ゼンレスゾーンゼロ・二刀の剣士   作:涙があふれる

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投稿話数間違えてましたすみません!



Episode4.交渉と作戦終了!

 

 

▼△▼△▼△▼

【場所:とある広間】

 

 その広間には、大勢の完全武装をした兵士が猫又と向かい合っていた。十数台のライトが広間全体を照らす中で、一層ライトが明るく照らしているのは猫又(ねこまた)と、箱に詰め込まれて上半身だけが(あらわ)になったパールマンの姿であった。

 そして交渉人としてヴィジョンから出てきたのは、“サラ”という名前の女性だった。

 

「あんたが今の責任者?あたしの要求は簡単──爆破を中止して、閉じ込められた住民たちの救出を優先すれば、こいつを返す」

「はっ、簡単に言ってくれるわね。あなたの言う通りにしたとして、我々ヴィジョンはこの件をどう世間に申し開きをすれば?それ以前に、あなたは誰?一人で交渉の場に来た度胸は買うけど…狩る側が狩られる側になる可能性だってあるのよ?」

 

 猫又の要求に対して、サラは強気の体制で反論を入れる。だが猫又もそれに怯むことなく、自身の正体を明かす。 

 

「おっと、自己紹介を忘れてた。あたしは“猫宮(ねこみや)又奈(まな)”、猫又って呼んでもいいぞ〜。何を隠そうあたし、赤牙組(せきがぐみ)の元組員なんだ」

「せ、赤牙組!」

 

「!」

 

 アイツ猫宮又奈って名前なのかよ?!てっきり猫又が本名かと思ってたぜ…てかこうなんとも言えんが、もどかしい事この上ないな。俺だったらその場で全員斬り殺すって脅すか、もう何人か()ってんぞ。

 案外馬鹿そうな見た目して頭回るのな、猫娘のヤツ。対人の腕も立ちそうだし、ちょっちウチに欲しいな。

 

 などと齋秋(さいしゅう)が身を隠しながら考えていると、猫又が自身の考えた筋書きを口にする。

 

「こんな筋書きはどう?赤牙組の残党、今は亡きシルバーヘッドミゲルの爪。旧都の住民を人質にして、工事を妨害した張本人──猫宮又奈を、ヴィジョンは捕えた」

 

「……」

 

 やっぱし猫娘のヤツ、鼻っから自分を交渉材料に組み込んでやがったな。まあヴィジョンとしても悪くない内容だ。

 住民さえ外に出しちまえば、悪党である猫娘を捕えた上に爆破計画の成功で名誉は最高潮…TOPS(トップス)でも悪くない立ち位置に入れる。

 不利益は住民を連れ出す費用だけ。簡単に考えりゃ何も悪い点のない、ドチャクソにうまい話だ。

 

「自分を犠牲に幕を引くの?なかなか殊勝(しゅしょう)なことをするのね」

殊勝(しゅしょう)?ははっ…あたしは帰る場所を失くした、ただの野良猫。どこにも属さないあたしには、これくらいがお似合いなんだ」

 

 自身でそう言いながらも、猫又の表情は悲しく暗いものに覆われる。

 

「この取引でどう?今すぐメディアに連絡して、あたしが言った通りに──」

 

──パァンッ!

 

「公表、すれ…ば…」

 

 銃声が鳴り響いたかと思えば、猫又の隣にいたパールマンが後ろへと倒れる。

 

「──っ?」

 

 猫又がパールマンに目を向ければ、その額にダーツ型の麻酔針が刺さっていた。

 

「親切に教えてあげる。 次は交渉する前に切り札の価値を──」

 

──バタン…。

 

「?」

 

 サラの背後から、突如として人が倒れる音が聞こえてくる。何事かとそっと後ろを振り向いた瞬間──

 

──バタン、バタン…バタンバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ……バタン…。

 

「…一体、なにが……」

 

「なんだ?!」「サラ長官をお守りしろ!」

「おいしっかりしろ!」「周囲を警戒するんだ!」

 

 一体全体何が起こったのか、背後に(ひか)えていた100人以上は居る兵士の過半数が、意識だけを失って倒れていた。

 

「あ〜流石に一振じゃ無理だったか。つかなげぇなげぇ。んなこと聞いてたら眠くなっちまうわ、だろ?猫娘」

「っ!齋秋っ!!」

 

 危機的状況…の瞬間、齋秋の登場により形成が大きく逆転する。

 

「齋秋……まさかあなた…」

「おっとそこまでだ。世の中言っていい事と悪いことがあるもんだぜ?てかお前、なんで俺のこと知ってんだ?もしかしてだがお前、単なるヴィジョンの人間じゃねえな?」

「っ」

 

 齋秋の言葉に、サラの目付きが鋭く変わる。

 

「ま、んなことは後で調べりゃ分かることだ。今は爆破計画(こっち)優先だ。そこにぶっ倒れてるダルマじじぃは操り人形で、裏で絵を書いてやがったのはお前だろ?」

「っ、どういうことだ?!ヴィジョンにとってこのプロジェクトは、人の命よりも大事なものなのか?!」

 

 血気迫る勢いで、猫又はサラへと問い詰める。そんな猫又に対して、サラは溜息を吐きながら進める。

 

「…はあ。無駄話が過ぎたわね。そろそろ本題に入りましょう」

 

 そう言いサラが取り出したのは、小さな筒状のスイッチだった。

 

「それはなんだ──?!」

「はっ。んなこと聞かなくても察し着くだろうが。ありゃぁ…」

 

 サラの口元がニヤリと歪む。

 

「ええそう。あなたの思っている通り──爆破の起爆スイッチに決まってるじゃない」

「そんな、待っ──!だめだ!!!」

 

 猫又が爆破スイッチを押させないようにと駆け出そうとするが──

 

「全ては『私たち』ヴィジョンのため」

 

──カチッ

 

 それよりも一手早く、サラは起爆スイッチを押してしまう。そして隣に立っていた兵士のひとりが、爆破が完了したことを伝える。

 

「そ、そんなっ…せっかく、みんなが手を貸してくれたのに…」

 

 それを聞いた猫又が、表情を落として項垂(うなだ)れてしまう。だが齋秋は何事も無かったように、猫又へ声を掛ける。

 

「おい猫娘。そう悲しむことはねえみたいだぜ?」

「…え?」

 

 齋秋が『ほれほれ』と言いながら視線を向けた先には、ニコが先頭に立って“カンバス通り”の住民と共にトンネルから出てくる姿が写った。

 

「…ニコっ!それにみんな!」

 

 無事爆破計画エリア内から脱出できたことに、猫又または涙目になりながらも笑みを浮かべた。

 だがサラはまだこの状況の中でも諦めておらず、残った兵士に住民を撃ち殺すように命令を下す。

 それにより住民が焦り出すが、タイミングよく大勢のパトカーが忙しくサイレンを鳴らしながら現れた。

 

「速報!速報です!あのヴィジョンに、重大な人名軽視が発見しました!」

 

 それだけでは無く、テレビ局の生中継部隊までもが姿を見せた。そして偽物の治安官((兵士))らは、本物の治安官によって次々と捕縛されて行く。

 

「サラ長官。サラ長官!治安官に囲まれました!いえ、治安官だけではありません。“白祇重工(はくぎじゅうこう)”もいます!彼らはメディアを多数連れています…これ以上は制御できません!」

「……」

 

 兵士のひとりが、今現在置かれている状況について、端的にサラへと伝える。

 

「ふふん。ヴィジョンが大人しく交渉に応じるわけないと思って、ホロウを出て真っ先に白祇重工にれんらくしたのよ。さっすが競合他社、仕事が早いわね〜。アイツの残していった連絡先に掛けたらこんなに沢山の治安官が来たし、もう逃げ場はないわね」

 

 白祇重工に連絡を掛けた張本人であるニコは、その様子を前にニヤニヤと笑みを浮かべていた。

 

「……」

 

 さてと、見た感じ終わりか。

 偽物の治安官は全員御陀仏(おだぶつ)になるだろうが…やっぱし居なくなってるな。何処に行ったのかは気配で分るとは言え、この先のストーリーを知らない以上無闇矢鱈(むやみやたら)にとっ捕まえる訳にも行かねぇか。

 明らかに重大キャラってやつだよな?アイツ。よく友人(ダチ)が敵役は重要ポジだって言ってたしな。後々出た時に問正せばいいか。

 

「あんたか──!」

 

 齋秋から少し離れた場所で、猫又の叫び声が上がる。

 そっと視線を移せば、猫又とアンビーが何やら込み入った雰囲気で言葉を交わしていた。

 

「……」

 

 あっちはあっちで折り合いを付けられるみてえだな。さっきの列車での雰囲気マジ最悪だっからなあ…仲違(なかたが)いせずに済みそうで何よりだな。

 

「…こりゃあれだな。戦いよか人間関係の面白さってやつだな……はっ、悪かない」

 

 群衆や怒号、泣き叫ぶ声に喜び合う声…その中で描き消えてしまう声を残して、齋秋は一足先にその場から姿を消して行った。

 ▼

 ▼

 ▼

 

「あれ…?齋秋のやつ、どこに行ったんだ?」

 

 猫又が邪兎屋の面々と大粒の涙を流しながら仲を深めて居れば、ふと齋秋が居なくなっている事に気が付いた。

 

「齋秋?って、パールマン捕まえたあの人のこと?」

「ああ。今回のことで世話になったんだけど…ほんとにどこに行ったんだ?」

 

 

【場所:???】

 

「よお狼執事。いつもの頼むわ」 

『────────』

「んな硬いこと言うなよ。お前らの飼い主と俺は切っても切れない間柄…その(よしみ)で、な?」

『─────』

「悪いな。んじゃ今から言うところにあっから綺麗さっぱり頼むぜ?」

 ▼

 ▼

 ▼

 

「……」

 

 とりまこれで彼処はオッケーだな。

 また新しく隠れ家を作らにゃ行かんが、今んところ“Random_play(ランダムプレイ)”の近くには後3つ有るから大丈夫か。

 

「〜〜〜♪ん〜♪腹も減ったし、今日は焼肉だな」

 

 

 

 

 

 

 

▼△▼△▼△▼△▼

【場所:六分街_Random_play(ランダムプレイ)

 

 爆破計画の中止から数日後…Random_play(ランダムプレイ)邪兎屋(じゃとや)のリーダーであるニコの姿があった。当然リン.アキラの姿もあり、おまけと言った感じで齋秋(さいしゅうも)居る。

 そしてニコは、とある件でリンたちに頼まれていた調査依頼の結果を伝えた。

 

「あ〜んじゃあれか?その金庫とやらのことは、誰一人として詳細を知らなかったって訳か?」

「そういうこと。出所についても、謎の依頼人についても、みんな何も分からない。これが調査結果よ」

 

 齋秋はなぜ金庫に関して調査をしていたのか詳細は知らないが、聞く限りでは何一つとして進展があったようには感じられなかった。そしてどうやらそれはリンやアキラも同様のようで、ふたりはどう言う事だと眉を(ひそ)めた。

 少しマズイ雰囲気だと思ったのか、ニコは金庫に関しては手がかりが少な過ぎる所為で調査が難航(なんこう)している事を伝える。

 

「…それに、せっかく助かった住民たちのために、慰謝料を勝ち取ってあげたいって気持ちもあるし…あの人たちを救ったのは、他でもないあたしたちでしょ?」

 

 なんとも道徳的な言葉をつらつらと並べるニコに対して、リンは『いつそんな道徳を盾にするようになったの?』と口にする。

 

「あ、てかあの猫娘どうなったんだ?最近見てねぇけど…まさか野生にでも返ったか?」

 

 齋秋は巫山戯た笑みを浮かべながら、冗談交じりにニコへと尋ねる。

 

「あ、あの子猫ちゃんのこと?あの子は…その…うぅっ…」

「…やっぱり、行っちゃったんだ」

 

 リンはどこか察したように──

 

──ガチャンッ。

 

「にゃにゃ〜ん──子猫ちゃん、参上だにゃ!みんなの集合写真をプリントしてきたんだ〜!ん〜、よく撮れてる!はいど〜ぞ!こっちがアキラの分で、こっちがリンちゃんの!それでこれが齋秋の分だぞ〜」

「お、サンキュー。いい感じに撮れてるじゃねえか」

「でしょでしょ〜!」

 

 実はあの後…齋秋は一人焼肉へ行こうとしていたのだが、その道中で偶然にも猫又たちと合流し、そのままリン.アキラ.猫又.齋秋.邪兎屋の面々でファミリーレストランに行ってきたのだ。

 

「ん、ふたりともどうかした?大事にしまってたおやつを誰かに食べられた!って顔してるぞ」

「ぷっ──」 

「もうニコったらっ、私たちの心を(もてあそ)ぶなんて酷いじゃん!」

「…さては山月さんも知っていたね?」

「まーな。写真焼いてきてくれって、俺が頼んだしな」

「もうっ、すっごく悲しい気持ちになったのに!」

 

 そう言うと、リンは仕返しとばかりにニコに対して『これまでのツケの1割を支払ってもらおうかな!』と少し早口で言い返す。それに続いて、アキラまでもがお金の徴収(ちょうしゅ)を言い始める。

 

「そ、それは勘弁して!何よっ、ちょ〜っとサプライズしてあげよって思っただけじゃない!コホンッ!それじゃ改めて紹介するわ!邪兎屋の新しい従業員──」

 

 ニコの言葉で、リン.アキラ.齋秋の視線が猫又へと向かう。

 そして…

 

「──猫宮又奈、猫又って呼んでいいぞ!今は邪兎屋で働いてるんだ!3人とも、これからもよろしくだにゃ〜!」

 

──パンッ!パンッ!パンッ!

 

 猫又の言葉と共に、邪兎屋の新メンバーとなった事を祝福する3発のクラッカーの音が、Random_play(ランダムプレイ)に鳴り渡ったのだった。

  

 





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