笑ゥChatGPTまん   作:ホットカーペット

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本作は、ChatGPTの補助を受けています。ある程度のプロットは書いていますが、会話文はChatGPTさんが書いています。自分的には再現力がすごくてビビってる。


正しき者の石

正 正夫という若い議員がいた。

 

その名の通り、常日頃から正しくあろうと努める男であった。

いや、努めるというより、彼にとって正しく生きることは呼吸に近かった。朝、鏡の前でネクタイを締める時も、国会の廊下で頭を下げる時も、街頭演説で声を張り上げる時も、彼の胸にはいつも同じ言葉があった。

 

ーーこの国を、少しでも良くしたい。

 

それは、若さゆえの理想論だと笑われることもあった。世の中を知らない坊ちゃん議員だと、陰で囁かれることもあった。けれど正夫は、そんな声に怒ることも、恨むこともなかった。

 

「世の中を知ったうえで、なお正しい道を選べる人間になればいい」

 

彼はそう信じていた。

 

ある夜のことだった。

 

正夫は、地方の支援者との会合を終え、ひとりでホテルへ戻る途中だった。大通りから一本外れた路地は、昼間の喧騒が嘘のように静まり返っており、古い街灯だけが黄色い光を落としていた。

 

その時、闇の奥から、低く太い声が聞こえた。

 

「ホーッホッホッホ……」

 

正夫が足を止めると、黒い帽子に黒いスーツ、丸々とした体格の男が、街灯の下に立っていた。男は大きな口を三日月のように開き、白い歯をぎらりと見せている。

 

「あなたが、正 正夫さんでございますね」

 

「ええ、そうですが……どちら様ですか」

 

「私、こういう者でございます」

 

男は名刺を差し出した。そこには、ただ一言だけが書かれていた。

 

 

心のスキマ…

      お埋めします

 

  喪黒福造

 

「もぐろ……ふくぞうさん?」

 

「ホーッホッホッホ。人呼んで、笑ゥせぇるすまん。ただし、私が売っておりますのは物ではございません。人間の心の隙間をお埋めするのが、私の仕事でございます」

 

正夫は怪訝な顔をしたが、不思議と逃げ出す気にはならなかった。むしろ、この男の目には、人を見透かすような恐ろしさと、底知れぬ優しさのようなものが同居していた。

 

「正夫さん。あなたは、この国を良くしたいと本気で思っておられる」

 

「もちろんです」

 

「ですが、あなたの周りには、私利私欲にまみれた方々がたくさんいらっしゃる。表では国民のためと声高に叫び、裏では金と地位と保身のために平気で人を踏みつける。あなたは、そのような方々に歯がゆい思いをしておられるのではありませんかな」

 

己の内心を言い当てられ、正夫は言葉に詰まった。答えなかったが、その沈黙こそが明確な答えであった。正夫の態度を見た喪黒は、にんまりと笑った。

 

「そこで、私からあなたに贈り物をいたしましょう」

 

「贈り物?」

 

「今の貴方に必要なもの……罪を暴き、罪を裁く力でございます」

 

喪黒がゆっくりと指を上げると、正夫の胸の奥で、何かが鳴った。鐘のようでもあり、心臓の鼓動のようでもあった。次の瞬間、正夫の視界が薄く歪み、遠く離れた会議室で札束を受け取る議員の姿が見えた。別の映像では、公共事業の入札を歪める男の顔が映っていた。

 

人知を超えた力を目の当たりにし、正夫は思わず後ずさった。

 

「これは……」

 

「あなたが強く望めば、悪しき者の罪は白日の下に晒されます。そして、貴方がさらに望めばその者にはふさわしい報いが下るでしょう。ただし」

 

喪黒の声が急に低くなった。

 

「この力を、私利私欲に使ってはなりません。憎しみで使ってもなりません。あなた自身が悪に手を染めてもなりません。もしその約束を破れば、ドーン……と、とんでもないことになりますよ」

 

ずい、と喪黒は顔を近づける。右手は指を指し、指の先は正夫に向けられている。

何事も例外は絶対に許さない、そのような目に見えぬ圧力を出している。

ゴクリ、と息を呑む。だが、正夫は真剣な顔でうなずいた。

 

「わかりました。私は、この力を正しく使います」

 

「ホーッホッホッホ。正夫さん、あなたならそうおっしゃると思っておりました」

 

 

その夜から、政治の世界は少しずつ変わり始めた。

 

最初に裁かれたのは、福祉予算を食い物にしていた大物議員だった。彼は会見の途中、突然自らの不正を洗いざらい語り始め、記者たちの前で膝から崩れ落ちた。次に暴かれたのは、災害復興の名目で私腹を肥やしていた議員であり、その次は、秘書に罪をなすりつけようとした閣僚だった。

 

他人の上にいる権利を持ちながら他人の金を私欲に貪る、他人を己の踏み台にする、他者を傷つけた悪行を隠す、そういった者たちが次々と罪を暴かれる。

弁明はできず、ましてや逃げようとしても無駄だった。まるで偶然かのように警察が逃亡先に立ち寄る。ふとしたことから情報が暴露される。隠すことも逃げることもできない。

 

だが、正夫は力を乱用しなかった。罪の暴露、逃亡の阻止は間違いなく彼の力によるものだ。だが、彼はもう一つの力である「罰を与える力」を強く行使しようとしなかった。

 

罪は、世間に裁かせる。

 

無論、世間はくだされた判決よりももっと厳しい罰を求めることもあった。悪人に情けはいらない、徹底的に潰せ、家族も同罪だ、二度と社会に戻れないようにしろ、そんな声が日ごとに大きくなっていった。

 

しかし正夫は、時に罪に晒される彼等の前に立ち、首を横に振った。

 

「罪は裁かれるべきです。けれど、人間そのものを永久に踏み潰すことが正義だとは思いません。償い、更生し、もう一度やり直す機会は必要です」

 

その言葉に失望する者もいたが、より多くの国民は正夫を支持した。彼の清廉さ、慎重さ、そして怒りに流されない姿勢は、次第に人々の信頼を集めていった。

 

やがて新聞は、彼をこう呼び始めた。

 

次代の総理候補

 

テレビは朝から晩まで正夫の特集を流した。街頭では若者たちが彼の演説に集まり、老人たちは「こういう政治家を待っていた」と涙ぐんだ。正夫によって救われた被害者たちは、彼を恩人と呼び、彼のためなら何でもすると語った。

 

だが、光が強くなればなるほど、影もまた濃くなる。

 

正夫を危険視する者たちは、政界にも財界にも、そして報道の世界にもいた。正夫の行いは、やがて多くの敵を作った。作りすぎてしまったのだ。

彼らは、彼の現在を調べ、過去を調べ、親族を調べ、友人を調べ、ついには彼が子どもの頃に住んでいた町まで掘り返した。

 

そして、見つけた。

正夫が小学生だった頃、近所の飼い犬を一度だけ蹴ってしまったことがあった事実を。

 

それは、事情を聞けばむしろ同情される出来事であった。

ひどく怯えていた幼い日の出来事。散歩をしていた時に偶然に犬に追いかけられ、転び、噛まれると思った瞬間、正夫は反射的に足を出してしまった。犬は死にはしなかったが怪我をしてしまった。正夫はその後、飼い主に泣きながら謝り、何日も犬小屋の前に通って餌をやり続けた。

 

事実だけならば何ら罪に問われるものはない。

しかし、世間に出された情報からは、そのすべてが削り取られていた。

残ったのは、ただ一行。

 

正 正夫、過去に他人の飼い犬を蹴っていた。

 

最初は小さな記事だった。だがその記事は、情報化社会において致命的な亀裂へとつながる。

翌朝にはテレビが取り上げ、昼にはネットが燃え、夜には正夫の事務所前に抗議の人々が集まっていた。

 

「動物を蹴るような人間が、正義を語るな!」

 

「悪人を裁いていた本人が悪人だった!」

 

「裏切られた!」

 

それまで正夫を称えていたコメンテーターたちは、表情を深刻そうに作りながら、もっともらしい言葉を並べた。

 

「やはり、人格というものは幼少期に出るんですね」

 

「一度でも弱い存在を傷つけた人間に、権力を持たせるのは危険です」

 

「正義の味方を演じていた分だけ、罪は重いと言えるでしょう」

 

正夫によって救われた人々も、彼に庇われていた悪人たちも、次々に彼を責めた。

 

「あんな人に助けられたと思うと、自分まで汚れた気がする」

 

「結局、あの人も同じだったんだ」

 

「私たちは騙されていた」

 

正夫は何度も説明しようとした。けれど、誰も聞かなかった。彼等にとってもはやそれは唯の言い訳にしか聞こえなかった。彼等自身がそう決めつけたのだ。

 

子どもだったことも、恐怖からだったことも、謝罪したことも、その後ずっと後悔していたことも、誰にとっても意味を持たなかった。耳を傾けようとすらしなかった。人々が欲しがっていたのは真実ではなく、石を投げてもよい相手だった。

 

一月。たった一月。30の齢を数える正夫は、たったその月日だけでこれまで築き上げてきたすべてを失っていた。議員辞職を求める声が党内から上がり、家族は嫌がらせに耐えられず彼の前から姿を消した。友人は電話に出なくなり、支援者は看板を外し、事務所の窓には赤いペンキで「偽善者」と書かれた。

 

誰も彼を庇わず、助けず、帰る場所ももはやない。

その夜、正夫はひとり、公園のブランコに座っていた。

 

夜風に揺れる鎖が、きい、きい、と寂しい音を立てていた。かつて街頭演説で何百人もの人々に囲まれていた男は、今は誰からも見向きもされず、子どもの遊具に腰かけているだけだった。

 

そこへ、重たい足音が近づいてきた。

 

「…………正夫さん」

 

名前を呼ばれて、正夫はのろのろと顔を上げた。

何処かで見たような顔だ、何処かで見たような笑みだ、そうだ、あのひとは……。

 

喪黒福造が、隣のブランコにゆっくりと腰を下ろした。大きな体のせいでブランコはぎしりと鳴り、二人の間にしばらく沈黙が落ちた。

 

「喪黒さん……私は、約束を破りましたか」

 

やっとのことで絞り出した正夫の声は、ひどくかすれていた。

 

「いいえ」

 

喪黒は珍しく笑っていなかった。

 

「あなたは、破りませんでした。力に溺れず、怒りに流されず、悪人にさえ更生の機会を与えようとした。私がこれまで出会ってきたお客様の中でも、あなたほど踏みとどまった方は、素晴らしい方はそう多くございません」

 

「……ありがとうございます。でも、なぜ……私が、力を使ったから、ですか?」

 

「それも、違います。人間というものは、自分の心の隙間を埋めるためなら、時として他人の人生を薪にしてしまうのでございます。あなたは悪を裁いた。最初は人々も、正しい世の中にするために、貴方に賛同していたのでしょう。けれど、人々はやがて、裁く快感そのものを欲しがるようになった。正しさは、扱い方を誤れば、欲望よりも恐ろしい毒になります」

 

喪黒の言葉に正夫は何も言わなかった。喪黒もそれ以上は何も言わなかった。何も言えなかった。

喪黒の言葉なぞ、この一月あまり、正夫が思い知ったこと全てであったからだ。

 

ブランコの鎖を握る手に力を込めた。

 

「……私は、疲れました」

 

やっと出た声は、あまりにも小さかった。

 

「国を良くしたかっただけなんです。悪いことをした人にも、やり直してほしかった。誰かを憎みたかったわけじゃない。なのに、みんな……私が一度だけつまずいたことを、まるで人生のすべてみたいに言うんです」

 

喪黒は、残念そうに深く息を吐いた。

 

「私は……もう、疲れました」

 

「……正夫さん。あなたは、最後までよく頑張りました」

 

その言葉を聞いた瞬間、正夫の目から涙が落ちた。それは、この一月、苦しみもがく正夫がかけられた、ねぎらいの言葉であったからだ。誰も彼もがその言葉をかけなかった。笑ゥせぇるすまんだけが、その言葉をかけたのだ。その、矛盾。

 

「喪黒さん……私は、もうどこへ行けばいいんでしょうか」

 

「ホーッホッホッホ……」

 

喪黒の笑い声は、いつものように響いたが、どこか寂しげだった。

 

「ご安心ください、最後まで頑張ったあなたには、ご褒美を差し上げましょう。もう、貴方が苦しむ必要はありません。」

 

喪黒は立ち上がり、正夫の前に立った。正夫も何かを察したのだろう、ブランコから立ち上がる。

正夫は喪黒の正面に立ち、見つめる。互いの視線が交差する。そしてーー正夫はゆっくりと目を閉じた。

 

喪黒はゆっくりと右手を上げた。

 

「ドーーーーン!」

 

 

翌朝。

 

日本中が、異様な怪現象に包まれた。

 

世間に流布された朝刊の一面には、次期総理と目されていた大物政治家の写真が載っていた。だが、その写真の下には、彼の威光を称える本来の記事とはまったく異なる文章が浮かび上がっていた。

 

正 正夫の過去の写真を新聞社に送り、騒ぎ立てるよう指示。目的は、自らの権力維持のため。

 

無論、知らせを受けて編集部は大混乱に陥った。誰もこんな記事を書いた覚えなどない。

さらに事態は悪化する。刷り直そうとしても、別の写真に差し替えても、そこに写る人物の悪行が勝手に文字となって現れた。笑顔の写真には裏金の流れが、握手の写真には脅迫の事実が、家族団らんの写真には愛人への口止め料が記された。

 

そしてそれはテレビ局でも同じことが起きていた。

正夫を責めていたコメンテーターの顔が画面に映ると、その横に字幕が勝手に表示された。

 

個人的な好き嫌いにより、事実を意図的に捻じ曲げ正 正夫を批判。過去に番組スタッフへの嫌がらせを行い、謝罪を拒否。

 

司会者が慌てて別の話題に移そうとすると、今度は映り込んだ司会者自身の過去がテロップとして流れた。

 

視聴率のため、被害者遺族の発言を意図的に切り貼りしたことがある。それにより、被害者遺族の一人が自殺。呟いた言葉は「弱っちいなあ!」

 

スタジオは凍りついた。少し遅れて怪現象の知らせが届いたスタジオでは、コメンテーターもアナウンサーもスタッフも、皆が悲鳴を上げて逃げ惑う。

 

ネットでは、両者に加えてさらに凄まじいことが起きた。

 

正夫を罵倒していた書き込みの下に、投稿者の本名、住所、勤務先、そして過去に犯した悪行が次々と表示された。匿名の仮面は剥がれ落ち、正義の名で石を投げていた者たちの手の汚れが、誰の目にも見える形で晒された。

 

全くの面識がないにも関わらず、正 正夫の同級生と詐称。暴力的だったという事実無根の書込を投稿。

 

中学時代、同級生へのいじめに加担。謝罪なし。

 

勤務先の備品を横領。発覚前に退職。

 

家族に暴言を繰り返しながら、ネット上では道徳を説く。金を握らされ、正 正夫の炎上計画を立案した主犯の一人

 

日本中が恐怖した。

 

政治家も、評論家も、芸能人も、会社員も、学生も、主婦も、老人も、誰かを責めようとした瞬間、自分の過去が写真や映像や文字に浮かび上がるようになった。悪いことをすれば、それが隠せなくなる世の中になったのである。

 

最初、人々はこれを歓迎した。

 

「これこそ本当の正義だ」

 

「悪人が隠れられない社会になった」

 

だが、その熱狂は長く続かなかった。

なぜなら、誰も完全に潔白ではなかったからだ。彼等はただ偶然、上の彼等よりも写真に掲載される機会が遅かっただけだったからだ。彼等は、ただ知られることが他よりも少し遅かっただけだったのだ。

例外はなかった。例外は許されなかった。

 

誰かが誰かに返した、メールに対する返信。

 

配偶者であることを利用し、正 正夫の全財産を奪い逃亡。その後、離婚届を一方的に送付。世間には騙されたと涙ながらに嘘のエピソードを語る

 

もはや彼の家族であっても、例外はあり得なかった。

 

子どもの頃についた嘘。友人を見捨てた記憶。親を傷つけた言葉。弱い相手を笑った日。小さな盗み。卑怯な沈黙。見て見ぬふり。謝らなかった罪。忘れたふりをしていた過去。

 

それらは、ある日突然、写真の隅に、テレビの字幕に、スマートフォンの画面に、容赦なく浮かび上がった。

 

人々は、他人を責めることができなくなった。

正義を語る前に、自分の足元を見なければならなくなった。

街から怒号が消えた代わりに、沈黙が増えた。誰もが互いを疑い、そして何より自分自身を恐れた。

 

 

その頃、喪黒福造は、夕暮れの街をゆっくりと歩いていた。

 

ビルの大型モニターには、ある政治家の笑顔と、その横に浮かぶ数々の悪行が映し出されている。通行人たちは見上げながらも、もう以前のように声を荒らげることはなかった。石を拾おうとする者は、自分の掌の汚れを思い出すようになっていた。

 

喪黒は帽子のつばを軽く上げ、ぽつりと呟いた。

 

「正夫さんは、残念な結果になってしまいました。ですが、いつ何時転げ落ちるか分からないこんな世の中よりは、あの世の方がむしろ住みやすいのかもしれませんなあ」

 

そして、失言を正す。

 

「いえ……いつ何時、転げ落とされるか、といったところでしょうか」

 

彼は、にたりと笑った。

 

「それにしても、かのイエス・キリストもおっしゃっておりました。石を投げることができるのは、罪なき者だけだ、と。人間、誰しも悪いことのひとつやふたつは知っているものです。それを棚に上げ、他人の過去を虱潰しに暴き、ことさらに騒ぎ立て、子どもの頃の過ちまで引っ張り出して叩き続けるというのは、いささかやりすぎだったのでございましょう」

 

喪黒は人混みの中へ歩いていった。

その背中は黒く、大きく、どこか楽しげでもあり、どこか寂しげでもあった。

 

「正義感の暴走というものも、なかなかいただけないものですなあ。ホーッホッホッホ……」

 

笑い声は、夕暮れの街に溶けていった。

そしてその日から、人々は誰かを裁く前に、ほんの少しだけ黙るようになった。

ほんの少しだけ。

 

 





ミスを怒ってたら直後に自分も大きなやらかしをして凹んでた時に思いついた話。
身の程を思い知ったし、ミスのない人間になりたい(´・ω・`)
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