いつからここが尸魂界だと錯覚していた?   作:yvrararara

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九十四話

 七月二十日。十六時頃。

 本部周辺である【D9】の坂柳の拠点に到着した。

 

 そこにはすでに合流していた葛城だけでなく、姫野、森下、吉田の小グループと、白波、小橋、鬼頭の小グループの姿もあった。どうやら皆、坂柳の拠点の近くにそれぞれのテントを設営している最中のようだ。

 

「あっ!白波さんや小橋さんもいますね!」

 

 友人たちの姿を見つけ、ひよりがパッと花が咲いたように嬉しそうな声を上げた。

 

(全体の参加グループ数を考えれば、このくらいは被るだろうね。でも、ひよりと仲の良い子たちが集まってくれたのは本当に良かった)

 

 私は内心で確率を弾き出しながらも、愛らしい恋人が楽しそうにしているのを見て目を細めた。そして、オサレに彼女の銀色の髪をそっと撫でる。

 

「――星の巡りが、君の笑顔を呼び寄せたようだね。友と集うその光景は、この島のどんな絶景よりも美しいよ」

 

「えへへ……ありがとうございます、惣右介くん」

 

 ひよりもふふっと嬉しそうに目を細め、私の手に心地よさそうに擦り寄ってきた。

 

 一通り挨拶を済ませ、私たちは坂柳の待つテーブルへと合流する。

 

「藍染くん、椎名さんも。初日の移動、お疲れ様でした。まだ少しだけ課題は残っていますが、もう今日は休まれるのですよね?」

 

 優雅に水の入ったペットボトルを傾けながら、坂柳が尋ねてきた。

 

「はい、その予定ですね」とひよりが答える。

 

「それがよろしいかと。初日から無理をして飛ばしすぎる必要はありませんからね。……それから、情報共有です。ここにいる二つの小グループの得点ですが、吉田くんたちのグループは『14点』、鬼頭くんたちのグループは『16点』とのことです」

 

(なるほど。この四回目のエリア到達ボーナスの3点を加えて、俺たちは一日で『50点』か。うん、良いペースできてるね)

 

「一之瀬や橋本たちの得点は聞いているのか?」

 

 葛城が腕を組みながら問いかけると、坂柳はタブレットを操作しながら頷いた。

 

「ええ。一之瀬さんたちは『27点』、橋本くんたちは『22点』です。各クラスの主力である彼らでさえこの点数であることを考えれば、藍染くんたちの初日『50点』というスコアは、全体の中でもかなり突出していると考えられます」

 

「問題は、別のテーブルにいる綾小路くんや南雲生徒会長が、どれだけ得点を稼いだか、ですね」

 

 ひよりが冷静に分析する。

 

「ええ。ですが、結局のところ全体のランキング開示と、大グループ結成が解禁される四日目までは他者の正確な点数は分かりません。そこまでは他を気にせず、無理のない範囲でコツコツと積み重ねるのが得策でしょうね」

 

(うん、坂柳の言う通りだな。やはりサバイバルにおいて最悪なのは、無理をしてリタイアすることだからね)

 

「――盤を崩す愚は犯さない。玉座に至る道程は、時に地を這うような堅実さの中にこそあるのだからね」

 

 私がオサレに肯定すると、ひよりが「『無理はせず、安全第一でいきましょう』とのことです」と翻訳した。

 

 私はさらに思考を深め、今後の戦略について口を開く。

 

(着順報酬もおいしいけど、やはり課題を積極的にこなしていくのが安定するね。参加人数や距離にもよるけど、単独の学力課題なら俺が負けることはまずないし、ペアでも俺とひよりの組み合わせに勝てるグループはそうそうないと思う。それこそ、清隆と高円寺のペアくらいか。……いや、高円寺の学力は未知数なんだよな。本気を出せば俺や清隆のように100点を取れるのか、それともOAAの評価通りなのか。身体能力は明らかにOAAと乖離してるけど、学力ばかりは読めないな)

 

(それに、もし三人参加の課題だとしても、あっちのグループには龍園がいる。清隆や高円寺がどれだけ規格外だとしても、龍園と葛城の学力差を考えれば、トータルの総合力で明確にこちらが有利に立つ。三年生の南雲たちも当然警戒は必要だが、全員が穴のない高学力で固まっている俺たち三人に、単純なペーパーテストで勝てる小グループはないはずだ。まあ、大グループ結成までは今日のような動きが理想だな)

 

 私がこの完璧な戦略をありったけのオサレな言葉で告げると、ひよりはコクリと頷き、坂柳と葛城に向けて分かりやすく翻訳してくれた。

 

「『基本的には今日のように課題を優先しつつ、大グループ結成の日まで手堅くポイントを稼ぎましょう。単独の学力課題なら惣右介くんが負けることはありませんし、二人参加の課題なら、綾小路くんと高円寺くんのペア以外には負けません。三人参加の課題になったとしても、あちらのグループの龍園くんと、こちらの葛城くんの学力の差で明確に優位に立てます。南雲生徒会長のグループも警戒は必要ですが、全員のアベレージが高い私たちなら、ペーパーテストにおいて負けることはありませんから』とのことです」

 

 ひよりが翻訳を終えると、坂柳は感心したように頷きつつも、ふと私の背中にある巨大なリュックへと視線を向けた。

 

「戦略には全く異論はありません。……ですが、椎名さんを抱き抱えたまま、その重い荷物も背負った状況で森の中を走り回って、本当に身体は問題ないのですか?」

 

 頭の切れる坂柳から見ても、私のやっているフィジカル面での強行軍はあまりにも常軌を逸しているらしく、少し引いたような表情を見せる。

 

「――君の心配は杞憂だよ。私が背負っているのは、希望という名の羽と、勝利という名の必然だけだ。重さなど感じるはずもない」

 

(訳:全然余裕だよ!)

 

「…………。本当に規格外ですね。同盟を提案させてもらったのは正解でした」

 

 私の余裕すぎるポエムに、坂柳は呆れたような、しかし頼もしいものを見るような目を向けた。

 

「ああ。今日一日、藍染と共に行動して、その実力の高さと底知れなさに改めて驚かされた」

 

 葛城も深く同意するように頷く。

 

 まるで化物を見るような二人の視線に対し、ひよりがニコッと微笑んで間に入った。

 

「ふふっ。でも、私たちも坂柳さんたちとの同盟はメリットがとても大きいと感じていますよ。こうして後方で坂柳さんが全体のフォローと状況整理をしてくださることで、惣右介くんは何の憂いもなく一位を狙うことに集中して本気を出せますからね」

 

 ひよりの思いやりのあるフォローに、坂柳は「そう言っていただけると光栄です」と柔らかく微笑み返した。

 

 

 四人で現状把握と今後の方針の擦り合わせを終えた後、私とひよりも自分たちのテントの設営に取り掛かった。

 

 すでに姫野や白波たちのグループも拠点の設営を終えており、時間もいい頃合いなので、みんなで揃って本部施設にある大浴場へ向かうことになった。

 

 ただし、全員でこの場を離れると荷物を管理する者がいなくなってしまう。そのため、男女で時間を分けて交互に向かうことになり、まずは女子陣――ひより、坂柳、姫野、小橋、森下、白波の六人が先に出発していった。

 

 残された男子陣である私、葛城、鬼頭、吉田の四人は、荷物の番をしながらタブレットを囲み、明日の指定エリアの仕様について話し合っていた。

 

「明日からは、一日一回は全エリアの中からランダムで指定エリアが選ばれることになる。無論、学校側も生徒が時間内に絶対にたどり着けないようなエリアを指定するような理不尽はないだろうが……」

 

 葛城が腕を組み、険しい表情で呟く。

 

「――星の気まぐれに怯え、歩みを止めるのは愚か者の作法だね。仮に運命の賽の目が我々を地の果てへ誘おうとも、私が単騎で大地を駆け抜け、理不尽なる天罰ごと切り裂いてみせよう」

 

「む……?」

 

 私がフッとオサレな笑みを浮かべて言い放つも、葛城、鬼頭、吉田の三人は揃って「何を言っているんだ?」という顔で沈黙してしまった。

 

 数秒のいたたまれない重たい空気の後、葛城が困惑したように小さく咳払いをする。

 

「……いや、すまん。明日の細かい方針については、椎名たちが戻ってきてから改めて決めることにしよう」

 

(ひよりぃぃぃ! 早く帰ってきて!! 俺の言葉を翻訳してくれる君がいないと、この場がキツい!! ごめんよ葛城!困らせちゃって!!)

 

 私は内心で愛しの翻訳担当の帰還を激しく願い、真面目な葛城に平謝りしながら、なんとか涼しい顔をキープし続けた。

 

 気まずくなった空気を察したのか、吉田が明るい笑い声とともに助け舟を出してくれた。

 

「あー……ハハハ!まあまあ!とりあえず、女子たちを待ってる間に俺たちで飯の用意でもしておくか?」

 

 意図的に空気を変えようとしてくれた吉田の提案に、葛城も少し表情を和らげ、ゆっくりと首を横に振った。

 

「いや、皆が揃ってからにしようか。明日以降、クラスメイトたちとこうして一堂に会して食事を取れる機会も、そうはないかもしれないからな」

 

「――葛城の言う通りだね。それに、彼女たちの身の清めが終わるまでにはまだ時間がある。晩餐には極上の供物が要る。私が海神の宝物庫から少しばかり拝借してこよう」

 

(訳:葛城の言う通りだね!女子の風呂が終わるまで時間があるし、少し海で魚を獲ってくるよ!せっかく海に近い拠点で泊まるなら美味しい魚を食べよう!)

 

「……魚を獲りに行くということか?危険ではないか?それにお前は今日一日、ずっと走り回っていたんだぞ?」

 

 葛城の尤もな心配に対し、私はオサレに「問題ないよ」と手をヒラヒラと振った。

 

 そしてその辺りに落ちていた手頃な木の棒を拾い、石を使って先端を鋭く削り出し、即席の槍を作り上げる。

 

「――三十の刻が過ぎる頃には戻ろう」

 

 そうオサレに言い残し、私は単身で海へと向かった。

 

(さすがは無人島だね!いろんな魚がいっぱい泳いでるじゃん!)

 

 私は内心でテンションを爆上がりさせながら、海中で藍染スペックの動体視力と身体能力を遺憾なく発揮した。木の槍を次々と突き出し、あっという間に全員で食べ切れる十分な量の魚を確保する。

 

 拠点に戻ると、葛城も鬼頭も、私が抱える魚の山を見て目を見開いた。

 

「おい……。こんな短時間で、しかもその木の槍だけでこれだけの魚を獲ってきたのか……?」

 

 驚愕する彼らをよそに、私は女子たちが帰ってくる前に魚の鱗を取ったり内臓を処理したりと、手際よく下ごしらえを進めていく。

 

 そうこうしているうちに、女子たちも大浴場から戻ってきた。みんなしっかり湯に浸かってリフレッシュできたようで、どこかさっぱりとした嬉しそうな表情をしている。

 

「ええ!?藍染くん!こんな短時間で魚を獲ってたの!?」

 

 小橋が目を丸くして驚き、姫野や白波たちも信じられないといった顔で私の手元を見つめる。

 

「惣右介くんは本当に凄いですっ!」

 

 ひよりもパッと顔を輝かせ、嬉しそうにパチパチと拍手をしてくれた。

 

「藍染惣右介。あなたは海の声が聞こえるようですね……」

 

 森下が一切の感情を排した真顔で、相変わらずシュールな発言を落とす。

 

 みんなが「ありがとう」と口々に感謝してくれるのを受け、私は内心で(みんなが喜んでくれて良かった!せっかくの無人島だし、試験とはいえ楽しい思い出も作らないとね!)とほっこりしながら、フッと傲慢でオサレな笑みを浮かべた。

 

「――我々がこの島を謳歌するという事実こそが、天に与えられた最大の恩恵だ。さあ、共に記憶という名の星を創ろうじゃないか」

 

「『みんなで美味しいものを食べて、この無人島で楽しい思い出を作りましょう!』とのことです」

 

 ひよりがすかさず完璧な翻訳を入れてくれる。やはり彼女が隣にいると安心感が違う。

 

 

 その後、私たち男子陣も女子と交代して大浴場へ向かった。テーブルが同じなのか、あるいはペナルティ覚悟で本部まで戻ってきているのか、浴場にはそれなりの数の生徒がいて賑わっていた。

 

 身体を洗い、広い湯船に浸かって汗と疲労を洗い流していると、不意に声をかけられた。

 

「おっ!藍染!こんなところで会うとはな」

 

 声の主は、生徒会長である南雲雅だった。

 

(南雲じゃん!指定エリアが同じだったのかな?)

 

「――奇遇だね、南雲。我々は星の導きのまま足を運んだまでだが……君も同じ運命のもとに?」

 

(訳:俺たちは最後の指定エリアがここだったからね。南雲も?)

 

 私がオサレに問いかけると、南雲は濡れた髪をかき上げながら笑った。

 

「いや、俺たちの最後のエリアは【E9】だったからな。隣のエリアだったし、せっかくだからと本部まで歩いて来たんだ。……それで?今お前のグループは何得点稼いでるんだ?」

 

 南雲が探るような鋭い視線を向けてくる。

 

(うーん。ここで教えれば南雲も自分の得点を教えてくれるだろうけど……同盟を組んでる以上、坂柳たちに相談もなく勝手にこちらの情報を漏らすわけにはいかないかな)

 

「――焦る必要はないさ。真実という名の果実は、熟すまで待つからこそ甘美なのだからね。……四日目の夜明けを、楽しみにしているといい」

 

「ははっ、違いねぇ。そりゃライバルにそう易々と情報は渡せないよな。いいぜ、四日目の開示を心待ちにさせてもらう。じゃあ、俺はそろそろ上がるぜ」

 

 南雲は機嫌よく笑うと、ザバッと湯船から上がり、去っていった。

 

(南雲も、あの鬼龍院先輩と朝比奈先輩っていう強力なメンバーと組んでるから、初日からかなりポイントを稼いでるだろうな。……うん、四日目のランキング開示が楽しみだ)

 

 私は彼が去った扉を見つめながら、静かに闘志を燃やした。

 

 しっかりお湯に浸かってさっぱりした状態になった後、私は葛城たちと共に女子たちが待つ拠点へと戻った。

 

 

 拠点に戻りみんなと合流した後は、全員で協力しての調理タイムとなった。

 男子陣で私が獲ってきた魚を捌いて調理を担当する傍ら、女子陣は鬼頭のグループが課題で獲得したというお米を飯盒で炊く準備を進めていた。

 

「……見えます。この小さな火種が、やがて無人島全土を燃やし尽くす業火となるビジョンが」

 

 森下がカチカチとライターを弄りながら、真顔で意味不明なことを呟いている。

 

「はぁ……。貸してください、森下さん。私がやりますから」

 

 一向に火を起こそうとしない彼女に見かねて、坂柳が呆れたように手を差し出すが、森下はスッとライターを遠ざけた。

 

「お断りします。坂柳有栖にこのような危険物を渡せば、面白半分でこの島ごと焼き払うおつもりでしょう?私はまだ灰にはなりたくありません」

 

「…………」

 

 真顔でとんでもない放火魔扱いをしてくる森下に対し、坂柳は優雅な笑顔を一切崩さないまま、そのこめかみにピキッと青筋を浮かべた。

 

「ふふっ……。私がいつ、そんな物騒な真似をすると?」

 

「おい森下!坂柳がガチで怒る前に早く火をつけろよ!」

 

 静かな威圧感を放ち始めた坂柳と、それでも一切動じないマイペースな森下に、すかさず吉田が焦り気味のツッコミを入れる。

 

 そのコントのようなやり取りを見て、ひよりや姫野たちAクラスの女子たちも楽しそうにくすくすと笑い声を上げていた。

 

 

 みんなで協力して作り上げた無人島ディナー。私が調理した刺身、煮付け、塩焼きといった魚料理に加え、ほかほかに炊き上がったご飯が並ぶ。

 

「美味しい! 無人島でこんなに豪華なご飯が食べられるなんて思わなかったよ!」

 

「藍染くん、本当に何でもできちゃうんだね……」

 

 白波や姫野が美味しそうに魚を頬張り、宴のような賑やかな食事の時間が過ぎていく。

 

「坂柳有栖。あなたはその小さな体で本当によく頑張っていますね。私がよしよししてあげましょう」

 

 森下が真顔のまま、坂柳の頭を撫でようと手を伸ばす。

 

「……森下さん、最近私のことを舐めてませんか……?」

 

 坂柳がピキッと青筋を浮かべ、杖の先で森下の手をペチッと払いのけた。

 

「こら森下。坂柳を子供扱いするのはやめろ」

 

 すかさず葛城がフォローに回り、またしてもドタバタとしたやり取りが繰り広げられる。

 

 坂柳はフゥと小さくため息をつき、わざとらしく首を振った。

 

「……葛城くんと協力体制を築いたのは、失敗だったのでは……?」

 

「むっ!?」

 

 想定外の言葉に、葛城が目を見開いて硬直する。しかし、坂柳はすぐにクスリと笑みをこぼした。

 

「冗談ですよ。森下さんの奇行はともかく……私もこれまで、純粋に『友達』と呼べるような存在はいませんでしたからね。今のこの賑やかな状況には、とても満足しています」

 

「そ、そうか。それならばよかった……」

 

 坂柳の素直な言葉に、葛城は安堵したように胸を撫で下ろした。

 

(Bクラスも本当に良い雰囲気だな。クラスの垣根を超えて、こうして笑い合えるのは素晴らしいことだね!)

 

 私がほっこりしながらオサレに微笑んでいると、ふと姫野が思い出したようにひよりへ視線を向けた。

 

「そういえば椎名さん。今日森の中で、藍染くんにお姫様抱っこで運ばれてたよね……?」

 

「ふぇっ!?」

 

 突然のキラーパスに、ひよりの顔がボンッと音を立てるように真っ赤に染まった。

 

「あ、あれは……っ!そ、惣右介くんの移動速度に合わせるための、最も合理的な手段でありまして……!決してやましいことでは……!」

 

 しどろもどろになって両手をパタパタと振るひよりに、姫野や小橋たちもニヤニヤとからかうような視線を向ける。

 

 私はフッと艶やかな笑みを浮かべ、優雅に紙コップを傾けた。

 

「――咎めることはないさ。地に縛られた羽を空へといざなうのは、風である私の役目なのだからね。それに、私の腕の中にある彼女の安らぎは、何者にも奪わせはしない」

 

「も、もう!惣右介くんまで何言ってるんですかぁ……っ!」

 

 顔から火が出そうなほど照れまくるひよりの可愛らしい反応に、拠点にはさらに温かな笑い声が響き渡った。

 

 

 食事が終わり、片付けを済ませた私たちは、明日七時から始まる課題に備えて六時には起床することを決め、それぞれのテントへと戻っていった。

 

 一人用のテントに入り、目を瞑る。

 外からは波の音と、微かな虫の音だけが聞こえてくる。

 

(クラスポイントが懸かっているし、清隆を狙う月城や刺客の件もある。警戒すべきことは山積みだ。……だけど、こうしてひよりや友達たちと無人島で過ごす時間は、純粋に楽しいな)

 

 過酷なはずの試験の中で、確かな温かさと充実感を感じながら、私は静かに目を閉じ、無人島での初日の夜を終えた。

 

 

 

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