争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい 作:大気圏突破
授業参観ってどうして親族は見栄を張るような出で立ちでやって来るのだろうか?奥さんの方は旦那の地位や肩書きで子供には見せられないスタンドバトルを繰り広げている。大企業の役職で年収が1000万円を超えている人はスタープラチナやクレイジーダイヤモンドのように近距離パワー型なのかもしれない、そして伸元の目の前には魔法少女のコスプレをした魔王と涙を流すソーナがいた
「どうしたのソーナちゃん☆私が来てくれたことに感動してくれてるの?」
「…………」
「言葉が出なくなるほど感極まってくれてるだね☆この衣装はソーナちゃんが今度着るやつと同じデザインの色違いなの、もちろんサイズは合わせてあるから問題無いよ☆私の目に狂いなんてないんだから」
学園の生徒がいる衆人環視の状態でセラフォルーは愛する妹とスキンシップを図っている
「あれって会長のお母さん?」
「でも若くない?お姉さんじゃないの」
「コスプレイヤーなのかな」
「でも授業参観に着てくる?」
外野から2人の戯れを見学している面々は好き勝手な言葉を口にしてソーナの心にダメージを与える。もちろん外野のメンバーには伸元と匙もいた
「会長の目が助けてくれって言てっるような気がします」
「奇遇だな匙…俺も同じことを思った」
「ノブさん俺たちに課された選択肢は2つですよね?」
「いや3つだ、そして同じことを考えているはずだから一緒にやるぞ」
昔馴染みであり王と慕う彼女のピンチである。俺たちには心強い龍の神器が宿り培ってきた経験と知恵が備わっている。目線を下げれば親から授かった足が脳からの指令を受ける前に動こうとしていた。2人は目を合わせて同じタイミングで頷くと回れ右をして一気に踏み込んだ…さぁ皆さん一緒にご唱和ください!
「「逃げるんだよォォォ!」」
その場から全速力で逃亡することを選択した。ソーナ・シトリーよ貴女のことは決して忘れない、姉妹のスキンシップに野郎2人が関わるなんて無粋な真似なんて出来ません
「あっ!ノブちゃん☆ちょっとこっち来て、ソーナちゃんにベストマッチしそうな魔法のステッキを選んでくれる?」
残念ながら伸元は魔王の手によって引きずり込まれてしまった。匙の方へ手を伸ばすが彼の姿は段々と小さくなり振り向いて親指を立てている。そして彼女に目を向けると魔法のステッキという名の釘バットで怒った表情をしていた。ごめんなさい逃げたことはゼノヴィア直伝の土下座で謝るのでゆるしてくださいソーナ様
「逃げたことはこれで許します」
生徒会室には『前が見えねェ』状態になった伸元と、少し怒りを発散したソーナに加えてアーシアとセラフォルーが入っていた。負った怪我を回復させようとするが王の命令で動くことを抑制されてしまい仕方がなくフェニックスの涙を利用して元通りにした
「ソーナちゃんが元気で涙が出ちゃう☆」
なお魔王である姉にも釘バットのフルスイングでダメージを与えたつもりだが、実力不足で顔に傷1つ負わせることが出来なかった
「サーゼクス・ルシファーとセラフォルーさんが学園に来ているということは悪魔側の代表は2人という訳ですか?」
「そう☆堕天使は総督のアザゼルちゃんで天界からはミカエルちゃんが来るの☆」
聖書に出てくる登場人物に疎い彼でも分かるビッグネームが来訪してくるとは、益々ここで会談を行うのが場違いに思えてしまう
「ソーナちゃんたちにはコカビエルが現れたときのことを話してほしいの☆」
「既に報告書は送ったはずですが」
「当事者たちから聞きたいこともあるの☆お願いね」
キラリという効果音と共にウインクをした魔王の圧にたじろいでしまった。当事者ということは木場も呼ばれているはずだが、あのサーゼクスのことだとリアス・グレモリーたちが総出で押し寄せてきそうだ
「それでね夏休みなんだけど予定ってある?」
「特に何も…親も帰ってこないし」
「じゃあ私たちの家に来てよ!ゼノヴィアちゃんも連れてきていいから、撮影現場でソーナちゃんの勇姿を目に焼き付けてもいいよ☆」
「姉さん!」
ほぼ毎年のように冥界へ遊びに行っているので問題はない、悪魔のことを知らない親には"友達のところへ行ってる"でまかり通ってしまうほど放任主義にされている
しかしこうやって誘ってくるあたり裏があると思うが長年の付き合いだし、騙されてあげようと思う。少なくとも悪どいことを考えてはいないだろう
「その会談には私も出席しなければいけないのか?」
「教会側の代表だけど…殆ど何もしてないな」
学園から帰宅し出迎えてくれたゼノヴィアと会話しながら晩御飯の時間になるまで庭先で徒手空拳の組み手をする。彼女の拳を紙一重で躱しながらアリシャッフルを披露して余裕であることをアピールしているとショルダータックルで突っ込んできた
「甘い!」
突進の勢いを利用して投げ飛ばそうとするがゼノヴィアはそのまま体重を預けてしまいマウントポジションをとられてしまいパンチのラッシュを防御しながらブリッジで弾き飛ばして、逆立ちしながら距離をとった
「赤龍帝の籠手を使わなくても強いんだな」
「力に惑わされないように鍛えている」
「もしソーナ・シトリーではなく、私やイリナと出会っていたら神滅具のエクスカリバー使いが誕生していた可能性があったのか」
そうなったら確実に暴走する紫藤イリナの面倒を見るはめになるな、3人で世界各地を回りながら現地の名物を食べて聖剣を振う、ふとそんな光景を思い浮かべ笑ってしまう
「よそ見は厳禁だ!」
「大丈夫…視ているよ」
接近してきたゼノヴィアの目の前で手のひらを強く叩いて音でひるんでしまった。硬直した彼女の足を払って転ばせたところで2人の組手は終わりを迎えた
「食べ終わったら続きをやろう」
「満足するまで付き合ってやる」
コカビエルを撃退してから落ち着くことを体が許してくれない、多分だけどヴァーリとの出会いが赤龍帝としての本能が疼いているのかもしれない
平穏を望んでいるのに心のどこかで熱い闘いを求めているのだろう、世の中で蠢く歯車はかみ合わせが悪く常に異音を撒き散らしている。これも人生なんだろう
「そういえば昼過ぎに、ヒョウドウという夫婦が訪ねてきて伝言を預かっているのを思い出した」
「ヒョウドウ…って、兵藤さんか?」
去年の今頃に学園を追い出された兵藤一誠の両親が何の為に?向こうは俺の母に会うつもりだったのか?
「なんて言ってた?」
「遠くの地で2人で暮らしていきます。寺から脱走したイッセイが訪ねてきても決して関わらないでください…と言ってたぞ」
あの野郎ついに両親から見捨てられたのか、母親のご近所付き合いもあったし同い年の息子を持つ身で話に花が咲いていたのかもしれない
自分がもしアイツの親だったら逃げたい気持ちがなんとなく理解してしまう。人様に迷惑を掛けていることを自覚せずに欲望のままに生きている。悪魔ですら逃げ出すのかもしれないが二度と顔を拝みたくないのは事実である
「どうした?」
「何でもない、さっさと食べようか」
「そうだな…今日は自信作だ!楽しみにしてくれ」
もし兵藤が寺に移送されていなかったら入浴中のゼノヴィアを覗きに来ていたはずだ、もしその瞬間を目にしたら奴のことを五体満足で生かさないと思う
「(このまま真人間になってくれれば世界は平和になるな)」
もぬけの殻になってしまった兵藤家の外壁に写る夕日を見ながら今日の出来事を振り返り、会談に現れるアザゼルに対してどんな罰を与えようか想像する伸元であった
ちょっと短めでした
Wikiを読んでいるとゼノヴィアって騎士よりも戦車向きかもしれない
感想ありがとうございます(おまちしてます)
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誤字訂正もありがとうございます