バーがオレンジになりましたが、どうでも良く評価してくれるだけで感謝
感想も増えてデリシャス
もっと増えたら頻度が上がるかもね多分、おそらく、きっと。
徐々に1話からセリフ改行をして読みやすくしております。
――シャーレ襲撃、数時間前。
前日の探索で、沿岸に動かせる小型船が一つも無いことを確認していたカラスは、早朝、二人に一つの相談を持ちかけていた。
やりたくはないが、船がない以上、泳ぐしかない。水着などという気の利いたものは持っていないため、必然的に裸で泳ぐ羽目になった。
装備一式と制服は防水性のバッグに詰め込み、冷たい海を泳いで島の沖に停泊している一隻の大型武装艦へと向かう。
「……マジで最悪だ。なんで朝っぱらから裸で寒中水泳しなきゃなんねぇんだよ」
「文句を言わないでください。見つからずに乗り込むにはこれが一番確実なんですから」
「……着いた。静かに」
船の後方、クルーザーや水上バイクが格納されているエリア。警備の手薄なそこから内部へと侵入する。
見回りをしていた見張りの背後に音もなく忍び寄り、カラスが素早く首を捻って無力化した。
安全を確保すると、三人は防水バッグからタオルを取り出して濡れた身体を手早く拭き、制服と装備を身につけた。
そして、甲板へと向かう。
◇
島の沖に停泊していた、カイザーコーポレーションの大型武装艦。
甲板でパトロールに当たっていた兵士は、退屈そうに海風を避けていた。
「……ん? おい、甲板の端になにか――」
相棒に声をかけようと振り向いた瞬間。
視界の端で、凄まじい風切り音が鳴った。
直後、相棒の頭部がヘルメットごと粉砕され、甲板に崩れ落ちる。
「なっ、敵s――!?」
無線のスイッチに指をかける暇すらなかった。
音もなく肉薄した黒い影――セツナが、懐に一瞬で潜り込む。放たれた拳が腹部に深々と突き刺さり、その機能を完全に停止させた。
声も出せず、崩れ落ちる兵士。
甲板に響き渡る乾いた銃声と、鈍い打撃音。それはわずか数十秒の出来事だった。船に配備されていた一個中隊は、誰一人として襲撃者の姿をまともに認識することすらできず、文字通り「瞬く間」に全滅した。
◇
甲板をセツナが瞬時に制圧し、船の内部はカラスとカムロによって完璧に制圧が完了していた。
この異常事態に気付いていない操舵室では、三人ほどの船員が雑談をしながら呑気に休憩を取っていた。
そこへ、カラスたちが堂々と扉から押し入る。
「キヴォトスまで行け」
カラスが冷たく一言だけ告げ、船長の頭部に銃口を突きつけた。他の二人は無言で背後に控えている。
「な、なんで生徒がこんなところに。警備兵は……」
「無駄口を叩くな」
カラスが船長の背中を銃口で小突き、操舵盤の前まで歩かせる。だが、船長は大人の意地なのか、それとも恐怖で足がすくんだのか、その場でピタリと微動だにしなくなってしまった。
カラスは一切の躊躇なく、船長の耳元スレスレに向けて弾丸を放った。
パァァンッ!
正面のガラスが激しく割れる音。本気で殺される。そう悟った船長は、ひどく怯えた様子で本土へ向けて舵を切った。
1時間後。キヴォトス本土が見えるギリギリの位置に到達した。
扉から出て行く直前、カムロがにっこりと人の良い笑顔を浮かべて船員たちを振り返った。
「逃げようとしても無駄ですよ。この船には私が爆弾を仕換えておいて、スマホから遠隔で起動できるようにしていますし。それに、逃げても貴方達に莫大な損害額が降り掛かるようにデータも細工しておきました。物理的に死ぬか、経済的に死ぬか……お好きな方を選んでくださいね」
「……性格悪」
カムロのあまりにえげつない脅し文句に、どちらかがドン引きするような声を漏らした。
甲板に出る最中、セツナが「制圧中に見たんだが、甲板後方に小型ヘリがあるぞ」と告げると、カムロが「私、運転できます」と即座に応じた。
「……じゃあ、二手に分かれよう。カムロはヘリでピックアップ。私とセツナは水上バイクに乗って港付近まで近づき、そこから泳いで上陸して車を強奪。シャーレに行く」
カラスの指示に、セツナが顔をしかめる。
「水上バイクだと制服と装備がビチャビチャになるぞ」
「……盲点」
「流石に、また裸で水上バイクに乗るのはヤバいですよね」
「痴女すぎる」
「水着があれば……」
真面目に悩む二人に、カムロが根本的な疑問を投げかけた。
「そもそも水上バイクじゃなくて、普通のボートじゃダメなんですか?」
「運転の仕方が分からねぇ。バイクならノリで分かりそうじゃん」
結局、カムロにボートの乗り方をレクチャーしてもらい、大雑把すぎるセツナを避けてカラスが運転を担当することになった。
◇
キヴォトス本土へ上陸後。彼女たちは手近な車を住民から適当に強奪し、シャーレを目指して走り出した。
しかし、襲撃前で顔を隠す必要もない制服姿の彼女たちは、道中、観光がてらにD.U.の街並みを散歩し始めてしまった。
巨大なサンクトゥムタワーを見上げたり、ブラックマーケットの入り口を覗き込んだり。
そんな中、ワイルドハント芸術学園の生徒に突然腕を引かれた。
「そこのキミたち、いや特に背の低い子達! 素晴らしい被写体ですね! ぜひ私のために、ヌードデッサンをやらせてくれませんか!?」
何度断っても諦めない生徒だったが、最後には根負けし、強引に連絡先を交換させられた。「興味があったら連絡して下さい! 謝礼は弾みますから!」と走り去っていく背中を、二人は呆然と見送った。
「……芸術肌の人って、どこかおかしいよね」
「嵐のようでした」
「…………オレは?」
◇
スマホで時間を確認する。あと一時間でお昼だ。
彼女たちは近くに停めさせておいたヘリに乗り込み、いよいよシャーレへと飛び立った。機内では、逃走ルートについての相談が行われる。
「逃走はどうする? 万が一こっちが追い詰められたら」
「……臨機応変に対応する。最悪、各自散開してブラックマーケット集合で」
眼下に目的地のシャーレが見えてきたその時、カムロが思い出したように声を上げた。
「そういえば、逃走用に確保しておいたあの車……乗ってこなくて大丈夫でしたか?」
「「あ」」
観光が楽しすぎて、完全に忘れていた。
だが、二人は「まあ、なんとかなるでしょ」の精神で瞬時に気持ちを切り替え、無かったことにして付近にヘリを降ろすよう指示を出した。
「私がミサイル撃ち込んだと同時に突入してくださいね。その瞬間に、ジャミングや諸々が発動しますから」
着陸したヘリの陰で、カラスとセツナは手早く制服の上から装備を着込んでいく。セツナはタクティカルベストとフードだけの軽装だが、カラスはセツナに着替えを手伝ってもらいながら、肌の露出が一切ない重装備へと身を包んだ。
無骨なマスクにフード。素顔は全く見えない。
「……行くぞ」
二人は物陰から一気に飛び出し、小走りでシャーレのビル前へと向かった。
平和な白昼の大通り。重武装の二人の姿は、一部の生徒が物珍しそうに視線を向けてくる程度だった。
その直後だった。
――ヒュオォォォォォンッ!!
上空から、空気を切り裂く恐ろしい轟音が響き渡る。
同時に、強烈なジャミングが発動した。シャーレから半径三十キロ圏内のすべての監視カメラ、そして生徒たちのスマホに砂嵐が走り、通信網が完全に遮断される。
最初、街の人々を包んだのは純粋な『困惑』だった。
スマホを見ていた生徒たちは「圏外?」と首を傾げた。信号機が突如として全て機能停止したことで、大通りではあちこちで接触事故が起き、運転手たちが車内からクラクションを鳴らし始めた。モノレールは線上で急停止し、カフェのレジやオフィスのモニターも一斉に真っ暗になった。
だが、その困惑は――直後にシャーレの上層部で弾けた大爆発の轟音と、噴き上がる黒煙によって、一瞬にして『恐怖』へと塗り替えられた。
「キャアアアアアッ!?」
「逃げろ! テロだ!!」
誰かの悲鳴を合図に、パニックの波が爆発的に広がる。車を捨てて逃げ惑う人々。平和だった白昼の街は、完全な機能不全へと叩き落とされた。
計画性が皆無でどこか抜けてる素人集団の実態など、知る由もない市民たちにとって、それはこの世の終わりにも等しい光景だった。
シャーレ襲撃と言いつつ裏側をみせたり。
私は悩んでる、マジ徹底的か少し手心加えて徹底的か。
また来週投稿出来たらします。忘れてたらすんまそ。
ワロタ