スタイリッシュ異能バトルの世界で俺だけTSして魔法少女としてエロゲの竿役と戦っている   作:かませ犬S

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セカンドコンタクト

 原作はこんな展開ではなかった筈だ。現実が漫画と全て一緒とは限らないから微妙に前後した可能性は否めないが、それにしたってまだ覚悟も出来ていない雲雀が刺客を倒す?

 

 できないとは言わない。

 

 狙ってやるんじゃなくて、たまたま当たったとか⋯⋯自分の身を護る為に行った行動が敵に効いたとか、そういうのは普通にあると思う。

 

 あーでも、雲雀の表情が曇っていないな。

 

 予期せぬ事態で敵を倒したなら、しまった!って罪悪感で表情が曇る筈だ。

 

 上空から眺めている感じだと、それがない。自分の意思で刺客を倒したってこと?

 

「どうしたポヨ?」

 

「いや、なんでもない」

 

 俺の後を追ってきたミューが不思議そうに首を傾げている。

 

 こいつは『アビリティ・ストライク』の原作を知らない⋯⋯いや、記憶を読み取ったなら知ってる筈だが⋯⋯。

 

「お前は『アビリティ・ストライク』を知らないのか?」

 

「それがこの世界の名前ポヨよね? 漫画の世界とはびっくりしたポヨ⋯⋯」

 

 そうだよな⋯⋯俺の記憶を読み取ったならこいつも知っている筈だ。なのに雀の戦いを見て驚いていた。

 

 彼女たちが使う能力を、初めて見るような反応をしていた。

 

「記憶を読み取ったと言っていたよな?どこまでだ?」

 

「ボクが君から読み取れたのは君が生まれてから今に至るまでの記憶ポヨ」

 

「つまり、俺の前世の記憶までは読み取れていないって事でいいのか?」

 

「そういうことになるポヨ!君はこの漫画の世界を愛しているから戦うポヨね?」

 

 俺の前世まで知られていない事に安堵はするが、こいつに俺の心情まで読み取られているのは癪だな。

 

「よくわかったな⋯⋯」

 

「当たり前ポヨ!ボクは君の相棒ポヨよ!相棒のことはなんでもお見通しポヨ!」

 

 契約の際に必要な説明を一切せずに、勝手に俺の記憶を読み取っておいてこんな事をほざく。どこまでも面の皮が厚い獣だ。

 

「それで、どうするポヨ」

 

「どうする?」

 

「君は昨日、そこにいる少年に会いに来ていたポヨよね? 原作介入?とかをしたいからって。やらないポヨ?」

 

 そうか、直前までの記憶は見られているのか。俺が原作介入したくて、興奮のままに行動した事すら知られている。他人に知られるのは羞恥心が凄いな。

 

 あまつさえ、こんな奴に気にされる。恥だ恥。

 

「いや、もう関わる気はない。今の俺は彼らの活躍を見届けたいだけ⋯⋯それに魔法少女として悪魔と戦う方が大事だろ?」

 

「自分の想いに蓋はしていけないポヨよ。もっと自分の感情や想いのままに行動してもいいと思うポヨ」

 

 もしかして、俺⋯⋯こいつに慰められてる?

 

 それはそれで屈辱だわ。俺が原作介入を諦めた原因を作ったのはそもそもこいつだ。俺からチ〇コを奪ったから諦めざるを得ない状態に陥った。

 

 感情や想いのままに行動したらいい?なら、そうさせて貰う!

 

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」

 

 傍に寄ってきていたミューの頭を鷲掴みにして潰れない限界まで握り締める。段々と扱いが雑になってきてはいるが、ミューの扱いはこれくらいでちょうどいいと思う。

 

 魔法少女もののアニメ⋯⋯それこそ日朝に出てくるような心を支える相棒ポジには、どうやってもこいつは収まらない。害獣にしか見えないからな。

 

「ん?」

 

 不意に視線を感じた? マジカルパワーで人には見えなくしているから、感じるはずのない視線だ。

 

 疑問に思いつつも視線を辿ると、そこには主人公⋯⋯雲雀がいた。上空を見上げる彼の視線の先にあったのは⋯⋯俺の、スカート。

 

 まさか、視えているのか?

 

 いや、そうか!失念していた!

 

 雲雀は生まれた時から目がいい。能力とか関係なしに()()()()()()()()()が視えてしまう。

 

 だから日常生活に支障をきたさないように、雲雀はあえて度のきつい眼鏡をかけている。

 

 原作において雲雀は日常パートでは基本的に眼鏡をかけており、敵と戦う時にだけその眼鏡を外して本来の力で戦闘に及ぶ。

 

 そういえばギャグ回で幽霊が見えているシーンがあったな。『名探偵雲雀』なんてタイトルで、雀が大切に取っていたプリンを原作キャラに食べられ誰が犯人か探す回。

 

 その回で雲雀は幽霊から情報を得て、犯人を特定していた。ギャグ回だし、ちょっとしたシーンだったから俺も忘れていた。

 

 本来、人には視えないものが雲雀には視える。つまり⋯⋯マジカルパワーで姿を見えなくしても、雲雀には視えている訳か。

 

 完全に見落としていた。俺の落ち度だ。前世のことをミューが読み取っていれば指摘があったかもしれないが⋯⋯現実はそうはならない。

 

 見られたなら仕方ないと割り切ろう。

 

 それはそれとして、先程まで視線を感じたのは顔や身体ではなく、スカート。より正確に言うのであればスカートの中だった。

 

 つまり原作主人公にスカートの中身、ストレートに言えばパンツが見られたわけだ。

 

 といっても元男の俺からするのスカートの中を見られたとて、特に羞恥心を感じることはない。相手によっては嫌悪感を抱くだろうが、雲雀に対しては特に思うことはないな。

 

 原作主人公である雲雀に対して、俺の好感度が高いのが大きいだろう。

 

 俺が気にする事はスカートの中身を雲雀に見られた事ではない。とある事を確認する為に、鷲掴みにしているミューを顔の近くに引き寄せる。

 

 万が一にもやり取りは聞かれたくない。声は小さく、ミューにだけ聞き取れるように囁く。

 

「一つ聞かせろ」

 

「な、なにポヨ⋯⋯」

 

「魔法少女に変身した場合、スカートの中身⋯⋯下着はどうなっている?」

 

「ひ、ひだぎポヨ?」

 

 顔を掴んでいるせいで喋りにくそうにしている。ミューはなんでそんな事を聞くんだと不思議そうな顔をしていたな、けど⋯⋯これは大事な事だ。

 

 俺の元の性別が男だからこそ、男の心理がよく分かる。

 

 女の子のスカートの中身が運良く見えた時、その先にあるのがパンツ以外だと⋯⋯テンションが下がる。

 

 うわ、短パンかよって期待を裏切られて内心で毒づいてしまうだろう。

 

 俺が気にしているのはそれだ。変身前の下着がそのまま反映されているなら、俺が履いている下着はボクサーパンツだ。

 

 スカートの中身が見えた!どんなパンツだ!そんなワクワクを男物のボクサーパンツが全て台無しにする。なんてことだ!

 

 という訳で、男の夢⋯⋯ロマンを壊していないか、その確認をミューに行っている。

 

「変身前の下着がそのまま反映されているのか?」

 

「ひ、ひがうポヨ⋯⋯変身したら⋯⋯女の子らしい下着に⋯⋯」

 

 そこまで聞けたら十分と判断し、ポイッとミューを投げ捨てる。腐っても妖精らしく、空中で体勢立て直してまた空を飛んでいた。

 

 どういう原理か不明だが、衣装と一緒に下着も変わるらしい。聞いておいてなんだが、ミューが知ってるのは気持ち悪いな。まぁいい。

 

「なるほどな⋯⋯」

 

 俺の下着が女の子らしい下着なら、雲雀に見られても問題はない。彼の夢を壊さずに済んで良かったと胸を撫で下ろす。

 

 原作主人公である雲雀は、女性のスカートの中を熱心に覗き込むタイプの変態ではないが⋯⋯年相応に女の子に興味があるむっつりタイプだ。

 

 シチュエーション的に俺を見つけたのは、たまたまで⋯⋯空を見上げたら女の子がいて、スカートの中身が見えていたので、ついつい凝視してしまった。そんな感じのラッキースケベと推測する。

 

 原作主人公(ひばり)もしっかり男の子をしているようだ。

 

 視線を雲雀に向けていると彼と目が合う。何やら慌てているな。距離が離れているので声までは聞こえていないが⋯⋯おそらく、わざとではないと弁明しているんじゃないか?

 

 雲雀からすれば、この状況は誤解されてもおかしくはない。たまたまスカートの中が目に入っただけと、弁明したいだろう。

 

「さて、どうしたものか」

 

 本来であれば雲雀たちと関わる予定はなかった。原作イベントを見たら満足して帰る予定だった。

 

 けど、この状況で帰るのは⋯⋯雲雀にあまり良い印象を与えないな。ラッキースケベな展開ではあるが、彼からすれば俺は未知の存在だ。

 

 『Los Lobos(ロス・ロボス)』の刺客を倒した直後なのも良くない。敵を倒したと思えば、上空に見知らぬ少女がいる。敵と認識されてもおかしくないだろう。

 

 厳密には初見ではないな。⋯⋯昨日、学校の屋上で雲雀と会ってはいる。

 

 が、あのやり取りで俺を味方と判断するのは難しいだろう。学校に不法侵入していた不審者だと、雲雀が気付けば尚更悪く映る。

 

「仕方ないか」

 

 関わるつもりはなかった。

 

 けど、このまま雲雀に悪い印象を持たれるのは俺の心情的にもよろしくない。推しキャラの一人に嫌われたくはない。

 

「ミューはそこで待ってろ」

 

「ポヨ?」

 

 仲良くする必要はない。

 

 原作に介入する気もない。

 

 俺は雲雀たちの敵ではない。それを分かって貰えたら十分だ。

 

 ミューの姿まで雲雀に視えているかは不明だが、近くにいるとややこしくなるのでその場で待機を命じる。

 

 頼むから介入してくるなよ、害獣。

 

 そう心の中で祈りながら、雲雀のいる河川敷へと降り立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは。また、⋯⋯会ったね」

 

 これが、主人公(ひばり)とのセカンドコンタクト。原作に影響が出ないといいがな⋯⋯。

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