ゼンレスゾーンゼロ・二刀の剣士   作:涙があふれる

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Episode4を投稿し直したため、前話の読み飛ばしにお気を付け下さい。


season1-第二章.ホロウの中心で…を叫んだ?
Episode5.送られて来た怪しい依頼


Ep5.怪しい依頼

 

▼△▼△▼△▼△▼

【場所:新エリー都_六分街】

 

 とある日のいつも通りの日常…齋秋(さいしゅう)は小遣い稼ぎの一環として、ただ黙々とスクラッチを削っていた。

 

「なぁわんころ、これ当たり入ってんだよな?」

「わふっ」

「相変わらずだなお前は…」

 

 あの爆破計画から雑だがそこそこ時間が経った。その間“Random_play(ランダムプレイ)”の経営者兼主人公であるリンとアキラは、実に平和的に店を運営している。

 時々手伝ってくれっことはあるが、前の爆破計画阻止に比べたら些事も些事だ。

 

「ああ〜…暇だ。なんかおもしれえことないもんかねぇ。あ、大将いつもの頼むわ」

 

 齋秋はスクラッチ売り場からチップ大将のラーメン屋に場所を移して、いつも食べているラーメンを注文する。

 そして携帯端末を取り出すと、適当に生放送を行っている番組を適当に開いた。それは子供向け番組のチャンネルであった。

 

「あいよ!黒鉢豚骨ラーメンいっちょう!」

「サンキュー大将」

 

 大将からラーメンを受け取った齋秋は、ズぞズぞとラーメンを啜りながら生放送を見る。

 

「ん?白祇重工(はくぎじゅう工)?なんだって子供番組なんぞに…」

 

 そういや、広間の現場にもメディア引き連れて来てたな。それに確か、ヴィジョン・コンポレーションと落札を競ったってのも白祇重工(こいつ)だったか?

 

『〜白祇重工VSヴィジョン、地下鉄改修プラン比べ!!〜』

 

「なんだいあんちゃん。随分難しそうなモン見てんじゃねえか」

「ああ…」

 

 すげえなこの番組、普通にヴィジョンの名前出すのかよ。怖いもの知らずか?てかこのメガネのガキ、とんでもなく頭いいな…つか他のガキは同じことしか言わねぇのかよ。

 

「…お騒がせな不祥事?」

 

 独り言を呟きながら生放送を見ていると、白祇重工の“アンドー”という男が、ライオンの被り物を引き剥がした。すると中からは、本物のライオンの頭をしたシリオンが現れる。

 そして──

 

『裏の顔があるのはさぁ、建設会社の経営を(かく)(みの)にして──大金を持ち逃げした、どっかの誰かさんじゃないかい?!』

 

 その発言を皮切りに、番組は酷く荒れ始めてしまった。

 

「裏の顔に大金の持ち逃げねぇ…大将ごっそさん。何時も通り美味かったわ。これ勘定な」 

「おう!ありがとうよ!」

 

 

▼△▼△▼△▼△▼

【場所:六分街_Random_play(ランダムプレイ)】 

 

「わりと好感度高めな──」

 

──ガチャンッ。

 

 何やらリンとアキラが神妙な面持ちで話をしていると、STAFFROOM(スタッフルーム)の扉を開けて齋秋が入ってくる。

 

「よっ、元気してっか?」

「…山月さん、またチップ大将の所でラーメン食べてたの?」

「まあな。それよかな…これ、見たか?」

 

 そう言いながら、齋秋は携帯端末を取り出して先程見ていた生放送番組を表示すると、それをふたりに見せる。

 

「ああ。ちょうど僕たちも、その話をしてたところだよ」

 

 どうやらタイミングが良かったらしく、兄妹の2人もテレビでこの生放送を見ていたようだ。

 

「この地下鉄改修プロジェクト、まだまだ波乱がいっぱいありそう」

「内容見た限りじゃあその波乱も長引きそうだしな」

 

──ピロンっ。

 

 と軽く話をしていると、PCが音を立てる。それは人工知能AIであるFairy(フェアリー)からの報せであった。その内容は『指名の依頼人からDMが来た』というものだった。

 

「なんだ?また依頼受けたのか?」

「うん。でも今回のはちょっと違う感じなの」

 

 何やらリンが言うには、何時もの少額の依頼とは違い、今回来た案件は高額な依頼…加えて詳細に関する内容はDMで伝えると言われ、具体的に『なにをして欲しい』などと言った内容は一切表記されていなかったのだとか。

 現状リンたちのアカウントレベルは低く、これといった目星しい実績も無い。にも関わらず高額の指名依頼が来たと言うのは、実に怪しいと捉えられるものだった。

 

「…罠だろ。そのDM送ってきた奴が誰か分かりさえすりゃ少しは動き易いんだが…インターノットの匿名フォーラムともなればユーザーの保護機能も高レベル、分かる訳もねぇか」

「それなんだけど、少しは分かるらしいんだ」

「本当か?」

 

 あくまでらしい…と言うのは、Fairyが僅かな情報から得られた可能性を、一要素として説明したからだと言う。

 そんなFairyによれば、依頼元のアカウントは投稿前日に作成されたものであり、アイコンには明確な被写体(ひしゃたい)のない画像が使われていた。だがその画像はネット上に存在しない為、ユーザー本人が撮影したものである可能性が高い。

 そしてそこから全都市のストリートビュー及び地面等の原材料データと照合(しょうごう)した結果、画像に使われている写真の場所は“ヤヌス区”の境界に位置する場所…詰まるところ、現“旧都地下鉄改修プロジェクト”の現場と一致したと言う。

 

「てことはその依頼を送ってきのは、白祇重工…の可能性が高いってことか」

「ああ、あくまで予測に過ぎないけれど。Fairy、内容は?」

 

 アキラがFairyに内容を聞くと、それは実に驚かされる内容だった。なんとDMの一部に『生きるか死ぬか』という、生死を迫る内容が記されていたのだ。

 

「生きるか死ぬか?!」

「おいこれ完全黒だろ…」

 

 リンと齋秋はその内容に別々の反応を見せる。

 Fairyは続けて内容の全てを読み上げる。

 

『-“パエトーン”。オレらに力を貸してくれ!恥を忍んで言うが…俺らは今、生きるか死ぬかの瀬戸際(せとぎわ)だ。力を貸してくれ──頼れる相手は、お前しかいねえんだ!事情が事情なんでな、依頼内容をここに書けば一発でこっちの正体がバレちまう。つうことで、ここはひとつサシで会おうや。明日の朝5時に、六分街の交差点に来てくれ。頼む!-』

 

 なんとも笑える事に『生きるか死ぬか』…は兄妹に対するものでは無く、依頼人側に関するものであった。

 

「おい妖精AI。誰が生きるか死ぬかはハッキリ伝えろ。普通に怖いわ」

「ほんとだよ…でもDMを見る限り、依頼人は本当に困ってるみたいだね。それに、正直に打ち明けてるって感じもするし…」

「お前はあまちゃんか?サシでってのは胡散臭過ぎる。それにだぜ?お前ら一度でもこの依頼人に──自分がパエトーンですって名乗ったか?」

 

「「っ!」」

 

 齋秋の指摘に、ふたりは目を見開いて確かにと反応を示す。

 

『-マスター、依頼人からもう一通DMが届きました──報酬の20%を前金として振り込んだ。こいつは心ばかりの誠意ってやつだ。マジで頼んだからな!──インターノットのアカウントに振込を確認-』

 

「チッ。やられたな」

 

 この野郎、半ば退路を塞いできやがったな。高額依頼の20%は相当にでかい。断ればプロキシとして今後の活動に響きかねない手だ…まあ何も考えず、マジの誠意って可能性も無きにしも非ずってヤツだが…名声よか今は安全第一だな。

 

「おいプロキシ兄妹。こりゃ誘き寄せる罠の可能性大だ。今回は下がれ」

「…確かに、山月さんの言う通りかもしれない。Fairy、遠回しに断ってくれるかい?」

 

 齋秋の軽い説得で、アキラはFairyに依頼を断ってくれと頼む…のだが──

 

『-かしこまりました。振り込まれた金額は、先月のインターノットに於ける総収入の1.1倍に相当します。本当に返金しますか?-』

「い、いくら──?!」

 

 Fairyが依頼額を伝えた瞬間、リン目の色を変えて飛び付いた。そしてFairyが再度同じ事を伝えれば、アキラがソワソワとしながら『僕が行ってこうよか?』などと口走り始める。

 

「はあぁぁ…」

 

 そんな様子のふたりを前に、齋秋は溜息を吐きながら額に手を当てた。

 

「うっ、山月さんそんな目で見ないでよ!これには事情があって──!」

 

 齋秋が呆れたような目を向けていれば、リンが(あわ)るようにツラツラと弁明を並べて来る。

 

「んな弁明しなくて構やしねえよ。万年金欠なんて奴、適当に探しゃあそこそこ居るしな。近くに借金してる奴もいる訳だ…今回はしゃーなしで俺が下見して来てやるよ」

 

「「っ山月さん!」」

 

 齋秋の申し出に、ふたりがキラキラとした笑顔を浮かべる。

 

「マジでどんだけ金欠だよお前ら…」

 ▼

 ▼

 ▼

 ▼

 ▼

 

──翌日-時刻.05:00。

 

 その日をRandom_play(ランダムプレイ)で過ごした齋秋は、予定通り依頼人がどのような人物なのかを下見をする為、軽い準備をしていた。

 

「はい、これインカムね。こっちはカメラ付きメガネ」

「おうあんがとさん」

 

 齋秋はリンから渡されたインカムとメガネを装着する。いつもと違いラフな服装なおかげか、その風体は中々に悪いものではなかった。

 

「何かあればこっちでサポートするから任せて!」

「あいよ。んじゃ行ってくるわ」

 

 ま、依頼人(ソイツ)が罠張ってようがそれ事叩っ斬れば万事オッケーだ。最悪なのは主人公(こいつ)らに何か起きた時だ。友人(ダチ)の言ってた登場人物(キャラクター)やら好きな物語(ストーリー)は雑にだが覚えてる…が、今回の内容(やつ)はよく知らん。つか全くわからん。ちっとは注意しとかねえとな。

 

「……」

 

 などと考えながら歩いていると、齋秋の視界になんとも怪しげな男が映る。その男はブツブツと独り言を呟き続けていた。

 そんな様子の男、カメラ付きメガネの向こう側でリンたちも見ていた。リンは『うわっ、ホントに怪しい!』と率直な感想を零した。

 

『-“怪しい人” “独り言で”検索中-』  

「いやんなもん検索しなくていいだろ…」

 

 怪しい男を前に、Fairyが突然検索を掛け始めた。そしてヒットした物があったようで、それを説明し始める…が、その途中で齋秋はその怪しげな男の正体に気が付いた。

 

「…ん?おいよく見てみりゃあいつ、例の生放送に出てたやつじゃね?」

『うそっ、本当に…?』

 

 よくよく見てみれば、交差点付近で待っている怪しげな男の背格好や顔立ちは昨日の生放送番組…“ボンプは知っている”に出演していた、白祇重工のアンドーという人物であった。

 

「裏の顔があるだのなんだって言われちゃいたが…武器も持ってねえみたいだし大丈夫だろ」

『分かった。すぐに行くよ』

 

 大方の安全を確認出来たところで、アキラが依頼人?であろうアンドーの元へと向かい始める。

 ▼

 ▼

 ▼

 

 少しして、齋秋に呼ばれたアキラがアンドーと合流した。アキラの傍らにはリンの操るイアスと、安全確保の為の齋秋もいる。

 

「あの、あなたはアンドーさん…ですよね?昨日のボンプは知っているに出てた、白祇重工の…」

「おあ、白祇重工のアンドーだ。ツラが割れてんなら話は早え──」

 

 そこからリンとアキラに、白祇重工の置かれている現状を説明…する前に、何故このような手に出たのかを弁明する。

 

「事情が事情なだけに、部外者に正体を知られるワケにもいかねえ。これはオレらなりに考えた結果だ…いっそのことガチンコで、お互いの秘密を握っちまうのが安全だってな」

「確かに、一理あるね」

 

「……」

 

 事情ってのは分からんが、確かに互いに弱点握ってりゃ馬鹿な行動はしないな。そこんとこマジで考えてる辺り、パエトーンの存在が最後の頼みの綱ってヤツなのかもな。

 

「──んでアカウントが兄妹(こいつ)らだのってのは、どこで知ったんだ?」

「はっ、そいつは言えねぇな。ただ、情報屋は胸を叩いて保証したぜ」

 

 その情報屋によると、間違いなくあのアカウントが名だたるパエトーンであること、そして腕前はもちろんとして人間としても大したものだと聞いたらしい。

 しかしそんな情報屋とやらにリンたちは心当たりがあったようで、鎌をかけるようにしてその名前を口にする。

 

「意っ外〜。ニコたちが私たちをそんなに褒めてくれるなんて、なんだか照れるなあ」

「ハハハッ。なんだよ、偉く謙遜するじゃねえか。邪兎屋の連中、口を揃えて褒めちぎってたぜ…」

 

 そしてどうやら…アンドーの反応からしてその予想は的中も的中、大的中のようだ。

 

「マジか…」

 

 あの借金娘どんだけ口軽いんだよ…主人公(あいつら)がプロキシでパエトーンってのは随分と重要なことだろうに。俺も口滑らせないように気を付けねえと。

 

「やっぱりね、思った通り!どうせ情報の見返りに、なんかあげたんでしょ。ニコが口止めする理由なんて他にないもんね」

「やっぱりってなぁ…少しは信用したれよ」

「借金してる時点で、だよ?山月さん」

 

 などと詰め寄るが、リンは『今は大事な話があるよね』と言いパッと話を依頼の内容へと変える。そしてアンドーに対して、一体何をして欲しいのかを尋ねる。

 そんな言葉に、アンドーは嬉しそうな反応を見せて、現場まで案内してやると行ってくる。依頼の内容に関しては、白祇重工の社長が直々にするとの事だ。

 

「現場って…白祇重工が最近請け負った、地下改修プロジェクトの?」

「ああ!ヴィジョンの手に落ちてたら、あの辺も木っ端微塵になってたんだろうが…今は我が社の社員が汗水たらして働く、漢の戦場だ!ハハハハッ!」

 

 鬱陶(うっとう)しく感じる程度には暑い男だが、その分正直者であるというのもよく伝わって来る。とは言え、リンたちからすればこれは仕事…一通りの準備が必要なのは事実で、ひとまずビデオ屋の裏にある駐車場で少し待っててくれと伝える。

 そして準備を終え次第、アキラが車でその現場まで送る事になった。

 

  

 






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