ゼンレスゾーンゼロ・二刀の剣士   作:涙があふれる

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Season1-第一章.猫の落し物
Episode1.兄妹と猫娘


 

 

▼△▼△▼△▼△▼

─【場所:新エリー都_六分街】─

 

 齋秋(さいしゅう)が六分街に来てから1週間と少しが経過し、(ようや)く原作に(ともな)う時系列へと合流する事が出来た…のだが、その後どのように行動すれば良いのかと齋秋は頭を悩ませていた。

 

「なあわんころ…これ大当たり入ってんだよな…?」

「わふっ!」

「…随分(ずいぶん)と元気なお返事をする事で」

 

 そんな齋秋は現在、“ウーフ”という名前のハスキー犬が店番(みせばん)をしているニューススタンドでスクラッチを削っていた。

 

「わふっわふっ!」

「ん?なんだ?もしかしてこのサラチキ食いてぇのか?」

「わふっ!」

()われてもなあ…こりゃ俺の昼飯な訳で…」

「わふっわふっ!」

「あっおいわんころ!お前ふざけ──」

 

──タッタッタッタッタッタッタッ!

 

 齋秋がウーフと巫山戯(ふざけ)たように押し問答をしていると、後ろから全速力で走り去っていく足音が耳に入った。齋秋がパッと後ろを振り返ると、視界に猫耳としっぽを生やした少女がバンッと音を立てて“Random_Play(ランダムプレイ)”の中へと入っていく姿が写った。

 

「……」

 

 今の奴、確か“邪兎屋(じゃとや)”とかいう借金組織に入る事になるキャラだったか?名前は…“猫又(ねこまた)”だ。

 となるといよいよ関わるタイミングは今って訳か。この気を逃す訳にゃあいかねぇな。

 

「よしわんころ。残り全部やるからちゃんと食えよ?」

「わふっ!」

 

 齋秋は手に持っていた残りのサラダチキンをウーフへとあげると、齋秋も“Random_Pray(ランダムプレイ)”に音を立てずに入っていった。

 

 

▼△▼△▼△▼△▼

─【場所:六分街_Random_Pray(ランダムプレイ)】─

 

 ゼンゼロの主人公であるアキラとリンの(いとな)むビデオ屋、“Random_Play(ランダムプレイ)”。その店内にあるSTAFFONLY(スタッフオンリー)と表記されている扉の向こう側に、猫又とビデオ屋の店長であるアキラとリンが居た。

 

「…あんたたちは“パエトーン”!プロキシであるあんたたちに依頼が──」

 

──ガチャッ!

 

 何やらアキラたちと猫又の間でいざこざのような会話が()(ひろ)げられていると、重厚(じゅうこう)な扉が音を立てて開かれた。それに向かって3人は本能的に視線を移す。

 

「よ!なぁに騒ぎ立ててんだよ?ガキども」 

「や、山月さん?!どうしてここに?!」

「だ、誰だ?!あんたたちの知り合いか?!」

「っ申し訳ないのだけど山月さん、ここは関係者以外立ち入り禁止で…」

 

 突然扉が開きその向こう側から現れた齋秋に対して、三者三葉(さんしゃさんよう)の反応を見せる中でアキラはおずおずとしながらも注意をする…が、

  

「そう(かた)いこと言ってくれるなって。なんだっけか?“パエトーン”にプロキシ…ってのは確か、アウト寄りのグレーな奴の事じゃなかったか?」

「っ!」

「はっ。かなり高性能な防音設備してやがるが…俺からしちゃ丸聞こえだ」

 

 そう言いながら、齋秋は3人の居る部屋へと踏み入り周囲を見渡す。壁一面に備え付けられた40台近いブラウン管テレビ、プロキシとして活動する(ため)に使用するであろう高性能な電子機器まで(そろ)っていた。

 

「あーこりゃアウト寄りじゃなくアウトだな…」 

「「……」」

「…も、もしかしてやばい状況だったり、するのか?」

 

 齋秋の言葉にアキラとリンは完全に固まり、猫又は焦った様子を見せ、場は完全に凍り付いた雰囲気(ふんいき)に包まれた。

 

「正解だ猫娘。俺以外だったらな」

「……へ?」

 

 齋秋から返ってきた言葉に()頓狂(とんきょ)な反応をしたのは猫又では無く、リンだった。

  

「そ、それってどういう…」

「そのまんまの意味だ。俺はお前たちを保安の連中に売るつもりなんざねぇってことだよ」

「…もしかしてだけど山月さん、最初から僕たちがプロキシだってこと…」

「さぁて?俺にゃあ何のことだかさっぱり」

 

 緊張した面持ちのアキラからの問に対して、齋秋はなんの事だかさっぱりと巫山戯(ふざけ)たように返した。

 

「…Fairy(フェアリー)。もしかしてキミも気付いてたのかい?」 

『-……-』 

「…Fairy?」

 

 アキラが相棒であるAIのFairyになぜ教えてくれ無かったのかと問いただすようにして言うが、一向に返事が返ってこない。

 そんな状況が数秒続くと、Fairyが齋秋に対して問を飛ばす。

 

『-…あなたは監視システムの一切に認識されていませんでした。それは何故でしょう?-』 

「監視システムに認識されていない…?」

「あーそのことか」

 

 齋秋は軽く頭をかくと、2人の疑問に対して応えようとする。

 

「それはだな…」

『「「それは…?」」』

 

──ゴクリ…静寂の中に3人の息を飲む音が鳴る。

 

「…言うわきゃねぇだろバーカ」

「「……」」

『-許せません。純情(じゅんじょう)な心を(もてあそ)ばれました。直訴(じきそ)します-』

 

 ドキドキとして待っていた3人は、齋秋の応えに肩を落としなんとも言えない表情を見せる。そして疑問を(てい)した張本人であるFairyはAIとは思えない感情を(あらわ)にした。

 

「あのなあ、お前たちはプロキシですかって聞かれて『ハイそうです』って返すか?返さねぇだろ?それと同じだ。そう易々と答えは言わねえっての」

「た、確かに…」

 

 齋秋は至極(しごく)真っ当な事を言い、3人とFairyの事を黙らせた。

 

「そんで?なんだ酷く(わめ)き散らかしてやがったが、どういう状況なんだ?別に隠すことはねぇぞ?お前たち((アキラとリン))がプロキシだってことは分かってんだ。内容によっちゃあ手を貸してやらんこともない」

 

 ま、()っても今の段階の内容は知ってんだけどな。俺の知らない時系列にまで踏み入るまで、適当に分からないフリして流していくのが無難(ぶなん)だ。

 

「え、えっとそれは…」

「う〜ん…」

「な、なああんた!腕に自信があるなら力貸してくれ!」

 

 アキラとリンがどうするべきかと悩んでいると、猫又が率先(そっせん)して頼み出る。それに対して齋秋は笑みを浮かべる。

 

「はっ。腕に自信があるからここにいんだよ。こちとらホロウに潜ってエーテリアス狩りまくるのが趣味(なりわい)見てぇなもんだからな」

「…」

 

 その言葉に、猫又は耳と尻尾をピンとアキラとリンに顔を向けた。アキラはそんな猫又の考えを感じ取ったのか、目を()せて仕方がないと溜息を吐き齋秋へと向き直る。

 

「山月さん。実は──」 

 

 そこからアキラは猫又が店に突撃してきたことを伝えると、猫又はそこから引き継ぐようにして事の顛末(てんまつ)を語った。そしてかくかくしかじかと話はどんどん先へと進み、猫又が邪兎屋(じゃとや)の社長である“ニコ”から預かったと言う“ボンプ”をアキラたちに渡すとそこから更に更にと詳細が判明して行き──

 

「──なるほどなあ…つまりお前たちはその“赤牙組(せきがぐみ)”の拠点を探してる最中に油断してしくった訳だ」

「そ、そう言う訳だ!」

「それ認めちゃう感じなんだね…」

「と、とにかくだ!それからも色々あって…ニコたちは今爆破エリアに居るんだ!」

「と言われても…」

『-マスター。ただいまニュースチャンネルでそれに関する生放送が発進されています-』 

 

 齋秋たちがあれやこれやと会話を続けていると、Fairyが割り込むように現在放送されているニュースをテレビへと映し出す。そこに流れるニュースには、爆薬を()せた最後の列車が入って行くという内容が流れていた。

 

「まずい!このままじゃ最後の列車が発車しちゃうぞ!」

「あーこりゃ急がねぇと邪兎屋(じゃとや)の連中は()端微塵(ぱみじん)瓦礫(がれき)と一緒に()()て完了になっちまうな。視覚記録見てるよかさっさと行って爆破止めた方がいいだろコレ」

 

 “ヴィジョン・コーポレーション”の輸送列車がどんだけ爆薬()せてんのかはわからんが、区画そのものを消し去るってんならまず邪兎屋(じゃとや)の連中は助からねぇな。

 とは言えそんな事にはならねえんだけども。

 

「でもみんなの前で列車を止めちゃったりなんかしたら、その場で保安官に捕まっちゃうのがオチだよ?」

「事態を連絡しようにも、それだとニコたちがホロウレイダーをやってることもバレる…」

『-提案-』

 

 その場に居る全員がどう動くべきかと右往左往(うおうさおう)していると、またもFairyが割り込んでくる。

 

『-いっそ、ホロウの中で列車を止めるのはどうでしょう-』

「あー、そいつはありだ」

「!そっか!外から直接ホロウの中は探知できないんだから、捕まる心配もないぞ!」 

 

 現状、新エリー都に()ける技術でホロウ外部と内部での完全な連絡手段は確立されておらず、外部からホロウ内部を探知することも不可能となっている。

 その(ため)ホロウ内部で如何(いか)なる犯罪が発生しようとも、その犯人や集団を(とら)えることは非常に困難であり不可能にも近い事が大半である。

 

「うん…今からデッドエンドホロウに潜入(せんにゅう)して、確実に列車の通る道を(はば)めれば…理論上は可能だ」

「Fairy。列車乗った位置をリアルタイムで把握(はあく)出来る?」

『-可能。目標列車までの安全なルートを計算しています-』

「そんじゃあ、デッドエンドホロウでどう列車を止めるか考えるとすっか」

「んにゃ」

 

 デッドエンドホロウなあ…正直俺のところが()()ってる管轄(かんかつ)のホロウじゃねぇから、あんまし入りたか無いんだが…(たの)しみにゃあ変えられんわな。

 

 

 






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