DRAGON BALL:TIARA LEGENDS 作:ちいさな魔女
その頃、フリーザが復活してから半年後のあの世では、閻魔大王は今日も忙しくしていた。
閻魔大王「ふむ……天国……地獄……地獄……地獄……」
閻魔界の頂点に立つ閻魔大王は、今日も執務の席で宮殿にやって来る死者の書類に目を通し、天国行きか地獄行きかの烙印を押す。今回は死者が多いようで、忙しい日々である。
スタッフ鬼「今日も大王様は大忙しオニ」
スタッフ鬼「半年前にフリーザが蘇ってから、地獄は更に混乱したオニ。最近では、天国で
彼等の会話から、エキウス人はコルド大王によって文明ごと滅ぼされたため、生前のトラウマから他の死者との交流を避け、天国の一角で静かに暮らしていたようだ。しかし、パイクーハンを含めたあの世の戦士達に出会ったことで少しずつ立ち直り、現在は閻魔界の手伝いをしている。
フリーザは地獄に居た頃、暴れる頃は勿論あった。しかし、パイクーハン率いるあの世の戦士達によって何度も阻止されている。最近はフリーザのおかげか地獄も悪人達は大人しくなる事もあり、フリーザがミノムシ状態で天使のラッパを聴かされる時間であっても悪人達が表立って動く事は少なかった。
それほどまでに、フリーザの影響力は地獄でも健在なのだ。しかし、半年前にフリーザがこの世に居た手下達、その中で彼等を率いるソルベの暗躍によって復活し、こうして地獄の悪人達は以前より暴れ出すようになり始めた。
そして、閻魔界に存在する地獄へ行く悪人の気を浄化するスピリッツ・ロンダリング装置の傍で、こんな事が起きていた。
サイケ鬼「イェーイ!!」
一人の鬼が、ヘッドホンで音楽を聴きながらその場で踊っていた。其処へ眼鏡を掛けた上司の鬼が怒りながらやって来た。
上司鬼「おいタンク係!」
サイケ鬼「あっ、ヘーイ」
上司鬼「ヘーイじゃないオニ。お前またサボって。昔なら百年に一度交換すれば十分だったが、今は違うオニ。フリーザの復活以来、地獄が慌ただしくなっているから半年間で地獄から溢れ出てくる悪の気の流出量が何十倍にもなって、スピリッツ・ロンダリング装置にも悪の気が流れ込みやすくなってて気を付けろと言ってるのに………もしタンクが限界を迎えれば、この世とあの世の境界が歪みかねないオニ。また閻魔大王様に報告して給料下げるオニ」
サイケ鬼「これ以上下げられたら給料タダになっちゃうオニ……この前別部署に異動命じられそうになって真面目に働く宣言したばかりオニ……」
上司鬼「じゃあ尚更だオニ」
両手の人差し指をつつき合うが、サイケ鬼はショックが顔に出ていた。
とはいえ、サボりは良くない。地獄が慌ただしくなった影響で悪の気が流出し、本来悪の気を浄化するスピリッツ・ロンダリング装置にも流れ込みやすくなった。お陰でタンク交換の頻度も増しており、百年に一度の交換頻度が最近では年に一度のペースとなっていた。このサイケ鬼にもそれは伝えられている筈だが、現状この通りである。
上司鬼「あっ、そろそろタンク変えるオニ」
上司鬼がその場を立ち去る。
サイケ鬼「ヘーイ!」
しかし、サイケ鬼は注意されたにも関わらず、再びサボりだす。装置からの警告音も、ヘッドホンの音楽のせいで聴こえない。
当然、メンテナンスを怠ればどのような事になるか。
ドカァァーンッ!!
当然、こうなる。
スピリッツ・ロンダリング装置が大爆発し、紫色の煙となって悪の気が周囲へ拡散。周りに落ちていた大きなタンクも連鎖的に爆発。悪の気が流出してしまった。
サイケ鬼「オニ……オニ……どうしよう……消えないオニ……」
上司鬼「だから言ったのに!!ひぃ!?」
上司鬼はサイケ鬼が消化器で火を消しているのを見たが、その後に彼の肉体が異形の姿へ変わって行く光景に恐怖した。
何を考えてるか分からない無邪気な表情に、丸々と太った巨体。
それが閻魔大王の宮殿の屋根に姿を現した。
ジャネンバ『ジャネンバー!!』
ジャネンバは、閻魔大王もろとも歪な歪み方をしたガラス玉のような結界に封じ込めてしまう。閻魔大王の力もろとも封じ込められてしまい、あの世を司る力を封じられてしまった。
ジャネンバが誕生した瞬間、閻魔界全体が震えた。
天国へ続く蛇の道は歪み、地獄の空には無数の亀裂が走る。そして、裁きを待っていた魂達が次々と光へ変わり、この世へ吸い込まれていく。
スタッフ鬼 「魂まで流れ出してるオニ!!」
閻魔大王「なんという事だ………あの世とこの世のルールが乱れてしまう………」
スタッフ鬼「そんな!死者が蘇ってこの世が混乱しまい、大変な事に!」
閻魔大王「それだけならば悟空達が対処してくれるだろうが………あの化け物の起こす厄災がそれだけに留まってくれるなら良いが………」
閻魔大王達は結界の中から外の様子を眺める以外に、何も出来なかった。オマケに嫌な予感もするのだ。
地獄の悪人達は全員ではないものの、定期的に億または兆超えの戦闘力を持つ者が入り込んでくる。ここ最近では尚更だ。また、悪人の中には特殊な能力を持つ者も居る。
フリーザ復活から半年後、予想外のパニックに苛まれてしまう。
―――――――――――――――――――――――
その頃、現世の地球に存在するカプセルコーポレーションでは、クラフト達が集結していた。
その理由が、これから地球にやって来るフリーザを迎え撃つ為である。クラフトはカプセルコーポレーションからの正式な依頼の形で引き受けて、出張という形で出向いている。実際戦うという事は、その場に医師の存在は必要不可欠だ。
悟空とベジータは、現在ビルスの星へ修行に出かけており、現時点の戦力だけでフリーザ軍を迎え撃たなくてはならない。
更に、銀河パトロール隊と呼ばれる組織に所属し、ブルマの知り合いでもある『ジャコ』も同行。ジャコはクラフト達を見た時、危ないから引き下がるよう伝えた。しかし、彼女達は引き下がらず、キングが彼を説得した事で彼は渋々納得した。
そして、キングはエキウス人達に向かって作戦を伝える。
キング「揃ってるわね。今からコルド大王の息子、フリーザを迎え撃つわけだけど、万が一に備えて地球各地に戦力をばら撒く事も想定して、私とクラフトさん以外は各都市や王国へ向かってフリーザ軍を迎え撃つ事。子供達は戦うのは構わないけど、天津飯さんやヤムチャさん、お父様やお母様含めた大人達から離れないように。良い?もし戦うなら一人で敵に向かわず、二人以上の組を作ること。それに、忘れないで。私達の目的は敵を倒すことじゃない。地球の人達を守ることよ。敵を追い掛けるより、助けられる命を優先しなさい」
子供達『『はい!』』
子供達もエキウス人の戦力だ。彼女達も決して弱くない。ただし、常識は一年と半年で身に付くにはまだ足りてない。幸いにも、ヤムチャや天津飯、ブーケやパンドラ達には子供達の傍に居てあげるよう頼み込んでいた。
そして、クラフトはキングと共に、フリーザ達を迎え撃つ班に属している。その理由は、フリーザ軍本隊を迎え撃つ為でもあるが、それ以前にクラフトは医師だ。回復役が居るのは戦場において、かなりのアドバンテージとなる。フリーザと戦うとなれば、苦戦は必須だ。
フリーザ軍本隊を迎え撃つのは、悟飯とピッコロ、クリリンに亀仙人、ジャコとキングとクラフトの7名。ブルマは見学するようだ。
迎え撃つ場所は、西の都からかなり離れた荒野。茂みが生い茂った緑豊かな荒野だ。其処へフリーザ軍が降り立つ。
フリーザ軍が降り立つ場所へ先回りしたクラフト達。地球の人々がフリーザ軍の宇宙船の出現に戸惑う中、クラフト達は焦らずにフリーザ軍の宇宙船を見つめていた。
キング「ッ!」
キングは冷や汗を流す。同じだ。48年前、否、現在では49年前にも見た、コルド大王襲来の日に見た宇宙船と同じ形状。
トラウマが呼び起こされている。
キングの脳裏に浮かぶのは、大切な人達を救えなかった光景。コルド大王に返り討ちにされる同期達。
???『キング。キングはさ、この子達を護って上げて。セイちゃんは………フラワーを助けてから追いかけるよ』
想い人は自分達を先に行かせて、炎の中へ飛び込んで行った。幼きクラフト達と共に逃げた際に背後から聴こえてきた人を切り裂いたような音。キングは皆と逃げ続けて、最後は母の手で転送させられた。
最後は禄に会話もしないまま、『逃げて』の一言だけ言い残した母と別れてしまった。
キングは脳裏に浮かんだ光景に、過呼吸を繰り返す。
キング「ヒュ……ヒュ……ヒュ………す……かい……」
クラフト「キングさん!」
クラフトはキングの背中に触れる。波紋がキングの体に流れていき、キングの呼気が徐々に落ち着きを取り戻す。
クラフト「大丈夫ですか?」
キング「………ええっ、ありがとう」
クリリン「おい大丈夫か?無理はするなよ!」
ピッコロ「トラウマか。闘えるか?」
キング「……もう誰も、置いていかせない」
キングは冷や汗を袖で拭う。クラフトは背中を軽く擦った後に、宇宙船の方を向いた。
そして、宇宙船のハッチが開き、フリーザが専用カプセルに座りながら浮遊して姿を現した。
フリーザ「おや?あの小娘達は…………なるほど。パパから話は聞いてましたが、あれがエキウス人ですか」
フリーザもエキウス人の情報は頭に入れていた。生前も父であるコルド大王から話を聞いており、その情報は頭に入っていた。
ピッコロ「何しに来た!フリーザ!」
フリーザ「決まっているでしょう?復讐ですよ。貴方達にはたっぷりと借りを返してあげたくてね。孫悟空はまだですか?せっかく来たのにお友達が殺されちゃってたら、さぞかし無念でしょうから」
クラフト「そうはさせない!私達が止める!」
悟飯「しかし……フリーザも以前より遥かに強くなってます!油断をしてはいけません!」
フリーザは孫悟飯を見た途端、彼があの時の幼い少年だと思い出す。孫悟空の息子であると理解した。
フリーザ「さあ、痛い目に遭わせて上げ――」
フリーザが指示を出そうとした、その時だった。
???「フリーザ。此処で何をしている?」
???「サイヤ人への借りを返すならば、ワシも交ぜてはくれんか?」
フリーザは声のした方向を見た。其処には未来から来たトランクスによって殺された筈のコルド大王と、孫悟空に倒された筈のクウラが、その場に浮いていたのだ。
フリーザ軍『『く、クウラ様!?コルド大王様だぁー!?』』
現フリーザ軍が慌てる。
フリーザ「パパ!?それに、兄さんまで!?何故お二人も蘇って居るのですか?ソルベさんは私だけを蘇らせた筈ですよ?」
フリーザが2人に尋ねた。
コルド大王「あの世で問題が起きたそうだ。お陰で我々は蘇り、こうしてサイヤ人共に復讐に来たのだ」
クウラ「俺は、孫悟空への屈辱を晴らす為に来た。地獄では苦労したが、父上と共にトレーニングをさせてもらったぞ」
そんなフリーザ一族の会話を他所に、クラフト側では一人の戦士が激しく呼吸をしていた。
キング「ッ!!!」
キングは息が止まる。落ち着いて来た筈のキングの心に、再びトラウマが呼び起こされた。
キング「ハァ…ハァ………ハァ…ハァ……!なんで……なん………こる………こ………ハァ…ハァ…!」
クラフト「キングさん!!」
クラフトは波紋を掌から放ちながらキングの背中を擦るが、トラウマが強すぎるせいか過呼吸が止まらなかった。
悟飯「やっぱり、トラウマが治ってないんですね!?」
キングは息が荒くなる。
何故今蘇った?
何故?どうして?
トラウマと疑問、恐怖と疑念、困惑と復讐心。頭の中が様々な感情でごちゃ混ぜになる。
ピッコロ「フリーザの父親!?何故だ!?奴は未来から来たトランクスが倒した筈だ!?」
悟飯「いずれにせよ、危険な事に変わりありません!皆さん、兵士達をお願いします!此処は、僕が!」
悟飯が前に出ようとしたが、キングは悟飯の肩を掴んで前に出る。
キング「………もう誰も、失いたくないのよ……私はもう、あの時の逃げ惑う私じゃない!」
キングは前に出て、コルド大王を睨みつける。
キング「こっちを見なさい!!コルド大王!!私は此処に居るわよ!!49年前、お前が取り逃したエキウス人の生き残りの一人は、此処に居るわ!!」
キングはコルド大王を指差す。コルド大王は自分に向けて指差すキングを見た途端、記憶を探って目の前の女性が過去に葬った筈のエキウス人だと理解する。
コルド大王「ふむ……エキウス人か。なるほどな。あの時滅ぼした奴等と同じ特徴がある。それに貴様は、あの5人組と親しくしてたな」
クウラ「俺が奴等を始末してやる」
クウラが前に出ようとするが、コルド大王が肩を掴んで止めた。
コルド大王「待て。奴はワシが直々に始末するとしよう。お前は、其処の目障りな連中を片付けろ。それに、あの小娘はワシの手で死にたいようだからな」
クウラ「……ふん。好きにするがいい」
クウラは腕組みをしながら、コルド大王が降りていくのを見届けた。
キングはその場から走り出し、扉を開けて空間を繋ぎ、コルド大王を誘き寄せつつクラフト達から引き離していく。
コルド大王「逃げるだけだった小娘が、自らワシを誘い出すとはな。49年生き延びたことだけは褒めてやろう」
コルド大王は空を飛びながら、島から島へ空間を扉で繋ぎつつ移動するキングにそう言った。
対してキングは、目的の島へ向かって進みながらコルド大王へ振り返って強く睨む。
キング「逃げたんじゃない。生き延びたのよ。皆が命を懸けて繋いでくれたから」
キングは地を走り、コルド大王は空を飛ぶ。2人は決戦の地へ向かう。49年前からの因縁に、決着を付ける為に。
フリーザ「おやおや。パパは随分張り切っているようで。それに兄さん。私達が手を下すまでもありません。先ずは部下達に戦わせてみましょう」
クウラ「遊びのつもりか?」
フリーザ「いえいえ。小手調べですよ。それに、先程あの世で問題が起きたとは?」
クウラ「詳しくは知らん。しかし、そのお陰で現世に戻り、サイヤ人共に屈辱を返せるのだからな」
フリーザ「まっ、先ずは部下共に相手をさせましょう。さあ皆さん!痛い目に遭わせて上げなさい!!」
フリーザがそう言った後、その腕を振り下ろして指示を伝えた。
フリーザ軍『『うおおおおおおおおっ!!』』
フリーザ軍の兵士達が一斉に向かって来る。
クリリン「悟飯!此処は俺達に任せてくれ!」
亀仙人「ワシ等も黙っているわけにはいかん。それに、悟空やベジータは必ず来てくれる!」
ジャコ「ま、まあ!エリートな私なら兵士位楽勝だとも!」
クラフト「此処は任せてください!怪我をしたなら、私がついてますから!」
クラフト達は兵士達に向かって走る。兵士達はクラフト達に向かって飛んでくるが、中には光線銃を向ける者も居る。
ピッコロ「お前達の相手は俺達だ。悟飯、闘えるな?」
悟飯「はい!子供が産まれるんです!健やかで優しい子に育って欲しい!だから……彼奴等みたいな連中に来られると、迷惑なんだ!!」
ピッコロ「そういう訳だ。また地獄へ送り返してやる!」
悟飯とピッコロは、フリーザとクウラに向かって走り出す。フリーザとクウラも構えて、悟飯とピッコロを迎え撃つのだった。
ピッコロ(それにしても……奴等はあの世で問題が起きたと言っていたな。嫌な予感がするが、奴等は放っておけん!)
ピッコロはそんな疑問を頭に浮かばせるが、すぐにクウラとフリーザとの戦闘に戻るのだった。
――――――――――――――――――――――
東の都では、道路を埋め尽くす無数の戦車と骸骨の兵隊、そして幹部と思われる複数の男女が、隊を指揮していた。
レッド総帥「ガハハハハッ!!世界は再び我々レッドリボン軍が支配するのだ!!」
蘇ったレッド総帥は、戦車に乗って進軍を開始していた。嘗て悟空が壊滅させたレッドリボン軍が車や人々を蹂躙。人々は逃げ惑うしか無かった。
しかし、全てが逃げ惑う訳では無い。
悟天「やめろー!!」
トランクス「これ以上悪さは許さないぞー!!」
悟空の息子にして悟飯の弟、孫悟天。そしてベジータの息子である少年のトランクス。2人は上空に現れて、レッドリボン軍に向けてそう叫んだ。
ブラック参謀「あ、あれは!?孫悟空!?」
ブラック参謀が悟天を見た途端にそう叫ぶ。それは、レッドリボン軍にとって最も忌々しい存在。それは、死後も変わらなかった。
レッド総帥「あれが本人だろうが構わん!!忌々しい髪型だ!!撃てー!!」
レッド総帥が指示を出し、悟天やトランクスに向けて骸骨兵士や戦車の軍勢、更には上空からも、コートとチャンピオンベルト風のベルトを着用したシルバー大佐率いる戦闘機による空軍部隊が銃座や機関銃から銃撃を始める。
しかし、地上からの砲撃を避けた悟天とトランクスだが、空からの砲撃は2人の背後に現れた一人のエキウス人により、全てが受け止められてしまい、全ての砲弾は爆発すら起こさずに消滅した。
シルバー大佐「何っ!?」
シルバー大佐は、戦闘機の中で驚愕に包まれた。
全ての砲撃を止めたのは、一人の少女。馬耳に馬の尻尾を生やしており、水色と白を基調とした正統派のノースリーブワンピーススタイルで、背中も大きく開いているのが確認できる衣装を身に着けていた。首元のアクセサリーには菱形の宝石を9つ組み合わせ、その上に王冠が組み込まれたものを着用している。
アイ「トランクス!悟天!待たせたわね!貴男達だけ先に行くなんてヒドイじゃない!さあ、どっちが多く倒すか勝負よ!」
悟天「アイちゃん!来てくれたんだね!」
トランクス「おっしゃあ!俺も絶対勝つ!帰ったらマイとのデートの続きなんだから!」
そして、アイ達に地上から声を掛ける者が居た。
パンドラ「こらー!子供達だけで勝手に飛び出しちゃダメでしょー!!」
パンドラが頬を膨らませながら、上空に浮かぶ三人に叫ぶ。
アイ「ごめんなさいママー!」
悟天「パンドラさんも来たんだ!」
トランクス「分かってるってー!無茶しないよー!」
三人はそう言いながらも、レッドリボン軍の攻撃をそれぞれのやり方で回避していく。悟天とトランクスは超サイヤ人に変身して、地上に降り立った後に戦車部隊を蹴散らしていく。アイも戦闘機部隊の一斉攻撃を全て消滅させていき、手を翳したと思いきや突然戦闘機の元へ瞬間移動し、その余波で周囲の戦闘機を粉々に吹き飛ばした。
パンドラ「もうキングさんからあの二人をお願いって頼まれてるのに!でも、アイちゃん達楽しそうだしね!ママも頑張っちゃいますか!」
パンドラはそう告げた後、その手に一つの箱を取り出した。
それは、その箱からランダムに武器や事象を取り出す『パンドラの箱』で、パンドラ自身のエネルギーを使って具現化する。何が出てくるかは本人も知らないが、取り出した物は超天才(自称)たる本人はどれも使いこなせてしまえる。ランダムな分、どれが出てくるかは本人の運次第。かなりギャンブル性の高い能力だ。
眼鏡のエキウス人『パンドラさん!ビルに大勢閉じ込められています!』
思慮深いエキウス人『それ!フェアリーズ!逃げ遅れた民間人を助けに行け!』
眼鏡のエキウス人は、掌に出したレーダーのようなホログラム映像から町の様子を映し出し、ビルの中に居る罪なき人々を赤い点で記した。
思慮深いエキウス人は、掌から無数に生み出した多数の小さな妖精達を生み出し、逃げ遅れた民間人の救助に向かわせた。
パンドラ「それ!今回はぁ〜………デデン!『デンデンビーム銃』〜!」
パンドラは箱からカタツムリの殻みたいな胴体を持ち、本来カタツムリの本体が出る穴からアンテナ状の銃口が飛び出し、持ち手と引き金を握りしめるパンドラ。
パンドラは民間人の救助を行いつつ、銃を構えてくるレッドリボン軍の骸骨兵士達に向けてデンデンビーム銃を構えると、引き金を引いた。その瞬間、骸骨兵士達はその場で佇んだと思えば、途端にその口から「カ〜タ〜ツ〜ム〜リ〜に〜な〜る〜」と口にして、体が徐々にカタツムリの姿へ変わって行く。目はカタツムリの触角へ変化していき、早い者は地面に倒れた後に背中に殻を背負い、本物のカタツムリへと姿を変えていく。
パンドラ「まっ、クーちゃん先輩レベル以上の強い相手だと変身に時間かかるし、強いエネルギーを出せば無力化されちゃうし、というか波紋纏うクーちゃん先輩には効きにくいんだよねー。でもコイツらレベルなら大丈夫!」
すると、避難している者達の中で、保育園の子供達がパンドラに向けて手を振った。
子供達『パンドラ先生、つよーい!』
子供達『パンドラ先生!がんばれー!』
パンドラ「ッ!!了解!!」
パンドラは子供達に手を振る。仲間達と共に避難誘導しつつ、パンドラはレッドリボン軍兵士達を無力化していくのだった。
東の都は、レッドリボン軍の総攻撃を悟天やトランクス、アイやパンドラを含めた複数人の仲間達と共に返り討ちにしていた。
―――――――――――――――――――――――
北の都。そこでは一人のサイヤ人が率いるクラッシャー軍団と、一人のナメック星人が率いる魔族の軍団が暴れていた。
ターレス「ハハハッ!地獄から蘇った暁に、この都から好きなだけ暴れさせてもらうぞ!」
クラッシャー軍団『『オーッ!!』』
スラッグ「蘇ったこのワシに叶う敵などおらん!地獄でトレーニングを重ねたかいがあったぞ!!」
魔族『『オオーッ!!』』
ターレスとスラッグ。いずれも孫悟空に敗れた者達だ。
そして、彼等に続くように複数のゾンビの群れが町を我が物顔で歩いていた。
クラッシャー軍団と魔族の軍団が、一斉に町へ気弾の雨を降らせた。
町へ攻撃を始める彼等だったが、その気弾は全てその場に突如として現れた巨大な蛇の口へ吸い込まれていき、全て飲み込まれた。現れたのは、巨大化した蛇を引き連れるシーザリオであった。
シーザリオ「攻撃を、許すとでも思ったか?お前達にはもう一度地獄へ戻ってもらうぞ!」
シーザリオは『容れるん蛇』を呼び出して、彼等の放つ気弾を全て食わせたのだ。
ターレス「お前は………そうか、噂には聞いていたが、エキウスの生き残りか。これは丁度良いな!あの世でトレーニングをした成果を見せてやる!」
ターレスがそう告げた後、全身から金色のオーラを放って超サイヤ人へと変身を遂げた。
シーザリオ「悟空さんそっくりだが、お前は悟空さんと比べて分かりやすい悪党だ。そんな奴でもそんな姿になれるのか?」
ターレス「あの世で見せてもらったからな。超サイヤ人の変身方法をな。仕組みさえ分かっちまえば、精神統一で穏やかな心を手に入れた後にお前達への復讐心による怒りを利用して変身するなんて容易い事だったぜ」
すると、シーザリオの隣にカワカミが現れた。
カワカミ「アタシも参加させて頂きますわ!姫の力、見せて差し上げます!」
スラッグ「バカめ!!返り討ちにしてくれるわ!!」
スラッグは走り出すと、そのままカワカミに向けて拳を振り下ろした。しかし、カワカミは手を握り締めた後にその腕から拳に掛けてピンク色の線を無数に走らせた。
カワカミ「『トライセップス魔法・バズーカナックル』!」
カワカミは魔法名を唱えた後、右腕を後方に振り上げた後に思いっきり突き出した。スラッグの拳とぶつかり合った瞬間、スラッグの拳がまるで踏み潰された缶のように潰れたのだ。
スラッグ「ぐああっ!?なにぃ!?」
スラッグはカワカミの一撃を受けたと思いきや、更に追撃としてカワカミが下から振り上げた拳の連打を腹部に受けて、その後の右ストレートで後方へ吹き飛ばされた。
スラッグ「ぐ………クソがあああああ!!」
スラッグは逆ギレし、その体を巨大化させた。
しかし、カワカミは手を握り締めて笑うだけだ。
カワカミ「姫の出番ですわ!」
一方、ターレスとシーザリオも戦い続けていた。
ターレス「ハァ!」
ターレスはドーナツ状の気功波を放ち、シーザリオへ攻撃する。シーザリオは巨人『エピ入道』を呼び出すと、その拳で気功波を殴り飛ばした。
エピ入道『オオオオオォォ……!』
シーザリオはエピ入道の肩に乗っかると、そのままターレスと肉弾戦を繰り広げる。拳の連打が飛び交う中で、シーザリオはターレスを蹴り飛ばすと同時に足の靴裏から無数の兎を召喚した。
シーザリオ「『モグモグ兎』!」
一本の親指サイズの角を生やした、人間の5歳児位の大きさをした兎はターレス目掛けて飛んでいく。
シーザリオが新たに産み出した妖怪。名を『モグモグ兎』。常に口の中をモグモグとした兎の妖怪だ。
ターレスは「雑魚共が!」と兎の群れを拳の余波で吹き飛ばし、更に気弾を連射して兎達を吹き飛ばした。
ターレス「ハハハッ。こんなものか?」
ターレスはシーザリオに拳を振り下ろすが、シーザリオは背後に跳んで避ける。
シーザリオ「こんなもの?こいつは、私も消さずに居たら厄介なのに?」
シーザリオがそう告げた時、ターレスは周りから『モグモグ』と何かを食べる音を聞いた。ターレスは周りを見渡すと、なんと先程呼び出された兎の生き残りが、吹き飛ばされて死亡した兎の遺体を食べていた。それがあまりにも速く、2秒もあれば遺体は無い。
それだけではない。遺体を食べている間に、兎はなんと二匹、三匹と分裂するように増えていくのだ。
更に増えた兎は周りのモグモグ兎の遺体を喰らい、また更に数を増やしていく。
ターレス「な、なんだと!?」
シーザリオ「下手すりゃ私も危険だが………な!」
シーザリオは自分に向かって飛んできた兎の飛びかかりを避けた後に首根っこを掴み、ターレスに向けて投げつけた。ターレスは兎を手刀で胴体と頭を切り離すが、モグモグ兎の群れはその兎の遺体を喰らって更に増える。
ターレスに向かって来る兎の群れ。ターレスは巨大な球体の気を一斉に放ち、兎の群れを吹き飛ばした。気の球体にも食らいつく兎達だが、食い切れないのかそのまま体を消滅させていく。
ターレス「驚きはしたが、要するに食い切れないなら――」
しかし、ターレスは気付いて居なかった。
シーザリオ「『リーパー』」
ターレスの両隣に、巨大な手が二つ現れていた。両手のみ現れ、何処に繋がっているのか分からない両手の妖怪だ。
ターレス「はっ?」
ターレスがその事を認識する瞬間には、リーパーと呼んだ両手の妖怪がターレスを包み込むように挟んだ。そして、手が離れた時、ターレスは消滅していた。
シーザリオ「悪いが、時間は無い。残りのクラッシャー軍団を食らいつくせ」
モグモグ兎達『『ブゥー!!』』
厄介とは言ったものの、一応コントロールは効く。モグモグ兎達は、いつの間にか千匹にまで数を増やしていた。シーザリオの指示を聞いてモグモグ兎達はクラッシャー軍団へ迫る。クラッシャー軍団は自分達に襲いかかる兎達へ光線銃や気弾を放つが、クラッシャー軍団程度の攻撃では、モグモグ兎の群れを完全に倒し切れない。
モグモグ兎は気弾や光線をも喰らい、更に分裂するように数を増やしていく。攻撃すればする程数を増やし、やがてクラッシャー軍団に飛びかかってその肉体へ喰らいついていく。
食べれば増えて、倒された個体を残った個体が喰らって更に数を増やす。
これこそが、モグモグ兎の本質だ。その性質故に、シーザリオがこれを出すのは囮作戦と物量作戦の時のみで、油断すれば下剋上されかねない危険な妖怪なのだ。
やがてクラッシャー軍団は食い尽くされ、モグモグ兎達は周りへ向かおうとする。
シーザリオ「戻れ」
シーザリオがそう告げた途端、モグモグ兎達は全て消滅した。
シーザリオが解除すれば良いのだ。そうすればモグモグ兎は周りを食らい尽くさずに済むのである。現在使役している妖怪の中でも、ある意味厄災に近い妖怪である。
その頃、スラッグと戦っていたカワカミも、巨大化したスラッグの攻撃を避けていた。
スラッグは足を振り下ろしてカワカミを踏み潰そうとするが、カワカミは両足で地面を強く踏みつけて両腕に線を走らせて力を込める。
カワカミ「『バイセップス魔法・ブラックホールスロー』!」
そして、スラッグの足を掴んで止めた後、そのまま片足を軸に回転してスラッグを浮かばせたまま回り始める。
そして、地面へ強く叩き付けた。
スラッグ「ぐはっ!?」
魔族『『スラッグ様ー!!』』
スラッグのピンチに魔族達が駆けつけるが、突然多方面から無数の矢とバネ状の気弾が飛んできた。
お調子者のエキウス人「カワカミちゃーん!」
しっかり者のエキウス人「カワカミちゃん!魔族達は任せるのです!」
お調子者のエキウス人は、両腕にバネのような気を纏い、その手から放ったバネ状の気弾は壁を反射して、反射を繰り返しながら魔族の群れを倒していく。
しっかり者のエキウス人は、黄色く輝く弓から矢を放つが、その矢は無数に分裂した後に魔族達の全身を隙間なく貫いていく。
その頃、別の都では地球の戦士達と共にエキウス人達が悪人達を止めて回っていた。
――――――――――――――――――――――
南の都。其処にも悪人達が蘇っていた。嘗て孫悟飯の手で倒されたボージャック一味が、南の都に現れたのだ。
ボージャック「フハハハ!!俺達は孫悟飯達にやられた悔しさと、貴様らへの復讐を誓い、地獄でトレーニングを積んできたのだ!!今では嘗ての孫悟飯さえも超えてみせたぞ!!」
ゴクア「この星はあんなフリーザ共の物ではなくなる!!」
ビドー「たった今よりボージャック様の物だ!!」
ザンギャ「ボージャック様は最早敵無し!!」
ブージン「オマケに、この者さえも弱点が分かれば調伏は容易かったぞ」
ボージャック「さあ来い!!ヒルデガーンよ!!」
ボージャックが手を翳した途端、その場に煙が集まって金色が基調の怪獣が姿を現した。
ヒルデガーン。幻魔人と呼ばれ、カウンター以外では攻撃が通らない怪獣だ。そんな怪獣を、ボージャックは調伏し配下としたのである。
そんな彼等の元へ、地球の戦士達とエキウス人達が子供達を連れて現れる。
ヤムチャ「本当に大丈夫なのか?子供達に無理はさせるなよ?」
ブーケ「存じております。しかし、この子達も私達の家族であり、共に戦う仲間でもあります。私達が傍に居ます」
ハート「そういう事よ。決して無理はさせないわ。けど、Nice Fightを期待しなさい!この子の為にも、負けられないもの!」
ハートはお腹を撫でる。彼女はそのお腹に、新たな命を宿していた。地球に住んだものの、エキウス人同士で子を成す文化の名残がまだ残っている者も居る。デアリングハートはその内の一人で、新たな命をその身に宿している。
天津飯「身重なら尚更だ。君も無理はするなよ」
餃子「後ろは任せて!」
天津飯が彼女を庇うように立ち、餃子がハートの背後に回り込むように浮いた。
ハート「ありがとう。けど、No Problem!私もこの子も、そんな軟じゃないわ!」
ハートは歩く。足元が僅かに振動が発生しており、地面を踏む足裏から熱したような音がジュージューと響く。
ブーケ「カレンブーケドール!参ります!」
ブーケは歩き出すと、ブーケの周りに無数の花が咲き誇る。アスファルトを突き破ったのではなく、アスファルトから生えてきたのだ。無数の花が咲き誇り、『情熱』の花言葉を持つ花畑が咲き誇る。その時、ブーケの全身から炎が発生。しかし、ブーケ自身も衣類も焼けておらず、本人も熱がる様子がない。
ヤムチャ「なら、俺もやる気を出さないとな!俺だってちゃんと修行してきたんだ!」
ヤムチャも構えて、ボージャック一味とヒルデガーンを迎え撃つ。
ヒルデガーンの咆哮が周囲に木霊し、ボージャック一味がブーケたちに向かって飛んでいくのだった。
死者が蘇り、現世は混乱に包まれる。しかし、希望を捨てない戦士達の反撃が、今始まった。