綺利香は実はあの人と関わりが…おっと誰か来ましたね。
それではどうぞ。
私はいま、車にゆらゆら揺られている。隣にはベルちゃんもいて、若干緊張しているようだ。
それもそのはず、行き先は魔防隊の本部。つまりこれから組長会議というわけだ!!
組長会議とは、魔防隊の特級戦力であり、幹部格の組長八名と総組長で行われる定期的な会議である。私が呼ばれたのは、十中八九八雷神関連だろう。*1八雷神と明確に交戦したのは、現時点では天花さんと私のみ。私達は貴重な情報源だ。だから組長でない私が同席するのは納得できる…できるんだけどさぁ………
私この説明すんの3回目なんだよなぁ〜〜〜〜〜
正直めっちゃダルいです。ハイ。でもこれが組織に所属するってことだからねしょうがないね。
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「お待ちしてましたベル様!ささ、どうぞ」
というわけで到着しました総本部。銀奈ちゃんに出迎えられ、廊下を進む我々。やっぱしベルちゃんはガクブルしているな。うーん自己肯定感はかなり回復させたつもりが、まだ一押し足りない感じなんかな?
すると、途中のエレベーターの前でベルちゃんは右往左往する。うーんこの…こっから先は私が先導するのも手だが、おそらく”奴“がもういるんだよなぁ。仕方がない、ここで彼らを待つとしよう。
「ベル」
ベルちゃんと私が声のする方を向くと、京香さんと優希くんがいた。よし、原作通りだ。
「お久しぶりです羽前組長、並びに優希さん」
「お久しぶりです綺利香さん」
「久しぶりだな。ところで、ベルは会議室へ上がらないのか」
京香さんの正論に、ベルちゃんの体がビクッとする。
「だ、だって…ベルは
んん?あー…もしかして、私やり過ぎちゃった?確かに書類仕事ならともかく、実戦での功績は私の方が上である。だから私の方が組長に相応しい的な目で見られるのは分かる。まぁ組長の皆様はそんな事で馬鹿にはしないだろうけど…。
「…それは仕方なかったと思います。それに、私はあなたが私に頼りきりとは思いません。貴方は立派に事を成していると思います」
「綺利香の言う通りだ。胸を張れ、ベル」
私と京香さんが必死にフォローをしたが、あまり効果はなさそうだ。京香さんはわかってなさそうだが。
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そうこうしている間に、扉の前まで辿り着く。京香さんが扉を開け放つと、そこには五名の組長がいた。
右から、
一番組組長・
六番組組長・
五番組組長・
九番組組長・
八番組組長・
そして…
「「来ますね/るぞ」」
上空から石の玉座が降りてくる。そこにいたのは、
総組長・
さぁ楽しい会議の始まりだぁ!
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「では、本題よ。八雷神と名乗った、人類の敵について」
恋が指をパチンと鳴らすと、卓上のホログラムが起動し、八雷神・雷煉、壌竜、そして紫黒の姿が映し出される。
「この黒髪はそこにいる三番組の副組長を、巨体は六番組と七番組の隊員を病院送りにした」
ん?一瞬だが風舞希さんがこちらに視線を向けた。なんだかんだで娘を大切にする人だから、心配でもしてくれたのだろうか?
「ただしこいつは、天花が直々に滅したわ」
恋は雷煉を指差す。
「……確実に殺したとはいえません」
「大事なのは、組長であれば神だろうと倒せるということよ」
空気が引き締まり、士気が上がるのが分かる。こういうのをカリスマと呼ぶのだろう。
「でも、一つだけ不安な組があるのよねぇ…」
瞬間、恋の視線がベルちゃんを射抜く。
「ベル。三番組が情けないのは組長の責任よ。しかも三番組襲撃の際に部下を逃し被害を最小限に収めたのは副組長。貴方は何もできていない」
「あぅ…」
…会議前のベルちゃんの発言から予想はしていたが、まさかここまで行ってくるとは。
「三番組の組長を、綺利香にすることも検討しなければいけないかしらね?」
「_______え?」
「…………」
「なーんて冗談よ。ベルを下ろすことは絶対にしないわ」
恋は先ほどまでの威圧的な表情から、一点朗らかな笑みを浮かべる。ベルちゃんの方を見ると、そのことに安堵しつつも、どこか暗いように見える。はぁ〜あのドM総組長性格悪いなぁ〜。
「あ,あはは…」
ベルちゃんよ。無理して笑うことはないのだぞ。寮に帰ったら思いっきり抱きしめてあげるからね。
ちなみに私に組長になる願望はない。だって書類仕事増えてだるいし、会議に出ないといけないし、何よりベルちゃんには上司であって欲しい。海桐花様はうるさいが,そんなこと私の知ったことではない。
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その後は原作と何ら変わり映えのないイベントであった。テロリスト襲撃、恋の無双、そして会議の解散。こうしてみるとあっという間だ。
「月夜野組長。お先にお帰りください。少々用を思い出しました」
「あ。うん…」
ベルちゃんよすまない。悲しい顔をさせてしまった。すぐ帰るから、待っていてくれ。
エントランスでベルちゃんと別れた後、私は再び本部に戻り、とある一室に入る。
「来たわね、東綺利香」
薄暗い部屋の中にいたのは、フードを被り、両手でおさげをにぎにぎしている組長…ワルワラ・ピリペンコであった。
「約束のものは持っているわね?」
「はい。こちらに。ぜひ確認を」
空気が重く重く張り詰めながらも、私は懐から木箱を取り出し、彼女に手渡す。
ピリペンコさんが蓋を開けると、
中には私の自信作、『1/11スケール羽前京香ぬい』があった。
ピリペンコさん…なんか堅苦しいなこの呼び方。…ペン子は、それを手にとって数十秒目を輝かせた後、ぬいを箱に丁寧に戻した。
「……確かに。よくできているわね」
「お褒めに預かり光栄です。しかしながら驚きです。まさかピリペンコ組長羽前組長のファンだったとは」
「ファンではないわ。信者よ」ムッ
「そうですか…」
なぜこんな状況になっているか、説明せねばならない。
事の発端は一ヶ月前。私のパソコンに一通のメールが入っているのを見つけた。内容はというと、自分のために羽前京香のぬいぐるみを作って欲しいとのことだった。匿名だったが、原作知識で誰かは分かったので、番号を調べて電話を繋げたら、やはりペン子であった。というか、ぬい作りの趣味のことは私だけしか知らないはずだし、口外しないように努力してるんだが…どこで漏れたんだ?
「では私はこれで」
「ええ。下がっていいわよ」
\ガチャッ/
夜雲「(^○^)」
\バタンッ/
私は何も見ていない私は何も見ていない私は何も見ていない…………………
………よし。
\ガチャッ/
「もー。人の顔見て無言で閉めるなんて…ヒドイなぁ⭐︎」
「……何でいるんですか」
「いや〜会議終わったのに本部に残ってるから不思議に思ってね〜。後をつけたらこの部屋に入っていくのが見えてさぁ。聞き耳を立ててみたらびっくり!まさかピリペンコと話してたとはねぇ〜」
「私は貴方とそこまで仲良くないでしょう」
「も〜連れないこと言わないでよ〜⭐︎」
まさかつけられていたとは。こんなでも魔防隊の組長ということか。まぁペン子の京香さん好きが夜雲にバレるだけだしいいか。
「それにしても、まさかピリペンコにそんな一面があったとは…この夜雲さんの目をもってしても読めなかったなぁ」
「…………」
夜雲は頬をぽりぽりしながらペン子に視線を移す。ペン子はオタバレしたことにはノーダメージだったようで、相変わらずの無表情である。常々思うが、こういうオタクに私はなりたい。私がベルちゃん大好きなことがバレたら、多分顔から火が出てしまう。
「じゃあね〜⭐︎また合同訓練で♡」
夜雲はこちらへ手を振った後、どこかへ行った。やったぜ。
「……もう少しこの部屋にいさせてください。今出ると危険な気がするので」
「それがいいわ」
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その夜、私は布団に潜り込んで天井のシミを数えていた。
どうやら、今までやりすぎてしまったようだ。ベルちゃんと日万凛のために頑張っていたはずが、逆に彼女らを苦しめてしまっている。特にベルちゃんの件。冷静になれば分かったはずだ。部下が自分以上に有能だった時のいたたまれない気持ちが。これからは、もうちょっと自重せねばな。…いや、ベルちゃんに自信をつければいいのか?うーんわからん。
「別にそのままでいいんじゃない?キミが優秀なのは事実だし?」
「何をナチュラルに心をよんでるんでs」
「やぁ」
声の方を見ると、紫黒がいた。何でだ!そこは私じゃなくて優希くんのとこ行けよ!何でこんなとこいんだよ!*2
「早いとこ帰ってください。どうせ結界に入るために力を削った分身でしょう」
「アハ、鋭いねぇ。やっぱりキミ面白いよ。確かにこのボクじゃあ、君を倒すことはできない。でも、ただの隊員を殺すくらい、わけないよ」
紫黒のハイライトを落ち、空気が重くなる。紫黒は後ろを向き、私の部屋のドアノブに手をかける…
「!ガハァッ」
…前に、私は七本の
「いいことを教えてあげます。仲間に手を出すな。…殺すぞ」
紫黒は何も言わずに消えていった。…クソが。奴はいずれ、この手で殺す。そのためにも、早く強くならねば。
でも今日は寝よう。おやすみ。
「…………やっぱり、ベルは……」
ところで銀奈ちゃんって、組長格の人らを『愛称+様』呼びと勝手に思ってましたが、ベルちゃんのこともそう言ってるんでしょうか?そういうシーンがないのはベルちゃん以外にもいっぱいいますが、ベルちゃんと木乃実ちゃんとベルちゃんだけそういうイメージがないんですよねぇ。
小話:vs紫黒戦の時の綺利香は、分身紫黒にもまあまあ手こずっていましたが、鍛錬を詰んだおかげで、割と瞬殺できるくらいに成長しました。何なんだコイツ。
次回『第十一話:力が…欲しいです…』お楽しみに