ディケイドライバーを携えて   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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のんびり不定期に書いてきます
好きに書いてるんでこっちも(言い訳)


0 プロローグは短いほうが読みやすい

「いきなりでなんだがお前は死んだ」

「ふぁっ」

 

目が覚めたら真っ白い空間だったと思ったらなんかよくわからない青年的な人に、お前は死んだって言われたでござるまる。

というか意味が本当にわからない、何がどうなってこうなったんだ? 前後の記憶が全くない。

 

「て、ていうか貴方は一体誰なんですか?」

「あたし? あたしはいわゆる神ってやつだよ。ゴッド」

 

さもありなんと言葉を告げる神と名乗る青年。

上下白いスーツみたいな姿がより異質である。

 

「てか、神? え、俺どうなったの?」

「言ったじゃん。キミは死んだの。デス。ユーアーデッド」

 

言い方が軽すぎて実感がゼロである。

神さまは適当に空間を歪めて、そこから適当に紙を取り出しそれを眺めながら

 

「割と平凡に生きたみたいだね。…あー、でも流石にこの年で死ぬのは流石に悲しい運命だねぇ」

「…そ、その、神さま?」

「ん? どしたの?」

「あの…もしかして間違って死んでしまった、とか、そういうのとかですか…?」

「え? 間違い? いやいや、キミ二次創作読みすぎね。神が間違うとかねーから。キミは高校の帰り道に、ジジイのプリウスミサイルに巻き込まれて死ぬことが決まってたのよ。キミが死ぬのは運命、確定事項だったの」

「…え、え?」

 

しれっととんでもないこと言われた気がする。

神さまは続ける。

 

「ここで身の程知らずのバカが詫び代わりに転生させろとかほざく場合があるけど、まぁ基本ないよね。ていうか神が間違いとか言ってるのは暇つぶしで死ぬ事が近い人間をピックアップしてそんな事言って唆して、その後の人生見守ってる感じなのよ」

 

色々裏側みたいなことをばっさり斬り捨てる神さま。

なんだか夢が壊された気分である。

んだけど、と神さまは続ける。

 

「ちょっとキミみたいに若くして死んだ場合は、ちょっと僕の独断で転生とやらの機会はあったりするのよ」

「え、できるんですか…?」

「流石に死ぬのは若すぎるからね。これまでの行いも振り返るにキミ割と真面目に生きてきたっぽいし…それくらいのおまけは許してあげようってわけ」

「は、はぁ」

 

なんだか色々な情報が頭の中に流れ込んできて混乱してくる。

そんな自分をスルーして、神さまは聞いてきた。

 

「キミ、夢とかはあった?」

「え? 夢…夢か。強いて言うなら、仮面ライダーとかかな…友達が特撮好きで、大学出たらアクションとかの仕事とか目指そうとか思ってたし、慣れなくてもスタントマンとかなりたかったな」

 

まぁその友達も交通事故で亡くなってしまったのだが。

まさか自分も事故で亡くなるとは。

 

「おー…まぁまぁ考えてたんだ、尚更不憫だね。それだったら特典とかもそれっぽいのがいいかな…」

「あ、そういうのありなんです? それだったら鍛えたら強くなれる身体、とかでお願いしたいです」

 

急な言葉に神さまは頭に疑問符を浮かべる。

 

「いいの? そんなので」

「はい。鍛えとけば交通事故避けれたり、逆に車止めれるかもしれないって思うんで。やっぱり最後に信じられるのは自分自身だと思うんですよ」

「そうかな? そうかも?」

 

なんだか神さまが遠い目をしてる気がする。

けどここで仮面ライダーになりたい、とか言うのは図々しい気もするし、鍛えれば仮面ライダーになれる場合もあるしワンチャンあると思うのだ、知らんけど。

 

「こほん。念の為聞いとくけど…なんか家族や友達に言いたいこととか、ある?」

「…え、特にないです」

「…え? ないの? 本当に?」

「そりゃあ未練とかはあるけど…死んだ以上言いたい事とかはないです。死人に口はありませんしね。きっと乗り越えてくれます」

「意外とドライな子だね。…とはいえ、それもそうか。わかった、それではキミを転生させよう。では良い第二の人生を」

 

そう言って神さまは一つ指を鳴らすと、自分の意識は闇に落ちるのだった。

今この空間には神と名乗る一人の青年だけ。

 

「せっかくだ。使うかはあの子に任せるとして…仮面ライダーのデバイス一個あげよう。…お、こいつなんかいいかも」

 

◇◇◇

 

そんなわけで自分は転生とやらを果たしたのだった。

わりとどこにでもある一般家庭の人間…井上ツカサとしての生を改めて受けたツカサは、とりあえず物心ついた時から少しずつトレーニングを開始した。

そして同じく、物心ついた時から自分の近くにあったものが───

 

「…ディケイドライバー」

 

何やら気づいたら部屋の中にアタッシュケースがあって、その中に入ってたものだ。

ちなみにネオ。

神さまがサービスしてくれたのだろうか、確かに仮面ライダーになりたいなぁ、なんて言ったけれども。

けどどっちにしろ、しっかり自分を鍛えることに変わりはない。

とはいえムキムキになるのも違うからほどほどに、それでいてしっかり鍛えていくつもりだが。

 

「…エリー都の朝は眩しいな」

 

今いる都市の名前はエリー都というらしい

なんだろう、転生前に聞いたことがあるような気がしたが、どうにも思い出せない。

そんな名前が出てくるソーシャルゲームしてた気がする。

とりあえずその辺を走ってくるとしよう。

 

 

両親は研究者らしく共働きで、家にいないことが多い。

というわけで日中は基本的に出かけ放題鍛え放題というわけだ。

いろんな格闘術を独学で学び、剣なども自己流や、動画とかで学んでいった。

もう少し歳重ねたら悪そうな連中に喧嘩吹っ掛けて戦ってみるのもいいかもしれない。

悪い事してる連中なんてのはボコられても文句なんか言えねぇんだ、みたいなことを転生前に友達してた奴が言ってた気がする。

でも剣は流石に実践できない、まさかぶった斬るわけにもいかないので剣に関しては近所を歩いてる時に見つけた如何にもなお屋敷で学ぶことにした。

たまたま侵入したとき娘さんと思しき狐耳の女の子と仲良くなれたのは幸運だった。

自分の方が少し年上なこともあって「あにうえ」とか呼んで慕ってくれた。

可愛い。

侵入とかダメなことしてるが子供の時は探索とかしたいんだ(言い訳)

 

ただお母さんとしてはあんまり娘さんに刀を持ってほしくないみたいで、刀の特訓は基本お母さんがしてくれることになった。

っていうかなんだかいろんな武器の使い方をたまに娘さんと一緒に教えてくれた。

娘さんが琴や習字などの鍛錬をしてる様を見学してたりすると仲良くてほっこりする。

ところで娘さんの名前は雅って言うんだって。

 

───…聞いたことあるかもしれない

 

あれ、もしこの世界があの世界なら…近々とんでもないことが起こったような気がする。

ま、まさかね、とは思うものの不安は拭えないので一層自分を鍛えることにする。

 

 

今日も今日とて雅の家でトレーニング。

雅お母さんの修行は結構コミカルなものもあったりして、一緒にやってて楽しかったりする。

今は疲れて雅はお母さんの膝でゆっくりすやすやしている。

 

「…ツカサくん」

「? なんでしょう」

 

不意にお母さんが彼に向って口を開く。

その顔には、どことなく…言葉では言い表せない何かが込められていて。

 

「ツカサくんは、ずっと雅のお友達でいてね」

「───っ」

 

頷く以外できなかった。

はたしてツカサは、彼女の友達でいれるのだろうか。

 

 

そして運命は、ゆっくりと回り始める。

 

 

周りが燃え、叫びが聞こえる。

未曾有の〝ホロウ〟災害が、辺りを飲み込んでいる。

思い出した。

自分が転生した世界は、〝ゼンレスゾーンゼロ〟なのだと。

 

今回もいつものように朝ご飯を食べてトレーニングしようと思ったら、それは突然始まったのだ。

 

旧都陥落、とのちに呼ばれる大災害。

 

父や母から連絡はない、もしかしたら見えないところで災害に巻き込まれて連絡する間もなく命を落としてしまったかもしれない。

自分も早く避難を───

そう思って、出ようとしたところで。

 

〝ディケイドライバー〟が目に入ってきた。

 

もしかしたら、この力があれば助けられる人もいるのではないか

 

「自惚れんなっ…! 俺に全員が救えるわけがないっ!!」

 

馬鹿なことを考えるな、今は自分を最優先に考えろ。

だけど。だけれども。

手を伸ばせるのに、伸ばさなかったら。

 

「───っ…!!」

 

ディケイドライバーを手に取った。

マゼンタ色のベルトに反射した自分が写る。

酷い顔だ、年齢はまだ幼年といえる歳なのに、葛藤しているとわかる。

手が震えてる、足も、身体も。

 

全てなんて救えない、結局自分の元は一般人でしかない。

それでも。

───それでも。

 

───雅のお友達でいてね

 

頭に雅のお母さんの言葉が繰り返された。

この日は、彼女の運命の始まり。

ここで逃げてしまったら

 

「───俺はあの子の友達でいられなくなるッ!!」

 

己を奮い立たせろ、ドライバーを腰に当てる。

ベルトが巻かれ、現れたライドブッカーが自分が今使いたいカードを放ちそれをつかむ。

ディケイドのカード…カードの中の緑色の複眼が、ツカサを見つめている。

ドライバーを開くと、思いっきり深呼吸しながら家の外に出た。

既にあたりは阿鼻叫喚、人など誰もいない。

 

迷いを捨てろ。

覚悟を決めろ。

自分はもう、観客ではいられないんだ。

最高でなく、最良を行け。

せめて、少しでも。

 

カードを入れる。

 

<KAMENRIDE>

 

言葉を叫ぶ。

今この時から、自分を変えろ。

 

「…変身!」

<DECADE>

 

ドライバーを閉じて、二十の残像がツカサを包む。

ライドプレートが頭部を貫き、灰色だったカラーリングがマゼンタに変わる。

緑色の複眼が煌き、視点が高くなる。

やはり小さい子が変身するとなんか補正が働いたりするのだろう。

 

この世界に、仮面ライダーが生まれた瞬間である。

 

「…雅…!」

 

とりあえずまずは彼女の元へ向かわないとならない。

間に合うかは、わからないけど。

 

 

燃え盛る雅の屋敷。

周囲には逃げ遅れたであろう人たちが変異したエーテリアス。

申し訳ないとは思うが躊躇いは死を招くので、覚悟を決めて殴り飛ばす。

普段のトレーニングが生きたのか、あまり苦戦はしなかった。

そのまま進み、雅らを探す。

色々と屋敷の中を探し回り、道場を覗いたとき、二人はいた。

 

ディケイドの複眼に見えたのは、母の介錯を終えた雅の姿。

 

ディケイドは頭を振りながら刃を握る雅と、力無く項垂れていく雅のお母さんの元へと向かう。

雅は言葉にならない悲鳴を今にもあげそうだ。

身体も震えている…涙だって流れている、当然だ、自分の手で母を介錯したのだから。

 

「…っ」

「…雅?」

 

「───うあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

雅が泣いたかと思ったらそのまま持ってる刃で近づいてきていたエーテリアスを斬り裂きだした。

抜き身で、しかも持ち手の部分が布かなんかで覆われてるだけなのに、なんで腕前だ。

っていうかまだエーテリアスがいたのか、散漫だった。

エーテリアスの殲滅が終わると、糸が切れたように雅は気を失いように倒れ込んでしまう、そんな彼女をすかさず抱き留め、受け止めた。

涙を拭って、その頭をなでる。

頑張ったな、など言えない。

そもそもちょっとこんな幼子になんて運命背負わしてんだとツッコミつつ、雅を安全な所へ運ぼうとしたその時、視線を感じた。

ちらりとそちらへ向けると、そこには亡くなられたはずの雅のお母さんの姿。

幻影か、それとも幻覚かはわからないが…

 

───おねがいね。ツカサくん

 

唇が動いた。

そんな風に動いているのだと、読唇術の疎いツカサでもわかった。

 

「…俺にできる限りなら」

 

そう呟いて、ディケイドは深く礼をする。

そして頭を上げると、改めて雅を抱きかかえ、屋敷の外へと向かうのだった。

そんな彼の背中を見て、雅のお母さんの幻影は優しそうに微笑んで、消えるのだった。

 

 

ひとまずどうにかして防衛軍の人たちとやらに雅を託し、ディケイドは戦火の中へと戻ってきた。

名前とか聞かれたがそこは「通りすがりの仮面ライダーだ、覚えなくていい!」でゴリ押ししてきた。

とりあえずここからは、時間との戦い。

全ては救えない…でもせめて、目に留まるだれかを助けるくらいなら。

 

「よし、やってみるか」

 

ぱんぱん、と仮面越しに自分の頬をたたいて気合を入れる。

もう迷いは消えた、あとはできることを全力でやるだけだ───!

覚悟を決めて、ディケイドは色んなところを駆け抜けるのだった。

 

 

そこからはもう無我夢中だった。

っていうか外で出てくるエーテリアスの連中がなんかデカいのだ。

その内のんびり見ようといろんなショートアニメ見てないことが仇になった。

だが仮にもディケイドは全ての破壊者ともいわれる存在…アタックライドやファイナルアタックライドを使っていくと割と戦えた。

きっと鍛えたおかげだと思いたい、一般人ならきっとアウトだ。

だがやっぱり全員は無理だ、とそうそうに見切りをつけて、せめて一般の方を助けれるだけ助ける、という感じにシフトした。

サメのしっぽを生やした小さい女の子助けたり、そこから移動しながら逃げ遅れた人たちを少しでも救助したり。

やってることは自己満足だが、それでもやらないよりはマシだと自分に言い訳した。

 

 

ひたすらがむしゃらにデッカいエーテリアスをぶっ飛ばして来たら、いつの間にか見慣れない場所にたどり着いていた。

そこではなんかオレンジ…いや、橙? そんな感じの似たような服…いや胴着か? そんなものを身に着けていた人たちが戦っていた。

なんだろう、あんな胴着を着てた人たちをゲームで確かに見た気がするが…思い出せない。

とりあえず敵の数を減らして負担を減らすぐらいしかできないが、多少加勢しようとライドブッカーガンモードの引き金を引いた。

 

一通り近隣の敵を全て排除したディケイドは、名を聞かれても「通りすがりの仮面ライダーだ、覚えなくていい」と捨て台詞を残してその場から離れていくのだった。

 

◇◇◇

 

とまぁ、そんな事があったな、と思い返す今日この頃。

 

そんな激動の旧都陥落から───早いもので十年くらいである。

井上ツカサは順調に歳を重ね、無事二十代になっていた。

生前は大学を通えるくらい生きてなかったので、この世界にも大学あるんだ、とびっくりしたものである。

今彼がメインの拠点としているのは新エリー都六分街。

そこで彼はのんびりお仕事をしつつ、たまにビデオを借りに行く…そんな悠々自適な生活を送っていた。

写真家にでもなってみようか、とも思ったがそこまで〝士〟を真似なくていいか、と思い立ち自由気ままに過ごすことを決めたのだ。

 

<き、記者さん、まだ状況を報告してる最中です、どうか───>

<───ども! ───やがれ! 赤牙組の───どもはよく聞きやがれ!>

 

テレビからそんなやり取りが聞こえてくる。

やれやれ、相変わらず退屈しない場所だよ───新エリー都は。

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