いつからここが尸魂界だと錯覚していた?   作:yvrararara

46 / 46
四十六話

 十二月中旬。

 ペーパーシャッフルという過酷な特別試験を乗り越えた高度育成高校は、本格的な冬の到来を迎え、刺すような冷たい風が校舎を吹き抜けていた。

 

 期末テストも終わり、一般の生徒たちが間近に迫った冬休みに向けて浮き足立つ中、放課後の生徒会室だけは、ひどく張り詰めた、密室特有の重苦しい空気に支配されていた。

 

 長テーブルの上座には、新生徒会長である南雲雅。

 その両脇には、副会長の桐山と、新書記である殿河と溝脇。

 そして、下座側に一年生役員である私と一之瀬帆波、さらに最近生徒会に加わった二年生の異端児・鬼龍院楓花が座っている。

 

「――今日集まってもらったのは他でもない。三学期に行われる、全学年合同の特別試験についての事前会議だ」

 

 南雲が、不敵な笑みを浮かべながら切り出した。

 その言葉に、一之瀬が小さく息を呑む。無理もない。全学年合同の特別試験など、入学してから今まで一度も経験したことがない未知の領域だからだ。

 

「詳細な種目や競技内容は、俺たち生徒会にもまだ伏せられている。だが、試験の『基本的な枠組み』は既に決定している。よく聞け」

 

 南雲は手元の資料を一枚めくり、淡々とした口調で説明を始めた。

 

「三学期の特別試験は、学校外の施設を使った『林間学校』で行われる。ルールはこうだ。まず、同学年の男女ごとに、複数のクラスの生徒が混在した『6つの小グループ』を作成し、それぞれの責任者を決める。単一のクラスだけでグループを組むことは許されない。必ず他クラスの生徒と組む必要がある」

 

 南雲の言葉に、室内が静まり返る。

 

「そして、その同学年の小グループを他学年の小グループと合流させ、一学年から三学年までが混ざり合った『大グループ』を作る。男女それぞれ6つずつ、計12の大グループが、数日間にわたって共同生活を送りながら、学校側が用意した課題で総合得点を競い合う……というのが、大まかな試験の全容だ」

 

(……なるほど。同学年で他クラスの連中と組まされるだけでも厄介なのに、さらに他学年の生徒とも一蓮托生になるのか。かなり大規模で複雑な試験になりそうだな)

 

 私は腕を組み、内心で情報を整理していく。

 

「当然だが、生徒会役員として、今日ここで聞いた情報は完全に秘匿することが義務付けられている。もし特別試験の情報を漏らしたことが発覚した場合、退学を含めた重いペナルティが課せられる。ゆめゆめ忘れるなよ」

 

 一之瀬が息を呑み、鬼龍院は楽しそうに口角を上げた。

 生徒会室にピリッとした重苦しい緊張感が走る中、南雲は満足そうに新任の役員たちを見渡し、さらに言葉を続ける。

 

「基本的には、特別試験のルールや時期は全て学校側が決定する。俺たち生徒会にも、事前に情報が入ってくることは一切ない。だが……今回のように時折、事前に試験の概要が通達され、ルールに対して『ある程度の要望』を出す権利が与えられる特例の試験が存在する。今回の合宿がそれだ」

 

 南雲が、まるで自身の権力を誇示するかのようにニヤリと笑った。

 

(ああ、これか。一学期に体育祭の打ち合わせに参加した時、学先輩から同じような説明を受けたな。一之瀬は二学期からの加入だし、南雲の取り巻きや鬼龍院先輩も最近生徒会に入ったばかりだから、新任の役員たちに向けて改めて説明しているってわけだ。しかし、体育祭といい今回の混合合宿といい……どうやら『三学年全てが関わる大規模な特別試験』に限っては、生徒会側にルールへの要望を出す特権が与えられるシステムになっているみたいだな)

 

 私が内心で過去の経験から法則性を推測し、静かに納得していると、隣に座っていた一之瀬が、おずおずと手を挙げて疑問を口にした。

 

「あの……南雲先輩。生徒会がルールに介入できるというのは、少し不公平になりませんか? 私たちの学年は、他のクラスに役員がいませんし……」

 

「ククッ。真面目だな、一之瀬」

 

 南雲は鼻で笑い、余裕の態度で背もたれに寄りかかった。

 

「まあ、見方によってはそうだろうな。だが、そもそもこれは、俺たちが日頃から退屈な生徒会の仕事をこなしていることに対する『ボーナス』みたいなものだと思えばいいさ。それに、勘違いするな。俺たちも試験の詳細なルール全てを知っているわけじゃない」

 

 南雲は人差し指を立ててみせた。

 

「今のところ俺たちが把握している確実な情報は、『三学期に三学年合同の特別試験がある』ということ。そして、『最下位となった大グループの中で、学校側が指定する総合得点のボーダーラインを割った小グループの責任者が退学になる』ということ。この二点だけだ」

 

 退学、という不吉な単語に、一之瀬の肩がビクッと跳ねる。

 

「これだけの情報じゃ、クラスに持ち帰ったところで大した対策は取れないし、先ほども言った通り情報が漏れれば即座に学校側の調査が入る。不正なんてできる仕組みにはなっていないさ」

 

 南雲はそう言って、肩をすくめた。

 

「なるほど。大体の構図は理解したよ」

 

 それまで黙って書類をいじっていた鬼龍院が、ペンを回しながら面白そうに口を挟んだ。

 

「だが、南雲。君は先ほど、学校側に『要望を出す』と言ったな。具体的に、この試験にどういうルールを付け加えるつもりなんだい?」

 

 その問いを待っていたかのように、南雲の瞳の奥に、獲物を狙う蛇のような暗い光が宿った。

 

「――ボーダーラインを割り、責任者が退学となった場合。『退学になる責任者が、同じ小グループの中から一人だけ、道連れを選ぶことができる』というルールを加えたい」

 

「なっ……!?」

 

 一之瀬がガタッと椅子から立ち上がり、目を見開いた。

 

「反対です! なぜ、わざわざ退学者が増えるような悪意のあるルールを作るんですか!? 生徒会は、生徒を守るための組織のはずです!」

 

 激しく反発する一之瀬に対し、南雲は冷ややかに言い放つ。

 

「落ち着け一之瀬。感情論で喚くな。よく考えろ、この試験は他クラスや他学年と混合でグループを組むんだぞ? もし、お前の言う通り道連れルールが無かったらどうなる?」

 

「えっ……?」

 

「退学になるのは『責任者』だけだ。となれば、他クラスの優秀な奴が責任者になったグループに潜り込み、わざと手を抜いてボーダーラインを割らせ、その責任者を狙って退学に追い込む……そんな『自爆テロ』みたいな真似をするやつが出てくるかもしれないだろうが」

 

 南雲の言葉に、一之瀬はハッとして言葉を詰まらせた。

 

「ボーダーラインを割った原因となる生徒を道連れにできるルールがないと、そういう意図的な足の引っ張り合いが横行する。俺は、それを抑制するための正当な手段を提案しているだけだぜ?」

 

 南雲は、まるで自分が圧倒的な正論を口にしているかのように、薄ら笑いを浮かべて両手を広げた。

 

「……っ」

 

 一之瀬は唇を噛み締め、反論の言葉を見つけられずに俯いてしまう。そして、すがるような目で私の方を振り向いた。

 

「藍染くんは……どう思う……?」

 

 私は腕を組んだまま、静かに思考を回転させていた。

 

(……南雲の言う理屈は理解できる。確かに、複数のクラスが混ざるという性質上、他クラスの主力生徒を退学させるために、あえて自分が所属するグループの点数を下げようとする行為に走る奴が出てくる可能性は十分にある。道連れルールがあれば、そういう裏切り行為への強力な抑止力にはなるだろう。――だが、こいつの場合、絶対に違う『裏の目的』があるはずだ)

 

私は、南雲のニヤニヤとした嫌悪感を催す笑顔を見つめながら、彼の真意を推測した。

 

(時期的に考えて、おそらくこの三学期の合宿が、三年生と合同で行われる最後の特別試験になるはずだ。南雲が異常なまでに執着している前生徒会長の学先輩に直接ダメージを与えられる、最後のチャンス……)

 

(だが、学先輩なら、南雲がどれほど姑息な妨害工作を仕掛けようと、最下位グループに沈むようなヘマは絶対にしない。その絶対的な実力は、誰よりも南雲自身が一番理解しているはずだ)

 

(……となると、南雲の狙いは学先輩自身ではなく、そのクラスメイトか。ならば、三年Aクラスの中で、退学に追い込んだ際に学先輩へ『最も深刻なダメージ』を与えられる生徒は誰だ?)

 

(――橘先輩か。こいつの陰湿な性格からして、クラスメイトとしても、生徒会役員としても、誰よりも長く学先輩の傍で献身的に支え続けてきた彼女を標的にする可能性が極めて高い)

 

 南雲は二年生全体を完全に支配下に置いていて、莫大なプライベートポイントを所有している。自分の息のかかった三年Bクラスの生徒を責任者に仕立て上げ、橘先輩と同じグループにして、わざと手を抜かせて最下位に沈める。そして、ペナルティで退学になるその三年生に対し『後でポイントを払って救済してやる代わりに、橘を道連れに選べ』と命令すれば……確実にターゲットを排除できる。

 

 もし橘先輩が道連れに指名されれば、学先輩のことだ。確実に莫大なプライベートポイントとクラスポイントを支払ってでも彼女の救済に動くだろう。三年生Bクラスの生徒からすれば、ペナルティによって自分たちのクラスポイントも失うことにはなるが、南雲のポイントで個人の退学は免れる上に、トップを独走する三年Aクラスの莫大な資産を確実に削り取ることができる。彼らにとっても、南雲の計画に加担するメリットは十分にあるというわけだ。

 

 南雲自身も三年生の救済のためにポイントを大量に消費するのだから決してノーリスクというわけではないが、学先輩に勝ち誇るためなら、あいつはそれくらい平気でやりかねない。

 

(この道連れのルールそのものを完全に撤回させるのは難しい。南雲の用意した建前が強すぎるからな。だが、悪用を防ぐための『条件』を付け加えることならできる)

 

 私はゆっくりと立ち上がり、冷徹な魔王のオーラを全身から放ちながら、南雲を見据えて口を開いた。

 

「――その浅はかな盤面も一興だが、無軌道に振るわれる死神の鎌など、見苦しいだけだ」

 

(訳:南雲先輩の言うことも一理ありますが、無条件で道連れを選べるのは少し問題がありますね)

 

「ああ? なんだ藍染。俺の提案にケチをつける気か?」

 

 南雲が不快そうに眉をひそめる。

 私は一切怯むことなく、絶対的な威圧感と共にオサレに条件を突きつけた。

 

「――奈落へ誘う凶刃が届くのは、自ら盤面を穢した愚者のみにすべきだ。生贄の選定には、誰の目にも明らかな『罪の証明』……すなわち、恣意的な悪意の介在を不可とする絶対の理を、条件として付け加えよう」

 

(訳:一つだけ条件を足しましょう。道連れに選ばれる生徒は、『誰が見てもあからさまに足を引っ張ったという事実がある場合のみ』選出できる、という条件です。そうすれば、適当な理由で無関係な人を道連れにすることはできなくなります)

 

「……はぁ? 何言ってんだてめぇ。意味が分かんねぇよ」

 

 私の極上のオサレポエムを浴びた南雲は、完全に理解を放棄して顔をしかめた。隣にいる一之瀬も、ポカンと口を開けて「つみのしょうめい……?」と小首を傾げている。

 

 しかし、その時だった。

 

「アハハハハッ!」

 

 静寂を破って、鬼龍院が高らかに笑い声を上げた。

 

「なるほど、面白い! なんとなくだが、君の言わんとしていることは理解できたよ、藍染。要するにこういうことだろう?」

 

 鬼龍院はペンを置き、南雲に向けて私のポエムを翻訳し始めた。

 

「道連れにする相手を無条件で選べるとなると、責任者の個人的な恨みで全く無関係な優秀な生徒が道連れにされる可能性がある。だから、『誰の目から見ても、あからさまに手を抜いたり、足を引っ張ったりしたと証明できる生徒のみ』を道連れに指定できる、という条件を付け加えるべきだ。……そう言っているんだな、副会長殿?」

 

(おおっ!! ひよりの完璧な翻訳には及ばないけど、なんとなく文脈から俺の意図を正確に汲み取ってくれた! さすがは鬼龍院先輩、察しがいいな!)

 

 私は内心で拍手喝采を送りつつ、表面上は「当然だ」とばかりに涼しい顔で頷いた。

 

「……チッ」

 

 南雲は舌打ちをし、少しの間考え込むような素振りを見せた。

 

(おそらく南雲の頭の中では、『足を引っ張ったという事実なんて、いくらでも偽装できるから問題ない』と計算しているのだろう)

 

「……ふん。まあいいだろう。お前のその『条件』とやらも、要望のリストに付け加えておいてやる」

 

 南雲がしぶしぶ折れたことで、会議はひとまずの決着を見た。

 

「助かったよ、藍染くん」

 

 一之瀬がホッと胸を撫で下ろすのを見て、私も内心で安堵の息を吐いたのだった。

 

 

 

 生徒会の会議が終わり、私と一之瀬は並んで寮への帰路についていた。

 すっかり日が落ちた並木道には、冷たい冬の空気が満ちている。

 

 一之瀬は足を止め、周囲をキョロキョロと見渡した。近くに他の生徒や南雲の取り巻きが潜んでいないことをしっかりと確認してから、ふうっと小さく息を吐き出す。

 

「三学期の特別試験……すごく過酷なものになりそうだね」

 

 一之瀬が、白い息を吐きながらマフラーに顔をうずめた。

 

「――ああ。異なる色の駒が盤面に入り乱れるとなれば、その混沌はこれまでの比ではない。誰に背を預け、誰を切り捨てるか……ぬるま湯の幻想は、終わりを告げるだろうな」

 

(訳:そうだね。他クラス、他学年との混合となれば、かつてないほど複雑な試験になる。これまでの試験とは次元が違うだろうな)

 

「うん……。でも、藍染くんがいてくれて本当に良かった。藍染くんのあの条件のおかげで、無差別に退学者が選ばれる最悪の事態は防げるもんね」

 

 一之瀬が、尊敬の念を込めた瞳で私を見上げてくる。

 

(いや、俺のポエムだけじゃ南雲には1ミリも伝わってなかったけどな! 鬼龍院先輩のフォローのおかげだよ)

 

 私は内心でツッコミを入れつつ、不安を抱えるリーダーに向けて、いつものように魔王の笑みを浮かべてみせた。

 

「――恐れることはない。盤面がいかに混沌に沈もうと、我々が玉座へと至る道程は変わらない。私が、君たちの背中を推し進めてやろう」

 

(訳:恐れることはないよ。俺がサポートするから、今まで通り頑張ろう)

 

「ふふっ。ありがとう、藍染くん。なんだかすごく安心したよ!」

 

 オサレポエムの意図がなんとなく伝わったのか、一之瀬はパッと明るい笑顔を見せてくれた。

 

 私たちは寮のロビーで別れ、それぞれの部屋へと戻った。

 

 

 

 それから一時間後。私の部屋に、控えめなインターホンの音が鳴った。

 

「こんばんは、惣右介くん」

 

 インターホン越しに、優しく鈴を転がすような声が響く。

 

「――よく来たね。凍てつく白銀の世界から、我が玉座へようこそ」

 

(訳:いらっしゃい!外は寒かったでしょ!)

 

 扉を開けると、厚手の白いコートに身を包み、鼻の頭を少し赤くしたひよりが立っていた。彼女の腕には、何冊かの真新しい小説が抱えられている。

 

「ふふっ。お邪魔します、惣右介くん。外は少し冷え込みましたけど、ここはとっても暖かいですね」

 

 暖房がしっかりと効いた部屋にひよりを招き入れ、私たちは一緒に温かい夕食をとった。

 

 食事が終わり、いつものようにテーブルを挟んで向かい合って座る。私が丁寧に淹れたホットのダージリンティーをカップに注ぐと、湯気と共に甘く芳醇な香りが部屋いっぱいに広がる。

 

「ありがとうございます。……あたたかいですね」

 

 ひよりが両手でカップを包み込み、幸せそうに目を細めた。

 

「テストも終わって、もうすぐ冬休みですね。惣右介くんは、冬休みの予定は何か立てているんですか?」

 

 私はティーカップを置き、静かに口を開いた。

 

「――いや、この閉ざされた空間で、ただ静寂と活字の海に身を委ねるつもりだ」

 

(訳:特に予定はないよ!この部屋で、こうして本を読んだりのんびり過ごすつもり!)

 

「ふふっ、奇遇ですね。私も寮でのんびり読書をして過ごす予定なんです。もしよければ、冬休み中も一緒に本を読みませんか?」

 

 ひよりが、少しだけ上目遣いで期待するように尋ねてくる。

 

「――望むところだ。君がページをめくるその微かな音が、私にとって至高の旋律なのだから」

 

(訳:もちろん!大歓迎!!)

 

「嬉しいですっ」

 

 ひよりは花が綻ぶような笑顔を見せた後、少しだけモジモジとカップの縁を指でなぞり、そっと私の方へと視線を上げてきた。

 

「……あの、クリスマスの日は、何か予定はありますか?」

 

「――聖なる夜の喧騒など、私には無縁の幻に過ぎない。この玉座で、ただ静寂と共に星の瞬きを眺めるだけだ」

 

(訳:クリスマスの予定? 全然ないよ! 家で一人でぼーっとしてる予定!)

 

 私の言葉を聞いた瞬間、ひよりはホッとしたように胸を撫で下ろし、嬉しそうにパッと顔を輝かせた。

 

「じゃあ……クリスマスに、惣右介くんの部屋に遊びに来てもいいですか?」

 

 上目遣いで、少しだけ頬を染めながら、彼女が小さな声でおねだりをしてくる。

 

(か、かかか可愛いぃぃぃぃぃぃ!?!? なんだその破壊力抜群の上目遣いは!! 天使か!? いや知ってたけど天使だけど!! クリスマスに俺の部屋に来たいだって!?)

 

 私は内心でベッドの上を転げ回りながら、特大の歓喜に打ち震えた。

 

(大親友と二人で過ごすクリスマス……最高すぎるだろ!! 今年のクリスマスも一人で静かに過ごす予定だったのに、まさかこんなご褒美イベントが発生するとは! よし、絶対に最高のケーキと紅茶を用意して、極上のマイナスイオン空間を作り上げてやるぞ!!)

 

 私は表面上はどこまでもクールな微笑みを保ち、静かに頷いた。

 

「――君が望むのなら、その特別な夜を君と分かち合おう。聖夜に相応しい、とっておきの茶葉と洋菓子を用意して待っているよ」

(訳:もちろん!! 一緒にクリスマスパーティーしよう!! ケーキと紅茶、絶対用意しておくからね!!)

 

「はいっ! 楽しみにしていますね!」

 

 ひよりは満面の笑みを見せ、持参した真新しい小説の表紙を愛おしそうに撫でた。

 

 外の世界では、南雲の悪意が渦巻き、三学期の過酷な特別試験に向けた足音が静かに、だが確実に近づいてきている。

 

 だが、この部屋の中だけは違う。

 美味しい夕食の余韻と、紅茶の温もり。そして、ひよりがページをめくる微かな音。彼女の銀色の髪が、部屋の照明を受けてきらきらと輝いている。

 

(ああ……ひよりといると本当に落ち着くなぁ……。マイナスイオンでゴリゴリ浄化されていくのが分かる……。やっぱり冬休みも、こうして平和に引きこもるに限るな)

 

 私は、向かいで静かに微笑む大親友の顔を見つめながら、これから訪れる荒波のことなどすっかり忘れ、ぬくぬくとした幸福感にどっぷりと浸るのだった。

 

 




いつも感想コメントありがとうございます! 毎回とても楽しく読ませていただいております。
今回の生徒会での特別試験会議シーンですが、原作では詳細な描写がないため、勝手な推測と想像で書いております。もし原作の見落とし等で設定がおかしいところがありましたら申し訳ありませんが、ご了承いただけると幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

青春を求めて実力主義の教室へ(作者:リリリリら)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

裏社会にその名を轟かせる暗殺者「呉(くれ)一族」。▼その一千三百年に及ぶ品種改良の歴史において、潜在能力を100%解放する秘伝【外し】を完全に扱うことができる最高傑作の少年――呉 刃叉羅(くれ ばさら)。▼血みどろの世界に嫌気がさした彼は、外界から完全に隔離された「高度育成高等学校」に入学することに決める。▼


総合評価:3182/評価:7.73/連載:68話/更新日時:2026年05月22日(金) 20:30 小説情報

『よう実』ゲーでハーレム目指します(作者:m!zu菜)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

よう実の女キャラを堕としたい!!▼ということでハーレムチャレンジ、決行です。▼スタートはゲーム開始時、一年生終了時に何人の女の子と付き合っているかを競います。▼RTAではないのでご容赦を。▼


総合評価:3913/評価:8.65/連載:9話/更新日時:2026年05月22日(金) 22:53 小説情報

ようこそ勝利至上主義の教室へ(作者:中輩)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

帝光中学校バスケットボール部。部員数は100を越え、全中3連覇を果たした超強豪校。そこには10年に1人の天才と呼ばれるエース 赤司 征十郎がいた。▼彼はとある理由で、数多の進学先から“高度育成高等学校”への進学を選択する。▼ようこそ実力至上主義の教室へ×黒子のバスケのクロスオーバーになります。▼ただし黒バスの世界線とは違い、キセキの世代とは出会わなかった赤司…


総合評価:5301/評価:8.88/連載:20話/更新日時:2026年05月12日(火) 17:00 小説情報

ようこそ暗殺者の卵がいる教室へ(作者:塩安)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

暗殺教室の潮田渚スペックのオリ主が、よう実世界を好き勝手に楽しむ話▼アンチ・ヘイトは念の為


総合評価:6438/評価:8.62/連載:22話/更新日時:2026年05月23日(土) 18:00 小説情報

好奇心の下僕(作者:かんぱにい)(原作:ようこそ実力至上主義の教室へ)

「勝利は既に俺の手の中にある。▼だったら、その過程で何をしようと何も問題はない」


総合評価:4024/評価:8.65/連載:12話/更新日時:2026年02月20日(金) 21:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>