TS転生者は、日万凛の双子の姉として頑張る。   作:草鞋の人

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戦闘描写って難しいですね。

それではどうぞ


第四話:やっぱ毒使いはクソだと思うの

「『暗澹波』」

 

紫黒はエネルギー弾を飛ばし続ける。それを私は斧でいなし続ける。一見押され気味だが、確実に一歩一歩紫黒への間合いを詰める。

 

…ことができればよかったのだが、吹っ飛んだ他の組員に流れ弾が行かないようにする必要があるため、近づく余裕がない。

 

 

防戦一方とはこのことだ。2本では捌ききれない。次第にダメージを受け始める。

このままでは、ジリ貧で負ける。

 

 

私は()()()()()()()

 

「おや?勝てないと悟ったのかな?」

 

「勘違いしないでください。少し…手品を見て頂きたく…」

 

 

 

 

 

唐突だが、私の能力について解説しておこう。私の能力:『月輪の斧(ルナティック)』は、斧を生成する能力である。そう聞くと、風舞希さんの『太陽を穿つ槍(サンセット)』と同じように聞こえるが、風舞希さんのは十文字槍しか作れないのに対し、私の斧はサイズから形状までバリエーション豊富である。さらに遠隔操作性も優れている。正直能力だけなら風舞希さんを軽く上回っているだろう。*1

 

 

 

 

 

私は斧を再生成する。ただし、小さく、多く。指と指の間に、投擲斧(トマホーク)を、8本!

 

「行け!」

 

私の投げた斧は、弧を描くように飛ぶ。私は一気に距離を詰める。

さらに斧を2本生成。投げた8本と到着が同時になるように、2本の斧を振り上げる。

 

 

 

計10本の斧による同時攻撃…まさに、《fate》のアーチャーの『鶴翼三連』…いや、『鶴翼五連』といったところだろうか。

 

 

その十連撃は、紫黒の体に大きな斬撃を刻んだ。

 

 

 

 

「……やるね、君」

 

「…どうも」

紫黒は溶けて消えた。やはり分身だったようだ。

 

 

なんとも複雑だ。敵に褒められることは、中々ない。人語を解さない醜鬼を毎日のように相手取っているなら尚更だ。

 

 

 

ともかく、私は紫黒撃退に成功したのだ。あとはみんなを連れて寮に帰れば…

 

 

 

 

 

 

その瞬間、足に鋭い痛みが走った。

 

「ぐっ…!」

「油断したね」

 

紫黒は岩陰からひっそりと現れた。さっきの奴と雰囲気が違うのを見るに、どうやら本体のようだ。

 

「不思議かい?ボクはさっきの戦闘で、ヘビなんて使ってなかったからね」

 

やはりヘビを使わなかったのはそういうわけだったのか。クソッ…油断した。

 

 

 

 

「さて。君は持ち帰ることにしようか。空折のいい餌になるから…ね………え?」

 

 

 

私は、自分のアキレス腱を切り落とした。とりあえず、これ以上毒が回るのは防げただろう。

 

 

「ふッ……アハハッハハハハッハハ!!!まさかそんな簡単に自分の体に傷をつけるとはねぇ。普通思いついてもすぐやらないよ?イカれてるねぇ」

 

「狂ってなければ、あなたに勝てませんので」

 

再び斧を構える。毒のせいで視界がぼやけるが、そんなことで退くわけにはいかない。さっきの口ぶりからするに、私が負ければ、空折に喰われるだろう。

それはいけない。空折は喰った桃の能力を使える。つまり、空折が自動操縦及び形状変化自由の斧なんか手に入れた暁には、横浜が更地になるだろう。*2

 

 

条件は厳しくなったが、目的は変わらない。原作ブレイクなど知ったことか。紫黒は今、ここで倒す。それが唯一私の生き残る道だ!

 

 

 

「君。名前は?」

 

「?東…綺利香」

 

「東綺利香。ふふっ、その名前覚えたよ」

 

紫黒は蛇の大群で自分を囲み、姿を消した。

 

一応周囲を警戒する。本当に帰ったようだ。

 

 

危なかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

いや〜引いてくれて良かった!あのまま戦ってたら、間違いなく私は空折の餌だっただろう。そうしたら色々と終わりだ。なぜ紫黒が私を逃したのか、そんなことはどうだっていい。今はただ、生に感謝を!!

 

 

 

毒で重たい体を引きずり、吹っ飛んだ組員の安否を確認する。どうやら、全員息があるようで、安心した。

 

 

「あーやば。安心したら意識が…」

 

安堵と達成感に包まれ、私の意識は沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

〜三人称視点〜

 

 

「遅いではないか、紫黒」

 

「いやぁーごめんごめん」

 

「…それで紫黒。魔防隊はどうだった?」

 

「とりあえず一般の隊員は大したことないね。ただボクが出た時は、組長が不在だったから、組長の強さがわからない。だから次は、組長格を攻めに行こうと思う」

 

「ふん。組長といっても、廃れ者の頂点であろう?どれだけ強かろうと廃れ者は廃れ者。我の力の前には手も足も出ぬわ!」

雷煉は高笑いしながら、奥へ消えていく。

 

「……そういえば一人、面白い子がいたね」

「面白い子?」

 

紫黒の呟きに、壌竜は反応する。

「うん。一般隊員にしては結構な強さでね。分身が一回やられたんだ。ボクの力の半分くらいに設定したのに」

 

「…強いな」

 

「空折のいい餌になるかもって思って、捕獲しようとしたんだけど、失敗しちゃって」

 

紫黒は、洞窟の天井を見ながら呟く。

 

「東綺利香かぁ…

 

また会う日が楽しみだなぁ」

 

 

その笑みには、どこか狂気的ながらも、まるで新しいおもちゃを見つけた子供のように輝いていた。

 

 

 

 

*1
ただし、素のフィジカルや経験なんかは風舞希さんが圧倒的に上なので勝てない。

*2
詳しくは、原作の横浜決戦編を見るべし




次回は事後処理です。

小話①:綺利香は、第二の人生で、『戦闘は、一瞬の判断で勝敗が決まるものであり、躊躇いは不要である』ということを心情にしているので、『毒が回りきる前に部位を切り落とす』ことを、なんの躊躇いもなく実行します。イカれてますね。

小話②:『月輪の斧』の遠隔操作性は、『太陽を穿つ槍』のように指をクイクイやる必要がなく、ファンネルのように操作できます。ただしその分脳への負担が激しく、綺利香には8本に複雑な動きを命令することは無理です。なので、今回は『弧を描く』のように、簡単な命令しか組み込んでいません。

次回『第五話:綺利香が死んだ!?この人でなし!!』お楽しみに。
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