DRAGON BALL:EQUUS LEGENDS 作:ちいさな魔女
悟空とベジータ、界王神とビルスは、ウイスの案内であの世へ来た。あの世は色とりどりの奇妙な結晶が浮いた不可思議な世界と化しており、幻想的かつ不気味な雰囲気を醸し出す。
そして肝心の閻魔大王の宮殿も、オレンジ色の結界に覆われており、その上に丸々と太った巨大な怪物が乗っていた。
悟空「うひゃー、こりゃ大変だ」
ウイス「おやおや、あの怪物は無数の悪の気に取り憑かれてあのような姿になったのですね。しかも、現世から来る混乱から生まれる負の感情を餌に、力を強めているようです」
ビルス「……聴こえるかい?閻魔大王」
ビルスが結界越しに閻魔大王を呼ぶ。閻魔大王は宮殿から出てくると、慌てた様子で助けを求めた。
閻魔大王「あっ!ビルス様にウイス様!界王神様!それに、悟空やベジータも!助けに来てくださったのですね!ご覧の通り我々は結界に封じ込められ、あの世の法則を振るう力を発揮出来なくなっているのです!お願いします!この結界を破壊してください!」
閻魔大王が涙目で訴えており、本気で力を発揮出来ない事が見て取れた。
ウイス「なる程。この結界を何とかすれば良いのですね。ただし、閻魔大王に質問があります。ビルス様」
ビルス「ああっ。色々聞かせてもらえるかい?一つ、なんであの化け物が生まれたのか。二つ、死者が現世に蘇っているのは何故か。僕にも分かるよう説明してくれないかな?事によっては、君達を丸ごと破壊するぞ」
ビルスが睨み続ける中、閻魔大王は滝のように汗を流しながら土下座した。
閻魔大王「も、申し訳ありませんでした!!」
ビルス「謝罪は後だよ」
閻魔大王「は、はいっ!」
ビルス「まず、あの化け物だ。何故あんなものが生まれた?」
閻魔大王「そ、それは……」
閻魔大王は震えながら、巨大な怪物を見上げる。
閻魔大王「あの怪物――ジャネンバは、元々あのような存在ではありませんでした」
悟空「元々は違ったのか?」
閻魔大王「はい。あれは……あの世に溜まった悪の気、そして現世から流れ込んできた負の感情が、異常な形で一つに集まり、サイケ鬼に取り憑いて生まれた存在なのです」
界王神「悪の気と……負の感情?」
閻魔大王「はい。通常ならば、死者の魂から悪の気を取り除き、浄化する。それが我々の仕事です」
閻魔大王は自分の宮殿を指差す。
閻魔大王「しかし……今回、それが追いつかなくなりました」
ベジータ「何故だ?」
閻魔大王「サイケ鬼がまたサボり始めた事と、フリーザの復活です」
悟空「……!」
閻魔大王「フリーザが現世へ蘇ったことで、地獄で燻っていた悪人達が暴れ、悪の気が一気に増大しました。フリーザ軍が起こした混乱によって生まれた恐怖、怒り、憎しみ、絶望……そうした負の感情まで、あの世へ大量に流れ込んできたのです」
ウイス「なるほど」
ウイスが顎に手を当てる。
ウイス「つまり、本来ならゆっくりと処理されるはずだったものが、一度に押し寄せたわけですね」
閻魔大王「はい……!」
ビルス「それで?」
閻魔大王「浄化が追いつかなくなった事と、サイケ鬼がサボってしまった結果……スピリッツロンダリング装置に早く溜まった悪の気と負の感情が爆発し、サイケ鬼に取り憑き、巨大な塊となってしまった。それが――ジャネンバです」
悟空「……じゃあ、ジャネンバは死者じゃねえんだな?」
閻魔大王「はい」
界王神「では、二つ目の質問です」
界王神がジャネンバを見上げる。
界王神「何故、死者達が現世へ戻っているのです?」
閻魔大王「それは……ジャネンバが、あの世と現世の境界そのものを歪めているからです」
ベジータ「境界を……?」
閻魔大王「はい。本来ならば、生者は生者の世界に。死者は死者の世界に存在する。それが宇宙の秩序です。ところがジャネンバが生まれたことで我々は閉じ込められ、その境界に亀裂が生じました。その結果――」
閻魔大王が震える。
閻魔大王「死者が、現世へ出られるようになってしまったのです」
悟空「だからラディッツ達まで……」
ベジータ「……俺の親父やナッパもか」
閻魔大王「はい……」
ウイス「そして、一度現世へ出た死者が戦いを起こせば、さらに負の感情が生まれます」
閻魔大王「その通りです!」
ウイス「その負の感情がジャネンバをさらに強化し、ジャネンバが強くなり、境界がさらに歪む」
閻魔大王「はい……!」
ウイス「そして、さらに死者が現世へ出てくる、というわけですね」
閻魔大王「……はい」
悟空「つまり……」
悟空がジャネンバを見上げる。
悟空「悪いことが、ずっと繰り返されてるってことか」
界王神「負の循環……」
ビルス「なるほどね」
ビルスは腕を組み、ジャネンバを見つめる。
ビルス「それなら話は簡単だ。この循環の中心にいるジャネンバを倒せばいい」
閻魔大王「そ、それだけではありません!」
ビルス「何?」
閻魔大王「ジャネンバがいる限り、あの世の法則そのものが崩壊し続けています!今はまだ現世とあの世の境界が残っています!ですが、このままでは――」
閻魔大王は震えながら告げる。
閻魔大王「最終的に、生者と死者の区別そのものがなくなる可能性があります!」
悟空「……!」
ベジータ「何だと……!」
界王神「それは……宇宙の秩序そのものが崩れるということですね」
ビルスの表情から笑みが消える。
ビルス「……それは、確かに放っておけないね」
ウイス「どうやら、今回ばかりは急いだ方が良さそうです」
悟空が拳を握る。
悟空「じゃあ、やることは決まったな」
ベジータ「フン……」
悟空とベジータが、巨大なジャネンバを見上げる。
悟空「ジャネンバを倒す」
ベジータ「ああ」
悟空「そして、あの世と現世を元に戻す!」
ビルス「そういうことだね。結界は僕が破壊するよ。閻魔大王達が復活すれば、少しはマシになるだろう」
ウイス「では、参りましょうか」
巨大な怪物が、ゆっくりとこちらを見下ろす。
悟空とベジータがジャネンバの元へ飛んでいく中、ビルスが結界に触れて力を込める。
ビルス「破壊」
その瞬間、結界が崩壊した。飴細工のように砕かれた結界は、欠片も霧散して消滅し、閻魔大王の宮殿や黄色い雲が元の形を取り戻して行く。
閻魔大王「び、ビルス様!感謝致します!」
スタッフ鬼達『『ありがとう御座いますオニ!!』』
閻魔大王を含め、スタッフ鬼達も頭を下げる。
ビルス「後はジャネンバだね。悟空とベジータならなんとかするだろ」
ウイス「彼等二人が力を合わせれば、ビルス様も危ういですからね」
界王神「ええっ。しかし、閻魔大王。貴男達にもそれ相応の罰を与えます。事件が終わった後は、サイケ鬼は別部署に異動し、今後は浄化装置関連の業務には一切就かせない事。そして管理不足の罰として謹慎処分と1年間の茹で釜の刑。そして皆さんには、対応が追いつかなかった事情があるとはいえ管理不足なので一年間の減給処分とします。これ以降、スピリッツロンダリング装置の管理は個人ではなく、必ず3人以上の職員の手で管理する事。よろしいですね?」
閻魔大王「は、はいぃぃ………」
界王神からの罰に、冷や汗ダラダラの閻魔大王達であった。
―――――――――――――――――――――――
その頃、悟空達はジャネンバと対峙していた。
ジャネンバ「ジャネンバー!?」
ジャネンバは結界が解けた事で、黄色い雲の下へ落下。地獄へそのまま落下していった。
地面に落ちて土煙を撒き散らし、大地を揺らす。
悟空「へへっ。面白ぇやつだな!達磨見てぇに太ってっから倒れるんだぁ!」
ベジータ「混乱の最中だと言うのに、くだらん事を言ってないで行くぞ!」
二人はジャネンバの元へ向かう。悟空とベジータはジャネンバの懐へ入り込むと、そのまま超サイヤ人ゴッドへ変身し、腹に連打を叩き込む。ただ闇雲に打つのではなく、人間の急所である心臓の部位へ、集中的に攻撃を叩き込んでいた。
ジャネンバは空中に吹き飛ばされた後、上空に回った二人がそれぞれの必殺技を放つ。
ベジータ「ギャリック………」
悟空「かめはめぇ……」
ベジータ&悟空「「ハァァァッ!!」」
二人が放った気功波は、一つの合体気功波となってジャネンバを頭から潰すように押し込んでいく。
ジャネンバ「ジャネンバー!!」
断末魔の声を上げるジャネンバ。そして、気功波が収まって、ベジータと悟空は地面に着地する。
ジャネンバ「ジャネ……ンバ…………」
悟空「やったぞ!」
ベジータ「っ!いや、まだだ!」
その瞬間、ジャネンバの全身が変化していく。スライムのように液状化したかと思えば、それは凝縮されていき、人の姿へ変化していく。人型へ変化したかと思えば、赤い体色に紫の角を生やした姿へ変化し、先程のような無邪気な目は鋭い眼差しへ変わった。その姿はまさしく地獄の羅刹が如し。
悟空「な、なんて奴だ……」
ベジータ「くそったれが!」
悟空とベジータは、互いに攻撃の手を止めない。修行の末に身に着けた超サイヤ人ゴッドの更に先にある形態、超サイヤ人ブルーへと変身した。超サイヤ人ブルーは、超サイヤ人ゴッドの状態のまま超サイヤ人へ変身した際に変身する、アイスグリーンに近い青髪と青眼が特徴で穏やかになびく水色のオーラが全身を包む形態。強さと穏やかな心を併せ持ち、気のコントロールを極めた状態なのだ。
ジャネンバ「ギャギャギャー!!」
ジャネンバは2人を見て高らかに笑う。全身から紫色のオーラを発して、二人に向かって真っ直ぐ跳ぶ。
ジャネンバの攻撃を、二人は避ける。避けるだけでなく、何発か拳を当てていく。ジャネンバは二人の連携で吹き飛ばされたり、怯んだりするものの、目視による肉体の物理的損傷はほとんど無い。そればかりか、体に出来た傷が再生して塞がり、痣も残らない。
ジャネンバの恐ろしさはそれだけではなかった。ベジータが蹴りを放った途端、ジャネンバは自分の体をブロック片状に分解し、別の場所で体を再構築して出現する瞬間移動を行い、その最中に腕だけを出現させてベジータの鳩尾に拳を当てて殴り飛ばした。
ジャネンバは再び体を分解するが、悟空が気弾を当てて爆発させた途端、背後で爆発が起きた。
悟空「ッ!其処だ!!」
悟空はジャネンバの瞬間移動の弱点を見抜く。気の探知に優れたブルーでも、ジャネンバの瞬間移動による出現場所の特定は難しい。しかし、瞬間移動する直前に攻撃を受けると、移動先にもその影響が表れるのだ。
悟空の戦略を見て、ベジータもただではやられない。ベジータは砂煙を上げて、ジャネンバへ掌から放った凝縮したビー玉のような気弾を放つ。ジャネンバは受けたらダメージを受けると確信したのか、再び瞬間移動をする。しかし、瞬間移動先の砂煙に動きが見られた。ベジータはそれを見抜き、その先へ『ビッグバンアタック』を仕掛けた。ジャネンバはベジータのビッグバンアタックを顔に受けて、大爆発と共に吹き飛ばされた。
ジャネンバ「ぐぎぃ!!ギャギャギャギャギャギャギャギャギャー!!」
ジャネンバは両腕を振るう。その瞬間、両腕からガラスの破片のような光弾を雨のように放ち、2人を攻撃する。
悟空とベジータは光弾の雨を両腕でガードするが、全身に切り傷が多く出来た。
そして、ジャネンバは両腕を伸ばし、二人の足を掴む。
そのまま地面へ何度も叩き付けた後、上空へ2人を投げ飛ばした。
ジャネンバ「ニッ」
ジャネンバが伸ばした腕を戻した後、指を振るう。その瞬間、周囲に浮かぶ色とりどりの結晶が、突然無数の針となって悟空とベジータに向かって鋭い先端を向けた。
吹き飛ばされた方向にある結晶も、同じく針に変わる。
悟空「げっ!?」
ベジータ「面倒な!」
二人は舞空術で止まり、浮かびながら周囲を見渡す。悟空は人差し指と中指を立てて額に当てようとするが、ジャネンバを見てやろうとした事を止めた。
ジャネンバ「ギギギ」
ジャネンバの表情は、「やってみろ」と言わんばかりに笑っている。
悟空「……やめといた方がいいな」
ベジータ「何故だ?」
悟空「アイツ、オラが瞬間移動するのを待ってる。瞬間移動した先に罠を仕掛けてやがんだ」
悟空の瞬間移動は相手から見ても脅威だ。ジャネンバは瞬間移動を可能とするから、悟空も同じ能力を持ってると理解したのだ。
ジャネンバ「ガァァー!!」
ジャネンバが腕を振るおうとした、その時だった。
突然、無数の竜巻が発生し、悟空達を取り囲む結晶の針を吹き飛ばした。また、それだけではなく地面の方から無数の火球が放たれて、直撃した結晶はあっという間に溶けて蒸発した。
悟空「なんだ!?」
悟空達の隣に現れたのは、風と共に現れた巨大な鳥のような異形だった。青い羽毛を持つ鳥のような姿をしているが、翼は前脚とは独立して背中に存在しており、西洋のドラゴンのような身体構造を持つ。
ベジータ「見ろ」
ベジータが地上を指差す。其処には地面を溶解させる程の火の玉を身に纏った、癒合した鳥のような頭部を持つ異形の怪獣が立っていた。
ベジータ「あんな奴は地獄に居なかった。ならば考えられるのは………」
???「ああっ。私達が助太刀に来た」
悟空達は声の方向を向いた。其処には、二人の馬耳と尻尾を生やす女性が立っていた。二人は理解する。エキウス人だと。
一人は妖艶で大人びた風貌をしており、頭頂部から左方向に流れる白メッシュのあるシニヨンの髪型と右目下の泣きぼくろがトレードマークな美女で、左耳に耳飾りを付けている。黒を基調としたフィッシュテールスカートが特徴的なドレス風のワンピースに、白とメジロカラーであるミントグリーンが使われた上着を羽織ったデザインとなっている。大きく開いた胸元にはミントグリーンのスカーフ、左腕のバックルに右手だけの白手袋、足回りも片方は黒ストッキング+黒靴、もう片方は生足+白靴と、服以外の装飾も何かと目を引くデザインとなっている。
ラモーヌ「メジロラモーヌ。隣に居る、ルドルフの妻。ふふっ、貴男達も強そうね」
掴み所のない雰囲気を持ち、二人も近寄りがたい気持ちを持ち合わせていた。
ルドルフ「そう興奮するな。妻がすまないな。私は君達の援護に来たんだ。改めて、シンボリルドルフだ」
もう一人は鹿毛のロングヘアーの持ち主だが、前髪は焦げ茶色で、そこに三日月のような白い一房のメッシュを垂らしている。緑色を基調に、至る所に装飾があしらわれている、西洋の皇帝を想起させる重厚感のある衣装。左肩には金色の飾緒とエポーレットがある他、赤いマントが垂れている。また、右胸部と左腰部には計7つ(右胸に3つ、左腰に4つ。ちなみに右胸部と左腰部の勲章群はそれぞれデザインが異なる)の勲章が付けられている。短めのスカートの下にはインナーとしてドロワーズを着用し、黒を基調としたニーソックスを履いている。その見た目は正しく、皇帝の名に相応しい佇まいだ。
二人も舞空術で浮いており、死者の特徴として頭上に天使のような輪っかを浮かべている。
悟空「オメェ達、もしかしてエキウス人か?」
ルドルフ「ああっ。君達はサイヤ人か。でも君達の事はあの世から観ていた。魔人ブウとの戦い、私達はあれで勇気を貰えた。そして、パイクーハンと共に地獄の悪人達とも戦い、こうして立ち直れたんだ」
ベジータ「あの獣達は、お前達の手下か」
ラモーヌ「魔王獣。この世に厄災を齎す獣達。ルドルフは奴等を唯一操れる存在よ」
ルドルフ「っと、話してる暇は無さそうだ」
ルドルフの言う通り、ジャネンバの方向を見た。ジャネンバは咆哮を上げる。
ジャネンバ「ウギャー!!」
全身から気を解放し、更に強さが跳ね上がっていく。
悟空「彼奴、更に強くなってやがる!」
ベジータ「おいどうするカカロット!このままではジリ貧だ!」
ベジータの言う通り、頼もしい援軍が来たとはいえ、このまま戦い続ければジャネンバは更に強さを増していく。
ジャネンバは、ただのクリーチャーではない。現世の混乱により生じた負の感情を糧に、今も力を強めている。長期戦になる程、悟空達が不利になっていくのだ。
悟空「いや、奴を倒す手段がある」
ベジータ「な、なんだそれは!?」
悟空「フュージョンだ。オラとベジータでな」
ベジータ「なっ!?」
ベジータはフュージョンを知っていた。あの世に居た頃に、悟天とトランクスがフュージョンをする様子を見ていたのだ。
しかし、ポタラの時にも言っていたが、悟空と合体等、ベジータのプライドが許さなかった。
ベジータ「ふ、ふざけるな!!貴様と合体なんか、するかぁ!」
悟空「30分間だけだ!前にもポタラで合体したじゃねぇか!ポタラを取りに行けねぇだろうし、フュージョンするしか彼奴に勝てねぇ!オメェだって分かってんだろ!」
ベジータ「合体はやむを得んとして……あんなくだらないポーズを俺にやれってのか!」
悟空「あれじゃなきゃ勝てねぇ!地球が無くなっちまうかもしれねえんんだぞ!」
ベジータ「ふん!だったらそれも運命だ!」
悟空「……ブルマやトランクスが消えちまっても良いのか?」
ベジータ「ぐっ………」
それはズルいと思うベジータ。愛妻家かつトランクスを愛するベジータだが、素直になれない。しかし、悟空にその点を突かれた事で合体を了承する事に。
ジャネンバ「ギャー!!」
ジャネンバが悟空達へ迫る。ただ迫るだけではない。両手で地面に触れて、無数の金属の板に変えた後に悟空達へ向けて念力で投げ飛ばす。
ルドルフ「させるか!」
ルドルフが手を翳す。その瞬間、彼等の前にマガバッサーが立ち塞がり、背中の翼で手拍子の要領で強く叩いた。その瞬間、暴風と共に衝撃波が発生し、金属の板が粉々に分解された。
更に、地上に居るマガパンドンが口から火球を放ち、ジャネンバに直撃させる。ジャネンバは爆発によって発生した炎熱を、腕で瞬時に振り払う。それだけで炎を打ち消した。
ラモーヌ「余所見」
ラモーヌが蹴りを放ち、ジャネンバの背中に蹴りを入れる。数回の回転の後に放った蹴りで、ジャネンバを蹴り飛ばしたのだ。ジャネンバは蹴り飛ばされて地面に倒れるが、即座に復帰した。
ルドルフ「二人とも。此処は私達に任せてくれ。君達の時間は稼ごう」
ルドルフはそう言うと、手をかざした。その瞬間、ルドルフの周りに無数の魔王獣が出現。それは正に、この世に厄災を齎す魔王の名に相応しい異形の獣達だ。
悟空「頼んだぞ!」
ベジータ「くそっ!離れたらさっさと教えろ!俺の気が変わらんうちにな!」
悟空とベジータは飛んでその場を離れる。
ルドルフ「死んでるからかな?魔王獣も力が全開だ!」
ルドルフが手を翳す。その瞬間、ジャネンバの元へ陸上にも関わらず巨大な津波が押し寄せる。地獄に存在する血の池地獄から、大量の血液が津波となって押し寄せたのだ。
マガジャッパ「グアッ!グアッ!」
津波に乗るのは、タツノオトシゴの様な顔と胸鰭を有しており、どこかとぼけたようなユーモラスな顔つきと相まって、他の魔王獣と比べるとややコミカルな印象を受ける造形が特徴を持つ水の魔王獣、マガジャッパだ。頭部には魔王獣共通の特徴、マガクリスタルが付いている。
ジャネンバ「ギャギャギャッ!!」
ジャネンバが津波に逆らって進み、津波を何ともないかのように進んでマガジャッパへ進むが、突然両腕で顔を覆いながらしかめっ面をした。
ジャネンバは、あまりの臭さに身動きが取れない。敵の動きを読むのに長けたジャネンバも、あまりの激臭に動けなくなる程だ。
ジャネンバ「グギギ……」
ジャネンバとて間抜けではない。自らの脅威になる存在は排除しようとする。
ジャネンバ「ガアアアッ!!」
ジャネンバは口から炎を吐き出すと、マガジャッパへ向けて放つ。マガジャッパは炎に当たる。水の魔王獣にそんなものが効くか?と思われるが、ジャネンバの狙いは其処ではなかった。
マガジャッパ「グアァァ……」
マガジャッパの体が乾燥していき、周囲の血液も蒸発していく。ジャネンバは火が効かなくても、水分や激臭を炎で蒸発させているのだ。放ち続ければ尚更だ。
ルドルフ「させると思うか?」
すると、ジャネンバの体に振り注ぐ光、地獄の世界を照らす光に異常が発生する。ジャネンバの皮膚が焼けていき、焦げた箇所から煙が噴き出した。
ジャネンバ「っ?」
まだ大して効いて無いが、それでも光の異常にジャネンバも気付く。
ジャネンバの向けた視線の先には、マガクリスタルを輝かせる二足歩行の人型の異形の怪獣が佇んでいた。
ジャネンバは知る由もないが、光を司る魔王獣マガゼットンの能力は生物が浴びる太陽光線に異常を発生させる。本来それで様々な怪獣を目覚めさせるのだが、今回は太陽光線を異常化させて肉体に過剰な紫外線を浴びせてダメージを与えているのだ。
ジャネンバ「ニィ」
ジャネンバは炎を吐き続けながら理解する。彼奴が日光に変化を起こしたのだと。
ラモーヌ「暑苦しいわね」
ラモーヌがジャネンバの口を下顎から蹴り飛ばす。蹴られた事で強制的に口を閉じされた事で、口の中で炎が爆発する。しかし、煙が晴れた時のジャネンバは全くの無傷だった。
異常な紫外線も、ジャネンバの皮膚を少し焼くだけだ。
ルドルフ「ちい!大して効かないか!」
ラモーヌ「そう言うと思って、それなりに呼んでいたのよ」
ラモーヌがそう言った後、突然その場で空を飛び、接近する影が。ジャネンバを蹴り飛ばし、その場で回転しながら地面から浮いた状態になる。
???「やあルドルフ。ラモーヌに頼まれて援護しに来たよ」
彼女はサイドを外巻きにしたロングの茶髪で、頭には「CB」のバッジが付いた白いミニハットを被っている。頭身に加えて身長も高く、スタイルも良いエキウス人だ。上半身は緑と黄色をサブカラーにしへそ出しとなっている。左腕はノースリーブで右は白地に緑のラインが入った長袖。下半身は金色の装飾がついたベルトに基調で裏地が緑のスリットの入ったパンタロンを履いており、靴はヒールがある。
ルドルフ「シービー!君も来ていたのか!」
ミスターシービー。ルドルフのライバルの一人にして、過去のエキウスの文明において、当時の最強戦力の一人だった。コルド大王に敗れ、あの世に来てからというもの行方不明であったが、ラモーヌはいつの間にか見つけていたようだ。
シービー「アタシだけじゃないよ」
シービーがそう言うと、新たに二人のエキウス人が現れた。
一人は、ポニーテールに結った黒鹿毛に青い瞳、前髪にメッシュのあるエキウス人で、両耳に白の耳カバー(メンコ)をつけており、右耳には水色と桃色のストライプに加え、赤の飾り紐(ワタリ)も見られる。裏地に龍が描かれた七分袖の長ランに、両手のグローブ(手の甲が黒、掌が赤)が硬派な印象を与える一着。長ランの下は、ギャザーの入った水色のインナーにグレーのショートパンツとカジュアル寄りで、ベルトで留めた黒ソックスに足元は白のスニーカー。水色、桃襷、桃袖の色合いは、アクセントとしてコートの上腕やベルト、スニーカーのシュータンなどに取り入れられている。長ランの背中には「葛城栄主」の金刺繍が施されており、その真下の尻尾の通し穴は「A」のデザインになっている。
彼女はカツラギエース。シービー、ルドルフに次ぐエキウス人で、彼女達のライバルだ。
エース「よお!ルドルフ、シービー!苦戦してるって聞いたから、援護しに来たぜ!」
もう一人は、たっぷりとした鹿毛のロングヘアーで、後頭部には黒いリボンをなびかせている。原案ではウェーブのかかったヘアスタイルだが、ゆるめの縦ロールに近い。瞳の色は緑がかったライトブルー。普段使いの耳飾りは黒地に濃紺のラインが入ったシンプルなリボンを身に着けている。「赤服・黄袖」をベースとしたカラーリング。セーラー服の上から折り返し袖のボレロジャケットを着込み、右の上腕にはベルトが巻かれている。スカートの裾周りには黄色3本のラインが入り、尻尾の上には大きな黒リボン。ショートパンツは全体の印象に合わせたもので、両サイドが大きく開いており、細いベルト状の裾はリベット付き。ニーソックスは両脚ともエンブレムのあしらわれたソックスガーターで留められ、足元はトップの大きく開いたブーツ。
最後のエキウス人の名は、マルゼンスキー。気さくで明るく、キレイで優しい。一見ステキなお姉さま系のエキウス人だ。しかしセンスは少し古臭く、世間とほんの少しずれているよう。本人も気にしていて、そのせいか最近の流行りにはとても敏感である。
シービーにエース、そしてマルゼン。三人も頭上に天使の輪っかが浮かんでいる。彼女達も死者である証だ。
マルゼン「やっほー☆ルドルフ、援護しに来たわよ☆」
ルドルフ「エースにマルゼンまで……ハハッ。まるで同窓会だな」
ラモーヌ「そうね。時間稼ぎのつもりだったのだけれど、倒せるならそれも良いわ」
蹴り飛ばされたジャネンバを見る。ジャネンバはマガジャッパを頭部から掴んで、そのまま遥か彼方へ投げ飛ばしている。乾燥したマガジャッパは、身動きが殆ど取れてないのだ。
マルゼン「ルドルフの魔王獣を倒すなんて、中々やるじゃない」
シービー「うわっ、くっさい!」
エース「おいシービー!今はそんな事どうでも良いだろ!」
ラモーヌ「臭いのが遠くへ行って集中しやすいわ」
ルドルフ「まあそう言うな。時間稼ぎは充分だ。行くぞ」
ルドルフは空いてる左側にマガパンドンとマガゼットンを配置し、ラモーヌ達は右で構える。
ジャネンバ「ウギャアアアアアアアアアア!!」
咆哮するジャネンバ。4人はジャネンバに向かって走り出すのだった。
登場した新エキウス人
メジロラモーヌ
能力:フローラル・フェロモン
自身の肉体から発するフェロモンはラモーヌの肉体から生成される有機的香水であり、香りを嗅いだ生き物にとって最も心地良い香りとなる。その香りを一定時間嗅ぐと、強制的に安心感と満足感、精神的安らぎを与えて、精神力でフェロモンの作用を打ち消さない限り、ラモーヌの操り人形となってしまう。逆に言えば、精神力が強ければ無意識でフェロモンの作用を打ち消せる位だが、それでも大半の生き物には通用する恐ろしい能力。応用範囲はかなり広く「偽名を名乗れなくする」「人格を自分が一時的に誘導した方向に書き換える」「飲酒したかのような酩酊状態にする」などのパターンもある他、不定形の相手に対し「自分は石である」という催眠を掛ける事で、固形化&崩壊させるという芸当も見せた。またデバフ方向に限らず、味方に対する精神攻撃へのフィルターや上書きに使ったり、プラシーボ効果で能力を補強するバフとしても使用可能。
ラモーヌのフェロモンは、ラモーヌの戦闘力、ラモーヌの魅力、ラモーヌに心を許しやすくなる事で効果が表れやすくなる。
シンボリルドルフ
能力:魔王ノ獣
魔王獣と呼ばれる7属性の魔王獣を召喚し、自由自在に操れる。ウルトラマンオーブの魔王獣が元ネタであり、全員がこの世に厄災を齎す力を持った巨大怪獣である。倒された魔王獣は行使不可能になるが、その代わり他の魔王獣に能力を継承可能。つまり、生き残った魔王獣が強くなっていく仕組み。最大の切り札は、全魔王獣の力を持つマガタノオロチ。ルドルフ本人も強いのが、この能力を更に厄介なものにしている。七つの属性の魔王獣は以下の通りである。光の魔王獣マガゼットン、闇の魔王獣マガタノゾーア、風の魔王獣マガバッサー、土の魔王獣マガグランドキング、水の魔王獣マガジャッパ、火の魔王獣マガパンドン、食の魔王獣マガオロチ。マガオロチは大魔王獣?気にしなくて良いのだ。
マルゼンスキー
能力:ターボダッシュ
走る事に兎に角特化した、エキウス人の強さの根源にある『走れば走る程に強くなる』特性に直結した能力。速度上昇、加速力上昇、脚力・踏み込みの強化、反応速度向上、持久力上昇、方向転換能力の向上、走行中の身体制御能力向上
などが段階的に上がっていく。そして重要なのは、「走る」こと自体が強化条件なので、戦闘中にただ逃げ回っているように見えても、実際にはどんどんマルゼンスキーが危険になっていくこと。
ミスターシービー
能力:フリーフライ
読んで字のごとく、空を飛ぶ能力。エキウス人は地を走る度に強くなるが、シービーはその制約を無視して空を飛ぶだけでも強くなる。また、この能力はフリーとあるようにどんな重力や時空間の縛り、ルールも通用しない能力である為、どんな場所でも自由自在に浮かんで飛ぶ事が出来る。
カツラギエース
能力:ダメージコントロール
自分が受けたダメージの分だけ気のエネルギーを生成する、ダメージを受ける事が前提の能力。肉体的ダメージだけでなく、精神的ストレスや心の痛みもダメージである為、有効。つまり、エース本人が実際に傷ついたと認識したもの=ダメージなのである。
ただし、ここで一つ大事なのは、無限にダメージを受ければ無限に強くなるわけではないこと。「ダメージから気を生成する」のであって、肉体そのものが無限に耐えられるわけではない。だからエースの強さは、「倒れる寸前まで耐えて、その間に得たエネルギーをどう使うか」というところにある。
魔王獣
マガバッサー:風の魔王獣
青い羽毛を持つ鳥のような姿をしているが、翼は前脚とは独立して背中に存在しており、西洋のドラゴンのような身体構造を持つ。
暴風被害は勿論、バタフライ現象で因果律を捻じ曲げ、超巨大な台風を七つも同時発生させたり、砂漠に大雪を降らせたりと、世界各地で異常気象を引き起こした。羽ばたきで起こす強力な突風が主な戦力。上空を旋回して巨大竜巻「マガ嵐」をいくつも発生させることができ、都市部に甚大な被害をもたらした。翼そのものも強力な武器で、鉄の刃物のように鋭く尖った初列風切羽で切り裂いたり、平面で殴りつけたりして攻撃する(翼での殴打は通常の大型鳥類の常套攻撃手段である)。地面に足を着けた状態で羽ばたき、強烈な衝撃波「マガ衝撃波」を放って相手を吹き飛ばすことも可能。発達した両脚も戦力として有用で、ホバリングしながら相手を鉤爪で引き裂いたり、ジャンプしながら相手を踏み潰したりすることも可能。
マガパンドン:火の魔王獣
見た目はウルトラセブンの初代パンドンに酷似した、癒合した頭部を持つ姿をしているが、一方で下半身は冷え固まった溶岩の様に黒みがかってひび割れたような質感をしており、顔の中央に魔王獣に共通する赤色結晶<マガクリスタル>が付いているなど、相違点も多い。
伝承では「禍破呑(まがぱどん)」として記載されて、その見た目から「偽りの日輪」と呼ばれ、災いの炎によって地上の物を焼き尽くすとされている。全身が常に超高温の火の玉に包まれており、ここから発する熱波で、出現した都市の気温を40~42℃まで上昇させるのみならず、アイスクリームが一瞬で蒸発するほどの熱蒸気や、全方位の火炎弾(マガ火玉火炎弾)を放ち攻撃してくる。また纏ってる火の玉は強固な防壁としても機能し、怪獣としての姿を現すと、口から高温の炎(マガ火球)を放って攻撃する。本体もかなりタフである。
マガジャッパ:水の魔王獣
その最大の特徴はとにかく強烈な臭気を放つこと。湖に浸かっていただけで水質異常も無く影響下の水を臭くし、ウルトラマンであるガイでさえ、戦闘中に臭さのあまり碌に攻撃を加えることができなかったほどである。過去の文献にも「禍邪波」として記載されており、過去でも同様に水を臭くしていた。そちらでは「海の悪しきにおいをあまた合わせたるよう」との事。また、ルドルフの魔王獣はただ臭いだけでなく液体そのものを自由自在に操る事が出来る。しかしその使い方は津波を起こしたり、激臭又は酸性の雨を降らせたり、水を腐らせたり、水質を害悪なものに変化させたりと、害ある系統しか出来ないのが正に魔王獣らしい。
影響受けた水や本体の匂いは人によって違うらしく、「洗ってねえ雑巾みてえなニオイ」「おばあちゃんちの裏庭にいたシマヘビとかアオダイショウのニオイ」「洗ってないザリガニの水槽のニオイ」「有機溶媒のピリジンをより強烈にしたニオイ」「洗わないで放置した柔道着を詰め込んだカバンを開けた時のニオイ」と千差万別だが、兎に角臭いらしい。ルドルフもあまり呼び出したくない魔王獣であり、これを出した後の数日間はラモーヌに距離を置かれるらしい。
マガゼットン:光の魔王獣
初代ウルトラマンのゼットンに似た魔王獣で、頭部の発光体魔王獣の特徴たる赤みのあるマガクリスタルになっており、胸部の発光体が青みがかった色になっている。怪力や強力な火球を扱う戦闘力を持つが、真の恐ろしさは光に異常を来す事。地球に降り注ぐ太陽光線に異常を発生させ、その影響で眠っていた怪獣を次々と呼び覚ます災いを起こしていた他、ジャグラスジャグラーが超コッヴ、キングザウルスⅡ世、プリズ魔のカードを使って復活させる事も可能。光の魔王獣なので、即ち紫外線や人工の光にも異常を発生させて人体にも大きな影響を与えてしまう。