満ちる月を越える者   作:業火の跡地

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伊織の一口メモ
伊織はとある理由で全国を転々としており、強さを求め続ける過程で剣術、槍術、弓術、体術、薙刀、銃剣
大体日本国内にある武術は一通り齧り、持ち前の才覚と子供特有の吸収力で次々と習得している


伊織の抱えるモノ

 

===彩葉宅===

何故か伊織もかぐやが作ったという夕飯にお呼ばれした。ともあれかぐや的にはこれで伊織のお話がながれてくれないかなー?的な狙いでもあったり、なかったり?

コーンスープやハンバーグ、伊織からのおすそ分けを使った野菜サラダ

料理の出来栄えは見事そのもの。生後?3日とは思えないプロ顔負けのものだった

しかし、かぐやの想いと現状は違う

 

 

「これも、全部ウォレットで?」ワナワナ

「そだよ〜」

 

めっちゃドヤ顔しているかぐや

更なる使い込みが判明、台所も碌に片付けられていないときた。彩葉の周りに吹雪が見える。出されたものは無駄にしない。伊織が一口

かぐやがスープを彩葉の口に押し込む

 

 

「・・・美味いの」

「なによ、美味いじゃないの。久々の美味しいご飯に体が満たされるじゃないの」

 

 

何か悔しそうだ。それはそれとして伊織が一言釘を差した

 

 

「かぐや、仏ん顔も三度までぞ。次はなか」

「うぐっ、分かった・・・」

 

 

伊織も気が付く。彩葉がかぐやを追い出す気が無さそな感じなのだ。こやつもこやつで甘すぎないか?

(こいつ一人でかぐやの面倒見とったらぶっ倒れとる。かぐやに付いて行けんくなる)

かぐやの料理を食べながらそんな事を考えていた

 

 

「食材が欲しいなら俺の部屋に色々置いてあるわ。そいをつかいんしゃい」

「え?いいの?わーい!やったー!!」

「そこまで喜ぶと義実家も喜ぶだろうよ」

 

 

その内に二人が料理を食べ終えた後、かぐやが何かパソコンを叩いているのを見た伊織、しかし犯罪してるように見えなかったので放置

 

 

(他人と食卓を共にするのは久しいな)

 

 

緩和されているとはいえ強烈な人間不信は治っていない。そしてこの騒がしい感じは嫌いではない

 

 

(家族が生きとったら、こんな食卓もあり得たのかの)

 

 

もう7年以上も前の事になってしまった母の料理の記憶、食卓の記憶。いずれも過ぎ去ってしまった儚いもの

 

 

「やっぱ母さんの料理は旨えだろ!」

「おう!」

「あんたらちゃんと肉ばっかじゃなくて野菜も食べえ!」

「おとんとお兄ぃ怒られた〜」

「彩波は肉も食えい!デカくなれんぞ!」

「食わんなら貰うぞ?」

「妹の飯盗ろうとすんな伊織ぃ!」

 

 

家族団欒、いささか賑やかすぎる食卓。伊織がおとんの皿から肉を掠め取ろうとしたり、それに拳骨がとんできたりと、この時の伊織は少々やんちゃであった

 

 

「そうだ伊織、爺さんの所にこれ持ってって」

「分かった〜」

 

 

伊織はそう言って母親から荷物を受け取った。近所に住んでる祖父祖母への山菜やらのお裾分けだ

 

 

「爺さん!来たぜ!」

「伊織か。毎度助かっとる」

 

 

家の玄関を開けたのは伊織の祖父、示現流剣術を教えている師でもあるおじいちゃんだ。稽古は厳しく、容赦無いがそこには愛とこいつは強くなるという確信を持って指導にあたっている

 

 

「日々の鍛錬、欠かしておらんな?」

「おうさ。毎日家の木全部へし折る気でやってる!」

「その心意気やよし!じゃがそれにはまだまだぞ!」

「うん!俺は強くなる!彩波と妹か弟か分からんけど、2人を守れるくらい強くなる!」

「カッカッカッ!よう言った!それでこそ男ぞ!」

 

 

伊織の頭をワシャワシャと強く撫でる、と言うか押さえつけてぶん回す

 

 

「爺さん、そこまでしときな。伊織が目ぇ回してるよ」

「大丈夫じゃ。これくらいでなんてことねえ」

「首が痛え」

「そうじゃ、おまんの父親に用事があるんじゃった。婆、少し出てくる」

「はいよ。伊織、またね」

「婆ちゃん、また!」

「はいはい。またきんしゃい」

 

 

そして爺さんと伊織が一緒に家路に付いた

 

 

「伊織、お前は強くなる。だがその強さは」

「足掻き、諦めず、大切な物を守るためのモノ、だよね!」

「その在り方を忘れるなよ。そういやお前にまた弟か妹が出来たってきいたぞ?」

「うん!」

「お前は良い兄になれる。守ってやれよ」

「命に代えても、守り通してみせる!」

 

これから産まれてくる弟か、妹か。ワクワクとしながら家に向けて歩いていた。そして乾いた音

爺さんがその音を聞いて目の色を変えた

 

 

「伊織、急ぐぞ」

「え?待って爺さん!」

 

 

伊織も爺を追って走り出す。そして見てしまったもの

顔を顰める。何時までもあの光景には耐えられない。

 

 

「ぃぉり?伊織、伊織!」

 

 

突然肩を揺らされた。それに驚く伊織、酷く動揺している。そしていつもとは違う悔しがる表情を見せた

 

 

「!?済まん。どうした」

「こっちのセリフだよ。大丈夫?」

「俺がまだ弱いだけぞ」

「また、思い出してたの?」

「・・・ここ最近の」

 

 

伊織の抱えている記憶、それは今の伊織の消えない傷と刻み込まれている

あの光景はいつ思い出しても耐えられない。自分はまだまだ弱い。もっと、もっと強くならなければ。伊織はその弱さを隠すように、話題を変えた

 

 

「酒寄お前これからもアイツの面倒見るんか」

「私にもよく言ってるけど、伊織も人を頼って良いんじゃない?」

「俺は十分助けられとる。んでどうする気ぞ」

「何かお世話される気満々っぽいよね。実際料理おいしかったしあんまり文句は無いんだけどさぁ」

「この出会いも何かの縁じゃ。俺も手助けすらぁ。でも何かやらかしたら警察には突き出すぞ」

「出来た!」

「!?まさかサイバー犯罪とかじゃないよね!」

 

 

得意気に何か白い卵型の機器をこちらに翳している。アホ毛もぴょんぴょんしていた

 

 

「携帯ゲームキット買ったんだ!これで犬DOGEといつもの一緒だって!」

 

 

小さな画面の中で犬が尻尾を振っている

伊織も毒気を抜かれる。

 

 

「何か警戒するのも阿呆らしくなってきたの」

「ねぇ明日何の料理する?食べたいものある?」

「一生住む気満々かよ」

「だって~ほかにどこに行けばいいの?もし捕まったらかぐやちゃん解剖されちゃうかも」

 

 

自分の体を抱えてオーバーに震えてみせる

 

 

「はぁ、お迎えが来るまでだからね!」「いいの!」

「目立たない」「あっ」

「許可なく外でない」「えっ」

「私の邪魔しない」「ひぇ~~」 

 

「これ守れるなら家いていいよ」 

「じゃあかぐやはどこにも行けず楽しみもなくずっとこのままってこと~?」

「郷に入れば郷に従う。先言うとくが俺は酒寄みたいに優しくは出来ん」

「自分でハッピーエンドにするんでしょ?巻き込まないで」

「ぷっぷくぷ~」

 

 

かぐやがぶーたれる。いかにも納得していない様子だ。伊織が口を開く

 

 

「じゃあこの話は無しじゃな」

「やっぱ一緒にハッピーエンドに行こう?お願い」

 

 

燕もびっくりの超速掌返しだ。顔に手を当てたおねだり姿勢。しかし彩葉は口笛を吹き、伊織は特に表情を変えない。彩葉に会話を移す 

 

 

「ちょっと!二人とも無視するの禁止!」

「そうじゃ酒寄、材料費くらいは払わせい」

「いや、結局おむつとかの支払い持ってもらって貰ったままだし」

「そいはある時払いですんだじゃろ。それはそれ。これはこれぞ」

「ちょっ、二万は貰いすぎだって!」

「おまんの持ち金考えてからもう一度同じ事言えるか」

「・・・・・・・・・はい」

 

 

爆速でふじゅ〜pay残高や銀行の口座残高を見てまな体を震わせる。めっちゃ渋々受け取った

 

その時、彩葉の携帯が19:30のアラームを鳴らす

 

 

「あー!この時間までに予習済ますつもりだったのに」

 

 

因みに伊織は成績は英語や国語以外は平均より少し上くらいで悪いわけではない。この2つは大体赤点取らないくらいだ

 

 

「えーっ!またどこかに行っちゃうの?!かぐやをまた一人にするの?こんな映えない部屋に一人で・・・」

「ホントに迎えが来るまでだからね!あ、食費は定額制!」

「増えたっ!?」

「何かほしいなら相談しんしゃい。真っ向から否定することはしなか」

 

 




次回、かぐや、ツクヨミへ

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