった。

 

「噂が流れ始めた時は驚いたけど、こっちも助かったよ。僕たちには取りにくい手段だったからね」

 

 そう言ったのは平田だ。

 個人人気はあっても、()()()()()()()()()()()()()な平田には実行しにくい手段だったのは間違いない。

 オマケに、茶柱クラスはCPも一番低いので、余計にクラスメイトからの理解を得られにくい状況にある。

 

「こちらとしては、龍園くんもそうですが、星之宮クラスにその方法を取られるのが一番怖かったですからね。何せ、星之宮クラスは総保有PPの底が知れません。これをきっかけに個人移籍を目論む生徒が現れてもおかしくはありませんでした」

「同じことはこっちにも言えるな。所詮は『卒業特典』を目的にした()()()()()()だ。その前提を忘れちゃいけねえ。恩を売り続けることで『Aクラスでの卒業』が約束されるなら、そうすることを選択する奴がいてもおかしくはねえ。何せ、星之宮クラスには『他クラスからPPで生徒を移籍させた』実績があるからなぁ~」

 

 有栖と龍園の視線が真っ直ぐに帆波を撃つ。

 

「その言葉を否定はしないけどね。こっちだって誰でも彼でもスカウトする気はないよ。その必要もなければ意味もないからね。

 清隆くんにしろひよりちゃんにしろ美紀ちゃんにしろ、『二千万PPを払うに値する価値がある』と思ったからスカウトしたんだしさ」

 

 誰も帆波の言葉を否定することは出来なかった。

 美紀をスカウトすることで、真嶋クラスからは『耳』が失われた。

 ひよりをスカウトすることで、坂上クラスからは『頭脳』が失われた。

 清隆をスカウトすることで、茶柱クラスからは『切り札(ジョーカー)』が失われた。

 その事実に間違いはないのである。

 オマケに、これは学校側の判断なため星之宮クラスの意向が働いたわけではないが、『現役グラビアアイドル』すらも星之宮クラスは掻っ攫っているのだ。

 そして、その分だけ星之宮クラスは戦力が増強されている。

 ()()()()()()()()()()()だけなら例に挙げられる人物は各クラスに存在するが、()()()()()()()()()ならば星之宮クラスの一強。……それが各クラスの共通見解なのは間違いなかった。

 

「逆に言えば、()()()()を認めればスカウトするのでしょう?」

「そりゃあね。この学校においてポイントは武器なんだから。溜めてるだけだと意味はないよ。使う時にはドーンと使わないと」

「事実だけどね。それを然も自然に言える辺り、本当に恐ろしいよ」

 

 帆波の言葉は、ポイントを持てるからこそ言える言葉だ。まかり間違っても平田には言えない言葉だ。

 

「で、坂柳さんと堀北さんと松下さんに相談があるんだけど、学校に帰ったら家を買わない?」

「家……? それはもしかして、『綾小路ハーレム用』とかそういう話?」

 

 帆波の突然の話題提供に、鈴音は困惑しながらも見当を付けて言葉を返した。

 

「率直に言えば。いやまあ、実際には『家』じゃなくて『おっきい部屋』とかになるのかもしれないけど、そこは帰ってから調べてみないと分からないね。

 ただ、正直な話。いつまでも寮の個室暮らしじゃあ、『ハーレム』としての()はともかく、()は伴ってないと思うのよ」

「否定はできないけど、ちょっと難しいと思うよ。私たちって保有PPが少ないから、購入するにしても不公平になるのは否めないしさ」

 

 今度は千秋が理解と難色を示した。

 千秋は『綾小路ハーレム』の提唱者にして初期メンバーだ。だから、帆波の言葉には納得しかない。――しかし、それを実行するにはポイント面で問題を抱えているのも事実だった。

 入学して初の『特別試験』が終わったタイミングだ。全員ではないにしろ大量のPPを獲得した生徒も現れたし、提案するタイミングとしては間違っているわけではない。そこには千秋も理解を示す。

 だが、千秋と鈴音が振り分けられた『辰グループ』は龍園の裏切りによって試験を終えた。これではPPが入らない。

 先に行われた無人島試験も同様だ。確かに試験ポイントはCPに変換されるが、個人としてのPPの大量獲得には繋がらない。

 オマケに、二人の属する茶柱クラスは初月でCPがゼロになり、その後に若干増えたりもしたが、山内の退学によって再びCPがゼロと化した過去がある。

 片や、どんな方法を使ってか初月でPPを大量獲得し、その上で高いCPを維持することで普段の支給額も多い、帆波の属する星之宮クラス。

 片や、星之宮クラスには及ばずとも、やはり高いCPを維持していた、有栖の属する真嶋クラス。

 その両クラスとは、根底的に状況が異なるのだ。

 

「うん。だから、ポイントが足りない部分は持ってる人が負担する。その上で、ポイントの不足分は()()()という形で提供してもらう。日頃の料理とか掃除とか、そんなんだね。ある意味で負担は増えるけど、人手もその分増えるから、実際には今の生活とトントンだと思う」

 

 鈴音と千秋の困惑と疑問は承知の上だろう。帆波は何ら迷うことなく言葉を返した。

 

「そういうことであれば私も助かりますね。現在進行形で身体が作り替えられているのは事実ですが、即座に五体満足になるわけでもありませんので。

 いやまあ、今現在でも動けないわけではありませんが、流石に負担が大きいのです。ポイントで片が付くのなら、それに越したことはありません」

 

 それに有栖が続いた。

 しかしながら、この場に有栖に起こった事情を理解しているのは本人を除くと龍園しかいない。当然、話を聞いていた面々は混乱することとなった。

 

「ちょっと待て、坂柳。それは一体どういうことだ?」

「どういうことも何も言葉通りですよ。私がある日を境に道場通いを始めたのは葛城くんならご存知とは思いますが、結論から言えば、()()()()()()()()だけのことです。――まあ、自力で至ったのではなく、龍園くんの手で強制的に()()()()()のですけどね……」

 

 葛城の問いかけに、有栖は澄まし顔で答えた。

 

「まあ、だいぶオカルトに足を突っ込んだ内容になりますし、言葉だけで理解できる筈もない道理です。ここは『論より証拠』といきましょう。――精霊憑依(ポゼッション)!」

 

 有栖が言うや否や、その髪と瞳の色が変わった。――ばかりか、どこか神々しい雰囲気を放っている。

 そのまま、有栖は杖を使わずに歩き、軽く走って見せた。

 その時間は極僅かだったが、有栖の言葉を証明付けるには十分だった。普通に考えて、心疾患を抱える有栖に可能な行動ではない。

 そして有栖が元の席に着席すると、髪と瞳の色は元に戻り、同時にグウウウゥゥ……と、お腹の音が鳴り響いた。

 

精霊憑依(ポゼッション)すると一時的に五体満足に動けるようになるのは良いんですけど、解除した途端に極度の空腹に襲われるのが難点ですね……」

 

 心底から切なそうに有栖は呟いた。

 この時間では飲食店は営業していない。入れはするが、食事の提供はない。精々がフリードリンクの提供くらいなもの。大人向けのバーであれば食事の提供もしているらしいが、当然ながら生徒の入店は推奨されていない。

 

「私の入門した流派である『神祇無窮流』は、『気の修養と操作』を下敷きに、『世に存在する天神地祇の力を借り受ける』ことで技を成立させ、その神髄は『天神地祇との一体化』にあるとされています。『天神地祇』とは、すなわち精霊や神々を指します。

 その内容から日本の『八百万信仰』と相性が良いのは認めますが、聞いての通り、非常にオカルトに寄っています。『天神地祇との一体化』を『肉体からの解脱』と捉えれば、中国の『仙人思想』とも似通っていますね。

 私の心疾患は、現代医学だとどうしようもありません。未来は分かりませんが、現状では手の打ちようがないのが事実です。それ故に杖の日常使用が認められている面があります。

 で、極論にして暴論になってしまいますが、『科学でどうしようもないならオカルトで解決すればいいじゃない!』という結果になったわけですね。神祇無窮流への入門はそれ故です。

 まあ、先述の通り、内容が内容故に非常に『個々人の資質に拠るところが大きい』こともあって、最初の一歩すらまともに踏み出せずにいたんですけどね。この船内にも道場があるんですが、無人島試験終了後、フラリと龍園くんがやって来まして。その際に私を強制的に神髄へと至らせたんですよ。

 普通に考えて人間業ではありませんが、師範曰く『龍園くんは現人神。神が人の器を持って生まれてきた存在であり、その気になれば出来ないことの方が少ない。あくまでも人としての行動に重きを置いているから混乱が少ないだけ』とのことです。

 俄かには信じ難いですが、他ならぬ私自身が()()()()と化していますからね。どれだけ信じ難くとも認めざるを得ません」 

 

 有栖の説明を受け、その場の視線が一斉に龍園を向く。

 

「否定はしねえが、俺のことは単純に『二重人格』とでも思っておけ。俺自身はそう認識している。腹立たしいことに、俺の方が副人格だがな……」

 

 実にウザったそうに、そして嫌そうに、龍園は口を開いた。

 

「坂柳のことに関しても、俺の主人格が気を利かせた結果らしい。まあ、それによって潰し甲斐が上がったのも事実だから、俺としても一概に否定はしねえよ。

 ついでに言えば、俺がメインを張ってる状態じゃあ、『出来ること』には限りがある。その一方で、主人格が出張る度に『出来ること』が増えているのも事実だ。必然、都度に確認を強いられることになるから、便利ではあるが非常にめんどくせえ」

「確かに俄かには信じ難い内容だが、お前自身の意向としては『力に使われる気はない』と考えてもいいのか?」

「当たり前だろうが、葛城。俺は俺だ。いずれは、俺自身が名実ともに『主人格』に成り代わってやるよ。

 そのためにも、俺は『上』を目指さなきゃならねえ。だからこそ、()()()()()()()相手は大歓迎だし、それを求めてこの学校にやって来たんだ」

 

 笑みを浮かべ、瞳をギラつかせて龍園は言う。

 その言葉を、一概に否定はできなかった。南雲の例もあるので尚更だ。誰もが誰も、『謳い文句』そのものに惹かれてくるわけではない。その副産物を目的にしている者もいるのだ。

 

「おら! 俺のことはもういいだろうが!」

 

 龍園が片手を振ると、視線は再びハーレム組へ戻った。

 

「って言われてもねえ~。提案したはいいけど、実際には清隆くんにも確認を取らないといけないから……」

「つまり、話の本題は『私たちに清隆くんを説得するのを手伝え』ってわけだ?」

「端的に言えば。いや、独り暮らしが難儀なのも事実なんだけどね。やっぱり、シェアハウスを実行するなら、相応の『名目』があった方がいいのは否めないし……。

 それに、これであれば『学校がどこまで許容するか』を探ることも出来るじゃない?」

 

 寮則により、一定時間以降、男子が女子の階層に進入・滞在するのは禁止されている。その一方で、女子が男子の階層に進入・滞在するのは禁止されていない。

 それが、正式に家を買いシェアハウスをすることでどう変わるのか? ……副次目的にするのは十分だろう。

 

「家を買えば、寮の個室は今まで通り使えるのか? その点も気になるわね」

 

 使えるのであれば、プライベートの確保も容易になる。

 

「男女問わずの同居か……。それが出来たら、普段から一緒に勉強できるようにもなるからありがたいんだけどね……」

 

 溜息を吐きながら平田が言う。茶柱クラスにはデキの悪い生徒が多い。日頃の自習は必須項目だが、自習でどこまで効果が出るかは怪しいところがあるのも間違いはなかった。

 ハーレムから話題に上がったシェアハウスだが、有用性の高さは誰もが認めるところだった。




クロスが船に乗ってた本当の理由は、偽山内の護衛監視でした。フォルテたちの様子見はあくまでもオマケです。
クロスの他に朧の面々も何人か乗っています。道中で誰ともすれ違わなかったのは、朧の面々が調整していたからです。
偽山内も偽山内で池と須藤に友情を覚えてしまい、それ故に今回の面会と相成りました。
ただ、あくまでもタイミングが噛み合ったから通った我儘でもあります。基本、偽山内は逃亡中の身ですので。

結果発表後の辰グループの会話。
有栖と龍園はギスギスしてるようで、その実は軽い口喧嘩レベルのやり取りです。
ポゼッションやらを開示し過ぎなイメージがありますが、れっきとした戦術です。
結局はオカルトの産物ですので、周りとしては『どこまで可能なのか?』を判別するのが非常に難しいのです。
それで緩手を取ったり、警戒のし過ぎで疲労してくれれば、有栖や龍園にとってはしめたものです。

家を買ったりは、『よう実』二次、特にハーレム物の定番といった雰囲気があります。

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