美女の多い世界に転生した   作:インフェルノ

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アンケート答えてくれた方達ありがとうございます。あくまでメインヒロインを決めるアンケートですから、サブヒロインの女の子2人もしっかりとストーリーに組み込みます(というよりどういうストーリーにするかは大体決まっていたので肉付けをするだけだった)。サブヒロインを手放しにすると言うことはありません。

ではプロローグは終わりで本編を始めます。






ギルド加入
物語の始まり


 

 

 

「時は満ちた……」

 

 

俺は今、妖精の尻尾のギルドの前にいた。

 

あれから数ヶ月経った。対人戦闘をマスターした俺はデウスローグから合格が出された。

 

ならやる事は決まっていた。当然、妖精の尻尾への加入だった。山を降りてマグノリアの街に来た。そして妖精の尻尾のギルドに来たのだ。

 

目の前の重厚な扉の向こうから、どんちゃん騒ぎの振動が伝わってくる。酒の匂い、笑い声、そして——若き魔導士たちが放つ荒削りだが眩いほどの生命力。

 

自分のなかに居座る、冥府の王(マルドギール)にも匹敵するどす黒いほどの魔力が、その陽気な気配に反応してピリついた。無意識に漏れ出そうとする圧を、奥歯を噛み締めて必死に抑え込む。ここで力を解放してしまえば、この温かな喧騒を物理的に吹き飛ばしてしまうだろう。

 

 

「……ふぅ、落ち着け」

 

 

深呼吸を一つ。これから出会うのは、後の「妖精女王」や「火竜」、そして聖十大魔道の頂点に立つ老人だ。原作を知る自分にとって、ここは聖域に等しい。だが、今の自分はただの「強すぎる異物」に過ぎない。

 

木製の古びた扉。その向こうから聞こえる喧騒は、あまりに人間臭く、温かい。しかし、俺の血管を流れるのは、一触即発の核燃料のような、禍々しくも濃密な死の魔力だ。

 

指先一つ、少しでも制御を誤れば、この街ごと消し飛ばしかねない「絶対的な破壊」を、薄皮一枚の精神力で押さえ込んでいる。

 

 

(……入れば、始まる。平和な物語が、俺という異物によって崩壊する物語が)

 

 

心臓が早鐘を打つ。恐怖ではない。この圧倒的な力を持ってしてなお、あの中にある「絆」という予測不能な不確定要素に対する、得体の知れない重圧。俺は深呼吸をし、殺意すら孕む魔力を極限まで圧縮した。震える右手を伸ばし、扉のノブに触れる。

 

差し出した右手が、緊張でわずかに震えた。物語の歯車が動く1年前。この扉を開ければ、もう後戻りはできない。最強のギルドの一員として、凄惨な運命を塗り替える資格が自分にあるのか。冷や汗がこめかみを伝う。覚悟を決め、自分を飲み込もうとする魔力を精神の檻に叩き伏せると、俺はその「始まりの扉」を力任せに押し開けた。

 

――さあ、化け物の時間だ。

 

 

 

 

 

扉を開けた瞬間、それまでの喧騒が嘘のように止んだ。吸い込まれるような静寂。数十人の魔導士たちの視線が、針のように肌を刺す。無意識に抑えていたはずの「マルドギール級」の魔力が、無意識のうちに威圧感となって空間を支配していたのかもしれない。

 

 

「……加入希望、です」

 

 

絞り出した声に、ようやくギルドの空気がわずかに震えた。しかし、帰ってきたのは歓迎の歓声ではなく、戸惑いの混じったひそひそ話だった。

 

「加入希望? ……おい、この魔力……タダもんじゃねえぞ」

「あいにくマスターは定例会で不在だ。……エルザもラクサスも依頼でいねえし、どうすりゃいい?」

 

 

強者たちが不在のタイミング。場を支配する奇妙な緊張感の中、俺の視線は自然と「彼ら」を追っていた。

 

まだ少年っぽさの残るナツとグレイが、好戦的な、それでいてどこか警戒したような眼差しでこちらを睨んでいる。カードを弄る手を止めたカナや、少し怯えたように本を抱え直すレビィ。物語の主役たちが、まだ「伝説」になる前の姿でそこにいた。そして、カウンターの奥。俺の視線は、一人の少女で止まった。

 

 

(……ミラジェーン)

 

 

思わず、声に出そうになった名前を飲み込む。そこにいたのは、かつての好戦的な「魔人」の面影を無理やり封じ込めたような、痛々しいほどに儚い笑顔を浮かべた美女だった。リサーナを失ってまだ間もない、看板娘になりたての彼女。その瞳の奥にある深い悲しみと、それでもギルドを守ろうとする健気な光。

 

画面越しに憧れていた彼女を前に、俺の内の「厄介な魔力」が、守るべき対象を見つけたかのように静かに凪いだ。

 

 

「…………ようこそ、フェアリーテイルへ」

 

 

彼女が伏せていた顔を上げ、少しぎこちない、けれど優しい微笑みを向けてくれる。

 

 

「マスターが戻るまで、私が話を聞くわね」

 

 

その一言で、止まっていた俺の時間がようやく動き出した気がした。

 

 

 

 

カウンター越しに微笑むミラジェーンを間近にして、思考が一瞬白白(空白)になる。

 

 

(……綺麗だ。それに、なんて優しい匂いがするんだろう)

 

 

画面越しに見ていた時よりもずっと繊細で、どこか消えてしまいそうな透明感。リサーナを失った傷がまだ癒えぬまま、必死に「看板娘」を演じようとしている彼女の健気さに、胸が締め付けられる。

 

 

「ええと……どうしてうちのギルドを選んでくれたの?」

 

 

ミラが小首をかしげて尋ねる。その澄んだ瞳に見つめられ、俺は慌ててあらかじめ用意していた言葉を繋いだ。

 

 

「……あ、はい。自由な気風だって噂を聞いて。それに、歴史あるギルドで自分を試してみたいと思ったんです」

 

 

嘘ではないが、あまりに当たり障りのない返答。マルドギール級の魔力を隠し持っている自覚があるだけに、自分の言葉がひどく薄っぺらく感じて、居心地が悪くなる。

 

 

「ふふ、そう。賑やかすぎて、驚いちゃうかもしれないけどね」

 

 

彼女の柔らかな笑い声に送られ、俺は逃げるようにリクエストボードの前へと足を運んだ。

 

まずはギルドの一員として実績を作らなければならない。できれば、今の自分の魔力を存分に振るえるような、手応えのある仕事を――。

 

だが、ボードを見て俺は言葉を失った。

 

 

(……ない。依頼書が、ほとんどないぞ)

 

 

貼られているのは、数えるほどしかない紙切れ。それも「迷子の犬探し」や「屋根の修理の助手」といった、生活感あふれるものばかりだ。報酬額に目を向ければ、どれも二度見するほど安い。

 

 

「……全部、はした金じゃないか」

 

 

思わず独り言が漏れる。原作開始1年前、主要メンバーが不在がちで、残っているのはまだ成長途中の子供たちばかりの時期。ギルドの財政難か、あるいは単純に平和すぎるのか。

 

「冥府の王」並みの力を振るう場所を探しに来たはずが、あまりの拍子抜けな光景に、俺は掲示板の前でしばし呆然と立ち尽くした。

 

ふと視線を上げると、吹き抜けになった二階の欄干が目に入った。そこには一階の寂れた掲示板とは対照的に、禍々しいほどのオーラを放つ数枚の依頼書が揺れている。

 

その中の一枚、一際高額な報酬と「凶悪な魔物の討伐」が記された紙に、俺の魔力が共鳴するように疼いた。

 

 

(……これだ。これくらいじゃないと、この力は持て余す)

 

 

階段を使うまでもない。軽く膝を曲げ、床を蹴る。ドンッ、と床を鳴らして垂直に跳ね上がった体は、重力を無視するように二階のフロアへと着地した。迷わず目当ての依頼書を剥ぎ取ると、再び一階のカウンターへと舞い降りる。

 

 

「ミラジェーンさん、これ。受けてもいいですか?」

 

 

差し出された依頼書を見た瞬間、彼女の表情が凍りついた。

 

 

「え、ダメよ! 二階の依頼書を取っちゃ……そこは、S級魔導士専用なんだから!」

 

 

その叫びに、静まり返っていたギルド内が蜂の巣をつついたような騒ぎになる。

 

 

「おい新人! 調子に乗んなよ!」

「二階は選ばれた奴しか立ち入り禁止だ! ルールも知らねえのか!」

 

 

怒号とブーイングが背中に突き刺さる。ナツやグレイも、驚きと不快感を隠さずにこちらを睨みつけていた。だが、ミラジェーンの心配そうな、それでいて規律を守ろうとする真剣な眼差しを真っ向から受け止め、俺は静かに首を振った。

 

 

「わかってます。でも、一階の依頼をこなしてたら、俺の腕は鈍ってしまう」

「理屈じゃないわ。これはギルドの鉄の掟……」

 

 

言い募ろうとする彼女を遮るように、俺は扉へと歩き出した。マルドギール級の魔力が、外の空気を求めて内側から俺の精神を叩いている。

 

 

「要は、依頼を無事に達成できれば文句はないんですよね? ……行ってきます。すぐ終わらせて戻りますから」

 

 

背後から飛んでくる罵声と、行く手を阻もうとする数人の足音。それらが俺の「逆鱗」に触れる前に、俺は精神の檻をわずかに緩めた。

 

ドクン、と心臓が波打つ。マルドギールに匹敵する絶大な魔力の、わずか「3分の1」。だが、それだけで十分すぎた。

 

 

「——黙れ」

 

 

低い呟きとともに放たれたどす黒い魔圧が、重力そのものを変質させたかのようにギルド内を圧壊させる。

 

 

「っ!?」

「……ぐあ……っ」

 

 

さっきまで威勢の良かった魔導士たちが、まるで目に見えない巨人の手に押さえつけられたようにその場に平伏し、床を這う。ナツやグレイでさえ、脂汗を浮かべながら動けずにいた。

 

 

「行ってきます。……夕飯までには戻りますよ」

 

 

静まり返ったギルドを後にし、俺はマグノリアの石畳を歩き出した。少しやりすぎたかもしれないが、あれで少しは静かになるだろう。

 

だが、街外れに差し掛かったところで、背後から必死に地面を叩く足音が聞こえてきた。

 

 

「はぁ、はぁ……っ! 待ちなさいって言ってるでしょ!」

 

 

振り返ると、そこには肩を上下させ、息を切らしたミラジェーンが立っていた。看板娘としての柔和な笑顔はどこへやら、その瞳にはかつての「魔人」を彷彿とさせるような、気の強い光が宿っている。

 

 

「言うことを聞かない新人くんには、お仕置きが必要ね。……私も行くわ」

「え……ミラジェーンさんが? でも、ギルドの仕事は……」

「あんな空気にしたのは誰よ。もう放っておけないわ。S級依頼の怖さ、その身で分からせてあげるんだから」

 

 

困ったように笑う彼女だったが、その足取りに迷いはなかった。

 

憧れの女の子との、予定外の共同戦線。物語が始まる1年前、俺と彼女の「不思議な関係」が、ここから動き始めようとしていた。

 

 







と言うわけで本編スタートです。

メインヒロイン誰が良い?

  • ミラジェーン
  • エルザ
  • ルーシィ
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