ウワサの名前を口にし呪いを受けた里依紗と慎一は、
ガイコツが運転する車に拉致され、生と死の境界へと連れ去られてしまう。
救出を試みたウワサも異空間へと呑み込まれ、絶対的な拘束の前に意識を失いかけるが、
救援に現れたミリアの決死の叱咤により覚醒を果たす。
ウワサはペンに意識を集中させ、異空間を爆走する災悪の真実の名を暴き消滅させる事で、
級友達を無事に現世へと連れ戻した。
戦いを通じてウワサとミリアの間には奇妙な絆が芽生え、
かつて呪いを解いた人間が存在したという伝承を胸に、二人は共に歩む事を誓う。
一方、故郷の近隣まで戻ってきたウワサの首筋の模様は刻一刻と濃くなり、
マコトの周囲を覆う石化の悲劇も待ったなしの状況へ突き進んでいくのだった。
「まさかこの森に戻るなんて……」
ウワサはアノロンウェンとミリアと共に、ある森へ来ていた。
バスで事故に遭った時にいた、あの森だ。
「この先に、呪われた神社がある……」
「へえ、そこがラスボスってところかい」
ウワサは暗い森の中を進みながら、神妙な表情で呟く。
そんなウワサに、前方を歩いていたミリアが口を開いた。
「呪いを解く事ができた子は確かに一人だけ存在する。
だけど、あてもなく探しても、その子の情報が見つかるわけがない。
キミだよね、まずは何か手がかりがないか神社に行こうって言ったのは?」
「それは、そうだけど……」
「ほらっ、着いたよ」
「えっ」
瞬間、ウワサは足が止まった。
途端に、息が荒くなり、額に汗がじんわりと滲む。
そんなウワサを、ミリアはじっと見つめた。
「怖いんだね」
その言葉に、ウワサは俯きながら、小さく頷いた。
「ごめん……。行かなきゃいけないって分かってるけど。だけど、無理なんだ……」
ウワサは全身を震わせながら言う。
「何があっても、戦えば解決するのさ」
ウワサは、呪われた神社に行き、呪われた少年になってしまった。
その恐怖によって、心が神社に入る事を拒んでいたのだ。
「だけどここには今、呪われた神社はないみたいだね」
それを聞き、ウワサが顔を上げると、傍に朽ち果てた木製の鳥居があった。
「どういう事? 僕が来た時は、こんなボロボロの鳥居じゃなかった」
「そうだろうね。ここは廃社だから」
「当たり前だよなぁ?」
「呪われた神社は、各地にある廃社を転々と移動してるんだよ」
「そうだったんだ……」
「まっ、神社の使い魔である私にも、今どこに現れてるのか分からないけどね」
ミリアはそう言いながら、鳥居の向こうを見つめた。
「一応、ここも見て行く?」
「え、あっ……」
呪いの神社がないと分かっても、ウワサの足は動かない。
ミリアは、またフッと笑った。
「まあ、見ても、あるのはせいぜい、石になった人達ぐらいだけどね」
「バッカみたい。アタシには何にも効果がないのに」
ウワサは、自分のせいで呪われ、石になってしまった故郷の町の人達を思い出した。
「さ、旅を続けよう。きっとどこかに呪われた神社があるはずだよ」
「戦わなくちゃね!」
ミリアはピョンと跳ねると、ウサギの姿になり、どこかへと消えた。
そして、アノロンウェンはレイピアを構える。
「みんな……マコト君……」
ウワサは苦々しげな表情を浮かべながら、ふと、イヤホンを手に取り、じっと見つめた。
やがて、イヤホンを耳につけると、一人、来た道を戻って行くのだった。
今回はかなり短めの回となりました。