満ちる月を越える者 作:業火の跡地
イオリが黒鬼とのKASSENに出なかった理由は黒鬼がかぐやいろPチームを舐めなくなるから。ガチ黒鬼とカチ合ったら自分は勝てるがかぐやとイロが完全に勝てなくなると言う判断であった
お助けヤチヨに関しては半分確信犯である
===薩摩地域、墓地===
時期はお盆である
伊織は家族の墓参りに来ていた。墓を水洗いし、蝋燭や線香、仏花と土産を供え墓前で手を合わせる
今年は報告が多い。かぐやとの出会いや自分の変化、かけがえのない友と言える人達と縁を結べた
(黄泉路の先から見とってくれ。俺はまだ奔る。まだまだ強くなれる)
手を合わせていると周りの自然の音が良く聞こえる。穏やかな木々の音色、安らぐ鳥達の歌、竹林を吹き抜ける風。木漏れ日のカーテンの動揺、その全てを、感じ取る
とても落ち着く。そう思っていた
===KASSEN特設会場===
巨大なチョウチンアンコウが泳ぎ空間を照らす。
そこはKASSENのSENGOKUステージ
響き渡るのは乙事照琴の実況だ
『注目のイベントが始まります!王者BlackOnyXが異例の速度でのし上がった超新星!かぐやいろPに宣戦!そして求婚!?』
『求婚により帝のファンダムは一時騒然と成りましたが、多分ノリで言ってるだけだと思いまーす』
『ヤチヨカップの最終集計まで後は僅か!運命を懸けたKASSENが!今始まろうとしていますっ!』
実況解説はこの2人!・・・と?2人の真ん中に無表情の男が一人
『どもー!実況の乙事照琴とぉ?』
『解説の忠犬オタ公でぇーす!そしてもう一人!特別ゲストのご紹介だ!ツクヨミ最強の男ぉ!』
『同じく解説・・・イオリじゃ。ヤチヨに連行されたど』
少々不服のようだ。野良でSETUNAに潜ったら突然ヤチヨが来て「見届けてあげなよー!」っと強制テレポートで解説席に放り込まれたのである
SETUNAなら兎も角、ツクヨミである限り管理人のヤチヨには敵わない
『では、よろしくお願いします。イオリさん』
『よろしくね。イオリ。ではこの三人でKASSENの模様を届けていきます!ルールは3番勝負の3対3のSENGOKU、櫓を占拠し大将落としを打ち込んだ方の勝利!イオリ、出なくて良かったん?』
『今はアレの面も見たくなか。白けさせるだけぞ』
『アレ?まあいいや。所で、黒鬼はまだですかね』
投影されている空中モニターに虎バイクに乗り赤鬼を倒しながら突き進むBlackOnyXが
『ちょっ何処そこ!?鬼ヶ島ぁ?』
突然ステージ内の山を突き破り現れるBlackOnyXの三人。ステージではかぐやが喧嘩をふっかけたり、それにいろPが反撃したりしていた。が?帝に特大のファンサをされたまみまみが中々目を覚まさない
『おっと?意識を戻さない!』
『・・・月見ヤチヨば来る』
『ほう?』
その時、イオリの言った通りステージのかぐやといろPの前に玉手箱が降ってきて
その中からイオリが見慣れたKASSEN衣装のヤチヨが飛び出してきた
『イオリさん?どうしてわかったんです?』
『月見ヤチヨの役割ぞ。欠けた方の戦力差ば埋める。一度だけやったことがある』
コイツは2年程前に一度この仕様を悪用した
「強ぇヤチヨと殺り合いたくねえか?」
主犯ランナ、共犯イオリ、杖おじと雇ったド新人3名と言う試合を作りイオリより強いヤチヨと殺り合おうとしたのだ
結果だけ言えば成功
だが出てきたヤチヨにワザとなのを看破されイオリ含めて3人まとめて正座でお説教タイムである
『勝ち筋の一つん考えちょったが、出てくるとはの』
最初から真実を勧めたのも実はワンチャンねえかなくらいであった
『イオリ、お助けヤチヨをどの程度と見ます?』
『ふむ・・・黒鬼2人分無いくらいかの』
『イオリさん、試合開始前に聞いておきましょう。ぶっちゃけかぐやいろPに程度勝てる見込みがあると?』
『ヤチヨありきなら初戦3割、結果次第でつぎ4割かの。じゃっどん正面からかち合えばの話じゃ。集団戦ならば作戦次第。そっちは門外ぞ』
イオリは一対一、一対多は良く経験していたが集団戦の経験は乏しかった。ない訳では無いが、語れるほどの練度は無い
『辛辣ぅ、弟子じゃないんですか?』
『解説は公平にやっど。ワン公もそうじゃろ』
『オタ公です。勿論かぐやちゃんといろPを応援する気持ちはありますがねぇ、職務は職務。果たしちゃいま〜す』
『戻すど。少なくともイロがあのままじゃ絶対勝てん。色々折り合いつけんとの』
『ほほぅ、成る程です』
色々な言葉を端折ったがオタ公は何となく分かったようだ
そうして、法螺貝が鳴り響く
世紀の竹取合戦
第一戦、開戦
かぐや、いろPはトップへ、ヤチヨがボトム
一方の黒鬼は三人別々に動き出す。帝がトップ、雷がミドル、乃依がボトムだ
『トライデント!トライデントっすね!』
『複数の敵にも一人で対応しなければいけず。相当の自信がないと出来ない作戦、コレは完全にぃ?』
『舐めとんの。じゃっどんそれを成立させる実力差はある。イロの方は言わずもがなじゃな』
今のお助けヤチヨなら
その内いろPとかぐや、帝が会敵する。そして着ぐるみいろPは帝に良いようにあしらわれていた
そして、帝の挑発に対して、狐の着ぐるみを脱ぎ去った
「やっぱ、彩葉じゃん?お兄ちゃん久々に会えてうれし~。よしよししてやろうか?」
『衝撃の告白───!?帝といろPは兄妹だったッ───』
乙事照琴の大袈裟な実況が響きわたる。オタ公も驚愕の表情を見せていた。会場も驚きの声が凄く大きい
そして知ってたため特にリアクションを見せないイオリ。それにオタ公が突っ込みをいれる
『イオリさん!?何で無表情!?聞いてたんですか?!』
『結構前から気付いとった。こないだかぐやの一件でおったランカーは戦い方で勘付いとるど』
『その野生の本能的なの何なんですか?!』
『コッチはコッチでイカれているぅw!イミワカンネ
おぉっと!ボトルレーンでは乃依とヤチヨが会敵!開幕狙撃を完璧に防ぎきったぁ!』
そんな問答の間に試合は進む。流石はプロ2人。一瞬で切り替えて実況、解説へとシフトする
トップレーンでは帝が地面を叩き割り、かぐやといろPの追撃の隙をつくる。そしてそのまま高速攻撃のウルトを使用。一瞬で巨大な牛鬼を斬り伏せた
『瞬殺ぅー!』
『最速出てます』
『技ありであっが最速?大した事ないの』
1人だけ反応が可笑しいのは気にしてはいけない
そしてヤチヨの回転傘が牛鬼へトドメを刺していた
『ボトムレーンのヤチヨも牛鬼を撃破ぁ!』
だが、少々長い残心で乃依の鈍足連射に捕まった
イオリはその光景に既視感と言うか、妙な一体感と言うべきか?を覚える。まるで調子に乗ったかぐやのようだ
勝ったと思ったら油断して痛い目を見る。伊織がかぐやのKASSENアーカイブやイオリ道場で何度も見た光景だ
試合はそのまま乃依が櫓を占拠し、雷が大将落としに到達、かぐやいろP陣営の天守が爆散した
(なんぞ、こん違和感・・・何かが引っ掛かる)
『イオリさんはどうやって鈍足を防ぎます?』
『矢も弾も音より遅か。どっから来とるか見んでも分かるじゃろ。持つなり斬るなりすればよか』
『とんでもない絶技ぃ!それはイオリさんしか出来ません!』
考え事をしていたが何でもないように答えたイオリ
出来るやつは出来るが?と思った
※音だけで確実に距離と方向を完全に把握し完璧に迎撃するのはイオリにしか出来ません
『第一戦は櫓両占拠からのKO!第二戦はどうなるかっ!!』
『そうですねぇ。黒鬼はこのままトライデント継続でしょう。彼らは生粋のエンターテイナー、みみっちいことはしません。ついでにイオリさんの考えを聞かせてください』
『ふむ・・・かぐやは阿呆じゃ』
『おっとぉ?』
思ってたのと違う回答にオタ公が素っ頓狂な声を上げた。イオリは続ける
『じゃっどん間抜けでは無か。同じ轍を踏むことはしん。何か必ず想像も出来んことをやらかす。そんな娘ぞ』
『ほうほう。楽しみにしていましょう!』
『続いて2戦目、開幕だぁ!』
第二戦 開戦
そして、かぐやは誰も考えもしなかったことをやらかした。何と空を泳ぐ魚に乗せて貰っていた
マップ上ではそれが分からず帝側はトライデントの継続
いろPが帝と接敵。そしてその上空ではかぐやの大槌に備えられたブースターでトップレーンからボトムレーンの乃依を強襲
かぐやを狙った隙を付いてヤチヨが乃依を撃破しかぐやが櫓を占拠に成功する
『やっぱりの。かぐやはこう言う娘ぞしてやられたな。アレも』
『誇らしげですねぇイオリ』
『ほうか?いや、ほうじゃの。弟子の成長はうれしか』
しかし、単独で戦っていたいろPは帝に振り切られ櫓を占拠された。そのままリスポーンしたいろP。しかし戦闘には間に合わない
そして乃依の撃破を聞いて帝は自身の陣地の防衛に向かう。雷が追いついたがヤチヨにより撃破された
そして大将落としへの道を並走している。帝を妨害しにくるかぐや
『今んアレがあの月見ヤチヨに挑むんは無駄ぞ。勝てる戦力差じゃなか。やるなら、かぐやを落とすくらいかの』
『ですねぇ。次に向けて残機を削りたい所だが・・・時間稼ぎされているっ!雷も帝これは間に合わない!』
かぐやが帝と戦う間にヤチヨが大将落としを飛ばして黒鬼側天守を爆破した
『黒鬼ぃ天守陥落ゥ!かぐやの奇策がハマったぁ!』
『2Dマップに上下情報がないことを逆手に取った撹乱でした』
『食べ物あげれば乗せてくれるとかwシランカッタ!オモスレw』
『よか。じゃっどん次は本気で来るど』
『同意です。王者BlackOnyXの底力はこんなものではありません』
絶対王者が新人にしてやられた。その事実に会場もコメントも相応に盛り上がる
『おこってる、何割で勝てると思うとる?』
『乙事照だ!まぁ、帝君達が本気でくるなら2割程度だろうね。イオリは?』
『今のままなら一割無い思うちょる』
『イオリさん、その心は?』
『イロぞ。まだ一人で戦っとる。強く在ろうとしとる。俺もそえざゃ。そいは悪いことではなか。じゃっどんここはRANSEでもSETUNAでもなか。SENGOKU、集団戦じゃ。その心が変わらねばアレにやられて終わりぞ』
イオリは大分酷評した。だが的を射ていない訳では無い。これは一人の戦いではないのだ
こと戦いにおいてはどこまでも冷静に分析できるのが伊織だ。互いの実力差を細かく把握し、相性を考えて、贔屓などしない。そして感情の乗り方で勝敗が変わるとも思っていない
そして、第3戦 開戦
中盤、互いに残機を削ったものの現在まで黒鬼優勢である。櫓はお互いに一つずつ占拠、現在はかぐやいろPチームの大将落とし前で雷、乃依相手の防衛戦が展開されていた
本気の黒鬼は強い。このまま押し込まれるか
そして防衛戦にリスポーンしたヤチヨも合流
『激戦っす!天守閣前での攻防戦!』
『あ?なんぞあの動き?』
『どうしました?』
『アレぞ。なぜ真ん中をいかん?この期に及んでまだ慢心か?』
『確かに、不可解・・・あ?いや、そう言う事か?』
そして、合流したヤチヨがイロに何かを言った。それを聞いたイロはかぐやと踵を返す
『・・・ほぅ、やっと殻ばヒビ入ったか。遅かったの。じゃっどんまだぞ?』
試合がまた動いた。かぐやといろPがヤチヨと入れ替わる形で戦線離脱、2人で帝の迎撃へと向かう。イオリはイロの変化に気が付く。幼虫は脱した。だがまだ蛹だ。空を舞うにはまだ足りない
『天守からトップへ!待ち受けるのは帝との一騎打ち!』
『ここから大一番ぞ。気張れよ。二人とも』
トップレーンを征くイロとかぐや。イオリも聞こえていないが激励を口にした
そして湖上の舞台で帝と相対する2人
ヤチヨは巨大なクレーターと共に雷、乃依と相討ち。このKASSENは三人に託された
そして、火蓋が落とされる。しかし帝は強い
完全にかぐやといろPの動きを読み切っている
『おお、容赦ない!帝優勢だぁ!』
『ふむ、黒鬼側の天守を落とす時突破力が無いと、かぐやちゃんが居ないといろPも天守閣の攻略は時間がかかります。つまり帝はかぐやちゃんを何とかすればほぼ勝ち確の場面』
『いや、ほうか。これなら虚を突ける。かぐやならやらかす。後は』
『イオリさん?』
『ワン公がそう考える言うことはアレも同じ事考えとるじゃろ。敢えてかぐやを囮に使う。確実にアレの虚を突ける。あとはイロ次第ぞ!』
試合ではかぐやとイロが帝にのされている
が、立ち上がった2人の雰囲気が変わった
次にイロが攻撃する時、かぐやの大槌を持っていた。帝の背中側からイロのブーメランを持ったかぐやがそれを投げる。同時にイロも大槌をかぐやになげた
そして、双剣モード、片方を帝に投げる。が、避けられ背後の柱に突き刺さった
『詰めじゃ。今の帝アキラとの勝負、勝てる。イロが一人で戦うんば辞めた』
『おっと、イオリ言い切ったね』
『かぐやもイロも誤魔化しながらワイヤーば張り巡らせとる。帝はあの様子じゃと気付いとらん。あっこはもう逃れられん蜘蛛の巣ぞ!』
「かぐやとなら、」
突如柱に刺さったイロの双剣の片割れがワイヤーの巻き上げを開始、柱、瓦礫に引っ掛かったワイヤーが次々と帝に巻き付き自由を奪う
「彩葉っ!」
「かぐやの考えてる事くらい!分かってるっつーの!」
イロが走る。その後ろ姿は何かに閉じこもった蛹でない。力強く大空を舞う蝶であった
ワイヤーで雁字搦めになった帝を討ち取った
『お見事───!』
『帝!陥落!』
『ふぅ、二人ともようやったの』
フィールドでは2人が狐のハンドサイン、仲良しのやつをしていた
会場も大盛り上がりである
『これは決まったかぁ?』
『いや、まだ分からんど。雷の事じゃ。多分大将落としの真ん前に罠仕込んどるじゃろ。俺がかぐやに言ったこと忘れとらんと良いが』
イオリの中の一抹の不安を他所にイロとかぐやは順調に凄く楽しそうに黒鬼天守へと向かう
その光景に魅力される人が多かった
芦花も口を覆い、涙を浮かべている
そして、帝がリスポーン。虎バイクに乗り込み一直線にかぐやいろP陣営の大将落としへと走る
『こいは』
が、大将落としへの到達はかぐやが速かった
無警戒に大槌を振り、残りは打ち出すのみ
「勝ち確ぅ〜」
『いかんの』
その時かぐやの足元が光る。爆発
『ああーーっと!雷の地雷トラップゥーー!』
『あんの阿呆』
「あんの馬鹿」
イロとイオリがシンクロした
ミニオンの相手をしていたイロが急いで大将落としに急ぐ。しかし帝がウルト含めた超加速で大将落としに到達、天守閣を爆散させた
『決まってしまったぁー!
勝者、BlackOnyXゥーーー!』
帝が勝利のポーズを上げていた
フィールドではかぐやが負けた。と凄く悔しがっている
イロも不安げな表情を見せていた
『ですが、まだヤチヨカップの結果は、出ていません』
オタ公がそう締めくくった
===鳥居の広場===
いじけているかぐやにイオリは頭に手を置いた
「かぐや、ようやったの。じゃっどん勝者を讃えるんも大事な礼儀ぞ。胸ば張れい」
「うん。かぐやも私も、良くやったよ」
「彩葉ぁ、伊織ぃ・・・」
かぐやを宥める間に中央の鳥居がカラフルにライトアップされた。その上にはヤチヨが浮いている
いと大義ー
とーっても楽しいKASSENでした
そして、ヤチヨカップの集計が終わったよぉ
ヤッチョとコラボる人、はっぴょう!
どれどれ〜
空中に映し出された棒グラフ。やはり紫の黒鬼の伸びが強い。だがそれに追い上げる黄色の棒、かぐやいろPの物だ
なんと!まさかの!優勝者はぁ〜?
そして、黄色いグラフが、紫のグラフを追い上げ追い上げて?・・・追い抜き、弾けた
かぐやいろP〜めでたしや〜
スポットライトがかぐやといろPを照らす。目立つのが嫌いなイオリはさっと離れた
「え?なんで?負けたのに・・・
いっっっやったぁぁぁ!」
「へ?えぇぇぇ?」
「やったな。かぐや、イロおめでとう」
「ありがとーー!彩葉と伊織のお陰だよぉ!」
イロは現実を受け止めきれていない。キャパオーバーしてる。そこにイオリが言葉を掛けた。それを皮切りに声援、祝福の言葉が贈られる
恥ずかしがったイロはかぐやの後ろに隠れた
そして巻き起こるいろPかぐやコール
そんな中近づいてきた帝と雷。思う所があるイオリが2人の前に立つ。周囲の空気が壊れたが相変わらず殺意を隠さない
「なんぞ」
「勝者を讃えるのが礼儀、だろ?」
「・・・ならよか」
道を空けた。それでかぐやが帝に気付く
「ヤバっ、結婚、」
「この雰囲気じゃあ、勝ったとは言えねえな」
「んん?」
「元々無理矢理結婚する気なんてねぇし、そんな事したらイオリが黙っちゃ居ねぇし」
「ねえよな!」
ピンと来ていなかったようだがかぐやがVサインを出した。今度はイロへと声をかける
「それで?彩葉のお願いって。何?」
「え?良いの?・・・引っ越ししたくて、保証人になってもらえないか、と」
「家ごと買わなくて良いの?」
「家ごと!あぁーん」
「出たよ成金発言、結構です!」
「・・・お安い御用。じゃあ、俺達ファンの所行くから」
この言葉を聞いて、伊織は帝、酒寄朝日への評価を変えた。少し前までは上辺だけの気持ちだと思っていたのが、違うと感じたのだ
「ね〜彩葉、ほんとに引っ越し?」
「あんた無限に物増やすでしょ?」
「いやったぁ!」
「ちょいと、アレに思い違いしとったかもの」
「あ、伊織!何で逃げたの!」
「人混みはただでさえ苦手じゃ。あんなの耐えられるか」
「なんかいつの間にか解説してたけじゃーん」
「ヤチヨの差し金ぞ」
コレに関して伊織はヤチヨに文句を言う気は無かった。事実何度か負けている。他に勝てば望みを聞くと言っている以上ヤチヨのコレを反故にするのも違う
「おっ三っ方ぁ!」
そして、その張本人が小さくなって上から降ってきた。三人で受け止め、FUSHIはかぐやの頭上に着地した
そしてちびヤチヨは三人を見上げると
「よ〜きかな〜」
「ちょっとはやるじゃねえか。マグレに頼る天才だな」
その言葉に悪童がFUSHIをボール代わりに遊び始めた。悲鳴もお構いなしだ
「かぐや!彩葉!伊織!よく頑張った!」
「俺は少し手伝っただけぞ。2人の頑張りじゃ」
「いやぁ〜、でも全然ダメだった。どうやったらヤチヨと伊織みたいに動けるの?」
「それはね〜日々の努力の玉藻の前というか、気まぐれアメンボロードというかぁ」
「日々の積み重ねと実戦経験ぞ」
「なんかヤチヨってさ、いつも適当じゃない?」
「うぅ、ヨヨヨ〜、ヤチヨは優柔不断で悪い奴なのです〜・・・でもかぐやはかぐやだから強いんだなって思ったよ!」
「何も言ってないなー、それ」
(・・・誤魔化した?)
かぐやが肩に乗せたFUSHIをつつき回す。そして、ヤチヨの纏う空気が変わった。イオリはヤチヨを見据える
「さて、ここから先はハードな展開が待っているかも。この物語を最後まで見届けてね」
(なんぞ?ハードな展開・・・見届ける?この言い草まっで)
「何を、おっと」
後ろから抱き着こうとしたノーマルヤチヨを伊織は回避。イロとかぐやが抱き締められた
「えー、伊織ノリ悪ー」
「いきなり来たらそうなるじゃろ」
「むー!えいっ!」
ヤチヨが指を振るとイオリが三人の方に弾き出された。咄嗟に反応し避けようとしたが無駄であった
「イエーイ!YO!!運命の荒波に揉まれる覚悟はあるか?」
「おー!」
「お、おー」
「おう」
三者三様、伊織は前々からヤチヨへの不信感を募らせていた。何か隠しているのは確信している
これでその内容も大まか推察できた。だが2人の前で詮索はしない
「ネムッテ!ネムッテ!」
「ありゃりゃ。ふぁ〜。ヤチヨ眠る時間だぁ、じゃあ!さらば〜い!」
ヤチヨはツクヨミの空へと消える。それを見送る三人。イロがポロっと溢した
「ねぇ、コレって現実?」
「VRだよ?」
伊織は無意識にツクヨミのカラーボールを睨む
月から来たかぐや、《これから》を知るであろうヤチヨ。その二人のよく似た戦闘スタイル
伊織の中で何かが繋がり始めた