いつからここが尸魂界だと錯覚していた? 作:yvrararara
体育祭のルールが発表された翌日、火曜日の放課後。
クラス全体での競技の練習を終えた後、私とひより、そして一之瀬と神崎の四人は、私の部屋に集まっていた。
目的は、Aクラス首脳陣による詳細な作戦会議である。
とはいえ、いきなり机を囲んで作戦会議というのも味気ない。まずは冷えた身体と思考を温めてもらうべく、会議の前に私とひよりで夕食を振る舞うことにしていた。
肌寒い今日の気候に合わせ、私がキッチンから特製ビーフシチューの大皿を運び出すと、甲斐甲斐しく手伝いをしてくれていたエプロン姿のひよりが、小鉢やカトラリーをローテーブルへと丁寧に並べていく。
「ふふっ。惣右介くんが腕によりをかけて作ってくれましたからっ。ぜひ温かいうちに食べてくださいね」
「わぁっ! 相変わらずお店みたいなクオリティだね! いただきまーす!」
「ああ。藍染の料理は、何度食べても本当に美味い。ありがたく頂こう」
「ふふっ。惣右介くんのお料理は絶品ですからねっ」
ひよりが自分のことのように胸を張りながら、四人分のカトラリーを取り分けてくれる。
激しい練習の後ということもあり、私たちは和やかな雰囲気の中で、あっという間に食事を平らげた。
そして食後。ひよりが手際よく淹れてくれた温かい紅茶を全員で一口飲んだところで、部屋の空気がスッと真剣なものへと切り替わった。
「……今日、坂柳さんからは、同盟の交渉はお断りの返答があったよ」
一之瀬がカップを置き、少しだけ影を落とした表情で報告した。昨日彼女が打診していた、Bクラスとの同盟交渉への返答だ。
「つまり、神崎くんの予想通り……間違いなくCクラス、Dクラスと手を結んで、三クラスで『対Aクラス包囲網』を敷いてくるだろうね」
「やはり、俺たちを最下位に沈めにくるか……」
神崎が険しい顔で腕を組む。
沈黙が落ちる中、神崎がふと視線を上げて提案した。
「……他学年との共闘はどうだ? 藍染を慕う藤泉がいる一年Aクラスとなら共闘できるんじゃないか? 当然、プライベートポイントを払っての交渉になると思うが……」
しかし、その提案に対し、一之瀬はぎゅっとスカートの裾を握りしめ、難色を示した。
「うーん……。私たちの学年の勝負に、後輩たちを巻き込んでしまうのは、少し違うんじゃないかなって」
神崎の合理的な意見と、一之瀬の良心。
私は静かに目を閉じ、二人の言葉を反芻した。
(二人の言うことは、どちらも理解できる。ただ……三クラスで結託されるならば、要たちを巻き込んだ上で、我々が最下位になる可能性もある)
もしそうなれば、協力してくれた要たち一年Aクラスが学年別で最下位になるリスクも高まるし、我々としても貴重なプライベートポイントを無駄に消費してしまうことになる。
(それならば、ここから自分たちのクラスの底上げをして、相手の想像を上回ればいいだけの話だ)
私はゆっくりと目を開き、全員を見渡して言葉を紡いだ。
「――無垢なる者たちを、我々の闘争の渦に引きずり込む必要はないよ。我々自身の魂の強度を高め、彼らの浅薄な盤面ごと凌駕すればいいだけの話だ」
「『一年生を巻き込んだ上で、私たちが最下位になってしまえば、藤泉くんたちのクラスまで最下位の道連れにするリスクがありますし、貴重なプライベートポイントも無駄になってしまいます。それならば、自分たちのクラスの底上げをして、相手の想像を上回ればいい』と言っていますっ」
ひよりが淀みなく翻訳すると、神崎も深く息を吐き出して頷いた。
「……確かに、その通りだな。三クラス合同となれば、坂柳が全体の指揮を取り、綾小路や高円寺といった規格外の存在もいる。単純な数の利もさることながら、須藤や時任、山田といった身体能力の高い生徒も多い。一年生と協力したところで、確実に最下位を逃れられるわけではないか」
「うん。だから、純粋な身体能力で勝負するんじゃなくて……技術が問われる『球技』を中心に練習して、そこにエントリーしよう」
一之瀬が前を向き、具体的な打開策を提示する。
「球技でしたら、必ずしも身体能力の高い生徒が有利とは言えませんからね。今回は部活動経験者が参加できないルールですし、ここからどれだけ技術を身に付けられるかが勝負になりそうです」
「――いかにも。我々が活路を見出すのであれば、その盤面しかない」
(うん。こちらが勝機を見出すなら球技を中心にエントリーするしかないからね)
私は一之瀬とひよりの意見を肯定し、オサレに言葉を続けた。
「――いかに柴田や神崎が優れていようと、純粋な『力』の激突において、清隆や高円寺、あるいは須藤の牙を正面から受け止めるのは至難の業だ。当然、白き女王もそれは理解しているだろう。故に、我々は先手を取り、今日この日のうちに全ての陣立てを終える」
「『柴田くんや神崎くんでも、純粋な身体能力では綾小路くんや高円寺くん、須藤くんたちを相手にするのは厳しいですからね。当然向こうもそれは分かっているはずなので、今日のうちに割り振りを決めて、事前にエントリーを済ませてしまおうと言っています』」
「よし。なら、善は急げだ。早速みんなの割り振りを決めよう」
神崎の言葉を合図に、私たちはすぐさまクラスメイトの能力と適性を考慮しながら、球技と団体戦を中心としたエントリーの割り振りを決定していった。
そして、グループラインで全員に通達を出し、一斉にアプリから事前エントリーを完了させた。
(……ふぅ。あとは当日公開の種目がどうなるか、だな。とりあえず、枠を埋められる前にエントリーができて良かった)
私は手元のスマホを見つめながら、密かに安堵の息を吐いた。
(向こうは三クラスで同盟を組む以上、各クラスの利害調整や誰をどこにぶつけるかといった『意思決定』には、どうしてもある程度の時間はかかるからな。その前にエントリー出来たのは大きい)
「よしっ! 無事に全員のエントリーが終わったね! みんな、遅くまでお疲れ様!」
一之瀬がホッと胸を撫で下ろし、明るい笑顔を見せた。
「藍染くん、遅くまでお部屋にお邪魔しちゃってごめんね! 料理もすごく美味しかったよ!」
「――構わないよ。我が城は、いつでも君たちを歓迎するさ」
(気にしないで。またいつでも遊びにおいでよ!)
私がオサレに微笑んで返すと、一之瀬と神崎は「おやすみ」と言い残し、連れ立って私の部屋を後にした。
二人が帰った後。
キッチンで一緒に食器の片付けをしながら、ひよりが楽しそうに笑いかけてきた。
「あとは、体育祭本番までにしっかり練習するしかありませんねっ」
「――ああ。私も、持てる全ての力を尽くそう」
二人で肩を並べて食器を洗い、他愛のない会話を交わす。
この何気ない時間が、私にとっては何よりも愛おしい。
そうして片付けを終えた後、私はひよりを部屋の前まで送り届けた。
「惣右介くん、今日はお料理まで作ってくれて、ありがとうございました」
「――これくらいお安い御用だよ。君が喜んでくれるなら、いつでも腕を振るうさ」
私が微笑みかけると、ひよりは少しだけ頬を赤く染め、ふいに上目遣いで私を見つめてきた。
そして、小さな両手で私の腰に腕を回し、ぎゅっと抱きついてくる。
「……えへへ。惣右介くんの匂い、落ち着きます」
「っ……」
(か、可愛すぎるっ!! 何度このシチュエーションを経験しても、心臓が爆発しそうになる……!)
内心で大パニックを起こし、メロメロになりながらも、私は何とか表面上は『オサレな余裕の笑み』を保ち続けた。
彼女の銀色の柔らかい髪を優しく撫で、そのままそっと顔を近づける。
「――おやすみ、私の愛しい月」
ひよりもゆっくりと目を閉じ、私たちは甘く、優しい口づけを交わした。
過酷な戦いが目前に迫っているプレッシャーなど綺麗に消し飛び、代わりに内側から確かな活力が湧き上がってくるような、どこまでも満ち足りた夜の誓い。
私は彼女の温もりを胸に深く刻み込み、静かに自分の部屋へと戻った。
(よーしっ! ひよりのためにも、体育祭に向けて明日から気合入れて猛練習だな!!)
来るべき体育祭へ向けて、私は密かに、しかし確かに熱い闘志を燃やしていた。
同日の放課後。
教師立ち会いの下で、正式にBクラスが体育祭における同盟に参加すること、そして過去に葛城と龍園が結んでいたポイント譲渡契約の破棄が取り交わされた。
その手続きを終えた後、三クラスの首脳陣は、ケヤキモール内にあるカラオケボックスの広いパーティールームに集結していた。
Bクラスからは坂柳と葛城。Cクラスからは龍園と金田。Dクラスからは堀北と、オレ――綾小路清隆だ。
「ふふ。体育祭の期間だけとはいえ、よろしくお願いしますね」
ソファーの真ん中に座った坂柳が、涼しげな笑みを浮かべて挨拶をする。
「俺たちも全力を尽くす。よろしく頼む」
葛城が真面目な顔で頷き、金田や堀北もそれに「よろしく」と短く返した。
「ククク。足を引っ張るんじゃねぇぞ」
テーブルに足を乗せながら不敵に嗤う龍園に、坂柳は杖の先でトンと床を叩いた。
「ふふふ。それはこちらのセリフですよ。無能な働きで我々の足をすくうような真似はしないでくださいね?」
初っ端からバチバチと火花を散らす両者だが、同盟の意思は固まっている。
「体育祭本番では、当日公開のエントリー枠を含む、全体の指揮をあなたにお任せしてもいいかしら?」
堀北が話を本筋に進めると、坂柳は余裕の笑みで頷いた。
「ええ。競技に参加できない分、私が指揮を取りましょう」
「事前エントリーはどう考える? Aクラスも、俺たちが同盟を組んでいることはすでに知っているだろうからな」
葛城が腕を組んで問いかける。
「向こうの出方を見て後出しで主力を潰しに行くか、それとも先に枠を押さえ、相手が狙った競技に参加できないようにするか」
「先に枠を押さえつつ、主力は相手の出方を見てからエントリーさせるのが一番効率がいいだろう」
龍園の意見に、堀北も同意するように頷いた。
「そうね。明日の放課後から合同での練習をして、それぞれの適性を見極めて割り振っていきましょう」
「……おそらく、Aクラスは今日か明日のうちには事前エントリーは済ませてくるぞ」
オレは出されたドリンクを見つめながら、静かに口を挟んだ。
「Aクラスからすると、この包囲網の中で勝機を見出すならば、純粋な身体能力よりも『技術』が問われる球技系の種目に的を絞るしかない。オレたちが適性を見極めて枠を埋める前に、早々にエントリーを済ませてくるだろう」
「綾小路くんの言う通りですね。適性を見極める前に枠をある程度潰すという選択肢もありますが……」
坂柳が目を細めると、葛城が懸念を口にした。
「そうなると、適当に埋めたせいでこちらが手薄になった競技で、相手に確実に得点を重ねられることになる。相手が先にエントリーを済ませるのならば、こちらは適性を十分に見極めた上で、Aクラスを上回る戦力を後出しで投入するのが堅実だろう」
(参加可能な種目や枠もかなりあるからな。先に闇雲に枠を潰すのは、いくら三クラス合同であろうとリスクが高い)
オレは内心で盤面を計算する。
他学年との兼ね合いもある。そちらで無駄に得点を落としてしまっては元も子もない。相手がエントリーしているところに、こちらの戦力をどう適切に配置するかが鍵になる。
「確かにその通りね。球技ならば技術が問われるとはいえ、経験者は参加できないルールだし、身体能力の高い生徒が有利となるのは間違いないわ。適切に配置しつつ、練習を重ねて地力を上げるしかないわね」
堀北が結論を出し、大まかなエントリーの方針が固まった。
その時、坂柳がふと真顔になり、龍園の方へと顔を向けた。
「それから、龍園くん。勝利のためにAクラスの生徒にわざと怪我をさせるだとか、そういう『盤外戦術』は絶対に取らないでください」
「あぁ?」
不満げに睨みつける龍園に対し、オレは坂柳の意見を支持した。
「坂柳の言う通りだ。こちらがルールの範囲内で挑むならば、惣右介もルールの範囲内で受けて立つだろう。だが……こちらがルールを逸脱した卑劣な行為を取れば、惣右介も容赦はしないだろうな」
「チッ……。まあ、あのバケモノの怒りを買うのは得策じゃねぇか」
「……惣右介は、威圧感と殺気だけで相手の脳を錯覚させ、精神を崩壊させる術を持っている。それをされてしまえば、三クラスで同盟を組んでいようがどうしようもない」
「あぁ? なんだそりゃ。オカルトか何かかよ?」
龍園が顔をしかめ、忌々しげに吐き捨てた。だが、オレは静かに首を横に振る。
「事実だ。……オレは惣右介と幼馴染でな。子供の頃に、実際にその技を体験したことがある」
「……てめぇらみてえなバケモノが揃って育つなんて、いったいどんな魔境だよ」
龍園は呆れたように悪態をつき、葛城たちもオレへ視線を集中させる。
彼らの動揺を気にする素振りも見せず、オレは淡々と過去の記憶を語った。
「威圧感と殺気を用いて脳を誤認させる……そのカラクリを頭では完全に理解していたにも関わらず、いざ相対すれば、本当に『刃で斬られた』と錯覚してしまうほど強烈な体験だった。あれを喰らって正気を保てる人間は、そういないだろう」
「……あなたたちは、子供時代にいったい何をしているのですか……?」
オレの物騒すぎる実体験に、さしもの坂柳もひきつったような、呆れたため息をこぼす。
「オレも興味本位でな。どんなものかと頼み込んで、一度だけ体験させてもらったんだ」
「……冗談じゃねぇ。どっちも狂ってやがる」
龍園が引きつったような笑みを浮かべ、場に重苦しい、絶望感すら伴う沈黙が降り下りた。
しかし、オレはそんな空気にさらに冷水を浴びせるように、静かに言葉を付け足す。
「もっとも、当時の惣右介の中では、それでもまだ発展途上だったらしいがな」
「……発展途上? それほどの錯覚を引き起こすことができるというのにか?」
葛城の信じられないといった問いかけに、オレは短く同意を示す。
「惣右介が最終的に何を目指していたのかは分からないが……『五感全てを支配する“鏡花水月”には程遠い』と、当時もそうこぼしていたからな」
五感の完全支配。
その言葉が意味する底知れない領域の深さに、もはや誰も口を開くことはできなかった。
「……藍染くんの目指す “鏡花水月”が何を指すのかは分かりませんが、盤外戦術がどれほど愚かな行為か、皆さんもよく理解できたはずです」
重苦しい沈黙を破るように、坂柳が静かに、だが力強い声で場を引き戻した。
「ですが、恐れることはありません。ルールに従う限り、彼がそのような行為を行うことはありませんから……そして」
坂柳は一度言葉を切り、ふつふつと好戦的な笑みを浮かべて宣言した。
「今回の体育祭、同盟としての勝利は当然ですが――学年別の『個人総合一位』を、藍染くん以外の生徒に取らせたい。そう考えています」
「……それは非現実的ですね。各種目のデータやこれまでの彼の身体能力を客観的に見ても、彼を個人成績で上回るのは極めて困難と言わざるを得ません」
金田が冷静にメガネを押し上げながら否定する。
「私も金田くんの意見に賛成よ。あえて最強の駒に挑む必要はないわ。藍染くんの存在は無視した上で、他の生徒から確実に枠と得点を奪うべきだと思う」
堀北も無謀な作戦に難色を示すが、龍園はククッと喉の奥で笑った。
「なるほどな。あのバケモノから一位の座を奪うことで、あいつに勝てないと諦めてる奴らのけつを叩くってわけか」
「ええ。誰もが勝てないと思っている絶対的強者。彼を一位の座から引き摺り下ろすことができれば、今後の試験においても精神的優位が生まれる。そう考えています」
坂柳の揺るぎない眼差し。
「とはいえ、純粋な直接対決で惣右介から得点を奪うのは至難の業だ。……だが、一つだけ好材料がある」
オレは口を開き、会議の場に新たな情報を提示した。
「高円寺だ。あいつもこの体育祭は本気で挑むと宣言していた。もちろん、クラスの勝利のためではなく、純粋に惣右介へ挑むために本気を出すということだろうがな。おそらく、あいつは全ての種目で惣右介に挑みにいくはずだ」
「ほう……」
龍園が面白そうに口角を上げる。坂柳もまた、興味深そうに目を細めた。
「高円寺くんなら、藍染くんに勝機はあるでしょうか? もし彼が藍染くんの対抗馬として潰し合ってくれるのなら、その間に綾小路くんや須藤くんといった主力たちが、他の種目で十連勝して得点を荒稼ぎすることも可能になりますが」
「オレの見立てでは、高円寺といえど単独では分が悪いと思う。もっとも、純粋な身体能力で惣右介に勝つ可能性があるのは、高円寺だけだろうがな」
「……あなたでも、藍染くんのお相手は難しいと?」
坂柳が探るような視線を向けてくる。オレは淡々と事実だけを口にした。
「学力や思考力といった勝負であれば、オレも惣右介相手に勝機はあると考えている。だが……純粋な身体のスペックにおいては、オレでは勝つことはできないだろう」
「あなたがそこまで明確に自身の敗北を認めるとは……。藍染くんの底知れなさがよく分かりますね」
坂柳はどこか愉しげにクスクスと笑った。
(オレが身体能力で惣右介に勝てないというのは紛れもない事実だ。だが――)
オレは密かに思考を深める。
(高円寺が、オレたちの思惑通りに動いてくれるかは未知数ではあるが、団体戦ならば話は変わってくる)
いくら惣右介の個の力がバケモノじみていようと、複数人で挑む団体戦において、他者の動きやミスまで全てをカバーしきることは難しいだろう。
そこにオレや須藤、アルベルトといった各クラスの主力を固めた精鋭部隊をぶつければ、勝機を見出すことができる。それこそが、現実的な一位阻止の鍵となるはずだ。
「……分かったわ。まずは明日から合同で練習をして、お互いの適性を見極めてから、具体的なエントリーと『対藍染くん』の布陣を固めていきましょう」
堀北が会議を締めくくり、三クラス同盟の方針が完全にまとまった。
互いの思惑が交差するカラオケボックスの中で、オレは密かに冷たい闘志を燃やしていた。
(これだけの包囲網を敷き、オレと高円寺を含めた三クラスの主力を全てぶつければ……いくら惣右介であろうと、無傷では済まないはずだ)
盤面は整った。
絶対王者を玉座から引き摺り下ろすための、過酷な体育祭の幕が上がろうとしていた。