SUMMON NIGHT(サモンナイト)OVRE(オーバー) 作:Wisadm
「ハッーハッハ!弱い!弱すぎるぞ!無色のクソ共!その程度じゃ俺には勝てねぇよ!」
余りにも拍子抜けな無色の派閥のクソ共に笑いが抑えられない。
無色の派閥って言うのは、かなり古くからある召喚師の派閥の1つだ。
しかし帝国ではテロを起こしたり、要人の家族に召喚呪詛を施したりするほとんど犯罪組織のような派閥で、
暗殺者なんかとも繋がりの多い召喚師の風上にも置けないクソ共のことだ。
「…い!…きん…!」
なんだ?五月蝿いな…せっかく俺が気分良くしているってのに。
無色のやつ等か?
「何言ってんだ!?起きんか!ドアホゥ!」
「ムギャ!?」
周りで笑いが巻き起こり、目の前にはある意味無色の派閥よりよっぽど厄介なうちの学校の教師がいる。
はぁ、またいつもの夢かよ…
「言霧 凪(ことぎり なぎ)、君はまたか、また私の授業中に寝てたのか!?」
「ご、ごめんなさい…?」
すると、血管が浮き立ち始め――
「その言葉は、何度目だぁー!!」
――切れた。
この教師、本当に怒ると怖いのである。
普段ニコニコしているくせに、怒ると口調が変わるレベルで怒る。
結局その日の彼の授業は俺へのお説教で終わってしまい、そのことに気付いた彼は泣きそうな顔で職員室に戻っていった。
俺はお説教のせいで頭と耳が痛くなり、ノックダウン中だ。
悪いと思っているために、しっかり聞いているから余計にヒドイ…
「おい、凪またかよ?最近多いよな」
そんな俺に話しかけてくる物好きもいるようで、俺の予想道理ならコイツは俺の親友とでも言うべきヤツである。
名前は上島(じょうしま)。爽やかなサッカー部のキャプテンだ。髪は短めに切っていて、俺から見てもカッコいいと思う。
良くこんなのが俺の友達やってるよ、ホント。
「そうなんだよ、聞いてくれよ上島ぁ…」
「おうおう、何だよ言ってみな?聞くだけ聞いてやっから」
聞いてくれるだけでも本当に良いやつだなぁと思う。
愚痴を聞いてくれるヤツって言うのは、何処にでもいるにはいるけど少ないものだ。
「最近さぁ、夢の内容がどんどん具体的になってきてんだよ。それに、段々と軽い目覚ましじゃ起きられなくなってきちゃってさぁ。大変なのよ…」
「それってずっと同じ夢なんだよな?不思議だよなぁ。俺も似たような夢とかなら偶にあるけど、まったく同じ夢って中々どころかまず見ないよな」
「そうなんだよ。つまりこれってさぁ、俺のせいじゃなくてこの夢が悪いよなぁ?」
「いや、授業中に寝ちまったお前が悪いよ?確実に」
「な!?裏切ったな、上島ぁ…」
「何でだよ。つか、もうすぐ受験なんだから授業中に寝てるなよな」
「そう、何だよなぁ…」
楽しかった高校生活ももうほとんど終わり、今は一面冬景色。
教室では、煌々とストーブが点いている。
そんな光景が物悲しさを助長する。
「まあ取り合えずは、帰りますか」
「そうな、帰ろ帰ろ」
その後も2人で馬鹿な事を話しながら帰り、分かれ道で「また明日な」といって分かれた。
そこからしばらく歩いてもうすぐ家に帰り着くというところで、明日提出の課題を学校に忘れていることに気が付いた。
幸いそこまで学校から遠いわけでもなく、10分も歩けば学校に着く。
「…はぁ。しゃあない戻るか」
溜息が白くなって消えたのを見て、これ以上寒くなる前にさっさと課題を取って帰ろうと思った。
これ以上単位を落としたら卒業がヤバイ。
しかし、急ごうとして空回りしてしまい振り返った瞬間人とぶつかってしまった。
「いてっ!?」
「ッ!!」
急いで立ち上がり、詫びる。
歳は20歳を過ぎたくらいだろうか?
少し茶色がかった髪の青年、服装は白いフサフサフードのクリーム色?のコートだ。
「ごめんなさい、急に振り返ったりして。大丈夫ですか?」
「あ、あぁ、俺も急いでたんだ。ごめんな、じゃ」
そう言うと、彼はさっさと立ち上がり走っていってしまった。
かなりのスピードが出ていたから相当急いでいたのだろうか?
彼が見えなくなってから少しして、ふと自分も学校へ課題を取りに行かなければいけないのを思い出した。
歩き出そうとして、彼がいたところに光を放つ石を見つけた。
綺麗な紫色の石だ。
「落し物か?だとすると今の人のか…」
ちらりと彼が走っていった方を見て、絶対間に合わないだろうと推測し、交番にでも届けておくことにして学校へ急いだ。