元になった夢を見たのは4月の終わり頃、投稿時点(2026/05/02)で本当につい最近でありなんとなく伝記小説風に書いてみただけであります。
なんて中二病なんだと思いますが、まぁ夢ですし小説サイトだしいいかな。
あとは多少の誇張表現や、小説に落とし込むためにディティールを創作したりはしています。

また何か夢を見たり書きたいものが思い付いたら小説にしていこうかなと思います。

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2026/04/25 骨の蛇

 

いつも通りの毎日、仕事が終わり、ご飯を食べ、軽く趣味のゲームなり小説を読み───いつもの様に布団に入り目を瞑り気が付いたらアラームが鳴っていて朝になっている。

普段あまりにも夢を見ない為目を瞑って息を整えている間に気が付いたら朝になっている何時もの事。

しかし今日は朝にならなかった、どこか知らない場所で何故か体が動かず一人ぽつんと立っている。

稀に夢を見る時は何時もこうだ、夢だとわかっているのに好きに動けない明晰夢というやつになる。

今日は第三者視点から自身を眺めているような構図で自由に辺りを見回せるようだ、ゲームのやりすぎかもしれない。

 

どこか懐かしくも感じる切り開かれた森の広場、そこに建つ一軒の家───いや、家と言っていいのかわからない例えるならばホラーテイストな絵本に出てくるような歪な建物がそこにはあった。

良く辺りを見渡してみると切り拓かれた森の広場かと思ったが後ろは海で砂浜も見える、一部がアーチ状の岩壁によって隔てられた小さな空間のようだった。

夢の中の私は私と同じように辺りを見渡していた後そのまま歪な家に近づきその空間を一周した、今にして思えば夢の中の私もそれを見ていた私も何故かその建物の中に入ろうとも思わなかった。

家の周りには色々な物が生活感を感じられる状態で置かれていた、薪の束、薪割り用に使っているだろう切られた丸太、いつも同じ場所でしているだろう焚き火の燃えカス、その傍に置かれた金属のポット──────まるで異世界ファンタジーの世界に迷い込んだかのように錯覚する空間だった。

ただ妙だったのはこの時、家に近付く程に胸に圧迫感の様な息苦しさとでも言おうか、息の詰まるような苦しさを覚えたのはハッキリと記憶に残っている。

通常の明晰夢ならばこの違和感を覚えた段階で目を覚ますことが出来たと思うのだが、この時の私は何故か目を覚ますことが出来ないというか、その選択肢が思いつかないまま息苦しさを耐えながら私の探索を眺めていた様に思う。

 

そうして見て周っているとある事に気づいた、この家はやけに小さい気がする例えるなら小学生くらいの子供で丁度良い位の大きさだった。

窓は低く扉は横には大きいが縦には小さい、歪と感じていたのはこういう違和感を覚えたからだろう。

しかし夢の中の私はその辺りには気づいていないらしい家の方を向く事も余りなかったように記憶している、そうして家がある空間を見て回っていると外から開け入るタイプの地下室の入り口を見つけた、私は物は試しとでも思ったのか取っ手を掴み引いてみると少しさび付いたような音を立てて開いた。

開いた先に見えるのは地下に続く手作りであろう石畳の階段、壁は木製の梁を噛ませて補強がされている奥には温かい暖色の光が微かに見え何か光源がある事が確認できた、夢の中の私は躊躇なく階段を降りていく。

 

上物(うわもの)の家がやけに小さいことに反して、この地下へと続く階段はやけに広く大人が二人並んでも余裕がある造りをしているように感じた。

少し長いと感じる階段の一番下まで降りるとそこにはとてつもなく広い空間が広がっており、そこは地下室ではなく掘り進めている鉱山の様に至る方向に掘られており、地上の入り口から見えた唯一の光源では端まで見えないほどの広大な地下洞窟がそこには広がっていた。

 

その光景を暫し見渡す私が最初に目に留めたのは地上から見た暖かな光、唯一の光源である焚火であった。

地下洞窟だと言うのに一切の陰りなく燃え盛る焚火は違和感はあったが同時に温かさと安心感をもたらしてくれたのを覚えている。

その焚火の周りにはいくつか首をかしげる物があった、この洞窟を掘ったのが誰かは分からないが洞窟が自然にできた形ではないことは分かる、つまり掘った道具があるはずなのだがつるはしやショベル等の掘削に使う道具は一切見当たらなかったのだ。

その焚火の近くに突き刺さっていたのはやけに鋭そうな刃を持った斧と金属で出来ているであろう黒い棒だった、私はそのまま焚火に近づいていき暖を取ることに決めたのか近くにあった丸太に腰かけ炎を眺めていた。

 

 

───それから幾程の時間が過ぎたのか、誰かの声が聞こえた気がした。

これには酷く驚いた様に思う、私だけかもしれないが夢の中で人と会話をしている描写の様なものはあれ『声』と認識できる『音』は記憶にある限り聞いたことが無かったのだ。

音は聞こえるが言葉ではなくまるで発泡スチロール同士を擦った様な音や、鳥の鳴き声をごちゃ混ぜにした様な奇怪な音でしかなかった中で初めて聞いた『夢の中の声』である。

私は先ほどの『声』の言った事を聞き逃さないように耳を澄ましながら、先ほどの声を思い返していた、何と言っていただろうか?

「久しぶり」と言っていた気がする、いやしかし私はこのような場所を見たことはない、少なくともこの様な明晰夢を見た記憶はないはずである。

 

もう一度あの声が何かを言うのを待つ、思い通りに動かすことの叶わぬ夢の私もどこか警戒するように丸太から腰を浮かせて焚火の炎を背に暗闇に目をやっていた。

どれ程の時間が経ったのだろうか、ジリジリと胸の閉塞感は強まり息のしづらさが強まっていくそんな時───もう一度『声』が聞こえた、暗闇に響く声は不気味にも聞こえたがそれはやけに澄んでおりどこか懐かしさと同時に安心感を覚える女性の声でこう響いた、「またここに来たの」と。

またという事は記憶には残らない明晰夢ではない夢でここに来たのか、あるいは明晰夢を忘れているか───しかし声の主は姿を見せず声が響くのみであったのだが、炎の柔らかな光が届かぬ暗闇の中に私はどこか不気味な威圧感を感じており、圧迫感を覚えていた胸の息苦しさは増すばかりであった。

その閉塞感に似た胸の圧迫感を夢の私が気づいているかは判らないが光の届かない洞窟の奥で、滑るような音と共に何者かが蠢いているのを私は確かに感じていたのだ。

 

地下の暗闇の中で一人、パチパチと鳴る焚火の明かりを心の支えとして蠢く何かに立ち向かうのは不安だったのだろう、私の意志では動かせない体を操る私は咄嗟に近くに突き刺さっていた斧を手に取り一縷の希望とするようだった、鈍色に炎を反射する刃はともすれば自身を傷付けてしまいそうな程に鋭さを感じさせる。

夢の私も見ている私も双方共に頼れるのは斧だけだと認識していたことだろう腰を落とし、柄を浅く握り何者かが現れるのを待つ体勢に入ったところでまたあの『声』が反響する。

不思議なことに言葉が聞こえた筈なのにこの時の言葉だけは記憶には残っていない、しかしその『声』が聞こえたと同時に暗闇からぬるりと現れたのは白く細長い巨大な骨の集合体、ここまで来ると「私もすごいファンタジーな奴が出てきたな」とどこか冷静になった記憶がある。

今思い返すと似たような骨の形はおそらく蛇の白骨が近いだろうか、蛇の骨は背骨と肋骨しかない為骨の集合体に見えたのだろう、頭部はなく何故か巨大な人骨の右手が頭部のあるべき場所に繋がっていた。

何故か肋骨の向きもありとあらゆる方向に向いており、棘の様に四方八方に肋骨が向いており串刺しにされそうだ。

 

そんなことを考えていると鎌首をもたげる様に巨大な手が降りてきたかと思うと、焚火近くに斧と一緒に置いてあった黒い金属の棒を握りしめ振り上げてきたではないか、行動を注視していたためにその棒には当たらなかったが明確な意思を持ってこちらに危害を加えようとしている事だけは確かなようであった。

夢の中の私はどう行動するのだろうか、そう思いながら見ていると違和感に気づいた。

先ほどまで感じられなかった握っている斧の感触があるのである、いつの間にか視点は一人称になっており自身の意思で体が動くようになっていた、そうして改めて【蛇】を見上げる───三人称つまりは第三者視点で見ている時はそこまで大きく感じてはいなかったが、男性平均身長から考えると全長は自身の三倍から四倍ほどだろうか見上げている関係上実際より大きく見えている可能性はあるがその威圧感は本物のように感じた。

しかし何故急に体の主導権が返ってきたのか分からないが、少なくともこんな化け物と戦いたいとは思わなかった私はとりあえず逃げることにし地上への階段へと走った。

 

しかしその目論見はあっさりと看破されており、【蛇】はその長い骨の尾を叩きつけるように出口に向かって横振りで叩きつけたのだ。

その長い尾を持ち上げたのが目の端に映っていた私は咄嗟に前に飛び込むように倒れこみその横振りを避けることに成功したが、叩きつけられた尾は乱杭歯のようになった肋骨の棘が突き刺さり出口をふさいでしまっていた。

───逃げることは出来ない、戦うしかないのだろうか、この辺で変なスイッチが入ったのだろうか飛び込んだ時に手放してしまった斧を手繰り寄せ力の限りに握りしめ、私は歯を食いしばりビーチフラッグのように立ち上がると同時に反転し【蛇】に突進していった。

 

突進してくる私を迎え撃とうとしているのか、その頭部の代わりに据え付けられた巨大な手によって固く握りしめた金属の塊を振り回すように体を振るい風切り音を響かせていた。

しかし骨の体は柔軟性を欠くのか鞭のようにしなる動きではなく直線を描くように振るう為、でこぼことした地面やそもそもの狙いが逸れてしまっているようだ───今記憶を思い返すとどこか子供相手に手加減しておもちゃを振る父親のような動きだったように思う。

しかし適当に振るわれたものでも巨大な蛇が振るう棒が岩肌を削り飛ばしまるで散弾のように飛ばしてくるのだ、正直たまったものではなかったこっちは普通の人間だぞ、そんな言葉が口から漏れ出た気がする。

ただ夢だからだろう、顔や腕にビシビシと当たる石片による痛みを感じることは夢から覚めてもなかったが、代わりに夢の序盤から感じていた奇妙な息苦しさは傷を負う度にキツくなっていったように思う。

 

そして遂に肉薄した私は木を切るかの様に【蛇】の胴体に向けて横に斧を振り抜いた。

硬質なものを削るような音を響かせて骨の一つに致命的な罅が入るのが見えた、それと同時に【蛇】も私に反撃を繰り出そうと体をしならせ棒を叩きつける体勢に入り───斧の入った箇所から亀裂が広がりしならせる勢いそのままに骨の【蛇】は千切れ倒れたのだ。

千載一遇のチャンスとばかりに棒を握る骨も破壊しようと近づき振りかぶったその時。

「またね」とあの声が聞こえ、次の瞬間にはまた体の自由が効かなくなり斧を振り下ろす自分の背中が見えていた。

 

斧を振り下ろし肩で息をする自分を眺めていると【蛇】がパッと消えていき、夢の私はそのまま【蛇】が掴んでいた金属の棒を引き摺り最初の場所に戻し、斧も床に元通りに突き刺し地下空間を後にした。

あのような大立ち回りを演じたのにも関わらず地下空間は最初来た時と代わりない見た目へと戻っていた。

地上への出口から降り注ぐ太陽の光が眩しいなと思い目を細めると、何か聞き覚えのある音楽が聞こえる。

───耳元でやけに五月蝿い携帯のアラームが鳴っていた、そう認識したと同時に何処か胸が息苦しいままに目が覚めたのだった。

 

今日も何時も通りの1日が始まる。


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