スタイリッシュ異能バトルの世界で俺だけTSして魔法少女としてエロゲの竿役と戦っている   作:かませ犬S

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勘違い (笑)

 ───『アビリティ・ストライク』の主人公が通う高校の屋上で、俺は()()()()()。絶望していたとも言える。

 

 俺は相棒を失ってしまった。

 

 その事実を受け入れる事ができない。

 

 夕暮れに染まる綺麗な茜色の空ですら、俺の心を癒す事はない。

 

 時間が心を癒す?

 

 もう6時間くらいここにいるけど微塵も癒えませんけど?

 

 頼むから、俺にチ〇コを返してくれ。前世を含めると40年近く一緒にいた相棒なんだ!

 

「いつまでそうしているポヨ?」

 

 夕暮れ空を見ながら、消えた相棒を思って涙を浮かべていると諸悪の根源が俺の肩を叩きながら、ふざけた事を口にする。

 

「お前のせいだろ⋯⋯ふざけんな」

 

「ボクのせいポヨ?なら謝るポヨ」

 

 謝ってすむ話じゃない。

 

「俺の相棒を返せ。男に戻してくれ」

 

「無理ポヨ。一度体を作り替えたら元には戻らないポヨ。ボクはそう言ってたポヨね」

 

「男に戻れないとは言ってないだろ、害獣!!!」

 

 悪質な契約書よりもさらにたちが悪い。

 

 こういう契約がろくでもないケースが多いのはアニメを見て知っていた。けど、断る事すら出来ない状況は反則だろう!

 

「世界を救うためポヨ!君が魔法少女にならなければ世界は滅びていたポヨよ」

 

「世界の為に俺の相棒は犠牲になったって言うのかよ!」

 

「そうポヨ!」

 

 世界を護る為に俺のチ〇コはいなくなった⋯⋯。

 

 そう考えれば誇らしくもある。けど、やっぱりつれぇよ。

 

「む!」

 

「どうした害獣?」

 

「誰か来るポヨ!」

 

 害獣の言葉に意識を集中すると足音が近付いて来ているのがわかる。害獣の言うように誰かが来ているようだ。

 

 だから、どうした?

 

 相棒を失った俺には全てがどうでも良く感じる。

 

 ガチャっと屋上の扉が開く音がした。

 

 いつもの俺だったら、誰が来たか気にして振り返っただろうけど⋯⋯そんな余裕もないんだよな。

 

 消えた相棒を憂い、ため息を吐く。

 

「君は⋯⋯」

 

 

 

 ───聞き覚えのある声がした。

 

 

 

 友達や家族、これまで培ってきた交友関係⋯⋯その中にこの声の持ち主はいない。けど、俺はこの声を知っている。

 

 何度も何度も、テレビで聞いた⋯⋯あの声。

 

 思わず振り返った先には彼がいた。

 

 

 

 ───『アビリティ・ストライク』の主人公 霧崎(きりさき) 雲雀(ヒバリ)が。

 

 

 うわぁ⋯⋯かっけぇ。

 

 漫画やアニメ見てても思ったけど、やっぱり主人公だけあってめちゃくちゃイケメンだな。

 

 髪型は俺も詳しくないけど、ウルフカットってやつだろうか?一度主人公の髪型を真似てみたけど似合ってなくてやめた覚えがある。

 

 やたらとカラフルな髪色の登場人物が多い中、主人公は正統派の黒色。よく似合っている。

 

 黒縁のメガネ越しにダークブラウンの瞳が見えた。能力を使ったり本気で戦う時はあの瞳が赤くなるんだよな。あれがカッコよくて好きだったな。

 

 制服を着崩しているところをみると、何かあった後だな。主人公は高校では真面目な生徒で通っているからネクタイもしっかり締めているシーンが多い。

 

 着崩している場合はたいていはヒロインと色々あったり、敵対組織と戦っている時だ。

 

 タイミング的にはまだ原作は始まった直後、記憶を思い返せば直ぐに分かる筈だけど⋯⋯ダメだな、頭が回らない。緊張とか感動とかで胸がいっぱいだ。

 

「大丈夫か?泣いているようだけど⋯⋯」

 

 優しい声。

 

 時間ですら癒せなかった俺の心を最高の声が癒してくれる。

 

 俺もこんなかっこいい声を出せたら良かったのに⋯⋯。

 

「⋯⋯⋯⋯」

 

 参ったな⋯⋯。こんな優しい声をかけてくれている主人公にチ〇コがなくなって泣いていた、なんて口が裂けても言えない。

 

「なくしちゃったから」

 

 何も返さないのは感じが悪いのでひとまずそれっぽい事を口にして時間を稼ぐ。 

 

「なくした?」

 

「うん。大切な相棒⋯⋯」

 

 チ〇コのことだ。まさか主人公もチ〇コの事でこんなに悲しんでいるとは思わないだろう。

 

「もう⋯⋯この世には存在しないから」

 

「⋯⋯⋯⋯」

 

 頼むチ〇コの事だから、そんなに深刻そうな顔をしないで欲しい。俺にとっては深刻な話ではあるけど、主人公がそんな顔をする価値はないから。

 

 あー!主人公に申し訳なくなってきた。早くこの場から離れよう。

 

 それに今の俺は高校に不法侵入している変質者だ。これ以上主人公に悪い印象を与えたくない。

 

 害獣を見ると不思議そうに首を傾げている。この害獣曰く他の人には害獣の声と姿は聞こえないし見えないそうだ。

 

 なら、置いていっても問題ないな。

 

「さようなら」

 

 何も言わずに立ち去るのはマナー違反なので一言残して、マジカルパワーを使って空を飛び一目散に逃げる。

 

 待って!という主人公の声は聞かなかった事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───この出会いが『アビリティ・ストライク』の原作を大きく変える事になるなど、俺はまだ知らない

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