争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい 作:大気圏突破
教会から派遣された2人のエクソシストはオカルト研究部へ足を運びリアス・グレモリーたちと会談を行った。彼女たちの言い分は『自分たちで奪われた聖剣の奪還・破壊に従事するから悪魔は手を出すな』ということである
上から目線の物言いに彼女は内心憤慨していたが、表情に出すことはなく聖剣を奪われた教会の杜撰な警備や未成年の2名しか送ってこなかった台所事情を皮肉で返した
「何をやっているんだ木場は?」
校舎の窓からグラウンドを覗くと木場が緑のメッシュが入った青髪のエクソシストと対峙していた。彼の両手には神器で造られた魔剣が握られ騎士のスピードを活かして斬りかかるが、彼女の持つ聖剣の力によって破壊されてしまう
「あれがエクスカリバーか」
『使い手も未熟だが、あれは鈍らだ』
ドライグの言う通り彼女はエクスカリバーを振り回しているだけで技量に優れている様子は無い、というより木場の動きが単調過ぎる。怒りに身を任せて子供がプラスチックの剣を無秩序に扱うように見えてしまう
「君の魔剣など、私のエクスカリバーの相手ではない」
エクソシストの一振りが木場の二本の魔剣を粉々にした
「七つに分かれてもこの威力。全てを破壊するのは修羅の道か………だけど」
武器を失った木場は更に魔剣を作り出して、彼女のことを親の仇のように睨み付けているが相手は動じることなくどっしりと聖剣を構えている
「この力は同志の無念の思いで作られたものだ!この力で僕はエクスカリバーを破壊する!」
震える体に喝を入れて、再びエクソシストに向かっていくが手当たり次第に創った魔剣はことごとく破壊される。そして彼は手元に巨大な禍々しいオーラを放つ一本の魔剣を創り出した
「その聖剣の破壊力と僕の魔剣の破壊力どちらが上か勝負だ!」
それはスピードを生業とする騎士にとってカーソルを合わせてはいけない選択肢だった、己の長所を殺す最悪な手段である。伸元と対峙したときも同じように使用していたが気付いていなかったのか?それとも怒りで我を忘れてしまっていたか?
「残念だ」
「ガハッァァ」
魔剣は砕かれた。砂まみれになった木場は痛む箇所を押さえながら地面をのたうち回っている。エクソシストの彼女は聖剣を白い布で包むと背中を向けて去ろうとしているが、彼の手の平には破片となった魔剣の残骸が握られていた
「あの馬鹿!」
ここからダイスを振っても射程外なので、右腕に籠手を出した伸元は周囲を見渡して教室内にあった野球のボールを持って投げつけた。
大リーグで活躍した日本人外野手のようにレーザービームを彷彿とさせる硬球は寸分の狂いなく傍観していたリアス・グレモリーの顔面に直撃した。汚い叫び声と背面から倒れる音が周囲に響き渡ると緊迫していた空気は霧散し、木場は己のやろうとしていることを恥じている
「小汚い真似をするあたり転生しても悪魔だな」
「僕は………ぼくは…」
四つん這いになって涙をこぼす彼に駆け寄る者は誰もいない、エクソシストたちは軽く頭を下げると校門の外に出て行くのであった
「すぐには来れそうにはないですか」
「あれでも魔王の身ですから、冥界を離れるのも容易ではないですね」
グラウンドで起きた転生悪魔VSエクソシストの騒動から夜が明けてソーナから連絡を受けた伸元は軽い溜息を吐いた。頼みの綱であったセラフォルーからの援軍が遅れるのが確定した
「木場君と教会の使者がグラウンドで戦ったと耳にみましたが」
「あいつの惨敗でしたよ怒りで我を忘れて、木場は教会の人間に怨みでもあるんですか?」
あれは模擬戦ではなく殺し合いの様相に近かった。もし自分が割り込んでいなかったら駒王の地で悪魔・堕天使・エクソシストたちによる三つ巴の争いが勃発していた可能性もある
「他言無用でお願いしたいのですが」
『聖剣計画』
僅かに聖剣使いの因子を持つ子供たちを集め人工的に後天的な「聖剣使い」を生み出すことを目的としていた。木場はその計画の生き残りだ、聖剣は悪魔にとって最大の武器なので使い手を増やしたかったが計画は失敗に終わり関わった被験者を不良品として処分した。そして生き残った彼をリアスが保護し眷属として向かい入れた
「クソ以下の計画ですね」
「尊厳を踏みにじる最悪なことです」
人の命をなんだと思っているのだ!そんな集団が神を信仰するとは天国ではなく八大地獄で永遠と苦しみ続けるべきだ
「エクソシストは戦力の頭数としては?」
「数えない方が良いです。コカビエルとやりあうには戦力外と見て間違いありません」
「そうなると私たちで時間を稼ぐ必要がありますね」
リアスたちがコカビエルに負けて亡くなったと仮定する。その知らせを聞いたシスコン魔王は怒りの形相で冥界からすっ飛んで駒王町で見境のない大決戦を繰り広げるだろう。それは戦争狂のコカビエルが望んでいる闘争であり望みを叶えたことになる
当然のことだがここは荒廃しペンペン草も生えない土地へと変貌する。82億人いる世界の人口から少しだけ数字が減るだけで悪魔としては問題ないかもしれないが、住んでいる自分たちにとっては故郷が破壊されてしまう
「(切り札を温存している場合じゃないな)」
コカビエルに対抗する手段を持ち合わせているが安全を保障することができない、下手をすれば自身の力で周辺を破壊してしまう恐れがある
「石動君…また怖い顔をしてますよ」
「すまない」
謝罪の言葉を述べるが彼の表情は変わらなかった。ソーナは対面に立つと中指で額をデコピンすると両手で頬を持って真っ直ぐに見つめている
「この前も言いましたが抱え込まないでください、いつまでもおんぶに抱っこなんて恥ずかしいので」
「…でも」
「傷ついたらアーシアさんがいます。攻撃されそうになったら椿姫が防いでくれます。匙もあんな性格ですが見えないところで努力をしています」
模擬戦で惨敗を喫してからシトリー眷属たちは自己研鑽を積んでいた。王の願う夢の為に立ち止まっている時間なんて無い、指導してくれる赤龍帝をアッと驚かせてやるつもりで頑張っているのだ
「まずは目先の課題を取り除きましょう」
「なんでしたっけ?」
頬から手を離したソーナはホワイトボードにデカデカと黒いマジックで『聖剣』と書き込んだ
「教会のエクソシストたちは奪われた聖剣の奪還・破壊の為に訪れたのなら、望み通りにさせてあげましょう」
「まさか会長……囮に?」
その言葉に頷いたソーナは概要を説明した。敵が聖剣を持っているということは確実に悪魔を狙いにくる。そして魔王の妹たちがメインターゲットとして扱われる
「私たちで敵をおびき寄せてエクソシストたちに迎撃してもらいます!」
あくまで自分たちはお膳立て役に徹するだけで、手を出すなというのは戦闘に関することで線引きをしている
「石動君には彼女たちとコンタクトを取ってもらい手助けをしてください」
「確かに悪魔じゃないですからね」
彼は人間であり赤龍帝だ!悪魔じゃないから問題無い、向こうが交渉に応じてくれるか未知数だが生徒会室でコカビエルの対策で頭を悩ませるより不安の芽を摘み取っておくことが重要である
「危険と判断したら逃げてください、逃げることは恥ではありませんので」
「それは会長に言う台詞です」
「じゃあお互い様ですね」
そうと決まればエクソシストを探さなければならない、ドラゴンボールの悟空のように『気』で探すことはできないので足を使って見つけるしかない
「とりあえず教会かな?」
『オイ!あれを見ろ!』
ドライグの言葉に視線を向けると白いローブを纏った2人が路上に立っていたが様子がおかしい、周囲を通り過ぎる人々も奇異の視線を向けている
「迷える子羊にお恵みを〜」
「どうか、哀れな私たちにお慈悲をぉぉぉ!」
探し者は特大の腹の音を奏でながら叫び続けるのであった
ソーナがヒロインしながらドライグとは違う相棒になっています。主人公の切り札はエクスカリバー編では出さないと思います(まだ時期は未定)
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます