スタイリッシュ異能バトルの世界で俺だけTSして魔法少女としてエロゲの竿役と戦っている   作:かませ犬S

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説明回てきなやつ

 魔法少女はどうやって空を飛んでいるの?

 

 ───それはね、マジカルパワーポヨ!

 

 空を飛んでいたけど、人に見られて騒ぎにならない?

 

 ───マジカルパワーで魔法少女の姿を見えなくする事ができるよポヨ!

 

 マジカルパワーってどんな力?

 

 ───マジカルパワーポヨ!

 

 

 

「ぶっ飛ばしていいか?」

 

「なんでポヨ!ボクは君の質問に正直に答えただけポヨ!」

 

 なんでもかんでもマジカルパワーって言っておけば解決すると思うなよ、この害獣が。

 

 あまりにふざけた解答にため息が出た。

 

「で、今更だけど⋯⋯なんでお前がここにいるんだ?」

 

 現在地は俺の家。

 

 この世界の主人公、雲雀から逃げるように空を飛んで俺は無意識のうちに家に帰ってきていた。

 

 誰にも見られていないよな?なんて、今更すぎる事を気にして家の扉を開いて自室に帰ると、害獣がいた。

 

 置き去りにしてきた筈の、害獣がいた。

 

 テレビで見た芸人さんが受けたドッキリに似たようなものがあったな、と場違いな感想を浮かんだものだ。

 

 オマケに害獣は自分がここにいるのが当たり前のような態度ときた、あまりに堂々とした立ち振る舞いに追求するのを忘れていた。

 

 そして、部屋に帰ってきた俺を見て害獣はこう言った。

 

 ───初めて空を飛んだ気分はどうだったポヨ?

 

 おかえり、ただいまの前にそんな言葉を投げかけてくるあたりこの害獣に常識がないのが分かるだろう。

 

 で、冒頭のやり取りがあった訳だ。

 

 俺自身も無駄なやり取りを挟んだお陰でようやく状況を飲み込む事ができた。

 

 危うく流されそうなっていたが、今の状況は異常だ。このクマ畜生がこの部屋にいる意味が分からない。

 

 だから答えろ害獣、と強く睨む。

 

「何を言ってるポヨ?ボクは魔法少女を導く妖精ポヨ!言わば相棒ポヨね!君の傍にいるのは当たり前ポヨ!」

 

「言い方を変えるぞ。どうやって俺の部屋にきた?」

 

 間違いなくこの害獣を置き去りにした。周囲の目を警戒していたのもおり、害獣が後ろをついてきていないのは確認済みだ。

 

 なのに、俺より先に部屋にいる。軽くホラーだ。

 

「ボクは転移魔法が使えるポヨ!この部屋には魔法を使ってきたポヨ!」

 

「聞きたいのは手段じゃない、どうやって俺の部屋を知った?」

 

 質問すれば、害獣はやれやれと肩をすくめる。そんな何気ない動作が鼻につくな。

 

「君と契約した時に記憶を一緒に読み取ってるポヨ!だから君の事はなんでも分かるポヨね!」

 

「それ、契約する時に注意事項として話したか?」

 

「え?話してないポヨよ」

 

 魔法少女に変身したら二度とも男に戻れない事も、俺の記憶を読み取る事も説明になかったですね。契約の際の説明責任を知らないとみる。

 

 なんてふざけた害獣なんだ。

 

 だから書面を通して契約するのが大事なんだな、って改めて思いました、はい。

 

 いや、まぁこの類の奴が書く書面だと隅の方に小さな字で書いてそうだな。

 

 どの道、悪魔のような契約を交わされていた訳か⋯⋯。

 

 こんな事がまかり通っていいんですか、魔法少女の皆さん!

 

 俺が見たアニメの魔法少女も大事な事は説明されず、取り返しがつかない状況になってようやく聞かれなかったから説明しなかったとほざくマスコットがいた。

 

 魔法少女の世界が恐ろしい事は知識として知っていたが、まさか俺まで当事者になるとは⋯⋯。

 

 ひとまず害獣の頭を掴んで、気の済むまで握りしめる。

 

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!頭が弾け飛ぶポヨ!トマトみたいな真っ赤に弾けちゃうポヨ!」

 

 果たして本当にこの害獣は頭が潰れて死ぬのだろうか?俺が見ていたアニメのマスコットは頭を撃ち抜かれても、真っ二つにされても生きていたぞ。

 

「このまま握り潰せばミューは死ぬのか?」

 

「当たり前ポヨ!妖精をなんだと思ってるポヨ!」

 

「だから、それを話せって言ってんだろ!」

 

 思いっきり床に叩きつけると、ボールのように跳ねて天井にぶつかり床に落ちてから数回バウンドして床に転がった。

 

 ちょっとした血溜まりが出来ているが気にしない。

 

 何もかも説明不足だ。契約も魔法少女も妖精と夢の世界も、シャドウの事も、何もかも説明の途中で止まってる。

 

 正直モヤモヤしているんだ。俺がどういう状況にいるか、一から丁寧に説明して貰わないと気が済まない。

 

「痛いポヨー」

 

「うわ⋯⋯」

 

 何事もなかったように起き上がった害獣の両腕は向いてはいけない方向に曲がっていた。全身血だらけで、唯一無事だった二本の足でどうにか立っている。

 

 そんな状態からメキメキ、ぐちゅぐちゅという気持ち悪い音を立てながら、折れていた腕がグルングルンと回りながら元に戻り。

 

 傷付いた箇所もまた肉が内側から溢れ出て補修するという、あまりにショッキングな光景にドン引きするのも仕方ないと思う。

 

 妖精なんてファンシーな呼び方をされる生き物なら、こう⋯⋯一瞬で傷が治るとかさ⋯⋯そういうので頼むわ。

 

 なんでそんなグロテスクな治り方をするんだこの生き物は。

 

「ボクは君を導く相棒ポヨ!なんでこんな酷い事をするポヨ!」

 

「あー、分かった分かった。お前が俺の相棒である事を百歩譲って認めるし、さっきの事も謝るから⋯⋯説明責任を果たしてくれ、頼むから」

 

「分かったポヨ!」

 

 意外と物分りがいい。それに、ちゃんと謝ったわけでもないのに納得するんだな。

 

 魔法少女に悪徳な契約を持ちかける悪魔みたいな存在かと思えば、子供のような素直さすらある。なんとも歪な存在だ。

 

「途中でシャドウがきたから話の途中だった筈だ。どうしてお前はこの世界にやって来た?」

 

「話せば長くなるポヨ!それでもいいポヨか?」

 

「構わない。話してくれ」

 

 これでようやく話が前に進むと思っていたんだが、害獣が言うように話は俺の想定よりも長かった。

 

 ポヨポヨうるさいし、説明の大部分が害獣の主観な上でこいつもあまりによく分かってない部分も多い。そのくせ自分は魔法少女と共に世界を護る存在だと、自慢げに語る語る。

 

 話が長くなった理由のほとんどは害獣の自慢話だ。どこまでが重要な話か判断出来なかったので、ひたすらに聞いていたが本当に無駄な時間を過ごした。

 

 話の要点だけを纏めよう。

 

 この世界は俺たちが住む『人間界』、妖精たちの住む『夢の世界』、悪魔(シャドウ)たちの住む『影の世界』の三つで構築されている。

 

 本来であれば『世界の壁』とやらによってこれら三つの世界は互いに干渉できない関係性であった。

 

 だが、近年『影の世界』の悪魔たちが急激に力をつけ始めた。害獣曰く、人間たちの欲が日増しに強くなっているからだと言っていた。

 

 世界は互いに不干渉ではあるが、世界そのものには影響を及ぼしあっているそうだ。

 

 悪魔は人の負の感情によって生まれ、人の欲を喰らって在世している。

 

 妖精は人の善の感情によって生まれ、人の幸福を喰らって在世している。

 

 世界そのものは相互関係ではなく『人間界』という土台の上に二つの世界があり、それぞれが『人間界』から養分を摂取している関係性というのが正しいかも知れない。

 

 俺たち人間からすればどちらも寄生虫のようなものだな。そんな寄生虫たちは互いの存在を疎ましく思っている。

 

 人間たちを養分にしていいのは俺たちだけだ!みたいあまりにふざけた理由で、だ。

 

 そして、急激に力をつけた悪魔たちの王【絶倫王】マジカルチンポッコによって『夢の世界』と『影の世界』を妨げる世界の壁が壊された。

 

 悪魔たちによる侵略が始まった。

 

 うん、言いたい事はわかるよ。酷い名前だよな⋯⋯。俺が倒さないといけないラスボス⋯⋯これだぜ? 微塵もやる気がおきない。

 

 俺の気持ちは一旦置いておいて、話を戻そう、

 

 悪魔と妖精の戦いは一方的なものだった。戦いとも呼べない蹂躙によって『夢の世界』は壊滅。

 

 『夢の世界』の王───世界樹(ユグドラシル)さまとやらが最後の抵抗として抗っているのが現状らしい。

 

 『夢の世界』を落とせば次の標的となるのは『人間界』なのは明白。このままでは夢の世界も人間の世界も悪魔の手に落ちてしまう。

 

 悪魔たちを倒せる救世主がいる!

 

 という訳で世界樹(ユグドラシル)さまによって逃がされたこの害獣が世界を救う救世主───魔法少女を探してこの世界にやってきた訳だ。

 

 ここまでの話をこの害獣は約3時間かけて話した。時計を見れば20時を超えている。

 

 なげぇよ!

 

 話は逸れるし、どうして自分が世界樹(ユグドラシル)さまに選ばれたとか、聞いてもいない話をペラペラペラペラ。ふざけんな。

 

 時間は有限って事をこの害獣に教えてやりたい。

 

「今は世界樹(ユグドラシル)さまが世界の為に戦ってるお陰で『夢の世界』はまだ悪魔たちの手に落ちていないポヨ!」

 

「そうだな⋯⋯」

 

 悪魔たちによる『人間界』への本格的な侵攻がまだ起きていないのは世界樹(ユグドラシル)さまとやらが抗っている証拠だろう。

 

「でも、時間の問題ポヨ!いくら世界樹(ユグドラシル)さまが強くても多勢に無勢ポヨ!」

 

 悪魔の方が勢力的には強いようだし、数まで上だとかなりキツイだろう。結局、戦いは数だよ兄貴。

 

 害獣は俺に対して熱弁することで戦いへの意欲を上げたいんだろうな。腕を高く上げて、まるで訴えかけるように俺に害獣が話す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このままでは悪魔たちによって世界樹(ユグドラシル)さまが、ザーメンまみれにされてしまうポヨ!!!」

 

「⋯⋯⋯⋯」

 

 ───なんで、俺だけこんな世界観なんだ⋯⋯。

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