流れ星に願ったら個性豊かな個性が宿った   作:ひまなめこ

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1話賑やかな個性

「諦めた方が良いね」

 

とある病院の一室で太陽の如く光り輝いてるハゲ頭の老医師が一人のモジャモジャで緑色なマリモ頭の少年に容赦なく、そう言い放った。

 

「え?」

 

「やっぱり、何か体に異常があるのでしょうか?他の人たちは皆発現しているのに…この子供だけ…。」

 

「昔ね、足の小指に間接がいくつあるかって流行ったの。この子の間接は4つ。今では珍しい何の"個性"も持たない型だよ。」

 

この日、この瞬間マリモ頭の少年緑谷出久は無個性の烙印を押され、この世が不平等である事実を知った。

 

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病院から帰った後、出久は一人暗い部屋で延々と憧れのヒーローオールマイトが100人以上の人を助ける動画を無心で見続けていた。

 

その後ろ姿を見てるだけで、出久の母引子は彼が心の底から傷付いていることを察し、掛ける言葉も見付けられずにいた。

 

「いっ出久…。」

 

「ねえ、お母さん…見てよ…。オールマイトだよ、どんな奴でもやっつけちゃう最高のヒーローだよ…。僕も成れるかな…?」

 

「…っ!ごめん!ごめんね!出久!」

 

引子はもう、どうしたら良いか分からず、勢いのまま出久に抱きつき、謝り続ける。

 

(ああ…。違うよ、お母さん…。僕が欲しかったのはそんな言葉じゃ無いんだ…。)

 

ここまでは原作通りである。

しかし、もし出久に今母が掛けた言葉を否定する気力があったのなら、更に奇跡的な巡り合わせがこの後、たった数分後に出久を出迎えたら…そんな"もしも"があったのなら、この物語はどうなるのか、その分岐した世界をこれから観測していこうと思う。

 

「…お母さん…違うよ…。」

 

「え?」

 

「違うよ!僕が欲しいのはそんな言葉じゃない!」

 

出久は引子にそう怒鳴り散らして、子供の脆弱な力で引子の体を必死に突き飛ばした。

そして、そのまま家を飛び出して行った。

 

これが先ず、この先の運命を大きく変える"もしも"の内の一つ。

 

原作の出久にここで母の言葉に反発する程の胆力と気力はなかった。

 

だが、もしも少しだけその頃の出久に僅かだけ気力が残っていたのなら、もしも少し早い反抗期の予兆の様な物がこのタイミングで訪れたなら、どうなるのか…ここから先がその"もしも"の分岐ルートである。

 

 

家を飛び出した出久はそのまま遠くへと走る。

 

空はもうすっかり暗くなり、星が見える程に澄んでいた。

出久は綺麗な星空を見上げながら、疲れを無視して全力で出来るだけ遠くへと出来るだけ長く走り続けた。

 

やがて、そこら辺の道端に落ちていた空き缶につま付いて転ぶ事で、出久の足は漸く止まる。

 

「何で…何で!僕なんだ…!何で…僕が…無個性なんだ!」

 

走り疲れて過呼吸に成りながら出久は星空に向かって愚痴を叫ぶ。

それは病院で無個性と診断された時から出久がずっと溜め込んでいた心からの叫びだった。

 

誰も答えてくれない問いをただひたすら星空を見上げながら叫んでいると、突然、夜空に流れ星が流れる。

それも一つではなく、何十個もまるで流星群の様に。

 

「流れ星…神様!お願いします!僕に力を下さい!オールマイトの様な最高のヒーローに成るための最高の個性を…!」

 

その瞬間、夜空を流れていた流れ星の内の一つが突然出久に向かって降ってきた。

 

「えっ…えええ!?」

 

驚く出久は避けることも出来ず、突然降ってきた流れ星をノーガードで諸にその身に受けてしまう。

 

「うぐっ!」

 

流れ星は出久の心臓にダイレクトに当たり、そのまま心臓の中へとめり込んでしまった。

 

「うっうわあ…。流れ星が僕の心臓に…どうしよう…死んじゃう…。」

 

謎の流れ星が心臓の中にめり込んでしまった事による激痛で出久は踞りながら涙を流す。

 

「誰か…助けて…お母さん…オールマイト…。」

 

「安心しろ…。星核が心臓に入ったくらいでは死なないよ。俺達もそうだったし。」

 

「それって私達が特別だったって話じゃなかった?」

 

「あれ?そうだっけ…まあ、良いか…。それより…ほら、出久いつまで泣いてるんだ。早くお家へ帰らないとお母さんが心配するぞ。」

 

痛みに耐えながら涙を流す出久の前に灰色芦毛の男女が突如として現れて出久に優しく声をかけてきた。

 

「お兄さん達…誰?」

 

「俺は―――」

 

そこで出久の意識は限界を迎えて、暗転してしまう。

 

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翌日、目が覚めると出久は自室のベッドで寝ていた。

あの後、どうやら一人で何とか、家に帰ってこれたみたいだ。

もしくはあれは出久が見た幻か、それとも夢の可能性もあるが…。

 

何はともあれ、いつも通りの朝を迎えたので、出久はいつも通り、洗面所で顔を洗って、朝食を食べる為にリビングに向かった。

 

「おはよう、お母さん。」

 

「「「おはよう!出久!」」」

 

「ん?」

 

明らかにおかしい。

その違和感に寝起きの出久も直ぐに気付いたようだ。

本来なら、出久の挨拶に答えるのは母である引子だけの筈なのに、出久に挨拶を返した声は三つあったのだ。

 

「出久!おめでとう!昨日急に家を飛び出してビックリしたけど、まさかあのタイミングで個性が発現するなんて…本当にお母さんビックリした!」

 

「え?個性?」

 

身に覚えの無い出来事に出久は頭上に疑問符を浮かべる。

 

それもそのはず、出久は依然として無個性であり、個性を発動した自覚など微塵も無いのだから。

 

「何惚けてるのよ!この子達よ!あなたの個性なんでしょ!召喚する系の個性なのね!お母さんやお父さんの個性は遺伝しなかってけど、出久に個性があってお母さん安心したわ!」

 

そう言って引子はリビングのソファーに腰かけている灰色芦毛の青年と女性を指さす。

 

「あの人たち。昨日の…。」

 

「よっ!やっと起きたんだな!出久!」

 

「待ちくたびれた。罰として焼そばパン買ってきて出久!」

 

各々目の前の男女は好き勝手に出久に話し掛ける。

しかし、話し掛けられた本人は困惑してしまう。

それもそうだろう、名前も知らない人たちが自分の家に上がり込んできて、我が家の様に寛いでいるのだから。

 

「おっお兄さん達はだれ?」

 

「俺は穹!銀河一の美少女で開拓者で銀河打者だ!」

 

「私は星!銀河一の美少女で開拓者で銀河打者だよ!」

 

「「俺/私達出久の個性だ(だよ)!」」

 

「…え?」

 

こうして、晴れて出久に個性が宿った。

何故このような個性が宿ったのか、それは出久が流れ星に願った願いを出久の心臓の中に入り込んだ星核が聞き届けたから。

出久の願いを聞いた星核が()()()()(あっ)()()()()を繋げた事で、出久の精神の中にスタレのキャラ達が個性として宿ってしまったのだ。

 

これだけ聞けば、出久にとっては美味しい話であろう。

しかし、忘れては行けないのは星核は万能の願望器ではないと言うこと、寧ろその逆で、願った者の願いを歪んだ形で叶えてしまう。

 

この出来事が今後この世界でどの様な事態を招くのかは、まだ誰も知る由もない。

 

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それから10年後。

出久14年目の春。

出久は何時ものように決まった時間に起きて、顔を洗ってリビングに入り、そして皆に挨拶する。

 

「皆、おはよう…。」

 

「おはよう!マリモちゃん!ねえねえ、今から花火とロシアンルーレットしない?」

 

「駄目!マリモちゃんは今から火花と配信するの!」

 

「出久、ちょうど良かった。今日のガ●ダムを録画したのだが、やり方が分からなくてな…。」

 

「出久!これからモーディスと相棒達と一緒に野球をするんだけど、良かった君もどうだい?」

 

「負けた奴は焼そばパンおごりだから!」

 

「HKSそれくらい、俺かエミヤに頼めば作ってやる。」

 

「出久、すまないが、朝食の後、カ●キラーを買ってきてくれないかね?お風呂掃除の最中に切らしてしまってね。」

 

「イズク!駅前に新しいパンケーキ屋さんが出来たそうです!一緒に行きましょう!」

 

「それ、ウチも行きたい♭沢山写真とろ!」

 

「イズク様、新しい同人誌をペラ様と(ステ)()様と共同で描き上げました。良かったら読んでください。」

 

「今回は自信作ですよ!」

 

「著作権には配慮してないから~。」

 

「出久、悪いけど、僕の冷蔵庫修理してくれないかな?寝床用に改造してたら壊れてしまったようでね…。」

 

「出久、新しい衣装が出来ました。後で試着お願いします。」

 

「デクたん、後で一緒に日向ぼっこしましょう!」

 

「日向ぼっこよりもグリンっちはアタシとお宝探しした方が楽しいよね!」

 

「分析卿、お前は後で僕とチェスだ!拒否権はない。」

 

「緑のライムラス、後で私達の演奏を聞いて欲しい。」

 

「お姉さん、バイオリンとバンド組むのは初めてだけど、なかなかどうして、かなりロックな曲に成ったから、楽しみにしててね。」

 

「ボーカルは私が担当するの。出久さんには是非聞いて欲しいわ。」

 

「出久さん、すみませんがワタシのプリンタルトを知りませんか?」

 

「出久後で僕と稽古しないかい?」

 

「出久はワタシと稽古するの。引っ込んでてよ、彦卿。」

 

「出久、後で良いから俺とも稽古しようぜ!」

 

「小僧、私が先だ。私と稽古しろ。」

 

「稽古なら私も混ぜ貰うかしら。」

 

「稽古も良いが、程々にね。彦卿も出久もまだ、成長期なのだから、過度なトレーニングは返って毒だ。」

 

「出久、後で私の所へ来なさい。今日の運勢を占ってあげる。」

 

「その姉弟子も添えてね。」

 

「占いなんかよりも一緒に美玉牌しよ!」

 

「出久、あなたには見込みがあります。共にこの世の心理について解き明かしましょう!」

 

「心理とは愚鈍と言う病を患う者達にとっては無縁の議題、そこに世界を愚鈍さから救済する答えがあるかもしれない。」

 

「心理とは美、美とは正に全宇宙で並ぶ者無しの美貌を持つイドリラ様そのもの!友よその議論、お供いたします。」

 

「どいつもこいつもホーリーに頭がぶっ飛んでいるベイビーばっかだぜ!日本にいるならよ、日本語喋りやがれ!」

 

「YO…YO…朝食後 喋る日本語 入門するなら五七五 アンノン言語話すベイビー 皆クレイジー 私はハッピー YO…YO…A.K.A.乱波ここに参上!」

 

「出久、新しいコーヒーのブレンドを試してみたの。朝の一杯にどうかしら?」

 

「出久、逃げろ!お前の命は俺が何としても守る。」

 

「やあ、マイフレンド今日は天気が良いから一緒にギャンブルに行かないかい?」

 

「ギャンブルなんかよりも確実に儲かる商売があるのですが、どうです?お兄さん、聞いていきます?」

 

「そこの胡散臭い人たちは置いておいて、出久こっちに来て、投資の仕方を教えてあげる。」

 

「エレーナちゃん、出久にそれはまだ、早いと思うわよ。」

 

「あっ!そうだ!出久、お小遣いあげるね。」

 

「お嬢様、いつも出久に渡すお小遣いが多すぎます!」

 

「緑のお子ちゃま、後で私の実験に付き合ってね~。」

 

「私もヘルタと待っていますよ。」

 

「出久、一緒にゲームしよ。」

 

「いっ出久、アタシも一緒にいいかな?」

 

「出久、飯を食え。」

 

「"聞いて"出久今日は私と一緒にお出掛けしましょう。」

 

「すまない出久、トイレは何処だろうか?」

 

この10年で実に緑谷家は賑やかになった。

 

「ふふっ!とっても賑やかでロマンチックね!そう思うでしょう?出久♡」

 

 

 

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