ようこそ実力至上主義の教室へ ~ギフテッドとN.I.N.J.Aと……~   作:山上真

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第92話:予期せぬ再会と事後報告。

 学校へ帰ってきたアズ、桔梗、清隆の三人は、その翌日には校舎に顔を出していた。面倒ではあるが、『生徒会役員』として、『生徒会』に帰還の挨拶と業務の確認を行う必要があったからだ。

 基本的には『生徒からの陳情への対処』が生徒会の主な仕事であり、現在が夏休み期間中であることを鑑みればそうそう仕事があるとも思えないが、皆無とも言い切れない。部活動を始め、夏休み中も学校で活動している生徒はいるのだから。

 そのため、シフト制で最低限一人は部屋に詰めているルールになっている。である以上、最低限誰かしらへの挨拶は叶うだろうし、そのシフト確認の意味もあった。生徒会から連絡が届いていないのも確認済みである。

 電話連絡で済ませるのも一つの手ではあったが、実際に顔を会わせて挨拶した方が心証は高い。そう判断したが故でもある。

 

「……何でいるんです?」

「いや、なんでだろう……?」

 

 そうして三人示し合わせて校舎へやってきた矢先、本来ならここにいる筈のない人物――トウマと再会を果たしたのである。

 当然と言えば当然の疑問を発したアズに、トウマもまた首を傾げて答えた。

 

「いやさ。正直、俺自身もよく分かってないんだよな。『俺を保護する』って言う、()()()()()()()()()()って人についてきただけだからさ。名刺も渡されたから、身元は確かだと思うんだけど……」

 

 言いながら、トウマは一枚の名刺を取り出した。十中八九、話に出た役人から渡された名刺だろう。

 

「特務機関『森羅』か……。たしか、超常現象や怪異に対する調査・解決機関だったと思う。

 この御時世、そんなお題目を堂々と翳していては『税金泥棒』の誹りは免れないからな。それもあって、開き直りの如く堂々と『特務機関』を謳っているらしい。

 真偽は定かじゃないが、オレが知ってるのはそれくらいだな」

 

 聞いたことも見たこともない部署名に首を傾げるアズと桔梗の横、そんなことを言ったのは清隆だった。

 

「アンタは、何だってそんなみょうちきりんなことは知ってんのか……」

 

 己が頭に手を置き、深々と溜息を吐いて桔梗は呟いた。その過去に理由があることを知ってはいるが、だからこそ哀れまずにはいられない。

 

「よくご存じで。流石は『ホワイトルームの()()()()』と言ったところかな、綾小路清隆くん」

 

 瞬間、男の声が掛かった。

 アズ、桔梗、清隆の三人は即座に警戒態勢を取る。程度は異なれ、三人には武の心得があり、普段からある程度の警戒はしている。その警戒網を容易に潜り抜けられたのだから当然の反応ではあった。

 

「おっと、過剰な警戒はよしてくれ。俺はその名刺の持ち主だよ。元『天斎探偵事務所』所長にして、現在の所属はそちらの通り。天斎小吾郎だ。よしなに頼むよ」

 

 声の主は二十代半ばから後半と思われる男性だった。飄々とした雰囲気を崩しはしないが、その佇まいに隙は見当たらない。

 

「いやはや、お役所勤めを初めても人手不足からは解放されないんだから参ったものだね……。先ほど綾小路くんが言った通り、俺の所属先は胡乱な部署だからね。中々人が増えないんだよ。事務仕事なんかはともかく、諜報や実戦、装備開発なんかの専門分野となれば尚更だ」

 

 小吾郎は端正な顔を歪めて肩をすくめる。

 

『あ~……』

 

 組織の実情は知らないながら、小吾郎以外の面子は揃って納得したように頷いた。人手不足は、いつでもどこでも取り沙汰される問題である。専門分野となれば尚更だ。

 

「政府直属の運営校ということもあって、受験生のチェックには我々も協力しているわけだが、人がやることに加えて人手不足だからね。チェックミスが起こるのも、已むを得ないと言えば已むを得ない。……と、『上』もそこまでは理解を示してくれるが、ミスが発覚した以上、補填を求められるのも道理でね。

 端的に言えば、龍園翔くんの存在を見逃したが故に、坂柳有栖さんが『超常の力』に目覚めるに至った。これが自然的な覚醒であれば、こちらもせっつかれることはなかったんだがね。人為的と言うか、神為的となれば、流石に無視は決め込めない。

 俺がここに派遣されるに当たって、それが決め手となったのは間違いないね」

 

 小吾郎は人差し指を一本立てて。

 そんな裏事情を易々と語る辺り、三人が『生徒会役員』なのは承知しているのだろう。

 彼が『森羅』として生徒に何らかの協力を求める場合、真っ先に候補に挙がるのが『生徒会役員』なのは間違いない。何せ、『生徒会』は文字通りに『生徒の代表』が集まった集団なのだから。少なくとも、そういう位置付けなのは事実だ。

 だが、『森羅』の仕事内容が仕事内容だ。イキナリ協力を求めたところでスムーズにいく筈もない。怪しく思われてお終いだろう。

 余裕があれば書類なり何なりと断られないように体裁を整えるだろうが、毎回余裕があるとも思えない。なので、偶然か必然か、出会ったのを幸いに情報提供に洒落込んでいる。

 三人はそう判断したし、そう判断するだけの要因はあった。現在の生徒会メンバーの中で、オカルト方面への関わりはこの三人が突出しているからだ。

 そうでなくても、話に挙がった龍園と有栖は同期生である。その二人に関することで動く機会が多いのは、普通に考えて一年の面子だろう。

 

「俺の所属する組織は確かに人手不足ではあるが、『黄龍寺財閥』を始め、スポンサーはそれなりにいてね。装備や設備は充実しているんだ。

 超常現象の代表格たる『次元歪曲現象』――俺たちは『ゆらぎ』と呼んでいるが、世間一般では『神隠し』が代表例だろう――に対するセンサー類もまた然り。

 船から漂流者に関する報告も上がっていたし、状況やタイミング的にその反応とトウマ君を結び付けることは決して難しいことじゃなかった。

 端的に言えば、トウマ君は世界の壁を超えた『異邦人』や『来訪者』ということになる」

 

 次いで中指を。

 

「また、その少し前――と言っても、数ヶ月前だけど――には、更に別の報告も上がってきていた。中学時に行方不明になり、丸一年以上音沙汰がなかった葵伊織くんと天野亜真里さんの帰還報告だ。警察に捜索届が出されてたんだが、取り下げられたタイミングとセンサーの反応タイミングを結び付けることは難しくなかった」

 

 そして薬指を。

 

「分かるだろう? ()()()()()の少年少女ということで伊織くんと亜真里さんに丁寧な対応している状況でトウマ君の報告が届き、トドメとばかりに龍園くんと坂柳さんの報告が届いたのさ。率直に言ってこちらはパンク寸前だよ。

 そんなわけで、全部まとめて『高度育成高等学校』に放り込むことを『上』は判断したのさ。何せ、政府直属の運営校だからね。多少の無理は利くし、余計な()から隠すにも打ってつけだ。最重要レベルに繰り上がった護衛監視対象が元々この学校の生徒だったのも都合が良い」

 

 最後に肩をすくめて。

 世知辛い大人の事情を聞かされた子供たちは、揃って憐憫の眼差しを小吾郎に向けた。

 

「あああぁぁっ!? 思い出した!」

 

 その傍らで、突如としてトウマは大声を上げた。

 

「おいおい、イキナリ大声を上げてどうした?」

「ああ、悪い。この『森羅』とか小吾郎さんの名前に聞き覚えがある気がしてたんだよ。で、それを思い出したもんだから、つい大声を……」

 

 小吾郎が咎めると、トウマは謝罪して理由を告げた。

 

「ほう? 参考までに誰から聞いたかを訊いてもいいかな? 君を元の場所へ帰すに当たって役に立つかもしれん」

「ああ。ゼンガー・ゾンボルト、アクセル・アルマー、アルフィミィ、コウタ・アズマ、あとはハーケン・ブロウニングにアシェン・ブレイデルだな。ハーケンさんとアシェンさんは今の俺みたいな境遇だ。

 小吾郎さんの名前はゼンガーさんとハーケンさんから聞いた。『森羅』に関してはそれ以外からも……。アリスさんとかレイジさんとか駄狐さんとかの話題も多かったけど……。

 心当たりはあるか?」

「俺が直接知っているのは、その内の二人――ゼンガーとハーケンだけだな。報告書では他の名前も知っているが……。職場での俺の先輩――有栖零児と小牟が関わっている。

 しかしなるほど、君がどこからやって来たのかはだいたい分かったよ。

 あとは、これ以上の厄介事が起こらないのを祈るだけだな。『好事魔多し』。物事に対して何かしらの進展が見られた時ほど、トラブルってのは起こるもんだ」

「道理ではあるけど、あまり気が滅入ることは言わないでほしいな……」

 

 小吾郎の言葉に、トウマは溜息を吐く。

 トウマ本人は帰還の術を持ち合わせていない。元の場所に帰還するに当たっては、周りの協力を得るより他にないのが実情である。

 

「それはそれとして。トウマ君、この中で働くならどれがいい? 状況が状況なため、諸々の下準備をすっ飛ばして来てしまったからな……。住まいなんかは確保してもらったが、流石に仕事までは手が回らなかったんだ。申し訳ないね。

 とはいえ、『働かざる者食うべからず』だ。ここで生活の世話になる以上、何かしらの貢献をしないわけにもいくまいよ」

 

 若干申し訳なさげに、小吾郎は何枚かの用紙をトウマに差し出した。『用務員』だの『食堂調理員』だのといった職が、その仕事内容と共に載っている。

 

「まあ、話を聞くに学校側も()()()()()()だったろうからな。ある程度は仕方ないさ」

 

 言いながら、トウマが選んだのは『用務員』だった。何だかんだ、元の世界でやったバイトの数は100を越える。よほどの専門職でなければ、一通りは熟せる自信があった。

 

「用務員だな。それじゃあ行こうか。報告と仕事の説明を受けないといけないからな」

「それもそっか。……じゃあな、三人とも」

「そんなわけだ。俺たちはこれで失礼させてもらうよ、学生諸君」

 

 片手を振り、トウマと小吾郎は去っていった。

 

「……私たちも行こっか」

「そうだね」

「ああ」

 

 同じく片手を振って二人を見送った三人は、顔を見合わせて頷いたあと、生徒会室へ向かうのだった。

 

 ♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢

 

「ちょっともう! 改装工事が入ってるんなら前以て教えてくださいよ!」

 

 電話越しに、桔梗が会長へと文句を言っている。

 暑い中、わざわざ制服を着て学校までやってきて、いざ生徒会室に入ろうとしたらドアが開かない。疑問に思いつつ職員室に行って先生に確認したら、初めて改装工事のことを知らされたというわけだ。

 直接文句を言ってるのは桔梗だけだが、その不満は三人に共通のものだ。

 

『ああ、すまないな。夏休みを利用して改装工事を行うことになったんだが、本来ならもっと早くに――お前たちがバカンスから帰ってくるまでには終わる予定だったんだ。それもあって、特に伝える必要はないと判断してしまってな。

 だが、実際に手を付けてみれば思いの外に予定が長引いてしまった。正確には、数日前から学校の方が慌ただしくなり、そのしわ寄せがこちらにもやってきて工事が滞ってしまったんだ。

 そこで一報を入れておくべきだったんだろうが、つい後回しにしてしまってな。後はそのままズルズルと……だ。本当にすまないな』

 

 電話越しの声は何ら冷静さを損なってはいないように感じる。そのため、本当に悪いと思っているかは分からない。――それでも、謝罪の言葉を引き出したのは事実である。

 そして、セリフの内容から何となくの事情を察することも容易かった。十中八九、『森羅』関連だろう。

 

『しかし、また随分と変わった試験結果になったようだな』

「知ってるんですか?」

『生徒会に結果の報告が上がってきていた。もっとも、詳細まで知らされるわけではないから、個人的な活躍度合いなどは不明だがな……』

「ちょっとスピーカーに変えますね」

 

 耳元から端末を離した桔梗は、そのまま操作してモードを変更した。

 

「は~い、二人とも集合~。会長から試験について振られたから、二人も参加して~。

 ついでに場所移ろ~。廊下で話す内容じゃないっしょ。ぶっちゃけ、どっか座りたい」

 

 その言葉を受けて、アズと清隆は桔梗の両隣りに並んだ。そのまま三人一塊となって適当な場所を目指して歩き始めた。

 

『三人揃っているのか。ならば、まずは「お帰り」と、そして「お疲れ様」と言わせてもらおう。……初めての特別試験はどうだった?』

「ん~……? まあ、楽しかったですよ。ポイントは得られませんでしたけど、Dクラスに恩は売れましたし、多少は均衡が取りやすくなるんじゃないですかね?」

「海辺で塩づくりをしました」

「テントを追い出された」

 

 学の言葉に、三人が順に答えていく。まずは無人島試験からだ。

 

『テントを追い出された? 随分と穏やかではないように感じるが?』

「あ~、コイツ、寝てるときに同じテントの男子に抱き着いて、唇じゃないけどキスまでしたらしいです。結果、同じテントで寝てた男子が耐えられなくなったみたいですね。

 追い出されたって言っても、『お母さん役』の帆波に預けただけですんで、キチンとテントでは寝てますよ。問題があるとすれば、男女一緒のテントってことですけど、両者同意の上ですので先生も許可してくれました。

 あ、お相手の中には鈴音ちゃんもいましたよ。てか、コイツ彼女に勝負を吹っ掛けてハーレムに加えてましたし……」

 

 声を尖らせる学に対し、桔梗は笑みを浮かべながら事情を説明した。

 

『ほう? 鈴音をハーレムにな……。綾小路、あとで詳しく話を聞かせてもらおうじゃないか。――逃げるなよ?』

 

 学の声が一層鋭さを増した。

 

「逃げる気はないが……。鈴音は『ブラコン』を脱却しようとしてるんだぞ。兄であるアンタも『シスコン』を脱却すべきじゃないか?」

『別に俺はシスコンというわけではない。基本、鈴音が認めた相手ならばとやかく言うつもりはない。

 それでも、将来的に義弟になるかもしれん相手なのだ。である以上、こちらとしても気にしないわけにはいかない』

「さいですか……」

 

 清隆は反論を諦めた。『妹に近付く悪い虫』に対してではなく、『将来的に義弟になる――かもしれない男』への対応だと言われたら、反論の余地はない。少なくとも、表面上は清隆のことを前向きに受け止めてることになるのだから。

 

『海辺で塩づくりか。それは貴重な経験になっただろうな。それでいい。この学校生活、一つでも多く自らの糧にしろ』

 

 次いで、学はアズが言った『塩づくり』に言及した。

 

『無人島試験、お前たちのクラスが1ポイントも得られていないのは妙だと思ったが、敵を減らすことに終始した結果か。納得した』

「まあ、先はまだ長いですからね。そも、学校側に『クラス闘争』を強いられてはいますが、それでも『同じ学校の同胞』です。クラス問わず、卒業後は『貴重な人脈』に転化する可能性だってあるんです。である以上、出来る限り敵を作らないに越したことはないですよ。

 実際に特別試験をやって実感したのは、『特別』と冠が付くだけのことはあるってことです。普通の学力試験や体力試験とは一味も二味も違いますね」

『卒業後を見据えて……か。お前ほど視野の広い人物はそうもいないのが現実だがな』

「いやいや、私ってそんな視野広くないですよ。むしろ視野狭窄に陥りがちです。でも、アズがいるからそうならずに済んでいるんです」

 

 学の称賛に対し、桔梗は片手を振って否定した。紛うことなき本音である。

 

「そう、『完全無欠』の人間なんていないんですよ。誰もが誰も、どこかしら足りない部分を持ってて、それを埋めるために他者を求めるんですよ。そもそも、人間、一人で出来ることなんて限りがありますからね」

『ああ、そうだな……。それは、確かにその通りだ……。お前の協力がなければ、俺は未だに鈴音と分かり合うことは出来ていなかっただろう。本当に感謝している』

 

 瞬間、シンとした。電話越し、確かな『感謝の念』を感じ取れたからだ。

 

『船上試験はどういうことだ? 奇妙なことに、結果①と結果③のグループしか存在していないが……」

「Dクラスの平田くんが、リーダーとして決起しましてね。試験説明が行われた後、そんな彼から各クラスの代表に提案があったんですよ」

『提案?』

「ええ。『クラスは四つ。グループ数は十二。普通に考えて、各クラスから選出される『優待者』は三名。それに合わせて、各クラスがそれぞれ三つのグループの解答権を持たないか?』ってね。

 他のグループはともかく、『辰グループ』だけは如何にも作為的な振り分けでした。各クラスの()()が揃っている。どう考えても偶然じゃありません。アレを偶然に任せるとなれば、どれだけ低確率だって話です。――すなわち、『辰グループ』だけは、各クラスの担任の意思が多分に絡んでいる。

 こうなっては、他クラスも無下には出来ません。少なくとも、『聞かない』という選択は取れなくなります。そんな真似をしてしまえば、『自分は代表ではない』と公言したに等しいですからね。

 平田くんは『()()()()()()()()()()()クラスリーダー』として提案を持ちかけることで、強制的に他クラスのリーダーを会談の席に着かせたんです」

『ほう……』

 

 電話越し、学が感嘆したように呟いた。

 

「平田くんの提案は各クラスにも旨味がありました。CPの独占は出来なくなりますが、同時に独占を許すこともなくなります。

 また、学校側の思惑がどうあれ、生徒たちが『クラス闘争』を強いられているのは事実です。である以上、試験に臨むに当たって、『所属クラス』という組織のために『個人の意思』を捨ててもらうことも時には必要になります。

 その点で、各クラスの代表の意思は一致しました。

 各クラスが三つのグループの解答権を得る。選ばれたグループは、選んだクラスの意思に従う。万が一それと異なる結果が出た場合、それすなわち『クラスの裏切り者』が存在することに他なりません。その際は学校側に対して『クラスの裏切り者』の情報開示を求め、該当者と該当クラスにペナルティを求める。……そういう契約です。

 学校側は匿名性について考慮してはいますが、それを強制してはいません。また、この学校においてポイントで買えないモノはありません。自分たちが選んだ代表が揃って開示を求めるのであれば、学校側も断りきれないと踏んだんです。

 もっとも、グループを選んだ時点では、全員が全員『優待者の法則』を見付けているわけではありませんでしたからね。そして、各クラスが順番に一グループを選択していく方式を取りました。結果①と結果③に二分されてはいますが、ある種の偏りはそれ故です。

 まあ、その上で些細な盤外戦が繰り広げられたりもしましたが、それも込みでの結果です」

『なるほどな……。各クラスとも、切磋琢磨しているようで何よりだ。――次の活動日については後ほど連絡する。繰り返すが、今日はすまなかったな。気を付けて帰ってくれ』

 

 感想を零した学は、最後に付け加えて通話を切った。

 それを機に、三人も学校を後にするのだった。




あれだけキャラの濃い連中のことですからね。OG本編内では語られてはいなくとも、まず間違いなく話題には出ているでしょう。
OGにおけるトウマの人間関係を踏まえると、情報源は専らゼンガーとアクセルになると思います。そこにアルフィミィ、ハーケン、アシェンが絡む感じですかね。
コウタは……うん、基本的にメインの活動場所が違うから。
まあそんなわけで、本作のトウマは聞きかじりではありますが、『森羅』は小吾郎については知っている設定です。船を降りてすんなりと付いてきたのは、名刺に記載された名前が記憶を刺激したからですね。

一方、小吾郎は小吾郎で敷地内における人脈構築に余念がありません。
アズ、桔梗、清隆への接触もそのためです。元々の知人であるフォルテ伝いに三人が登校することは聞いていたため、トウマを餌として置いた感じです。
お仕事紹介があったのも事実ですが、一度に複数を片付けようとしたのも間違いではありません。
少なくとも、イキナリ小吾郎が話しかけるよりは、トウマを介した方がまだ怪しまれませんので。

で、龍園が有栖に行ったことによる余波は、生徒会にまで影響を及ぼしていました……という形で帰結します。
まあ、原作の描写から担任以外の教員もその多くが一年の特別試験に駆り出されていると思いますので、学校に残っているのはそれほど多くないと思われます。部活動の教師くらいは残っていると思いますが……。
夏休みに特別試験が行われているのも、『人材派遣が難しいから』だと判断するのが一番納得しやすいです。

生徒会室を使うのは生徒会役員でも、部屋自体は学校の備え付けですからね。誰かしら教員が立ち会うのが道理でしょう。
で、人手が減った状態での立ち会いやっているところへ、『龍園・有栖ショック』の報告が届いたわけですからね。
例え詳細は知らされずとも、『上』がドタバタすれば、自ずと『下』も影響を受けるでしょう。
トラブルが起こった時のために、改装工事の日程に余裕を持たせていれば、そちらの対応が後に回されてもおかしくはありません。

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