争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい 作:大気圏突破
エクスカリバーの強奪から始まった堕天使コカビエルの闘争は終焉を迎えることができた。騒動に関わった首謀者たちを白龍皇のヴァーリに渡したので家に帰って就寝するのだが、シトリー眷属と伸元にとって今から本番なのである
由良翼紗・巡巴柄・仁村留流子の3人は椿姫の指示でコカビエルとの戦闘で荒れてしまったグラウンドの補修を行い、匙とアーシアは近くのコンビニへ出向いて夜食やカフェイン飲料の買い出し、ソーナと伸元は今回のことをヴァチカンへ連絡しエクソシストたちを引き取りに来いと通達すると報告書の作成に励んだ
「ソーナちゃん☆撮影のことなんだけど、夏休みで問題ない?☆」
「構いません…それよりも姉さんも手伝ってください!」
生徒会室ではセラフォルーが報酬として求めていた『魔法少女マジカル☆レヴィアたん』の収録についてスケジュール帳を出して日程の調整を行い、グレイフィアは木場を連れて漁夫の利を狙っていたリアス・グレモリーの所へ向かった
「教会と堕天使側への請求はどうしますか?」
「できれば金銭以外のモノを要求したいですね」
当然のことだが自分たちは被害者の立場である。他の陣営に慰謝料請求をするのが筋なのだが金銭では罪の意識が軽くなってしまう。金で解決するより痛みを与えたいのが心情なのだ
「もう…私は……」
生徒会室の端では手足を拘束されたゼノヴィアが泣きながら横たわっていた。悪魔とドラゴンたちに見守られながら特大の放屁を5連発してしまい乙女の尊厳が破壊されていたのだ
「セラフォルーさんへの報償は問題ないですが、グレイフィアさんへの贈り物を考えないと」
「魔王の女王ですし失礼な品は贈れませんね」
「赤龍帝の血液、フェニックスの涙、エクスカリバーの破片が無難なところですかね?」
あくまでグレモリー家ではなくグレイフィア・ルキフグスという個人に与えたいのが2人の総意である。上記の3つを渡しても受け取ってもらえるがコカビエル相手に戦ってくれた彼女に感謝の意を伝えたい
「ただいま戻りました!」
「重たかったです」
買い出しに向かっていた2人とグラウンドの補修を終わらせた面々が戻り、グレイフィアのことに関しては棚に上げることにした
「贈り物ですか?」
テーブルの上にはサンドイッチやお握り、弁当が乱雑に置かれセラフォルーと眷属たちは好きな夜食に手を出して飲食している。アーシアは未だに泣いているゼノヴィアを横に座らせて介護しながら施しを与えていた
「金銭じゃ駄目なんですか?」
「ベターだけどベストじゃないんだよ…匙」
「難しい問題ですね。高価な品にしてしまうとグレイフィア様も困ってしまいますし、カタログギフトを送ってお終いは失礼ですね」
頬にご飯粒が付着している椿姫は顎に手を当てて深く考えこんでしまった。かぐや姫が5人の公達に与えた難題よりも困難な内容だがソーナを深く愛するシスコン魔王の一言で状況は一変する
「ここに来る前なんだけど、グレイフィアちゃんね最近ミリキャスちゃんと向き合える時間が少ないって言ってたよ☆」
「ミリキャスちゃん?って誰」
それはサーゼクスとグレイフィアの1人息子でリアスの次のグレモリー家当主候補である。セラフォルーは携帯の画像フォルダから写真を抜き出して全員に見せつける。紅髪碧眼の可愛らしい容貌をした美少年で顔立ちはグレイフィアに似ていた
「家族との時間か…」
転生前に勤めていたブラック企業で同僚の母親が亡くなっても忌引き休暇を許してくれなかった。子供がいる家庭でも運動会や参観会に行くことが出来ず奥さんと別れてしまった社員もいた。だからグレイフィアの言葉が心に重く圧し掛かった
「それなら慰労はどうですか?」
ゼノヴィアの口に具材がワサビだけのお握りを与えたアーシアに全員の視線が集まる。簡単に言えば母子に温泉ペアチケットと旅行費用の全額を伸元とシトリー眷属たちで負担するものであった。
意外な案であり、べらぼうに金額の掛かる内容ではないので多数決をせずに全員一致で決定となり宿泊先の選定は後日になった。全ての報告書が書き終わる頃には陽が昇り始めていたので24時間開いている銭湯に出向いて熱いシャワーを浴びた
「グレイフィアもう1度言ってちょうだい!」
「何度も申し上げているようにコカビエルは、ソーナ様たちとセラに赤龍帝の石動様で撃退しました」
少し時計の針を戻してソーナたちが生徒会室で奮闘している頃だった。彼女は義妹のところへ訪れ今回の騒動が終わったことを伝えた
「そもそも何でここにいるの?」
「お忍びで義妹の様子を見にきただけですわ、ライザー様に敗北してから自己研鑽を積んでいるのかを私自身の目で確認するために、偶然にも堕天使のコカビエルが学園で暴れていたので彼女たちから協力を要請されました」
偶然という言葉を強調し漁夫の利を狙っていたリアスを侮蔑するような目で見つめていた
「それじゃあ…お兄様へ連絡しないと、あとコカビエルは?」
「冥界には既に報告済みです。コカビエルは堕天使側から派遣された白龍皇のヴァ―リ様が引き取っていきました」
「そう、堕天使に白龍皇が」
目論見から少し逸脱したがコカビエルの脅威が無くなったのは事実だ!あとは今回のことを自分たちの手柄にすれば問題ないと思っていたが
「サーゼクス様の他にアジュカ・ベルゼブブ様とファルビウム・アスモデウス様へ知らせ、あとはセラが今日中に冥界で吹聴すると思います」
「なっ…!グレイフィア、あなた何てことを?」
「情報の齟齬が起こらないように四大魔王の方々へ報告するのは当たり前のことです。グレモリー家の領土でソーナ様たちの活躍によってコカビエルを退けることが出来たので、こちらからも報償を送らないといけませんねリアス様!」
言いたいことを全て伝えたグレイフィアは軽く頭を下げると魔法陣に乗ってリアスの目の前から消えてしまうのであった。義姉が立っていた場所に枕を投げつけるが壁に当たり詰まっていた羽だけが霧散するのであった
騒動から2日が過ぎた頃にヴァチカンから使者がシトリー家に訪れていた。向こう側には多額の現金をアタッシュケースに詰め込んで無銭飲食などの罪を有耶無耶にすることができた紫藤イリナも立っていた
「聖剣の破片を返還していただけるのですか?」
「これに関しては無償で構いません、そしてゼノヴィアさんもお返し致します」
彼女はシトリー家ではなく伸元の家で預かっていた。もし彼女が暴れた場合に鎮圧できるのが彼しかいないので消去法で決まってしまったのだ
「その今回の慰謝料についてなんですが、彼女達の罪を揉み消すのに我々の方で多額の予算を投じてしまって…」
「私たちは金銭を求めていません!」
その言葉に使者は目を点にさせていた。自身の上司から"なるべく出費を抑えろ"と口を酸っぱくして言われていたので彼女の発言が僥倖であった。しかし金銭以外になると資産価値のあるモノや権利の主張が考えられる。脳内で候補を模索するが選ばれる内容の検討が思いつかない
「私たちはこれをいただきます」
「…なっ!」
ソーナが指を向けた先にはデュランダルを右手で構える伸元の姿だった。予想だにしていないことで使者は餌を求めるコイのように口をパクパクと開閉させている。むろんゼノヴィアも同じような表情をしていた
「待ってください!デュランダルは我々の大切な」
「あなた方のせいで私たちの大切な眷属や駒王町の住人が多大なる迷惑と被害を受けました。金銭以外なら相応の品だと思います」
「ですがっ……そちらにデュランダルを扱える者がいるのですか?」
「勿論いません!」
それは悪魔とドラゴンによるイジワルな嫌がらせ、金銭は目減りしてもいずれ稼ぐことが出来る。教会が所有する土地を貰っても維持をするのが面倒である
それなら罪の意識に苛まれ相手の嫌がることをやってしまえば良い、使えなくてもデュランダルには資産価値がある。教会側が返してほしいと願えば高値を吹っ掛けることも出来るうえに、断り続ければ戦力を下げたままにすることも可能だ!悪魔側としても自分たちに向けられる聖剣の脅威を追いやれる
「どうしますか?…とは言っても、そちらに選択肢なんてございませんが」
眼鏡を光らせるソーナは微笑みながら使者を見つめる。無論口に出さなくても答えは決まっている
「分かりました。デュランダルをお譲り致します!」
現在デュランダルの使い手はゼノヴィアしかいない、それよりも6本のエクスカリバーを手元に収めておきたいのが実状であった。ヴァチカンは質より数を優先したのである
こうして教会側との交渉を終えてエクスカリバーの騒動は幕を閉じたのであった。冥界におけるソーナの評価もまた1つ積み上がったのである
デュランダルゲットだぜ!
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