神と転生者達が送る自作自演(仮)   作:晴天桜花

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キャラ同士の呼び方が分からんのです、口調も分からんのです。

評価いっぱい増えて美味しいっす!
評価バーが赤くて、よく分からんすけどニコニコしちまうっす!
感想も2件増えて感謝あざす!!




白昼夢の警告

 

 

 シャーレの地下に設けられた防音の訓練室。

 重々しい打撃音と、空気を切り裂くような乾いた銃声が絶え間なく鳴り響いていた。

「シッ……! ハァッ!!」

 ミレニアムの誇るエージェント組織『C&C』のリーダー、美甘ネル。

 彼女は汗だくになりながら、最高難易度に設定された訓練用ドローンを相手に一心不乱に立ち回っていた。だが、その動きにはいつもの荒々しいキレがない。

 無意識のうちに、彼女の脳裏にはあの地下廃墟での光景がフラッシュバックしていた。

 

 ミレニアムの『約束された勝利の象徴』である自分を、まるで小石を蹴り飛ばすかのように粉砕した、あの圧倒的すぎる暴力。

 ドローンの動きが、一瞬だけあの黒いフードの少女(セツナ)に重なる。

「チィッ!!」

 焦りが生んだわずかな隙。ドローンの模擬弾がネルの肩をかすめ、彼女は大きく舌打ちをして後方へ跳んだ。

「おつかれさまー。そこまでにしといたら?」

 不意に訓練室のドアが開き、屈託のない声が響いた。

 メイド服姿の長身の少女――一之瀬アスナが、スポーツドリンクのボトルを片手にニコニコと笑いながら立っていた。

「……アスナか。悪い、アタシはまだやるぜ。ちょっと調子が出ねぇだけだ」

「えー? リーダー、心ここにあらずって感じだよ? そんなんじゃ怪我しちゃうかも」

 図星を突かれ、ネルは気の抜けた返事をして視線を逸らした。

 あの敗北の日から、ずっとこの調子だ。自分が無力だったせいで、先生が殴られた。もし相手に殺意があれば、先生はあの場で命を落としていた。その事実が、ネルの戦士としてのプライドをひどく痛めつけている。

「……らしくないなー、リーダー」

「あ?」

「何があったか全然わかんないけどさ。リーダー一人で抱え込まないで、ちゃんと私たちにも頼ってほしいな。ね?」

 アスナは真っ直ぐな瞳でネルを見つめ、ポイッとボトルを放り投げた。

 それを受け取ったネルは、ふぅと深く息を吐き出し、乱れた前髪をかき上げた。

「……アタシが、手も足も出ずに負けた。先生を守れなかった」

「うん」

「相手は、名簿にも載ってねぇ謎のガキだ。どこの誰かも分からねぇ。だが……信じられねぇくらい、強かった」

 ポツリポツリと、ネルは廃墟での出来事を語り始めた。

 アスナは一切茶化すことなく、真剣な表情で相槌を打つ。そして全てを聞き終えると、いつもの明るい笑顔をパァッと咲かせた。

「そっか! その子の事情はよくわかんないけど、今度会った時は、私も一緒にリーダーと戦うよ!」

「バカ、あいつはヤバい。お前らまで巻き込むわけには……」

「もちろん、アカネとカリンと、後トキちゃんも一緒にね! C&C全員でかかれば、絶対負けないもん!」

「アスナ……」

 何の根拠もない、だが絶対的な信頼に満ちたアスナの言葉に、ネルの胸の奥で燻っていた焦燥感が少しだけ晴れていく。

「……フン。そうだな。次は絶対に負けねぇ」

 ネルはボトルを握りしめ、かつての鋭い光を瞳に取り戻した。

 ◇

 一方その頃。

 シャーレの執務室にいた私は、これまでキヴォトスで繋いできた縁を頼りに、様々な方面から情報を集めていた。

 セツナの素性や、『反転世界』に繋がる手がかりを探すためだ。

 だが、めぼしい情報は上がってこない。唯一気になったのは、アビドスやブラックマーケットの方面から流れてきた「最近、カイザーコーポレーションが土地の買収ではなく、近海の『海』へ向けて不審な動きをしている」という噂程度だった。

 一応そちらにも目を光らせておくよう手配した直後、私の端末に一通のメールが届いた。

 送信元は、ミレニアムの明星ヒマリ。

 内容は「忠告」と、エンジニア部のウタハとヴェリタスの共同で解析した『マネキンが発していた微弱な電波』のデータファイルだった。

 メールにはこう記されていた。

『解析の結果、マネキンはこの特殊な電波を発信しながら、こちらの世界に存在するはずの【ワープゲート】を目指して移動している可能性が高いです』と。

 

 ――そして、視点はミレニアムの特異現象捜査部へと移る。

 

「あり得ないね。そんなゲート、本当に実在するの?」

「ええ。ですが、この電波の指向性が示している以上、間違いありません」

 ヒマリの報告を受け、ハッカー集団『ヴェリタス』の面々――チヒロ、マキ、ハレたちは寝る間を惜しんでキヴォトス全域のネットワークと監視カメラを調べ尽くした。

 しかし、ゲートらしきものはどこにも見当たらない。皆が「ヒマリの勘違いでは」と疑い始めた、まさにその時だった。

『――ッ!? なんだ、これ!』

 ハレが悲鳴のような声を上げた。

 強固なセキュリティを誇るミレニアムのメインサーバーに、正体不明の『何者か』が信じられない速度で侵入してきたのだ。

「ヒマリ部長! 第三層の防壁が突破されました! 標的は……私たちが昨日まとめた『マネキンと反転世界』に関する調査データです! 全削除のコマンドが走っています!」

「なっ……!?」

 ヒマリと、連日の徹夜作業で死んだ魚のような目をしているチヒロが顔を見合わせ、即座にコンソールを叩き始めた。

 一瞬の対応の遅れ。だが、ミレニアムの頭脳である二人がかりなら、いかに未知のハッカー相手でも容易く弾き返せるはずだった。

「私の防壁をこんなにあっさりと……!? くっ、アクセス経路を特定しなさい! 逆探知を……」

「……無理だよ、ヒマリ。ダミーのIPが多すぎる」

「相手の処理速度がおかしい。こっちの防壁の再構築、全然間に合ってない」

「くっ……!」

 異常事態だった。

『全知』有するヒマリが、いつもの優雅な前口上を述べる隙すら与えられない。必死に防壁を展開し、カウンタープログラムを走らせるが、敵のハッキング速度と演算能力は彼女たちの理解を遥かに超えていた。

 二人がかりの全力で、ようやくデータの削除進行を数分遅らせるのが限界だった。

「ハレ! マキ! 今すぐ重要なデータのバックアップを別の媒体に移しなさい!!」

「は、はいっ!」

「急げ急げーっ!!」

 ヒマリの悲痛な叫びに、ハレとマキが物理ドライブを繋いで必死にデータを吸い上げる。

 数分後。

「大事な部分の移行、終わりました!」

 その報告を聞いた瞬間、ヒマリとチヒロはキーボードから手を離した。

 直後、モニター上の該当データが凄まじい勢いで文字化けし、完全に削除されて消滅した。

 静まり返る部室で、ヒマリは目を閉じ、深くため息をついた。

「……キヴォトス広しといえど、『全知』の称号を持つこの私が、力比べで純粋に負ける日が来るとは思いませんでした」

 敗北宣言。それは、ミレニアムの頭脳が未知の存在に後れを取ったという事実。

 ヒマリはすぐさま先生宛てに、ハッキングされた事実と『この件は私たちが想定している以上に、はるかに闇が深い』という強い警告のメッセージと共に、死守したバックアップデータを転送した。

 

 ◇

 

 ヒマリからの緊急データを受け取った私は、顔をしかめながらシッテムの箱を起動した。

 “……アロナ、これを見てくれ。ミレニアムのセキュリティを正面から破るハッカーなんて、一体何者なんだ? ”

『先生! これ、ハッキングの痕跡が……普通のプログラム言語じゃありません! なんていうか、ノイズそのものを圧縮してぶつけてきたような……』

 “やはり、あの『反転世界』からの干渉か”

 データの中身を確認すると、リオが残していた文献の解読メモが含まれていた。

『あ、先生! この古代の文献の出所……これ、トリニティ総合学園の古書庫にあるものと同じ波長を感じます! リオ会長も、過去の文献を調べるためにトリニティの資料を参照していたみたいです』

 “トリニティか。……よし、まだお昼時だし、手がかりを探しに直接行ってみよう”

 私は今日のシャーレの当番である、トリニティの生徒・聖園ミカに声をかけた。

 事情を簡単に説明し、護衛も兼ねてついてきてもらうようお願いする。

「えー? また先生、私の知らないところで見ず知らずの生徒を救おうとしてるの?」

 ミカは呆れたように笑いながらも、「しょうがないなぁ」と私の隣に並んで歩き出した。

「でも、先生がそこまで言うなら、よっぽどのことなんだよね。私も手伝ってあげる!」

 “ありがとう、ミカ。頼りにしているよ”

 軽い雑談を交わしながら、シャーレのビルのエントランスを抜け、外へと出た。

 その瞬間。

 ――ぞわり、と。首筋に冷たいものが走った。

「……え?」

 違和感。

 お昼時で、本来なら多くの生徒や人々が行き交い、賑わっているはずの大通り。

 そこに、人が『一人も』いなかった。

 車の走行音も、遠くの街の喧騒も、風の音すら聞こえない。まるで、世界から音が切り取られてしまったような不気味な静寂。

「……先生。後ろに下がって」

 ミカが、先ほどまでの明るい笑顔を完全に消し去り、真剣な――鋭い眼差しで私の前に立った。彼女の野生の勘が、最大級の警鐘を鳴らしているのだ。

 私とミカが周囲を警戒し、正面から一瞬だけ目を逸らした、その刹那。

 ――気づけば、そこに『それ』が立っていた。

 距離にして十メートルほど先。

 全身を真っ白な服で包んだ、一人の少女。

 いや、少女の姿をしているが、それが本当に人間なのかすら分からない。髪も、肌も、服も、全てが異常なほどに白く、周囲の景色から完全に浮き上がっている。ヘイローは見えない。

「先生……お願い、話しかけちゃダメ」

 ミカが、私をかばうように小声で懇願してきた。

 あのミカが、冷や汗を流している。私の本能も、目の前の存在が『キヴォトスの理』から完全に外れた危険な存在であると訴えかけていた。

 しばらくの沈黙。やがて、向こうから気さくな声がかかった。

「やあ」

 透き通るような、それでいて感情の底が見えない声。

「……お願い、反応しないで。あれは、私たちが関わっちゃいけないやつだから……」

 

 ミカの震える声を背に受けながらも、私は前に出た。

 セツナの件を調べている最中に現れたのだ、無関係なはずがない。

 真っ白な少女は、首を小さく傾げ、事務的な口調で告げた。

「この件から手を引いてください」

 “……それは、どういう意味かな。君は誰なんだ? ”

 私はミカの忠告を無視し、堂々と問い返す。

 少女の表情は一切動かない。ただ、冷たい事実だけを突きつけるように唇を動かした。

「忠告です。命令でもあります」

 “答えになっていない。私は先生として、苦しんでいる生徒を見捨てるわけにはいかない”

 私の言葉を聞いた真っ白な少女は、わずかに目を伏せ、芝居がかったような、しかしひどく重圧のある言葉を紡いだ。

「――覚悟が足りない。頭が足りない。勇気が足りない。力が足りない」

 少女の周囲の空間が、ノイズのようにジリジリと歪み始める。

「現実を受け止めよ。汝の名は、正義なり」

 その言葉が響いた瞬間。

 パチン、と。何かが弾けるような音がした。

 私が思わずまばたきをした次の瞬間。

 

「キャハハハ! そこだーっ!」

「応援を呼べー!」

 喧騒。銃声。排気ガスの匂い。

 いつもの、日常のキヴォトスの大通りがそこにあった。

 道の向こうでは不良生徒たちが銃撃戦を繰り広げ、歩道では一般生徒たちが平然とそれを避けて歩いている。

「……先生? どうしたの、急に立ち止まって。何考えてたの?」

 隣を見ると、ミカが心配そうに私の顔を覗き込んでいた。彼女の表情には先ほどの緊張感は微塵もなく、ただ純粋に私の様子を気にしているだけだ。

 “え……? あ、ああ、なんでもないよ。ちょっと考え事をしていて”

 私は適当に誤魔化しながら、冷や汗を拭った。

 あれは夢だったのか? それとも、あの少女が私の脳内に直接見せた幻覚だったのか。

 定かではないが、事態は間違いなく私の想像を超える次元で動いている。

 ミレニアムのデータ削除。不気味な忠告。

 ……あの子は、こんな恐ろしい存在を相手に戦っているというのか。

 “行こう、ミカ。トリニティへ”

 私の決意は、より一層固く、悲壮なものへと変わっていた。

 彼女を救い出すために、私は急ぎ足でトリニティへの道を歩き始めた。

 





ストックが残り少なくなってきました。
急ピッチで仕上げてますので良きに。
カッコいいブルアカ風の章タイトルほちぃ


評価と感想がもっと増えてたくさん見に来てくれたらニヨニヨ
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