神と転生者達が送る自作自演(仮)   作:晴天桜花

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評価、感想お待ちしてます

めんどくさいのでルビは振ってません


自己紹介と情報共有

 

 体感で五分が経ったころ、閉じていた目をゆっくりと開く。

 

「で、誰から?」

「誰でもいいですけど」

「じゃあオレからでいいか?」

 

 赤髪はデスクから降り、私達の前に出た。

 

「竜宮院(りゅうぐういん)セツナ。スマホ触ってた高校生だ。理由は、響きの格好良さと強そうだからだ」

 

「いいんじゃない。呼びやすそうだし。……それにしても、年下だったんだな。年下に引っ張られる大人って……」

 

「情けないですね……。次は自分が」

 

 私と黒髪は思わぬところでダメージを受けた。さっきから年下に主導権を握られていて、大人のメンツ丸潰れである。

 セツナは黒髪と入れ替わるようにデスクに座り直し、話を聞く体勢を取った。

 

「スーツの社会人、雨宮(あまみや)カムロです。理由は特に無いんですけど、強いて言えば前世の苗字が雨宮だったのと、好きな漫画のキャラにカムロがいたので」

 

「男っぽい名前だけど、いいんじゃね?」

 

「うん。次、私か」

 

 なんと、最年長者はカムロだった。見た目はオドオドしているのに、中身は元気でやかましい変態が最年長とは。

 前に立って発表するのは面倒くさいので、私はその場に座ったまま口を開いた。

 

「神黒(かみくろ)カラス、大学生。見た目が白髪だし、全体的に真っ白だから、反対の意味の言葉と動物にして混乱を誘おうと思って。それと、口調や仕草もこれから変えていこうと思ってる。ロールプレイは重要だし」

 

 女の子の身体になったことだし、一人称も『私』にしておこう。

 

「儚げな印象で、何故か表情があまり動かないから、無口キャラで行く。……そう、分かった。一言二言しか喋らないように意識する」

 

「理由は不純だけど、いいんじゃね。オレ達は素でキャラ立ってるからそのままでいいか。カラスとは口調が被ってたからちょうどいいな」

 

「そうですね。皆さんネーミングセンスばっちりです。お二人とも、よろしくお願いしますね」

 

 自己紹介を終え、次は情報共有へ移る。

 

「カムロは、先にこっちの世界(拠点周辺)に来て、何か分かったの?」

 

「はい。ですがカラスさんがいつ目覚めるか分からなかったので、着替えてぱぱっと街並みを見ただけなんですよね。戦争の跡か、世界の終焉か……おそらく皆さんと同じ感想だと思います。ただ……先に来てここ(拠点)で見つけたあの『本』によると、ここ灰色の世界は『反転した世界』だそうです。今いる場所も、裂け目から出れば実際にある『忘れられた都市』という場所らしいです。つまり、ここは鏡の中の世界で、こっちで暴れても向こう(現実)では気付かれないし、壊れる心配も無いってことです」

 

 カムロの話をまとめると、『本』に書き込むことで、この世界や【次元の裂け目】の設定が判明したらしい。

 分かりやすくするため、キヴォトス側を【表】、反転した灰色の世界を【裏】と呼称する。

 ――【表】の世界では【裏】の存在は認知されていない。

 ――ただし、【裏】で強力な力(神秘)が使われると、【表】の各所に【次元の裂け目】が出現する。

 ――【表】から裂け目に入った者は、この島のどこかに転送され、裂け目は消失する。つまり、【表】の住人が【裏】に来るには、特定の裂け目を経由するしかない。

 

 ――逆に、【裏】の『厄災』が私達の守りを突破すれば、どの裂け目からでも【表】へ侵入可能。そうなれば、何万という脅威がキヴォトスで破壊の限りを尽くす。

 この島は前哨基地のようなもので、定期的に襲撃が来るらしい。それを追い払い、準備を整えてから本島(表)へ転移し、【裏】の世界を攻略していく……という流れだ。

 このプレハブ校舎は、襲撃の際の寝泊まり兼休憩所で、基本はここで生活する。半年に一回、大人(神)が食糧や武器、服を届けてくれるため、誰か一人が【表】で受け取り、必要な分だけ持ち帰るそうだ。

 

「てな感じですかね」

 

「この短時間で調べたにしては十分だろ。あとは困った時に『本』を見るか、先生の前で意味深に書き込むフリをする用ってところか」

 

「先生の前で書き込むのもいいわね。意味ないけど、考え込んでくれそうだし」

 

「あとは探検ですよね。自分は軽く見た程度なんで、隅々までは見てないんですけど、行きます?」

 

「当たり前だろ。自分が生活するところだぞ」

 

 会議室(仮)を出て、二階から探索を始める。

 左側は普通の教室。右側には仮眠室と簡素なキッチン。奥には娯楽室があり、楽器や映画、ドラマなどが見放題らしい。

 一階に降りると、玄関から見て左側には試着室やクローゼット、そして武器の整備や訓練ができるよう壁がぶち抜かれたスペースがあった。左奥は客間のような良い部屋。

 右側手前は、最新機器が揃ったPCやデバイスの部屋。ご丁寧に紙で『作業部屋、神より』と書いてあった。

 明らかに神からの贔屓(ひいき)を感じたので、私は無表情のままカムロの後頭部を引っぱたいておいた。涙目でこっちを見てきたので、もう一回振りかぶると怯えた。おもしろい。

 奥は簡易な室内温泉になっており、脱衣所、シャワーが四つ、その後ろに温泉が沸いている。

 一通り見終わり、脱衣所で感想を語る。

 

「結構充実してんね」

 

「人が生きる上で最低限以上は揃ってますしね」

 

「……思ったけど。この校舎、トイレは?」

 

「あ」

 

「そう言えばそうだな。外でしろってか? ハードル高いぞ、女になったばかりなのに。そこの変態と違って」

 

 セツナがジト目でカムロを見る。

 カムロは気付かないフリをして、私の疑問に答える形で敢えて無視をした。

 

「トイレですか。確かに校舎内には無かったですね。もしかしたら外にあるんじゃないですかね」

 

「ありえる。行こっか」

 

「無視かよ……」

 

「なんか言いましたか? セツナさん」

 

「……いや、何でもない」

 

 結局、トイレは外にあった。あったが……。

 

「流石にこれは……。今時、和式とか」

 

「男だったとしても嫌だぞ」

 

「中も最悪だったぜ。鍵ないし、建て付け最悪。もしここに男が居たら覗きたい放題だ」

 

 トイレは校舎の後ろにあり、茂みに隠れて見えにくい。だが問題はそこじゃない。

 和式トイレの中は一段高く、扉側に向かって用を足さなければならない。さらに古くて建て付けの悪い木材で、隙間が空いている。隣との距離はあるものの、周囲が静かすぎて音丸聞こえだ。

 ちなみに、後で『本』に書き込んで聞いたところ、校舎内にももう一つ「隠しトイレ」があったらしい。しかし、何を思って作ったのかR18仕様(いかがわしい用途向け)すぎたため、最後の緊急手段として記憶の片隅に留めておくことにした。絶対に使わないと思うが。

 

「でも、一回はやってみたいですよね」

 

「勝手にやってろ。一人でな」

 

「気になるから、一回だけならいいよ」 

 

「え?」

 

「流石カラスさん、ノリが分かってますね! そうですよ、折角女の子になったんですから、一回は試してみたいですよね!」

 

「これ、オレがおかしいのか?」

 

「客観的に見て、無表情で素っ気ない女の子が赤面してるの、エロいよね」

 

「分かります! カラスさんが赤面したらエッチそうなの想像できます! 

機会があればやりましょう!」

 

「うん」

 

「うん、じゃなーい! やらない!」

 

「ちぇ、いけず」

 

 顔を真っ赤にしたセツナが、二人を置いて一人で会議室へ戻っていく。

 

「あーあ、怒らせちゃった」

 

「ウブですね、セツナさん。……私たちも早く戻りましょうか」

 

 先に歩き出すカムロの腕を引っ張って、後ろにたたらを踏ませる。そして、その耳元で囁いた。

 

「いつか、やろうね」

 

「えっ?」

 

 それだけ言って、私は部屋に入る。

 揶揄い続けるといつか本当に襲われそうなので、ほどほどにしないと。

 

 ◇

 

 会議室に戻り、落ち着きを取り戻したセツナが私を見ながら切り出した。

 

「今日最後の議題だ。っても、ただ『本』に書き込んで確認するだけの内容なんだが」

 

「それは?」

 

「カラス、お前、体調は?」

 

「ん? 大丈夫だけど」

 

「それは可笑しな話だ。神の話によると、カラスの身体は薬を飲まないと症状が緩和しないって言って無かったか?」

 

「今は大丈夫だけど、明日になったら悪くなるのかな? 神のみぞ知るってね」

 

『本』を渡され、そこに疑問を書き込むと、文字が浮かび上がってきた。

 

『症状については明日から徐々に辛くなる。やりたい事があるなら今日中が吉。

 薬は娯楽室の棚の中に三種類あり、それで全ての症状を緩和出来る。戦闘行為は、あまり動かず撃つだけなら数分間は咳程度で収まるが、長時間の戦闘は推奨しない。

 五個だけある「特殊な薬」を飲めば症状を後回しにして本気の短時間戦闘が可能だが、戦闘終了後、反動で喀血や吐血、最悪気絶する。次の日は必ず昏睡し、数日は戦闘不可能になる。

 性行為については、身体に負荷がかかる激しい営みは不可能に近いが、前戯程度ならOK。女の子同士だったら、激しくしないような悦ばせ方を見せてほしい』

 

「最後の方、ただの神の願望じゃねぇか」

 

「カラスさん、やりましたよ! 女の子同士なら可能って神様のお墨付きです! セツナさんも!」

 

「オレはいい。二人でやれ。……やっぱやるな」

 

「そんなことより。戦闘は基本セツナだけでいいの?」

 

「あぁ? 余裕だろ。つかカラスは後方から撃ってればよくね? それなら身体に支障は出ねぇだろ」

 

「自分は後方支援に徹しますね」

 

「じゃあ今日は解散で。身体に慣れるのもいいし、寝るでも風呂入るなり好きにしろ」

 

「オレは隣の部屋で寝るから、煩くすんなよ」

 

 セツナは部屋から出て行った。私も立ち上がる。

 

「どこ行くんですか?」

 

「トイレ。あと、あの癖強トイレに慣れないと」

 

「……ここ、でも……悪くないんじゃない……ですか」

 

「え?」

 

「だから!」

 

 突然腕を引かれ、仮眠室側の壁に押し付けられる。いわゆる壁ドンだ。

 向こうの方が少し背が低い。多分カムロが百五十二センチで、私が百五十四センチくらい。ちなみにセツナが一番高くて百六十五センチだ。

 いや、冷静に分析してる場合じゃない。この状況はもしや? 

 

「……まさか初日で?」

 

「隣の仮眠室でセツナさんが寝てますから、声は抑えて下さいね。先程確認したところ、向こうは防音になってるみたいですが」

 

「まだ初対面だ……んっ、ちゅ、ん、っ」

 

 抗議の声を上げようとするが、喋っている途中で唇を塞がれた。むかついたので、舌を軽く噛んで頭を叩く。

 

「ッッツ〜〜〜!! なにするんですか!」

 

「それはこっちのセリフ」

 

「いい雰囲気だったじゃないですか!」

 

「そう思ってたのはそっちだけ。いきなりこんなハードな事はしたくない」

 

「じゃあ、私の今のこの興奮はどこに仕舞えば良いんですか!」

 

「仕舞わなくていい。着いてきて」

 

「え?」

 

 カムロは面食らったように困惑しつつ、私の後を着いてくる。

 流石にさっき煽っておいて「やっぱナシ」は駄目だと思うし、だからといっていきなりハードな展開は嫌だ。

 外のトイレに連れて行き、「トイレの仕方を教えてもらう」ついでに、少しだけ相手をしてやれば満足するだろうか? 

 そんな思惑で、私はカムロを外のトイレへと誘導した。

 

「じゃあ、どうするか教えて」

 

「本当にいいんですか……? 後悔しませんか?」

 

「早くして。漏れるから」

 

 ――この後、私はほのかに赤面しながらトイレの仕方を教えてもらった。

 そこまでは良かったが、調子に乗ったカムロに後ろから抱きつかれ、結局一度だけいかされてしまった。赤面した私が頬を平手打ちし、カムロは悶絶したらしい。

 

 余談だが、私の反応が薄すぎたため、カムロは私が達した事に気付いていなかった。外の静かなトイレで、少し震えた声が漏れた程度。

 ただ、「締め付けが良かった」とだけ記憶しているらしい。

 

 




【あとがき(設定メモ)】
 リーダーは誰? ざっくり編
「意見とか皆んなを引っ張ってくれるから、セツナがいいんじゃない?」
「柄じゃねぇし、嫌だ。カラスとかどうよ」
「確かに良いですよね。見た目も儚げだし、喋り方や雰囲気を大事にすれば、曇らせ要員に向いてますし」
 というわけで、リーダーは神黒カラスに決定。
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