いつからここが尸魂界だと錯覚していた?   作:yvrararara

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九十一話

 作戦会議の場として指定していた船内のフリースペース。

 

 そこにはすでに、我々Aクラスの一之瀬、神崎と、同盟を結んだBクラスの坂柳、葛城、橋本、神室が揃っていた。両クラスの頭脳と実働部隊が集結したこの場は、周囲から見ればかなり異質で威圧感のある集団に見えるかもしれない。

 

 私とひよりが席に着いたところで、一之瀬が明るい声で口火を切った。

 

「みんな!集まってくれてありがとう!とりあえず詳細なルールが出たから、明日の試験開始に向けて話し合おうか」

 

 一之瀬の言葉に、坂柳が静かに頷き、手元のタブレットに視線を落とす。

 

「ええ。とりあえず各小グループに一つずつ、トランシーバーは購入してもらいましょう。情報共有ができないのは死活問題になりますから。後はテントや水、食料。そういった最低限必要なものを選んでもらうように、各クラスで徹底しましょう」

 

 そこで坂柳は一度言葉を区切り、ふと目を細めて補足した。

 

「ただ――藍染くんたちのグループは当然として、一之瀬さんや橋本くんたちのグループ……つまり、後に私たち主力グループと合流する可能性が高い小グループに関しては、トランシーバーを複数台持っておくべきでしょう。広大な島で分散してタスクをこなす場面も出てくるはずですから」

 

「確かに坂柳の言う通りだな。合流や分散を繰り返すなら、連絡手段の確保は何より優先されるべきだ」

 

 葛城が腕を組みながら、深く頷いて坂柳の言葉を引き継ぐ。

 

「それに加えて、当然下位に沈まないために、各小グループは課題や指定エリアごとの移動でしっかりとポイントを稼ぐ必要がある。だが、ある程度ポイントに余裕がありそうなグループは、俺たち『一位を狙うグループ』を支援できる体制を整えるべきだな。いざという時の物資の受け渡しや、情報収集の面でバックアップに回ってもらえれば非常に心強い」

 

「うん! その通りだね! トランシーバーが複数台あれば、いざサポートに回る時にもスムーズに連携できるもんね。みんなには自分のグループの安全を第一にしてもらいつつ、余裕があればバックアップをお願いするように伝えておくよ」

 

 一之瀬が快く了承する。

 すると、私の隣で話を聞いていたひよりが、一つ重要な確認を入れた。

 

「六日目以降にGPSサーチが解禁されたら、私たちのグループ以外が、坂柳さんの元でサーチをするのが理想的でしょうか?」

 

「ええ。椎名さんの言う通りです」

 

 坂柳はふふっと微笑み、同意を示した。

 

「いざとなれば私たちのグループの端末でもサーチを行いますが、得点を消費する以上、一位を目指す身としてはなるべく避けたいと思っています。ですから、得点に余裕のある後方の支援グループに定期的にGPSサーチを使ってもらい、その情報を元に、私が司令塔となって全体の動きを調整・指示するのが最も効率的でしょうね」

 

(やはり、坂柳も俺と同じ考えに至っていたか。前線を駆け抜けて得点を稼ぐ俺たち本隊と、後方から全体を指揮して本隊をサポートしつつ、下位への転落を防ぐ坂柳。完璧な布陣だな)

 

 自分の思考と寸分違わぬ戦略が共有されたことに、私は内心で深く頷いた。

 

 そうして基盤となるルールと役割の確認を終えた後、私たちの会議は、さらに試験の核心へと踏み込んでいくこととなる。

 

「藍染くん。現状出ている作戦以外に、何か懸念点や考えはありますか?」

 

 坂柳が杖に両手を重ね、小首を傾げながら私に問いかけてきた。

 

(うーん、まあ現状のルールから導き出せる基本方針としてはこんなもんじゃないかな?あとは、大グループ結成が解禁されるのが四日目以降だから、それをどうするかだね。まあ、GPSサーチが無くてもトランシーバーで情報を共有してれば、合流して狙い通りのグループを組むことも難しくはないだろう)

 

 私はゆっくりと目を伏せ、余裕に満ちた笑みを口元に浮かべた。

 

「――我々の手札に死角はない。強いて挙げるとすれば、四日目以降に姿を現す『拡張の理』をどう手中に収めるか、だね。見えざる糸で繋がり合っていれば、星々を繋ぎ合わせることは容易いだろう」

 

「『基本の作戦はこれで完璧です。あとは四日目以降に解禁される大グループ結成の枠をどう取るかですが、トランシーバーで連絡を取り合っていれば、狙ったグループ同士で合流するのは難しくありませんね』とのことです」

 

 ひよりの完璧な翻訳に、坂柳は感心したように微笑んだ。

 

「ええ。そこは後方にいる私に任せてください。四日目の時点でポイントの高い小グループと主力グループがスムーズに組めるように、私が指揮を取ります」

 

(うん、それが間違いないだろうね。……あとは、清隆や南雲たちのグループの動向がどうなるかだな。彼らと同じテーブルかどうかで、取るべき戦略は大きく異なってくる。同じテーブルなら移動や課題で頻繁にぶつかる可能性が高まるから潰し合いになってしまう。かといって、全く違うテーブルだと直接課題で勝つ回数が減ってしまうから、点差をつけるのが難しくなるね)

 

 私は涼やかな視線を中空へと向け、静かに言葉を紡いだ。

 

「――盤面を支配するのは我々だが、対岸の玉座を狙う虎や龍が、どの道を歩むかもまた運命の分かれ道だ。同じ軌跡を描くなら血を洗う争いとなり、交わらぬ道を往くのなら、孤独な頂を目指すことになる。……どちらにせよ、退屈はしそうにないがね」

 

「『最大のライバルである綾小路くんや南雲先輩たちのグループと、同じテーブルになるかどうかが鍵になりますね。同じテーブルなら直接対決で潰しあってしまうし、違うテーブルなら点差をつける工夫が必要になります』とのことです」

 

 ひよりが優しい声で補足すると、橋本が腕を組みながら息を吐いた。

 

「でも、誰がどのテーブルになるかは、始まってみないとこっちじゃどうしようもないからな」

 

「ええ。ですが、六日目にGPSサーチが解禁されて以降は、近くにライバルとなる強力なグループがいると判明した場合、あえて同じ課題を狙って直接ポイントを奪いに行くことを優先しましょうか」

 

 坂柳の強気な提案に、一之瀬がパッと顔を輝かせて拳を握る。

 

「うん!それがいいね!直接対決になっても、藍染くんたちのグループなら絶対に誰にも負けないよ!」

 

(ただ、学力系の課題となると、俺も清隆もどうせ100点以外取らないから引き分けになる可能性が高いんだよな。南雲と鬼龍院先輩たち三年生トップコンビも強力だし、なんといってもあの高円寺が清隆と組んでるからな……。うん、これは燃えてくる!ワクワクが止まらないね!)

 

 強敵たちとの激突を想像し、私の内心は最高潮に昂っていた。私は立ち上がり、一之瀬たちを見下ろしながら不敵に言い放つ。

 

「――安心したまえ。いかなる猛者が立ちはだかろうとも、全て等しくこの私が平伏させよう。我々の歩む道こそが、絶対の勝利への軌跡なのだから」

 

「ふふ、頼もしい限りです」

 

 坂柳が満足げに頷き、その後も細かな連絡手段や合言葉のすり合わせを行い、合同作戦会議はお開きとなった。

 

 席を立つ生徒たちを見送りながら、私はひよりへと向き直る。

 

 すると、坂柳が静かに私に声をかけてきた。

 

「藍染くん。少しだけ、お時間よろしいですか?」

 

「……ああ」

 

 私はひよりの肩に優しく手を置いた。

 

「――ひより。君は一之瀬たちと共に、先に戻りたまえ」

 

「はい、分かりました。待っていますね、惣右介くん」

 

 ひよりはニコッと微笑み、一之瀬や神崎たちと共にフリースペースを後にした。葛城や橋本たちもすでに退室しており、残されたのは私と坂柳の二人きりだ。

 

「……さて。私にしか聞かせられない話とは、なんだい?」

 

 私が問いかけると、坂柳は杖をつきながら静かに口を開いた。

 

「……今回の無人島試験、綾小路くんを退学させるために月城理事長代行、それからホワイトルームからの刺客が本格的に動くことが予想されます」

 

(間違いないだろうね。だからこそ、月城はある程度の暴力や揉め事を容認する発言をしたんだ。この二週間の長丁場で、少しでも清隆の体力と精神を削ろうとしてるんだろう)

 

 私は内心で深く同意しながらも、表情はピクリとも動かさない。

 

「それに加えて……一年生の一部の生徒に与えられた『特別試験』についてはご存じですか?」

 

(なんだそれ?一年生の特別試験?そんなの知らないぞ)

 

「――私の耳には届いていないな。……つまり、この舞台にはまだ見えざる駒が潜んでいるということか?」

 

「ええ。どうやら、綾小路くんを退学させた生徒に『二千万ポイント』を支給するという、破格の特別試験が裏で開催されているようです」

 

(はあ!?二千万ポイント!?なんだその破格すぎる懸賞金は!……ってことは、月城や刺客だけじゃなく、ポイント目当ての一年生まで清隆を狙う敵に回るのか。……要も、この懸賞金の話は知らないとみて間違いないだろう。知っていれば、確実に俺へ報告してくるはずだからな)

 

「――なるほど。矮小な群れも、彼の首を狙って狩りに参加するということか」

 

「はい。実は先日、綾小路くんから『いざという時は手を貸して欲しい』と頼まれたのです」

 

 坂柳はふふっと笑みをこぼす。

 

「私としては、綾小路くんなら問題なく退けられると思いますし、何より私たちの勝利のためにも、主力のグループを彼の援護のために動かすようなことはしないつもりですが、綾小路くんの友人である貴方の耳に入れた方が良いかと思いまして」

 

(まあ、清隆の実力なら大抵のことには問題なく対処できるだろうな。だが、清隆がわざわざ坂柳に協力を要請するとはな。清隆でさえ対処が難しいと判断しているのか?……いや、違うな。俺や坂柳のグループを動かすことで、間接的に俺たちの得点稼ぎを足止めする狙いもあるのか)

 

(だが……万が一、そんな下らない思惑のせいで清隆が退学になるのは、俺としては絶対に認められない。クラスの勝利を捨てる気はないが、協力できる範囲で協力してやろう)

 

「――玉座を争うに値しない雑音で、彼が舞台から降りるなどという茶番は、私も望んでいないからね。だが、彼等が仕掛けてくるのは、間違いなく私が遠く離れたエリアにいて、物理的に手が届かないタイミングだろう」

 

「ええ、私もそう思います。月城理事長代行があなたを強く警戒している以上、その可能性が最も高いでしょうね。……ですが、あなた以外にホワイトルームの刺客に対応できる生徒がいるでしょうか?」

 

「私の手が届かない死角には、要と寛治、そして時任という『剣』がいる。いざという時は、彼らが理不尽を退けるだろう」

 

 私のオサレな言葉に、頭の回転が速い坂柳はその真意を正確に汲み取った。

 

「なるほど。藤泉くんと池くん、そして時任くんですか。あの三人でホワイトルームの刺客に対応できると?」

 

(時任と寛治は同じグループにいるし、あの三人が揃えば、どんな修羅場だってなんとかなると俺は信じてるよ!)

 

「――ああ。彼らの力は、私が保証しよう」

 

「分かりました。クラスや学年が違うので連携は難しいかもしれませんが、いざという時の選択肢の一つとして考えておきます。私としても、綾小路くんが月城理事長代行の思惑通りに退学してしまうのは避けたいところですし、私たちの勝利に影響が出ない範囲で協力しましょうか」

 

 そう言って、坂柳はゆっくりと右手を差し出してきた。

 

「明日からの二週間、お互いクラスの勝利のために全力を尽くしましょう」

 

「――ああ。我々の圧倒的な力を、この島に刻み込もう」

 

 私は彼女の小さな手を握り返し、静かな闘志を交わし合った。

 

 部屋を出ると、扉のすぐ外で神室が壁に寄りかかって坂柳を待っていた。

 軽く別れを告げ、私はその場を後にする。

 

 連絡通路を歩き、待っていてくれたひよりたちと合流すると、一之瀬が気合を入れるようにキュッと拳を握ってみせた。

 

「あ、藍染くん!いよいよ明日からだね。絶対大変な試験になると思うけど……私たちクラスみんなで一緒に頑張ろうね!」

 

「はいっ!過酷なサバイバルになりますが、お互いに支え合って頑張りましょうね」

 

 一之瀬の明るい声に、ひよりも隣で愛らしい笑顔を咲かせて頷く。

 

 頼もしい仲間たちの言葉を受け、私はフッと柔らかく色気のある笑みを浮かべた。

 

「――畏れるな。たとえ何が起ころうとも私と共に歩む限り、我らの前に敵は無い」

 

「『私たちが一緒なら何も心配いりません。絶対にみんなで勝ちましょうね』とのことです」

 

 ひよりが優しい声で翻訳すると、一之瀬も神崎も迷いのない瞳で力強く頷き、明るい笑顔を返してくれた。

 

 いよいよ、全てが試される無人島での二週間が幕を開けようとしていた。

 

 

 

 一方その頃。豪華客船の客室エリアにある、綾小路清隆に割り当てられた個室では、ひっそりとC・D両クラスの首脳陣による合同作戦会議が開かれていた。

 

 集まっているのは綾小路と堀北、そしてCクラスのリーダーである龍園と、その参謀役の金田だ。

 

「無人島の移動に課題か。確かに、総合的な能力が試される試験ってわけだ」

 

 ベッドの端に腰掛けた龍園が、退屈そうに首を鳴らした。

 

「ええ。それに加えて、物資を購入するポイントの使い道など、開始前に考えることは多くありますね」

 

「物資に関しては、上位を狙うグループはどこも似たような構成になるでしょうね。各小グループ間の通信用トランシーバーにテント、最低限の水や食料。それから、タブレット用のモバイルバッテリーも欲しいところね」

 

 堀北の分析に、龍園が鼻で笑って同意する。

 

「ああ。タブレットは必須アイテムだからな。いちいち充電しにスタート地点の本部に戻ったり、充電スポットを探すような無駄な時間はなるべく排除するべきだ」

 

「A・Bクラスの同盟の動きですが、おそらく坂柳氏が本部付近に留まり、司令塔として動くでしょうね」

 

 金田が眼鏡を押し上げながら推測を述べる。

 

「ククッ。間違いなくそうだろうな。一位を狙う主力のサポートと、下位に沈まないための各グループへの指示。これで、あの藍染の野郎が何の憂いもなく本気を出せる環境を整えてくるってことだ」

 

(龍園たちの言う通りだな。あの二人が手を組むなら、間違いなくその戦略を取ってくる。月城の発言を考えるに、この試験ではある程度の暴力行為は容認されるようだが、これまでの惣右介の動きを見てもそんな下策は取らないだろう。あくまで盤石な態勢からの正攻法で、純粋な力でねじ伏せに来るはずだ)

 

「私たちもある程度、全体の指揮を取るべきね。どこかのグループが下位に沈んだ場合、退学のリスクがあるだけでなく、学年全体のクラスポイントが大きく引かれてしまうわ」

 

「ええ。私と平田氏、幸村氏の小グループで全体の指揮を取るのが理想的ですかね」

 

 金田の提案に、俺は静かに頷いた。

 

「トランシーバーで適時オレや龍園からも指示を出すが、下位に沈みそうなグループの救済やカバーはお前たちに任せる」

 

「ああ。お前たちなら下位に沈むこともないだろう。GPSサーチも、得点に余裕のある範囲でガンガン使って立ち回れ」

 

 龍園の指示に、金田は「お任せください」と一礼した。

 

「それから……藍染氏たちのグループへの対策はどうしますか? 最悪、南雲生徒会長のグループに上回られる分にはまだ構わないと考えていますが、直接のライバルである藍染氏たちに勝たなければ、クラスポイントの差を詰めることができませんからね」

 

「ある程度の暴力行為が認められるとはいっても、藍染の野郎に直接そんな真似を仕掛ければ、生徒会の権力を使って逆に退学に追い込まれかねないからな」

 

 龍園が忌々しそうに舌打ちをする。

 

「ああ。それに、オレとお前と高円寺の三人がかりでも、惣右介に確実に勝てる保証もない」

 

「なっ……!?」

 

 オレが淡々と事実を口にすると、金田が絶句して目を見開いた。

 

「……クク。お前がそこまで言うとはな」

 

「だが、ある程度の妨害はしないと勝ち目はないだろうな。GPSサーチが解禁されてからになるだろうが、複数の小グループで包囲して進軍ルートを塞ぐ、それから、向かいそうな課題に先回りして参加させないようにする。暴力に手を出さなければ、向こうから暴力を使ってくることはない」

 

「なるほどな。数と配置で物理的な嫌がらせに徹するってわけか」

 

「いくら包囲しようが、惣右介を完全に止めることは不可能だろう。だが、椎名と行動を共にする以上、惣右介も無茶な突破は控えるはずだ。足止めとしてある程度の効果は見込める」

 

(刺客や一年生の対処をぶつけるために坂柳には接触したが、どこまで効果があるかは未知数だ。それに、高円寺たちと共に動く以上、ホワイトルームの刺客もオレに対してあからさまに大きくは動けないはずだ)

 

(……オレの腕時計に何らかの細工が施されていると考えた方がいいだろう。そうなれば、オレは本部に戻るべく、単独行動を取らざるを得なくなる。……向こうが動いてくるとすれば、そこだろう)

 

 オレが内心で月城たちの動向をシミュレートしていると、堀北が話題を軌道修正した。

 

「四日目以降の大グループ結成だけど、綾小路くんたちのグループには、私と伊吹さん、松下さんが合流するということでいいのよね?」

 

「ああ。それが理想の形だな。トランシーバーで連絡を取り合っていれば、合流自体も難しくはないだろう」

 

「理想としては、私たちが一位を取り、池くんや時任くんたちのグループも三位以内に入ってくれれば非常にありがたいわね」

 

「可能性がないとは言いませんが、藍染氏や南雲会長たちがいる以上、かなり難しいかもしれませんね」

 

 金田が苦笑交じりに言うと、龍園が呆れたようにため息をついた。

 

「ククッ。池と時任。あの二人の変人と組まされるとはな。初めて須藤に同情したぜ」

 

「……須藤くんも、壊滅的だった学力が向上しているし、私たちの同盟が作れるグループとしては、間違いなくあなたたちに次ぐ有力なグループよ。できれば櫛田さんたちのグループとうまく合流させて、上位を狙ってもらうべきね」

 

 堀北が真面目に庇うと、金田も同意するように頷いた。

 

「ええ。池氏と時任氏の成長は途轍もないですからね。この前のOAAの更新で、時任氏は私たちのクラスで総合力一位にまで跳ね上がっていますし」

 

「だが、あの話し方はどうにかなんねぇのか?いちいち気取った口調で喋りやがって、聞いてるだけでムカつきやがる」

 

 龍園の苛立ちはもっともだった。藍染の圧倒的な実力に魅了された結果、池は重度の厨二病を発症し、時任も似たような病状に陥っている。同じグループになった須藤の心労は計り知れない。

 

「話が脱線しているぞ」

 

 オレは小さく息を吐き、話を本筋に戻した。

 

「とにかく、物資の件と基本戦略に関してはこれでいいだろう。あとは誰がどのテーブルになるかだけだ」

 

「そうね。……私たちも全力を尽くしましょう」

 

 堀北の決意のこもった言葉に、龍園と金田も静かに頷いた。

 

 各クラスの思惑と、見えざる敵の存在。盤上の駒はすべて揃い、いよいよ明日から、かつてない規模の過酷なサバイバルが始まる。

 

 

 

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