OVA:共鳴を使わない男を、共鳴最強の世界三位にぶつけてみた   作:檻@102768

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4 悪魔、降臨――――秤よ止まれ、お前は美しい

 

 

 

 スルトは、動かない。

 召喚したターンは動けない。だがそれでも十分に圧倒的、威圧的だった。

 

 

 ただそこに在るだけで、盤面の全てを支配する。

 

 灼ける熱。押し潰すような質量。

 それらが場を覆い尽くしているにもかかわらず――

 

 

 

 

 

「此方のターン……」

 

 

 

 

 

 彼女は、一切それに触れなかった。

 

 

 

励起(レディ)維持(アップキープ)抽出(ドロー)。……白の色彩(カラー)をセット」

 

 

 カードを起こし、手札を引く。

 色彩を置き、マナを生み出す。

 

 淡々と、次の手順へ移る。

 まるで。

 

 

 

 そこにある巨人の存在の強大さなど、計算のうちとでも言うかのように。

 

 

 

「色彩から、2コストを生成。クリーチャーを召喚します」

 

 

 カードが、静かに置かれた。

 

 盤面の中央。

 巨大なスルトの影の中に、収まるように。

 

 

 そして、告げる。

 

 

 

「それは戒め。終わるはずのものが、終わらぬという理」

 

「それは天秤。勝利と敗北を、等価でないまま吊るすもの」

 

 

 

 宙空に、紫電が走った。

 

 薄く滲む雲が卓上に広がり、そこから幾多の鎖が這い出す。

 絡み合い、重なり合い、中央に――ブォン、と低く唸る音。

 

 六芒星が灯る。

 

 

 

 それは、巨大ではなかった。

 

 

 

 むしろ、あまりにも小さい。

 

 鎖に絡め取られた、人型の影。

 角も翼もない。ただ、未完成の輪郭だけがそこにある。

 

 

 だが。

 

 場に出た瞬間、空気の温度が変わった。

 

 

 

 

 

 

 スルトの出現した時の、呼吸で肺の奥まで焼けそうな熱量。

 巨躯による圧迫感。それとは全く違う。

 

 重くなるのではない。

 

 

 

 

 

 ――――――凍る。

 

 

 

 

 

 

「クリーチャー、〈縛なるもの 終焉未達体(ネヴァー・エンド)〉を召喚!」

 

 

 

 

 呼び出されたクリーチャーのコストは、僅かに2。

 スタック1/1。

 

 あまりに軽い。

 あまりに小さい。

 

 〈スルト〉の前では、塵芥に等しい。

 

 

 

 だが、そのカード枠の下に記された二文が、盤面を支配する。

 

 

 

 

だから、か(・・・ ・)。…………道理で、〈スルト〉(こっちの切り札)に動じなかった訳だ)

 

 

 してやられた(・・・・・・)。…………その事実を、受け入れる。

 

 

 

 

「確認しておきます。……効果は、ご存知ですか?」

 

「ええ、存じ上げてます」

 

「それは結構。ですが、改めて言わせて頂きましょう――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、世にも稀なルール介入型クリーチャー。そして耐性持ち。

 

 『除外不可能(・・・・・)』。そして、その介入効果は――――――

 

 

 

 

 「其方は勝利できず、此方は敗北しない(・・・・・・・・・ ・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 ――――――ただいるだけで、勝敗(傾き)を尽く歪めるものだった。

 

 

 

 

 







相手からは勝利を奪い、自分からは敗北を奪う。ああなんて一方的。
だがそれも当然だ。――――悪魔の天秤は古今東西、不平等だと決まっている。


     ―――――《縛なるもの 終焉未達体(ネヴァー・エンド)





――――――――――




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