もう一人のかぐや姫、というか俺。   作:8アイス8

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特に書くことがないんですけど、もし今の感情を言葉にして表すなら
「I'm sleepy」


少女が二人

スマコンを買った次の日。いや、正確にはまだ夜だが、俺は信じられないものを見た。

 

「彩葉、おなかすいた~」

 

「ん…?」

 

彩葉が声をした方向を見て数秒固まる。

 

「えええ~~~ッ‼?」

 

「お゛お゛⁉ビビったぁ…」

 

なんと、赤子が少女にまで成長していたのである!

 

「あんたも、でかくなりすぎでしょ‼」

 

「今ドキはスピードが速いんですな~」

 

「フツーに怖いんですけど⁉」

 

おいおい彩葉さんや。俺のことをお忘れではなかろうか。

 

「ボクもいるじゃん」

 

俺を見てまた数秒固まる彩葉。

 

「……はぁ、そうだった…。いや、納得してる場合じゃない!」

 

そういうと彩葉は息を吸う動作をして、

 

「お引き取りください‼」

 

「やーー!てか、ごはんは~⁉」

 

「ないわよ‼」

 

そんなこと言って結局ご飯はあげるつもりなのに。

 

 

ーーチーン

 

「はい、食べたら出て行ってよね」

 

「あんたのはないけどいい?」

 

なんと彩葉はは俺の分まで用意しようとしてくれていたらしい。

 

「大丈夫。おなかすいてない。今は」

 

俺はそう答えて、目の前でガツガツと食事を始めた『成長後』のかぐやを眺めた。

さっきまで赤子だったはずのかぐやは、今や俺と同じくらいの少女の姿で、彩葉が渋々出したご飯をこれでもかと頬張っている。

 

「うおお!すごい、なにこれ‼」

 

「え…と、オムライスだけど…」

 

「オムライス‼これだいすきっ!」

 

かぐやは満面の笑みでスプーンを動かし、頬を赤らめて心底幸せそうにオムライスを頬張っている。さっきまで「出て行け」と息巻いていた彩葉だったが、純粋すぎる喜びようを目の当たりにして、すっかり毒気を抜かれたような顔をしていた。

 

「あなた、何者なの…?こっちの方はあんたのこと知らないっていうし…」

 

「んん?」

 

「…じゃあ、せめてどこから来たのよ」

 

かぐやは少し考えるように目線を上にあげる。

 

「月、かなぁ?」

 

人差し指を上に向けてそう言った。

 

「月…って…あんたはかぐや姫なの?」

 

「か、ぐやぁ?何ソレ」

 

「ボクが説明するよ。」

 

「…ん?だ、誰ええええ⁉」

 

かぐやは、こっちを向きめっちゃ驚いている。

いや、気づいてなかったんかい。彩葉は気づいていたのに。

なんなら会話してるの見てただろ。

 

「と、とりあえず、かぐや姫のお話をするね。

 竹の中にいた姫は、翁に大切に育てられてみるみる成長し…その美しさに求婚されるも断って、最後はお迎えが来て全部忘れて月に帰っちゃう――って感じのお話。君が『月から来た』なんて言うから、彩葉はそれを連想したんだ」

 

言い終わった後、かぐやの方を見てみると、

彩葉のタコライスをじぃ~~っと見つめていた。

 

「彩葉のは、なに?」

 

そして、かぐやが、ついに我慢の限界といった様子で身を乗り出した。

 

「タコライス」

 

彩葉は「嫌な予感がする」と言わんばかりに、皿を自分の体の方へ引き寄せる。

 

「ふう~~~ん」

 

「これは私の!上げないよ⁉」

 

「へ~~~」

 

「ちょっと!コラッ」

 

すると、このままでは食べられないと悟ったかぐやはうるうると瞳を潤ませ、上目遣いで彩葉を見つめる。

 

(あ、これ彩葉が負けるやつだ)

 

「う゛っ」

 

案の定、彩葉はうめき声をあげ、負けた。

勝利したかぐやはタコライスをばくばくと食べている。

 

「調子狂うわ」

 

調子が狂うらしい彩葉に対しかぐやは説明に使ったタブレットをすいすいとスライドしようとしている。

 

「で、つづきは?」

 

かぐやが俺を指さして聞いてきた。

 

「ないよ。これでめでたし!めでたし!」

 

するとかぐやがおかしな顔をする。…なんだその顔。

 

「ちょ~~~、バットエンドじゃん。突然お迎えが来ておしまい?こんなのかぐや姫不幸じゃん!」

 

「ぬははーー。ざんね~ん」

 

「納得いかな~い‼バッドエンドや~~だ~~っ。ハッピーがいい~~‼ハッピーエンド~‼

絶対ぜぇったいハッピーエンド~」

 

「だよね~。僕もハッピーエンドがいい。ねえ彩葉なんとかして~?」

 

「ハッピーもバッドもないでしょ。これはそういうお話なの」

 

かぐやの頭に「?」がついている。

 

「もう決まっていることは、どうしたって変わらないんだから、

受け入れて覚悟をするしか、ない」

 

ここでかぐやは彩葉を好きになったんだよな

 

「わかった」

 

かぐやは珍しく彩華の言ったことに素直にうなずいている。

 

「自分でハッピーエンドにする。そんで、ハッピーエンドに彩華たちも連れてく‼

一緒に‼」

 

たちと言っていた。つまりそのハッピーエンドには自分も入っているのだろう。

素直にうれしい。

 

「ハッピーエンドいらない。フツーのエンドで結構です」

 

「うそうそ‼」

 

かぐやが「がばちょ」と効果音を出しながら彩葉に抱き着く

 

「ボクはハッピーがいい。やっぱり、楽しい方がいいし」

 

「ほらこっちもこう言ってるし!」

 

かぐやたちがわいわいしている間に、俺は思考に耽る。

さっきも言ったが俺が好きなのはハッピーエンドだ。原作もハッピーといえばハッピーだったが、俺はそれでは満足しなかった。

 

(そうだ、俺が求むのは完璧で究極のハッピーエンドだ)

 

そう考えた後俺は、彩葉とかぐやがわいわいとしているのを尻目に、

そそくさと布団へ潜るのであった。




主人公の名前も彩葉に決めてもらいましょう
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