争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい   作:大気圏突破

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条件の提示

「美味い!日本の料理は、美味いぞ!」

「やっぱり故郷の味が最高ね」

 

 目の前で空になった皿が山ように積み重なりアルバイトの店員が足を渦巻きにするように厨房とテーブルを往復している。2人の食欲はサイヤ人のように旺盛で胃袋はフードファイターの如く宇宙だった

 

『(こいつ等、慎みというのを知らないのか?)』

「(人の欲望は末恐ろしいものさドライグ)」

 

 ホットコーヒーが注がれたカップをテーブルに置いた彼はエクソシストたちを見つめながら財布の中身が足りているのか心配になってきた

 

 

 

 

 街中でエクソシストたちを見つけたが正直なところ声を掛けたくなかった。施しを求める声と空腹の悲鳴が交互に響き時折り仲違いしては落ち込むことを繰り返していた

 

「お前が詐欺紛いの変な絵画を購入したのが悪いんだ!」

「何を言うのゼノヴィア、この絵には聖なるお方が描かれているのよ!展示会の人もそう言ってたわ」

 

 2人の足元には両手を粉砕骨折した漫画家が口にペンを咥えて描いたような落書きが置かれていたが神秘性を感じる要素はゼロに等しい、むしろ資源の無駄遣いだと思ってしまう

 

 

 

 

「なんて薄情な国だ、空腹を叫ぶ私たちに救いの手を差しのべてくれないとは主を敬う心を持たぬと人はここまでも冷酷になるのだな」

 

 違います。幼少期から怪しい人たちと関わってはいけないことが徹底されているのが要因です。まだ彼女たちが修道服やシスターさんの衣服を身に纏っていたら『教会の人なんだ』と思われ興味本位で施しをする奇特な人はいるが白いローブで全身を覆っていたら誰も近づきません、昔いたよね?多摩川に現れたアザラシを捕獲しようとした白装束の集団って

 

『(相棒…俺達だけでやらないか?)』

「(賛成って言いたいけど放っておいたら聖剣を使って罪に手を染めると思うな)」

 

 これは街の平和を守る為に必要なことだ、ソーナや彼女の眷属たちも覚悟を決めて賭けのテーブルに乗ったのなら投げ出す訳にはいかない

 

 

「そこの自称迷える子羊!ドラゴンと相乗りする勇気、あるかな?」

 

 彼女たちに赤龍帝の籠手を見せつけた伸元は2人の腹から奏でられる重低音を退場させる為に少しだけ値段の高いファミレスに向かい冒頭まで戻るのであった

 

 

 

 

 

「すまない、デザートにジャンボパフェとあんみつを頼んでいいか?」

「私も同じやつで」

 

 空になった皿が片付けられデザートが到着までの間に互いの自己紹介を行った。木場と戦ったのがゼノヴィアで破壊の聖剣を用いる。そして栗毛のツインテールで擬態の聖剣を扱う紫藤イリナ

 

 

「それで赤龍帝の君が私達と接触してきた理由は?」

「担当直入に言うと…盗まれたエクスカリバーの破壊で手を組まないか」

 

 2人に対してソーナの提案した策を伝えると眉間に皺を寄せて怪訝な表情を作ってしまう。間接的とはいえ悪魔と手を組むことに忌避感を持っているのだ、好き嫌いで目的を見失うのは下の下である

 

「聖剣の使い手に聖書に記された堕天使の幹部を同時に相手にして勝つ見込みはあるのか?」

「勝算は限りなく低いが悪魔と手を組むぐらいなら、この身を散らして神の下へ赴くつもりだ」

 

 偶像崇拝も極まれりだ!神に祈り陶酔するのは自由だが盲目になってはいけない、自身の頭で判断し腹で決断する

 

「見えないものに縋って助けてくれるのか?」

「……神を侮辱するつもりかっ」

「神か……最初に罪を考えだしたつまらん男だ」

 

 

 サイコガンを装着した宇宙海賊の言葉を引用すると2人は包んであった聖剣に手を掛けるが周囲の目が自分たちに向いていることに気付いて抜くのをやめた

 

「交渉は決裂だな」

「君の友人に伝えておけ、私たちの邪魔をするのなら魔王の妹でも切り捨てると」

「施しをしてくれたけど…ごめんね、でも伸元君の厚意は忘れないから」

 

 イリナは胸の前で十字架を刻んで彼に対して祝福の賛辞を与えた。それを見て彼は伝票を持って立ち上がりレジで必要な分(・・・・)を支払ってファミレスから出て行くのであった

 

 

「神滅具も悪魔に誑かされるとは」

「ゼノヴィアそんな言い方はやめましょう。伸元君の施しで私たちは満たされたのはれっきとした事実なんだから」

「そうだな」

 

 テーブルには店員が持ってきたジャンボパフェとあんみつの皿が合計で4つ並び彼女たちはスプーンを持って目をキラキラさせて輝かせていた。甘いものは別腹なので問題なく入る

 

「(お土産用のケーキも欲しかったが仕方がない)」

 

 既にイリナはスプーンを突き刺して口内を甘味で充満させている。メニュー表を目にしてから気になっていた愛しいデザートを頬張り彼女は天国に昇るような気分に浸るのであった………この先に起きる地獄を知る由もなく

 

 

 

 

 

 

『(悪魔より酷いことをするな)』

「(俺は相席でコーヒーを飲んでいただけだよ)」

 

 ファミレスの外に出た伸元はソーナに伝える言葉を模索しながら歩いていた。教会側の悪魔嫌いに関してはある程度想定していたが上回っていたことで交渉は破談になった

 

 

『(一緒に謝ってやるよ!)』

「(ありがとうドライグ)」

 

 相棒に感謝の言葉を述べているが、店外に出てから自分がつけられていることに気付いていた彼は一気に駆け出して角を曲がった。探偵気取りの追跡者も同じように走って右折するが視線の先に標的が居ないことに気付いて周囲を見渡すと

 

 

「なんのつもりだ?木場」

「いつの間に?どうやって」

「企業秘密だ」

 

 昨日ゼノヴィアに敗北した木場の背後を取った彼は肩に手を置いているが、込められた握力で鎖骨を握り潰す準備を完了させていた。負けを悟った木場は両手を上げて降参のポーズをしたので力を緩めるのであった

 

 

「シトリー会長との話を聞いていたのか」

「盗み聞きをするつもりはなかったんだけど…ごめん」

 

 自販機で購入した缶コーヒーを投げ渡すと彼は頭を下げて礼の言葉を述べてくれた。少しだけ口の中を潤すとソーナから聞かされた過去についての話と聖剣を破壊する覚悟を発していたが頭に血が上ってしまい顔が真っ赤になってしまう

 

 

「頼む!僕も仲間に入れてほしい」

 

 地面に膝をついて土下座をする彼にたじろいでしまうが僥倖であった。エクソシストたちはしばらく外に出ることは不可能だろう。つまり悪魔だけで対処をすることができるのだ、上手くいけば魔王の椅子に座っているシスコン野郎のシナリオを書き換えることも可能である

 

 伸元は木場の目の前に手を差し出すと彼は力強く握り、腹で覚悟を決めてくれた!自棄になっている訳ではない臨機応変に物事を考えて実践する。まずは餌に食いついてもらう必要がある




原作とは少し違う展開になりました。ゼノヴィアたちは少しだけ現実の苦しみを味わってもらいましょう。

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