スタイリッシュ異能バトルの世界で俺だけ魔法少女としてエロゲの敵と戦っている 作:かませ犬S
場所を移動した。ついでに言うと魔法少女の変身も解除した。ちょっとチビったから下着が⋯⋯その、な?
便利なことに変身を解除して元の部屋着に戻ると下着は濡れていなかったな。尊厳を考えなければ、魔法少女としての姿なら最悪漏らしても大丈夫らしい。絶対に嫌だが。
そんな俺の下着事情はさておき、啓吾がまだお昼を食べていないというので近くのファミリーレストランに入店してそれぞれが食べたい料理を注文したところである。
「時間は大丈夫か? 昼休みもそろそろ終わりだろ?」
スマホを確認すると13時を既に回っていた。注文した商品が到着して急いで食べても、昼休み中には学校には帰れない。5時限目の授業は遅刻ってことになってしまう。
俺が啓吾をお昼に誘ったのが間違いだったかなって思ってると、テーブルに肘をついた啓吾が俺の顔を見ながら笑ってる。
「授業より、純平と一緒にいる時間の方が大事だって。このまま一緒に帰ってもいいくらいだ」
「それは嬉しいけど、授業はちゃんと受けてこいよ」
「分かってる。飯食ったら途中からでも授業受けに行く」
長年の付き合いだから啓吾が考えている事はなんとなく分かる。気にしているのは出席日数くらいで、テストなんかは
だから別に授業に遅れても問題ないって。ズルじゃん。というか答えを教えて貰ってるだけだから、自分の知識として身についてないだろ。
なんだかんだ啓吾は要領がいいから効率の良い勉強の仕方なんかも能力で聞いてそうだな。昔、テストの成績で賭け事をやって惨敗したのを思い出した。アレもズルしてたって事だもんな。いいなー、便利な能力だな。
「そうだ、昨日の件はメッセージで送っておいた。言葉よりも文字としての方が形として残るからいいだろうって」
「あー、例の件か!ありがとう!」
スマホを確認すると明日、この世界にやってくる悪魔についての情報がメッセージで送られてきていた。
ふむふむ、時間は前に聞いた時と変更はない。場所は大雑把だけど、近くにいえば分かるからそこも問題ないな。
ただ、次にくる悪魔は『百八柱』の一柱⋯⋯つまり幹部だ。俺が先日戦った双子の悪魔は幹部ではなかった。対策はしているだろうから、着地狩りはできない。
メッセージに書かれた情報通りなら、俺がこの間瞬殺した幹部と違ってそれなり頭は回る。苦戦するかもしれない⋯⋯もしかしたら、負けてしまうかもしれない。
この間の苦戦が、幹部との戦いの足踏みになってる。漆原も同行してくれるけど、あいつがどれだけ強くても悪魔は倒せないことは既に啓吾の
俺が上手く戦うしかない。負ければこの世界が終わる。大好きな漫画の世界が蹂躙される。
けど、それ以上に啓吾以外のやつにヤられるのが嫌だって、啓吾への好意を自覚して思うようになった。
───強くなるしかない。
つまりは⋯⋯そういう事だよな?
「大丈夫か、純平⋯⋯顔赤いけど」
「大丈夫大丈夫!気にすんな!」
急に顔が赤くなったら心配するよな。けど、風邪とかじゃないんだ。色々と想像してしまって、恥ずかしくなってるだけだから気にしないで欲しい。出来れば追求しないで欲しい。
「それより、さっきの女の子とはどういう関係?」
話題を変える意味合いで猫宮について啓吾に尋ねる。露骨に嫌そうな顔をした。いや、俺も猫宮については原作知識から知ってはいるけど、啓吾との関わりは知らなかったからさ。
どういう経緯であの女が啓吾に纏わりつくようになったかが、俺としては気になる。文字通りの泥棒猫になりかねない相手だしな。
「先に言っておくけど、あの子とは何もないからな。念を押すようだけど、オレが好きなのは純平だ。いいな?」
「うん⋯⋯」
また、顔が赤くなってないかな? 素直に嬉しいと思う反面、男として負けたような気分になる。俺が男だった時も、前世でも、ここまでストレートに好意を伝えられただろうか?
できなかったと思う。すごいな啓吾は。そういうところも含めて啓吾が好きだ。
俺もこの好意に返事を返さないといけないな⋯⋯うん。見た感じ朝の様子と違って啓吾は元気そうだ。
俺も元々は男だったから今の告白を保留にされている状況がもどかしいのは良く分かる。啓吾から見ても俺が気があるのは分かっているだろうし。
「純平?」
よし、覚悟は決めた。俺ももう気持ちの整理はついたからな。男らしくちゃんと言うからな。
今じゃないけど⋯⋯。
流石に他にもお客さんがいるお店の中で言う度胸はない。出来れば二人っきりの時がいい。やっぱり俺の家かな?
「おーい、オレの話聞いてるか?」
「あ、ごめん考え事してて聞いてなかった」
「お前から聞いておいてなんだよ、もう。仕方ないからもう一度話すけど⋯⋯あの子───猫宮はオレが勧誘して組織に連れてきた子なんだ」
「ボコったのか?」
啓吾が漆原や
猫宮も啓吾がボコって連れてきたのかなって、その方がいいなって思って確認したら違った。普通に勧誘したらホイホイ付いてきたらしい。
「ただし、組織に入るに当たってオレの部下にしてくれないと嫌って漆原がキレる程度には駄々をこねていた」
原作の猫宮から駄々をこねている姿が容易に想像がつく。それを見て漆原がキレるのも。
やっぱり俺からすると猫宮は要注意人物だな。勧誘にホイホイ付いてきたり、啓吾の部下を希望するあたり⋯⋯初対面の時から啓吾に好意を抱いていたりする? 一目惚れとか?
雲雀にちょっと優しくされて、惚れるくらいにはチョロい子だから普通にありそうなんだよな。嫌だなー。
「で、何故かオレが漆原に詰められた。こんな奴を連れてくるなって」
めっちゃ理不尽。でも、漆原ならやりそう。
「その時は若鬼がいたからな。漆原との間に入って仲裁してくれたお陰で大きく揉めることはなかった」
「なるほどなー」
「オレの部下として認める代わりに、猫宮が犯した失敗は全て俺が被ることになったけどな⋯⋯やってらんねぇ」
その後は原作通りに爐の能力で契約を交わした。晴れて啓吾の部下になった猫宮は、先ほど見た通りに何かと啓吾を頼ってきたり、任務と関係ない食事に誘ったり、啓吾に絡んできたようだ。
啓吾曰く、色々と誘われはしたがオレには純平がいるから全部断ったってさ。
啓吾!
聞いててモヤモヤしたけど、その一言で満たされた。啓吾から向けられる一途な好意が心地よい。
へへへ、両想いだな!
「ちなみに⋯⋯他にはいないよな。猫宮みたいな女」
「⋯⋯⋯⋯」
そっと啓吾が視線を逸らした。
「いるのか?」
「まぁ⋯⋯似たようなやつが」
思わずため息が出た。名前を聞いても聞き覚えがなかったから原作には出ていない、多分下っ端だな。啓吾から聞く限りでも能力はそれほど強くない。
啓吾の直属の部下ではないらしいが、何かと顔を合わせる機会が多く気付けば懐かれていた、と。中学生らしいよ、その子。
なんというか、ギャルゲーとかの主人公みたいだな
年下の女の子とか、同い年の女の子から好意を持たれてたり、あまつさえTSして女の子になったから
ゲームだったり、漫画だったりで主人公がハーレム作ってるのはそこまで気にしないけど、啓吾がハーレムを作るのだけ絶対に許さない。
俺が好きなら俺だけを見て欲しい。俺だけを好きでいて欲しい。そうじゃないと嫌だ。我儘なのは分かってるけど、俺の全てを啓吾に差し出してもいいから俺だけを好きでいて欲しい。
「なんか言いたげだな、純平」
「ハーレムとか作る気じゃないよな」
「男の夢ではあるけどさ、オレは同時に何人も愛せるタイプじゃないし⋯⋯好きな人に我慢して欲しくないよ。だからありえない。信じて欲しい」
「うん⋯⋯」
そうこうしているうちに料理が運ばれてきた。啓吾が注文したのはカツ煮込み定食。俺はカレードリア。
お互いにお腹が空いているのもあり、雑談はそこそこに食べることに集中した。会計は啓吾が奢るって言って気なかった。好きな人の前だから格好つけさせろってさ。
お金は俺も持ってたんだけどな、うん。啓吾の万札パンパンの財布を見て⋯⋯素直に引き下がった。なんで、あいつあんなにお金持ってるんだろ。
組織のお金? それもありそうだけど、啓吾の能力を考えると色々な金稼ぎの方があるんだよな。それこそ株や、ギャンブルだって啓吾の能力で答えが分かる。ぶっちゃけ働かなくても生きているだろうな、こいつ。
マジでチートじゃん、啓吾の能力。羨ましい限りだ。
そんな話は置いておいて。食事を終えた俺と啓吾は、俺も少し前まで通っていた高校へと向かって歩いていた。その際に啓吾が無理するなよって、気遣ってくれたけど啓吾のお陰で前へは向けているから大丈夫。
「それで、今日は家に帰るんだろ」
「流石になー」
「けど、バイクは俺の家に置いてあるから一度取りに来るよな?そのまま帰るなよ、俺の家に寄ってから帰れよ」
学校はバイク通学が禁止なので、啓吾は俺の家から歩いて通学した。その為、バイクは俺の家に置きっぱなしだ。
学校終わりに取りに来るのは想定しているけど、そのまま帰って欲しくないので念の為釘をさしておく。
「オレに会いたいって素直に言えよ」
「うるさい」
「分かったよ。ちゃんと家に寄るから安心しろ」
会いたいのは事実だけど、啓吾から言われると俺の心を見透かされたようで恥ずかしくなるので、ぶっきらぼうに返す。
あ、もう学校だ。ファミリーレストランから割と近かったからな、あっという間だった。
本音を言えばもう少し、啓吾と話していたかったけど⋯⋯今から啓吾は学生として授業を受けないといけない。完全に遅刻ではあるけど。
学校が終わったら家に寄ってくれるそうなので、ほんの少しの間だけお別れだ。
「それじゃあ、授業受けてくるわ」
「うん」
啓吾が俺から離れていく。
「啓吾!」
「なんだよ」
俺が呼び止めるとその場で足を止めて振り返った。
都合がいいことに周囲には誰もいない。ちゃんとした告白は、後でするつもりだけどさ⋯⋯俺の思いは伝えておいた方がいいと思うだ。
今もきっと、啓吾はもどかしい思いをしていると思うから。そんでもって、俺だったら嬉しいと思うから⋯⋯啓吾に喜んで欲しいから、勇気を出して伝えよう。
「俺も啓吾のことが好きだよ」
「───え?」
突然の言葉に啓吾が固まってる。俺の言葉の意味を咀嚼して、俺に聞き返す前に畳み掛けるように俺の気持ちを伝える。
「親友としてじゃなくて、男として」
言い切った。男は度胸と、前世で告白した時みたいに勇気を振り絞って言葉にした。
「啓吾が好きだ」
言いたいことをちゃんと言えて、スッキリした。本当だったらこのまま付き合いとか色々言いたいところだけどさ、啓吾は今から授業あるし⋯⋯邪魔をしたらダメだ。
学校が終わった後ならそんな事も考えなくていい。本当はこの気持ちもさ、その時に言うつもりだったけど、猫宮とか中学生の子とか啓吾に近くに女の影があったから、我慢できなかった。
「それじゃあ、家で待ってるから!」
「ちょっ!!純平!」
啓吾の声を無視して、背中を向けて走り去る。その際に後ろを振り返ると、啓吾は俺を追いかけてくることはなくその場で固まっていた。
「言っちゃった」
けど、後悔はない。
啓吾の見たことの無い表情も見れたしな。
あの啓吾がさ、赤面してたぜ。言葉の意味を理解したくらいから徐々に赤くなってさ。
「早く学校終わらないかな」
それは啓吾と同じ気持ちかな?同じだったら嬉しいな。俺だったら学校終わって直ぐに家に向かってさ⋯⋯へへへ。
「今度は俺の番⋯⋯」
学校が終わって俺の家に来たら、今度は俺の口から告白しよう。付き合ってくださいって。恋人になってくださいってさ。
男だけどさ、今は女の子だし⋯⋯別にいいよな。好きになった人がたまたま男だっただけ。たまたま俺が女の子になっただけ。
今の俺たちは誰がどう見ても普通だろ?
何も問題ないじゃないか。
だからさ、好きだって素直になってもいいよな。