呪ワレタ少年 Krieg   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

都市伝説の「さとるくん」を呼び出した輝希と学は、
質問に何でも答える災悪に追い詰められ、姿を見れば連れ去られるという極限状態に陥る。
呪いの侵食により体調不良を抱えながらも二人を救おうとしたマコトとエンネアだったが、
思考を読み取る災悪の力の前に圧倒され、窮地に立たされる。
駆けつけたウワサは、ミリアの助言から災悪の名前が誤伝された「さとりくん」だと見抜き、
真実の名を刻む事でマコト達を救出した。
ウワサは憎しみを向けるマコトに救済を約束して去るが、
マコトは自身の呪いが末期段階にある事をミリアから告げられ絶望と共に石碑の前で崩れ落ちる。
救いたい者と憎む者の境界が曖昧になる中、自らも呪われた少年の運命に呑み込まれゆく
マコトの咆哮が、無情な夕暮れの広場に虚しく響き渡るのだった。


第23話 猫の顔

「ねえねえ、近くに動物園があるんだって」

 晴れた日の午後。

 人間姿のミリアは、川沿いの遊歩道にいた。

「私、昔から動物が好きなんだよね。

 あ、自分もウサギの癖に何言ってるんだよって思ったでしょ?」

 ミリアはピョンと跳ねると、ベンチに座っているウワサに近寄る。

「私はウサギはウサギでも、神社の使い魔のウサギだからね」

 腰に手を当て、自信ありげにフフンと鼻を鳴らす。

 だが、ウワサとアノロンウェンは何も答えない。

「ちょっと、無視は良くないよ」

 そう言ってウワサを見る。

 すると、ウワサは座ったまま眠っていた。

 アノロンウェンは顔すらも見ない。

 それを見て、ミリアは微笑んだ。

「……最近、移動ばかりしてたから、疲れちゃったのかな」

 ウワサの足元にはイヤホンが落ちている。

 耳につけていたものが落ちたようだ。

 イヤホンからは、かすかに音が漏れていた。

 それは、音楽ではなく、誰かの話し声のように聞こえる。

「聞いているうちに、安心しちゃったんだね」

 ミリアはウワサに近づくと、イヤホンを拾った。

「これは大事なものでしょ」

 寝ているウワサの太ももにイヤホンをそっと置く。

「キミも、あのマコトって子も、ほんと頑張ってると思うよ」

 ミリアは優しげな表情でそう呟いた。

 とその時、ミリアのフードに付いたウサギの耳が、ピクンと立った。

 遊歩道の向こうに道路がある。

 ミリアは、その道路をじっと見つめた。

 

「ほんと、嫌になるよね」

 交差点の横断歩道。

 小学5年生の大竹昇太は、信号待ちをしながら、溜め息を吐いていた。

「壊井ウワサって言ったぐらいで怒らなくていいのに。ロックもそう思うだろ?」

 昇太は、散歩をさせている飼い犬に話しかける。

 今日の昼休み。

 学校で、呪われた少年の話になり、クラスメイトの一人がノートに名前を書いた。

 昇太はそれを見て、思わず口に出して言ってしまい、大騒ぎになったのだ。

 中には、泣き出すクラスメイトまでいた。

 そのため、昇太は名前を言った事を謝る羽目になってしまった。

「ただの噂話なのに、ほんと嫌になっちゃうよ。はあ~」

 昇太はまた溜め息を吐く。

「ただの噂話じゃないよ」

 不意に声がした。

 昇太がハッとして横を見ると、いつの間にかミリアが立っていた。

「ええっと」

「ウゥゥウ~」

 ロックがミリアを見て、急に唸り声を上げる。

 ミリアはロックを見て、にっこりと笑った。

 途端にロックはクゥゥ~ンと弱々しい声を出し、昇太の後ろに隠れてしまった。

「どうしたの、ロック?」

「まあまあ、犬の事はいいから」

 ミリアはニコニコしながら、昇太の肩を叩く。

「呪われた少年の話は、ほんとうにあるんだよ」

「どういう事?」

「つまり、キミは呪われちゃったって事」

 その言葉に、昇太は驚く。

 しかしすぐに首を横に振った。

「何言ってるんだよ。そんな事あるわけないよ」

 信号が青に変わる。

 昇太は苛立ち、肩に乗っていたミリアの手を払いのけた。

「ロック、行くよ」

 そのまま横断歩道を歩いて行く。

 ミリアはその場に立ったまま、そんな昇太に声をかけた。

「そこの角、どっちに曲がるの?」

 横断歩道を渡ると、道路が右と左に分かれている。

 ミリアはその分かれ道を見ていた。

「そんな事どうでもいいだろ」

 昇太は右に曲がり、去ってしまう。

 その姿を見て、ミリアは「あ~あ」と呟いた。

「右に行っちゃったんだね」

 ミリアは、チラリと右側に広がる町並みを見つめた。

「そっちは行っちゃだめだったのに」

 その頃。

 ベンチに座っていたウワサは、目を覚ました。

 何かに気づき、ポケットから銀色のペンを取り出す。

 ペンは僅かに震えていた。

 それを見て、ウワサの表情が一気に険しくなる。

 手の平に置いたペンは、宙に浮き、ゆっくりとある方向を指し示すのだった。

 

(さっきの女の子は何だったんだろう?)

 しばらくして。

 昇太は住宅地にある十字路までやってきた。

(どうして、僕が壊井ウワサの名前を言った事を知ってたのかな?)

 他のクラスの生徒だろうか。

 だが、あんな女の子は見た事がなかった。

「ロック、もう帰ろう」

 考えても仕方がない。

 昇太はさっさと家へ帰る事にした。

 だがその時、ロックが急に立ち止まった。

「ウゥゥウ~」

 ロックは十字路の真ん中辺りを見て、身構えている。

「どうしたの?」

 さっきの女の子が追ってきたのかと思い、昇太も同じ場所を見る。

「えっ?」

 道路の真ん中辺りに、黒い染みのようなものがある。

「何あれ?」

 昇太は目を凝らし、その染みを見る。

 染みは、何かの物体に似ている。

「あれって」

「ニャアア~」

 突然、猫の鳴き声がした。

 昇太は周りを見る。

 しかし、猫の姿はどこにもない。

「鳴き声、したよね?」

 そう呟きながら、「あっ」と声を漏らした。

 黒い染みは猫の形にそっくりだったのだ。

 昇太は、再び道路の染みの方を見た。

「あれ?」

 何故か、染みが消えている。

「どうして??」

 昇太が戸惑っていると、ロックがまた唸り声を上げた。

「ウゥゥウ~」

 ロックは、昇太の足を見ている。

 昇太は釣られるように、自分の足元に目を落とした。

「あっ」

 足元の地面に、何故か先ほどの猫のような黒い染みがある。

 その染みがゆっくりと浮かび上がる。

 次の瞬間、染みは真っ黒な猫の顔になった。

 浮かんでいるのは、猫の顔と尻尾だけだ。

 体と脚はない。

「ニャアアア~」

 猫の顔が、不気味な鳴き声を上げた。

「ひいいっ」

 昇太はのけぞり、猫の顔から離れる。

 猫の顔はシュッと動くと、そんな昇太の方へと飛んできた。

「うわあっ!」

 ドンッ!

 猫の顔の動きに驚き、昇太はその場で尻もちをついた。

「ワンワン!」

 ロックがそんな昇太を守るかのように、吠える。

「いたたた……」

 昇太は戸惑いながらも、周りを見る。

 猫の顔は、どこにも見えない。

「何だったの?」

 何かの見間違いだったのだろうか。

 昇太は不気味に思い、すぐに立ち上がると、その場から離れた。

 

「ロック、早く帰ろう」

 道路を歩く昇太は、自然と早足になっていく。

 女の子も変だったが、さっきの猫の顔はもっと変だ。

(あれは何かの見間違い。あんなのあるわけないよ)

 午後5時すぎ。

 町は夕陽で赤く染まっている。

 昇太はロックを連れて、家のある路地へと入った。

「こんばんは」

 すると、前方から犬を連れた女性が声をかけてきた。

 犬の散歩でよく見かける近所の人だ。

 と突然──

「ニャアア~」

 後ろから猫の鳴き声がした。

「えっ?」

 昇太は思わず後ろを見るが、猫などどこにもいない。

「どうかしたの?」

 女性がそんな昇太に声をかける。

「え、あ、今、猫の鳴き声がして」

「鳴き声? そんなのいつ聞こえたの?」

「ええ??」

 かなり大きな鳴き声だった。

 聞こえないはずなどない。

 昇太がそう思っていると、ロックと女性の犬が同時に身構えた。

「ウゥゥウ~」

 2匹の犬は、昇太の後ろを見て唸り声を上げている。

「あら、急にどうしたの?」

「ロック、猫がいたの??」

 昇太は後ろを見るが、猫の姿はない。

「やっぱりいない……」

 昇太は戸惑いながら、ふと、地面を見た。

「えっ?」

 昇太の身体に夕日が射し、地面に影が伸びている。

 その影が盛り上がっている。

 盛り上がった影は、真っ黒な猫の顔になった。

「ニャアアア~」

「うわああ!」

 昇太は驚くが、隣にいた女性はキョトンとしていた。

「昇太くん、急にどうしたの?」

「僕の影が猫になって!」

「影が猫?」

 女性は、昇太の後ろを見るが、キョトンとしたまま首を傾げた。

「別に、普通の昇太くんの影だと思うけど」

「ええ??」

 女性には猫の顔が見えていないのだ。

「どうして??」

「ワンワン! ワンワン!」

 ロックと女性の犬が、猫の顔を見て吠え続ける。

「ちょっと、吠えちゃだめよ」

 女性は飼い犬に注意をする。

「それじゃあ、私はこっちだから」

 そう言って、女性は何事もなかったように去って行こうとする。

「あの!」

 昇太は慌てて引き止めようとするが、女性はそのまま路地から出て行ってしまった。

 

「ニャアア~」

 猫の顔は、不気味な口を開きながら、鳴き声を上げ続ける。

「こ、こっちに来るな!!」

 昇太は怯えながらも、逃げるように家へと向かって駆け出した。

「誰か助けて!」

 昇太はロックを連れて走りながら、後ろを見る。

 猫の顔が、宙に浮かび、ずっとついて来ている。

「来るな! どっかに行け!」

 昇太は悲鳴のような声で叫ぶが、猫の顔は離れない。

「早く家に!」

 前方に、昇太の家が見えてきた。

 家に入れば、母親がいるはずだ。

 昇太は必死に走り、家の前まで辿り着いた。

 バタンッ

 突然、ロックが倒れた。

「ロック!?」

 見ると、ロックは何故かその場で動けなくなっている。

「ニャアアア~」

 昇太の後ろに伸びた猫の顔が、大きな鳴き声を響かせる。

 その声に驚き、昇太は思わず猫を見た。

 猫の一部が、キラリと光っている。

 それは、2つの鋭い目だ。

 猫の顔の鋭い目が、昇太を睨む。

「ニャアア~」

 瞬間、昇太の足が動かなくなってしまった。

「あ、あああ」

 身体も動かなくなる。

「ニャアア~」

 猫の顔は、不気味な鳴き声を上げながら、昇太に迫ってくる。

「く、来る、な……」

 昇太は震えながら、ただそれを見つめるしかなかった。

 その時、何かがフワリと塀の上から飛び降りた。

「そこにいたんだね」

 地面に着地すると同時に、フードから出た銀色の髪が軽やかに揺れる――ミリアだ。

 ミリアは、昇太とその傍にいる猫の顔を交互に見ていた。

「呪われた人間以外には見えない災悪なんて、厄介だよね」

 ミリアの言葉に反応し、猫の目がさらに鋭くなり、口が大きく開く。

「あ~、私には見えてるよ。私は人間じゃないし」

「フウゥゥ~!」

 猫の顔の毛が逆立つ。

 そんな災悪を見て、ミリアはクスクスと笑った。

「怒っても、私はちっとも怖くないよ」

「ニャアアア~!」

 災悪が、ミリアに襲いかかる。

 ミリアは、跳ねるようにひらりとそれを避けた。

「キミの相手は、私じゃないってば」

「ニャアアアアア!」

 災悪は襲いかかるが、ミリアはまた軽やかに避けた。

「ニャアアア! ニャアアア!!」

 逃げるミリアを追い、災悪が、道路や塀に移動していく。

 ミリアはその影を見ながら走った。

 

「まったく、しつこいな~、後は任せたよ」

 そう言って前方を見ると、ミリアは大きく飛ぶように跳ねた。

 すると、その先に、誰かが立っている。

 それは、ウワサとアノロンウェンだ。

 ミリアは、ウワサとアノロンウェンを飛び越え、背後に着地した。

「災悪がいたなら教えてって、前にも言ったよね!」

「いい加減に死ねばいいのに」

 ウワサの掌の上では、銀色のペンが宙に浮いている。

 先程から、ウワサとアノロンウェンはミリアと共に災悪を探していたのだ。

「のんびりしている間に、彼が襲われちゃったら可哀想でしょ」

 その言葉を聞き、ウワサは路地の先を見る。

 昇太が怯えながらこちらを見ていた。

 ウワサはそれを見て、ペンを強く握りしめる。

「これ以上は絶対!」

 ペンの表面に見た事もない奇妙な模様が浮かび上がる。

 ウワサがペンを走らせると、宙に青白い炎が現れ、円が描かれた。

 災悪が塀から飛び出し、ウワサに飛び掛かってきた。

「こいつはアタシが相手だよ!」

 アノロンウェンが前に躍り出ると、空中でレイピアを構え、

 その切っ先から冷気を纏った魔法を放った。

 氷の精霊魔法が、勢いよく猫の顔に直撃する。

 まるで硬いガラスにぶつかったかのような音と共に、災悪の顔の一部が瞬間的に凍り付いた。

 猫の顔は僅かに動きを止め、その一撃が確かに効いた事を示している。

 しかし、災悪はすぐに態勢を立て直す。

 凍った部分をブルリと震わせると、黒い体躯を移動させ、

 今度はアノロンウェンへと飛びかかった。

「厄介な!」

 アノロンウェンは身を低くし、レイピアを盾のように構えて受け流そうとするが、

 猫の顔は予想外の軌道で突進してくる。

 だが、その動きは辛うじて届かなかった。

 災悪の顔がアノロンウェンの髪をかすめ、唸り声と共に虚しく通り過ぎる。

「フン、その程度かい!」

 アノロンウェンは即座に反撃に出る。

 レイピアの銀色の切っ先を、流れるように災悪へと突き出した。

 細身の剣は黒い顔の真ん中に正確に吸い込まれた。

 呪いの産物であるはずの災悪から、黒い霧のようなものが吹き出し、猫の顔は悲鳴を上げた。

「ニャアアアアア!!」

 物理攻撃ながら、その魂のような部分にまで達した一撃は、災悪を大きく怯ませた。

 レイピアの一撃で動きが鈍った災悪に対し、アノロンウェンは追撃の機会を逃さない。

「これで終わりだよ!」

 レイピアを引くや否や、彼女は再び、氷の精霊魔法を繰り出す。

 氷の刃を、避けようとする災悪の顔めがけて容赦なく叩きつけた。

 猫の顔は全身を覆う黒い染みを一瞬輝かせ抵抗したが、

 二度目の魔法は防御を打ち破り、その黒い体躯を凍らせていく。

 

「全ての災悪をこの光によって打ち消さん! お前の名は……」

 そして、ウワサは弱らせた災悪を見て、ペンで文字を書いた。

 

 ジュ ウ ジ ロ ノ ネ コ

 

「ニャアア~!」

 瞬間、『十字路の猫』がウワサから離れた。

 猫の顔が影に戻っていく。

「ニャ ア ァ ア ァ ァ ァ……」

 そのまま、影は地面に落ち、アスファルトの道路に染み込み、消えていった。

「な、何だったの……」

 昇太はその光景を呆然と見つめていた。

 十字路の猫が消えたと同時に、身体が動くようになる。

「クウゥゥン」

 倒れていたロックも起き上がった。

「ロック!」

 昇太は喜び、ロックを抱き締めた。

 そんな昇太を、ウワサ、アノロンウェン、ミリアが見る。

「よかったね。助けてもらえて」

 ミリアは昇太に言う。

 昇太は、ウワサを見て礼を言おうとした。

 だが、それよりも早くミリアが口を開いた。

「ま、キミを助けたのが、呪われた少年とその武器なんだけどね」

「えっ」

 それを聞き、昇太は戸惑う。

 視線をウワサの方に向けると、ウワサは目を逸らした。

「……アンタも少しは戦える力を身に着けな」

 アノロンウェンはそう昇太に言った。

 ウワサは、昇太に背中を向け、歩き始める。

 ミリアは力なく微笑み、ウワサについて行こうとする。

 その時──

 

「ありがとう、お兄ちゃん、お姉ちゃん」

 昇太がウワサとアノロンウェンに言った。

 ウワサは、一瞬足を止める。

「……呪いが解けてよかった」

 背中を向けたまま、優しい声で言う。

「呪い……」

 昇太は呟くと、ウワサの背中を真っ直ぐ見て、また大きな声を出した。

「お兄ちゃんも、絶対に呪いが解けるはずだよ!」

 呪われた少年が何故呪われているのかは分からない。

 しかし、ウワサは悪者などではないのだ。

 ウワサはそれを聞き、振り返る事なく、小さく頷く。

 力強く踏み出すと、そのまま去って行った。

 ミリアはそんな光景を、何も言わず、じっと眺めていた。

 

「呪いが解けるはずかあ」

 しばらくして。

 ミリアは道路を歩きながら、ウワサにそう言った。

 既に日が落ち、夜になっている。

 空には月が浮かんでいた。

「私は、一度もそんな事、言われた事なかったなあ」

「えっ?」

 ウワサの足が思わず止まった。

「……言われた事がなかったって、どういう意味?」

 まるで、かつて言われる状況にいたような言い方だったのだ。

 すると、ミリアは寂しげな表情を浮かべながら、ウワサを見た。

「私も同じだったから」

 ミリアは、首元に巻かれた奇妙な模様が刻まれた輪っかを触る。

「私も昔、キミと同じように呪われた少女だったんだよ」

「呪われた少女……」

 その言葉に、ウワサは驚く。

「君はあの神社から来たんじゃ?」

「そうだよ。キミを見届けるためにね」

 ミリアは力なく笑うと、身体をクルリと回転させ、ウサギの姿になった。

「今日はちょっと疲れちゃった。またね」

 ミリアはそのまま道路を駆けて行く。

 壁に向かって跳ねるように飛ぶと、姿を消してしまったのだった。




~災悪紹介コーナー~
アノロンウェン「なーにかな?」
ウワサ「なーにかな?」
二人「今週は、これ!」

十字路の猫
出現場所:十字路、影の中、道路の染み、塀の上
攻撃手段:咆哮、金縛り、影への引きずり込み

アノロンウェン「まったく、影に潜んでニヤニヤ笑うなんて、猫の風上にも置けないね!
        アタシの魔法でカチコチに凍らせてやった時のあの悲鳴、少しはスッとしたよ。
        でも一番ムカつくのは、やっぱり肝心な時に遊び回ってるクソウサギだよ!」
ウワサ「でもミリアがいなかったら昇太君を見つけるのがもっと遅れていたかもしれない。
    呪われた人にしか見えない災悪なんて、本当に卑怯だよ。
    影が盛り上がって猫の顔になるなんて、僕でもゾッとしたよ」
アノロンウェン「フン、どうだか。でもあのガキ、昇太だっけ?
        呪われた少年のアンタに向かって『呪いが解けるはずだ』なんて……
        能天気だけど、まあ、悪い気はしなかったね。
        アンタも少しは救われたんじゃないのかい?」
ウワサ「……救われたよ。でも、その後のミリアの言葉が気になって。
    彼女も昔は僕と同じ『呪われた少女』だったなんて……。
    あの神社の使い魔になる前に、一体何があったんだろう」
アノロンウェン「あいつの過去なんて、どうせロクなもんじゃないさ!
        考えるだけ時間の無駄だよ。
        ほら、月が綺麗だからって見惚れてないで、次の町へ急ぐよ!」
ウワサ「……うん。僕の呪いも、彼女の秘密も、いつか解き明かせる日が来るのかな」
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