花屋夢想~猫耳少女の願い事~   作:くろゐつむぎ

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 当作品は他小説投稿サイトにも投稿しており、その際、各章の最後におまけを掲載しておりました。

 しかし、一話あたりの文字数が極端に少なく、ハーメルンの文字数制限に引っかかり掲載することができなかったため、こうして最後にまとめて掲載する形をとっております。

 完結記念として、どうぞごゆるりとお楽しみください。


おまけコラム集

おまけコラム1 ゼノンの植物図鑑―抱擁茨―

 

「名称」

 抱擁茨(ほうよういばら)

 

「開花時期」

 三月~四月

 

「特徴」

 バラの仲間で、春に赤や黄色といった、色とりどりの小ぶりな花を咲かせる。

 抱擁茨にみられる特徴として、周囲の木々に茨を巻き付け、添え木の代わりにしながら成長する性質がある。あくまで成長のための拠り所にするだけなので、他の寄生植物のように絡みついた相手から栄養を奪う、絞め殺すなどといったことはしない。

 その絡みつく性質を活かし、王都の庭園には抱擁茨のアーチが作られている。

 

「花言葉」

 ・独占的な愛

 ・けして、あなたを離さない

 

     〇   〇   〇

 

おまけコラム2 ゼノンの植物図鑑―水餅草―

 

「名称」

 水餅草(みずもちそう)

 

「開花時期」

 六月~八月

 

「特徴」

 土地の痩せた地域に分布する食虫植物の仲間。

 無色透明な粘液を分泌することからこの名がついた。

 この粘液を近くを通った虫にくっつけて捕まえ、栄養にする。

 

「花言葉」

 ・未練

 ・私を置いて行かないで

 

     〇   〇   〇

 

おまけコラム3 薬草について

 

 今や冒険者にとって必須アイテムにもなっている回復薬にも様々な種類があり、その効果も滋養強壮、疲労回復、毒消し、止血、痛み止めと挙げ出したらきりがない。

 

 そして、回復薬の原料となる薬草を栽培、増産する業者も複数存在する。

 

 ゼノンの花屋もその一つだ。

 

 彼が自身の畑で栽培している薬草の品質はどれも極めて高く、また、ギルドからほど近い場所に畑を構えているため、輸送コストを抑え安価で商品を卸すことを可能としている。

 

 当人曰く花屋が本業で、薬草の卸売りはあくまで副業に過ぎないと主張している。だが、彼の作る薬草がギルドでも人気の品であること、花屋の評判はそれなりであること、そして、ギルド長のカラルメイカが彼の商品を贔屓にしていることから、本業と副業が逆転しているのではないかと、彼をよく知る人物の間で噂されている。

 

 それについてゼノンは固く口を閉ざすばかりで、実際のところどうなのか、収入はどちらが多いのかを語ったことは一度もない。

 

 ちなみに、過去に数度、彼の薬草を狙った泥棒が侵入したこともあったが、全員もれなく店長であるゼノンに取り押さえられている。

 

 その際、犯人は皆一様に「魔物と戦った方がいくらかマシだった」と語ったという。

 

     〇   〇   〇

 

おまけコラム4 ゼノンの植物図鑑―葉隠笹―

 

「名称」

 葉隠笹(はがくれざさ)

 

「開花時期」

 なし

 

「特徴」

 竹の一種で、葉にのこぎりのようなぎざぎざの繊維があり、触れると切り傷を負う場合があることからこの名がついた。

 竹の部分はその加工のしやすさと耐久性から幅広い用途をもち、葉隠笹から作られた工芸品を特産品として売り出す街もいくつかあるほど。

 しかし、伐採の際は前述した葉に加え、竹が自身の重みにより割け、片側が跳ね上げられる危険性にも留意する必要がある。その勢いはすさまじく、巻き込まれて大怪我を負ったという事故報告が年に数度上げられている。

 

「花言葉」

 ・人間嫌い

 ・触れないで

 

     〇   〇   〇

 

おまけコラム5 コレットの報告書

 

 結論からいうと、瘴気に関する新たな情報は何一つ掴めていない。人間領に侵入し、諜報活動を始めてから数ヶ月経過するが、こうも何もないとなると、この場所はハズレの可能性が高いと思われる。

 

 拠点を移すことも考えたが、今の私には今の拠点から動けない理由ができてしまっている。そのため、瘴気に関する調査は引き続き他の諜報員に任せることにする。

 

 以上、人間領における瘴気に関する報告はここまでとする。

 

 ここからは追記事項とする。

 

 先日から報告書に記載していた人間の少年に、私が亜人であることがバレていた。

 

 それを理解した上で、その少年は私を友人だと言った。そればかりか、一緒に粉雪花を見に行くという約束をした。

 

 粉雪花というのは主に山岳地帯に咲く花で、つま先ほどの小さな白い花が舞い散る様が、まるで雪のようなのだという。開花時期が春先だということもあり、人間には季節外れの粉雪を思わせるその花が、もう一度冬を思い出させるようだと捉えられているようだ。

 

 環境や気候の影響か、はたまた瘴気が影響しているのか。当然といえば当然だが、人間領にのみ分布する花があるらしい。彼に言われるまでそのことを失念していた。

 

 また、私が今まで苦手意識しか持っていなかった冬という季節に対し、名残惜しいと思う感性があることも興味深く思った。人間と亜人の文化の違いなのだろう。おそらく、この先少年と接するうちに、こういった感覚の違いは何度も見つかっていくのだろう。

 

 とはいえ少年もまだ幼い。彼と粉雪花を見に行くにはまだまだ先の話になりそうだ。

 

 だが、その約束が果たされる日が来たのなら、きっとその時は私が知らない景色が見られることだろう。それも、私が亜人であると知ってもなお、変わらず私のことを友人だと言ってくれた、件の少年と共に、だ。

 

 いつか彼との約束を果たせる日が来ることを、その約束の日が来るまで、この関係が維持できていることを、私は切に願う。

 

※この報告書を最後に、諜報員コレットは消息を絶った。

 

     〇   〇   〇

 

おまけコラム6 ゼノンの植物図鑑―粉雪花―

 

「名称」

 粉雪花(こゆきばな)

 

「開花時期」

 三月~四月

 

「特徴」

 主に山岳地帯に分布し、春先につま先ほどの小さな白い花を咲かせる。

 その花びらが高所から舞い散る様子が、まるで冬の雪がもう一度戻ってきたかのようだ、冬をもう一度思い出させるようだ、といわれている。

 名称や花言葉もそこからつけられている。

 

「花言葉」

 ・あなたを、もう一度思い出す

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