争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい   作:大気圏突破

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上に立つ者が率先して動け

「ギャスパー・ヴラディ?そいつの神器がこのザ・ワールド的な状況を作り出しているってことか」

 

 サーゼクスから説明を受けた面々は戦闘準備をしながら体をほぐし伸元は屈伸をして固まっていた関節を鳴らしながら校庭にいる不審者の数を目算していった

 

 このシスコン魔王は自身の権限を利用し、旧校舎の一角にある『開かずの教室』の封印を解いたのである。眷属の揃わない妹へのサプライズプレゼントは襲ってきたテロリストたちへの宝札として扱われていた

 

 

「旧校舎ごと破壊するか」

「30秒だから8倍増だ」

「用意がいいな」

 

 既に攻撃態勢になっていた白龍皇に赤龍帝の力を譲渡しようとしたがサーゼクスが2人を遮る

 

「待ってくれ!あそこには『停止世界の邪眼』の神器を持ったリアスの僧侶がいる」

「だから何だ?」

 

 それを悪用されて会議室にいる面々がピンチに陥った。素早く現状を打破するには破壊するのが最適である。もしかしたらギャスパーを操っている敵ごと葬ることが出来る

 

「お前は魔王だろサーゼクス・ルシファー、ここにいる各勢力のトップにグレモリー家とシトリー家の眷属全員の命とテロリストに操られていると思われる妹の眷属を天秤に乗せている。どっちが重いのか分かるだろ」

 

 魔王の立場ではなくリアス・グレモリーの兄として振る舞っていることに憤りを感じる

 

 

 

「君たちだって、大切な仲間や友人が同じ目に遭っていたら分かるはずだ!」

 

 情に訴えることにしたサーゼクスを少し離れたところからシトリー家の姉妹が不安そうに黙って彼のことを見ている

 

「そうなったら、自分の手で助けに行く……ただそれだけだ!」

 

 陽動で助力を頼むことはするが敵陣にはソロで挑む、仲間を信じていない訳ではない自分を信じて待っていてほしいのスタンスだ、初代ドラクエでも竜王を倒して姫を助け出したのは勇者1人だけだった、未だに社畜時代の精神に心が引っ張られている

 

 当てが外れたサーゼクスは必死に彼等の行動を止める文言を脳内から導き出そうとするが妙案が浮かばない、こうしている間にも敵は迫ってくるのをアザゼルが光の槍を投げつけて食い止めている

 

 

「何を悩んでいる?簡単なことだろ」

「…っえ?」

「助けてほしいじゃなくて、お前が助けに行け!」

 

 至極当然のことだ愛してやまない妹の眷属ならサーゼクスにとって身内に近い存在である。このまま二天龍に拝み倒すのではなく魔王として前に立って勇姿を見せつけるべきだ、敵もまさかサーゼクス・ルシファー本人がやってくるとは思えないのだから啞然とするだろう。将棋における入玉の戦法である

 

 

 

「そうなるとサーゼクスの護衛がいるな」

 

 アザゼルは会議室にいる面々を見渡しながら人員の割り振りを考える。もちろん彼1人で行かせる訳にはいかないので機動力のある木場とヴァーリが選ばれ、グラウンドに出て敵の視線を引き付ける役に伸元とグレイフィアが選出された。残りの面々は動けないリアスたちを守りながらケースバイケースで動くことになる

 

「無茶はしないでください、匙たちが復活したら援護に向かいます」

「ノブちゃん頑張ってね☆」

 

 既にサーゼクスたちは旧校舎へ歩を進めていたので自分たちも動き始めなければならない、ソーナとセラフォルーから言葉を貰った彼はグレイフィアの手を取って窓の外に飛び出した

 

 

 

 

「人選ミスってない?」

「私もそう思います」

 

 グレイフィアと背中合わせになりながら呼吸を整える。お互いに『対人』に特化しているので『対軍』相手が苦手なのだ、拡散版ドラゴンショットを放ちながら蹴散らすが敵がウジャウジャ出て来るのでキリが無い

 

 セラフォルーの得意とする氷結魔法なら広範囲を一網打尽にすることが出来る。彼女を屋内に配置する謎采配に疑問符が浮かんでしまう

 

「あれって?」

「どうしました石動様?」

 

 校庭の端に見慣れない車が置かれていた。教職員には専用の駐車場があるのでこんな所に放置されていることは有り得ない

 

「あれはサーゼクス様がレンタカーで借りたジムニー・ノマドです」

「なんでまた」

 

 襲ってくる奴等の首を180度捻りながら問いかけると、彼が冥界で息子を助手席に乗せて山道を走らせてみたいと語っていたのだ

 

「今回の責任ってアイツが負いますよね?」

「元を辿ればサーゼクス様が封印を解いたことが原因ですので…車の鍵は私が所持しています」

「では夜のドライブに付き合ってくれます」

 

 笑ってくれたのがOKの返事だった。2人で車に駆け寄ると彼女は助手席に乗ってシートベルトを装着し伸元はブレーキを踏み込んでプッシュスタートボタンを押してエンジンを始動する。ライトをハイビームにしてクラクションを鳴らしながら加速しテロリストたちに対して突撃をかましていく

 

 

「助けて~~~!」

「お母ちゃぁぁぁぁぁぁん」

「もうやだ!おうち帰る!」

 

 1トンを超える鉄の塊が時速80キロオーバーで向かってくる。いくら魔法や魔術を習得したところで恐怖心に打ち勝つことなんて出来ない、しかもグレイフィアはシートベルトを外しハコ乗りした状態で攻撃を放って追撃の手を緩めることはしない

 

 力自慢で屈強な男がジムニーの前に立ちはだかって車体を止めようとしてきたので、アダプティブクルーズコントロールを作動させて一定速度を維持すると2人は車外に飛び出し、呆気にとられた男は車両の体当たりを受けてしまい動かなくなってしまった

 

 

 

 

 

「あいつ等の方がテロリストだろ」

 

 グラウンドの様子を見ていたアザゼルの言葉にミカエルが頷きソーナたちは苦笑いを浮かべている。敵の注目を集めるという点においては最適な方法なので問題無い

 

 未だにリアスや匙が止まったままなので旧校舎に向かった面々は苦戦しているか?白龍皇を押さえつける戦力がテロリスト側に存在すると時間との勝負になってくる。アザゼルは顎に手を当てて次の策を考えていると会議室に突然魔法陣が現れた

 

 

「ごきげんよう、現魔王セラフォルー殿」

 

 その魔法陣から現れたのは胸元が大きく開いたドレスを着た一人の女性だった。彼女は部屋の中を一瞥すると全員に向けて頭を下げてお辞儀する

 

「カテレアちゃん………どうして、こんな」

「セラフォルー、私からレヴィアタンの座を奪っておいて、あまつさえ名前を穢す行為に現を抜かすなど…万死に値する」

 

 彼女の名前はカテレア・レヴィアタン先代の魔王レヴィアタンの血を引いている

 

 

「だけど…安心しなさい、今日この場であなたを殺して私が魔王レヴィアタンを名乗ります」

 

 立ち尽くしているセラフォルーに向けて魔力弾を放つがアザゼルが光の槍で弾き飛ばしグラウンドの中央に大きなクレーターを作り出す

 

 

「なぜここにあらわれた?」

「あなた方を滅ぼすため、我々はこの会談の反対の考えに至りました」

「革命家を気取っているつもりだが、三下のモブには役が重すぎるぜ!」

「あなたは私を愚弄するつもりですか!」

 

 プライドを貶されたのか激怒するカテレアの全身からオーラが発せられる。1番遠くにいたソーナは額から汗を流して緊張しているが姉が手を強く握って安心させている

 

 

「セラフォルー、ミカエル、俺がやる!いいな」

「カテレア……ちゃん」

 

 アザゼルは懐から1本の短剣を取り出し彼女に見せつけている

 

 

「こいつの戦闘データを得るには調度良いモルモットだ!」

「なんですかそれは?」

 

 彼女の問い掛けに彼は待ってました!と言わんばかりに胸を張って鼻息を荒く吐き出した

 

「俺は神器マニアすぎてな自作神器を創ったりしちまった。まぁ…そのほとんどがガラクタなんだが、神器を作った『聖書の神』はすごいぜ!俺が唯一、神を尊敬するところだ」

 

 アザゼルは持っていた短剣を逆手に構えた

 

 

「こいつは『堕天龍の閃光槍』と言って、俺が作った中で最高傑作の代物で……これが」

 

 短剣が形を変えると光を噴き出し周囲を包み込む、そして彼はある言葉を口にした

 

「禁手化!」

 

 光が止むと、そこには黄金の鎧を身に纏った者が立っていた

 

 

「『堕天龍の閃光槍』の禁手…その名も『堕天龍の鎧』」

 

 

 活躍するのは彼等だけではない、今こそ堕天使総督の威厳を見せつけるときだ!

 




原作と違いサーゼクスがギャスパーの救出に向かいました
ジムニーの体当たりですが、毎日仕事で新車に乗っています。もちろんノマドも運転しています

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