優希君はもうしばらくお待ちください。
ということでどうぞ。
「よし、出来た。」
私は出来上がったベルちゃんのぬいぐるみを机に置く。我ながら良い出来だ。
あれから1年が経った。あの時の鍛錬の方針変更は、思ったよりすんなり受け入れてくれた。ベルちゃんがすんごい緊張していたのをよく覚えている。あの時は可愛かったなぁ。そしてそれを提案したのが私ということがなんとなく広まったり、そこまでの醜鬼退治の実績だったりで、私は副組長に推薦された。出世欲とかはなかったが、実家が*1うるさかったので、副組長になった。しかもそれがあの提案から1週間後とかだったもんで、エリート扱いされている。嬉しいけど、私はそんなに目立ちたくないんだよなぁ…。あとこのままだとベルちゃんが組長を私に押し付ける可能性すらあり得る。それは嫌だ、というか面倒くさい。
はぁ〜やだやだ。
閑話休題
今年はいよいよ本編開始の年である。日万凛の年齢から推察したのだから間違いはない。もうそろそろ、七番組が男性の管理人を入れる事だろう。
そうなると、ようやく私の計画は動き出す。ベルちゃん曇らせをやらせはない。気張っていこう。
さて、状況を整理しよう。
まず紫黒戦だが、正直勝てる気がしない。そもそも八雷神は組長二人分の強さとトントンくらいだろう。ただしベルちゃんのような初見殺し能力があれば、他の組と協力しなくとも倒せるだろう。
だが実際はベルちゃんはこの時不在。しかも対八雷神は未知数なので、初手で全滅する可能性もある。そしてそして紫黒の目的はあくまでも様子見なので、分身を向かわせて本体は別のところで高みの見物決めこいているだろう。
…あれ?これ詰んでね?それってもう紫黒はこの時点では倒せないっていってるようなものじゃん。クソがよぉ!
いや、逆に考えるんだ。紫黒の能力を使わせることにシフトしよう。そうすれば、次来た時に戦いやすくなるからな。
紫黒の攻撃パターンは、大まかに分けると①紫色の波動②蛇による毒攻撃③幻覚を見せる煙④指を針にして刺突(おそらく毒針?)、の四つだろう。あとは呪詛とかあるだろうが、そこら辺は対策のしようがないので飛ばす。
だが細かい弱点などは全くわからないので、そこら辺は実戦で吸収するとしよう。最も、初手でやられてしまえば、対策もクソもないがな!ハッハッハッハ!!!…はぁ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「綺利香ちゃん聞いた?つい一週間前、七番組に男の管理人がついたんだって」
紅葉さんと私は、お湯に浸りながら、七番組組の管理人…和倉優希について盛り上がった。
「ええ、聞きました。羽前組長がまさか男性を迎え入れるとは、意外ですね」
「だよねぇ。聞いた話だと、能力で奴隷にするんでしょ?」
「言い方に語弊がある気がするのですが…」
ついに来た。ここからは、より一層鍛錬に励まなくてはならない。ちょくちょく風舞希さんのとこに帰って修行つけてもらってはいるが、まだ足りない気がする。
Xデーは、せいぜい一ヶ月後といったところだろうか?
〜三人称視点〜
今日も今日とて醜鬼退治である。だが、本日は
こんな日には何が起こるかというと…
「ん?何あれ?…女の子?」
紅葉は、紫の着物を纏った少女に近づく。すると…
少女の手から放たれた波動によって、紅葉が吹き飛ばされた。
「弱いねぇ。魔防隊ってのは、こんなもんか」
少女はさらに波動を繰り出し、綺利香の背後にいた二人を吹き飛ばす。どうやら死んではないようだ。
「……あなた、名前は?」
綺利香は少女の方を向く。その手には、2本の斧が握られていた。
「ボクは紫黒。君が組長かい?」
その少女…紫黒はにっこりと笑う。その中には、どこか狂気のようなものがあるようだった。
〜綺利香視点〜
分かってはいた。雷煉のように見た目が完全に人外でない紫黒に、普通は警戒心を抱かないと。だが、少し目を離した隙にこれである。全く自分が情けない。だが、そんなことを考えている暇はない。今はとにかく、目の前の敵に集中しなくては。
「いえ。私は組長ではありません。今組長は出払っております。」
「う〜んそっか。じゃあ…………………ちょっと死んでもらおうかな」
「!」
空気が変わる。紫黒は戦闘体制に入った。気合いを入れろ私!このままでは死ぬぞ!!
一旦切ります。次回は戦闘に入ります。
小話:綺利香と紅葉は、同じ前衛ってのもあり、めちゃくちゃ仲が良くなりました。
次回『第四話:やっぱ毒使いはクソだと思うの』お楽しみに。