もう一人のかぐや姫、というか俺。   作:8アイス8

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不定期です。結構適当に書くんで、雑いところが多々あると思います。

うちがハッピーエンドにしちゃる。


今は昔、現代の青年が、徹夜明けに電柱で転生しけり。

……なんだこれ。

 

体が動かない。

さっきまで「俺」として生きていたはずなのに、今は自分の手足がどこにあるのかすら、まともに感覚が掴めない。

ただ、自分がとんでもなく小さくなっていることだけは、直感でわかった。

 

(……おい、どうなってんだよ。ここ、どこだよ)

 

声を出そうとしても、喉が変な感じで鳴るだけで言葉にならない。

視界もぼやけていて、周りがどうなっているのかもさっぱりだ。

 

その時、急に目の前がひらけた。

眩しい光が差し込んできて、俺は反射的に目を細める。

 

「んんんん??」

 

誰かの声がした。

驚きに満ちた、若い女の声だ。

 

「何これ!?赤ちゃん!?なんで!!?」

 

気づく。俺は転生したんだと。

 

「とりあえずケイサツ…?どうしよ…」

 

気づく。ここは『超かぐや姫!』の世界なんだと。

 

(……嘘だろ。まさか、あの物語の世界なのか……!)

 

断片的に知っていた知識が、目の前の状況と合致していく。

困り果てているこの女子高生は、いろはだ。そして隣にいるのは、かぐや。

本来のストーリーには存在しないはずの「俺」が、なぜかここに混ざり込んでしまっている。

 

(警察……? 待て、それはまずい。そんなことになったら、この先の展開が全部めちゃくちゃになる……!)

 

どうにかして止めたいが、赤ん坊の体では言葉ひとつ発することができない。

もどかしさだけが募る。

 

だが、その混乱の最中、俺は自分の中に「何か」があることに気づき始めていた。

おそらくそれは、転生特典。使い方は直感でわかる。

 

が、今はまだ使わない方がいいだろう。

 

「私じゃ面倒見れないよ…」

 

彩葉が俺とかぐやを抱きかかえながら言う。

すると次の瞬間、かぐやが泣き始めた。

 

「えっ。ええっ⁉」

 

彩葉が焦っている間に、扉がスウッと閉じる。

何とか放置はなさそうで助かった。

 

 

「思わず連れてきちゃったけど…。これって人さらい…?全ッ然、泣き止まないし!」

 

(大丈夫だ。それは人さらいじゃない)

 

敷布団に寝かされた俺は、彩華とかぐやを見てそんなことを考えていた。

 

「何か。子守り……唄」

 

彩華はそういって『Remember』を歌う。

するとあら不思議。かぐやが泣き止みててしまったではありませんか。

 

かぐやが寝た後は、彩華も疲れたのか、すぐに布団で寝てしまった。

 

(……ちょうどいいか、今の状況を考えるとしよう)

 

敷布団に寝かされたまま、俺は天井を見つめて思考を巡らせる。

隣で寝息を立てているかぐやと、疲れ果てた顔のいろは。

 

俺は自分の中にある「違和感」をなぞる。

転生した時に感じた、あの直感的にわかる『力』の残滓。

まだそれが何なのか、はっきりとした言葉にはできない。

だが、今の俺に何が必要か、その答えだけは本能が理解していた。

 

(……このままだと、明日いろはが起きた時、またパニックになる。……成長しなきゃダメだ。せめて、自分の足で立てるくらいには)

 

体が熱を帯びるのを感じる。

普通なら何年もかかる成長を、たった一晩で「強制終了」させるような、理不尽なまでのエネルギー。

これが俺の持っている『何か』の作用なのか。

 

(……ぐ、あ……。……少し、きついな)

 

骨が軋み、筋肉が作り変えられる感覚。

赤ん坊の小さな視界が、少しずつ、けれど確実に高くなっていく。

一晩で一気に数年分。いや、もっとか。

いろはに負担をかけないため。このハッピーエンドとは程遠い物語を、俺が変えるため。

 

意識が遠のく中、俺は自分の体が「子供」のサイズへと変貌していくのを感じていた。

 

翌朝。

差し込んできた光に、いろはが目を覚ます。

 

「幻覚…じゃなかったけど。こんなにでかかったかな…?」

 

いろはが寝ぼけ眼で、隣に寝ているかぐやを見て呟く。昨夜の衝撃的な出会いが夢ではなかったことに安堵したようだが、その視線がもう一つの布団に向けられた瞬間、彼女の動きが止まった。

 

そこには、赤ん坊の姿はもうなかった。

 

代わりに、白と青の混じった不思議な髪色の、10歳かそこらの中学生くらいに見える子供が、緑色の瞳で彩葉を見返していた。

 

「……ん。おはよう」

 

「……は!!? だ、誰えええ!!?」

 

俺の新しい人生、二日目。

アパートの部屋に、彩葉の絶叫が響き渡った。




疲れた
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