争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい 作:大気圏突破
三大勢力の和平締結の場に現れたテロリスト『禍の団』は悪魔・堕天使・天使の代表やグレモリー家とシトリー家の面々に多大な被害を与えた。ミカエルとサーゼクスの負傷度合いは軽く簡易的な応急処置を施され、リアス・グレモリーの眷属と椿姫も学園の保健室に運ばれ処置を受けた
「あぁ……ぁ、かい、ちょ」
カテレア相手に1番奮闘した匙も重傷だが無事であり冥界から駆け付けたシトリー家専属の医師たちによって適切な処置を施されている。当然そこにはセラフォルーとアザゼルの姿もここにいる。本来ならここに僧侶のアーシアがいるべきだが…
「ゼノヴィアさん…起きて、起きてください!」
被害の大きかった現場で彼女は自身の"聖母の微笑"でゼノヴィアの負傷した箇所を治したが、瞬きの1つもせず固まったままだった。アーシアは涙を流し声を枯らしながら何度も神器を発動するが何も変化が起こらない
「ゼノヴィア…お前…」
床に落ちていた小瓶を拾い上げ目を覚まさない彼女を見つめていた。そして自分が顔を治すために安易に使用してしまったことを悔やんだ、2つあればゼノヴィアは己にも使ったはずだ
アーシアの肩に手を置いて下がらせると最後の確認をするために近づいて首と手首に触れて脈を確認するが拍動を感じることはなかった。彼は瓦礫の無い綺麗な場所にゼノヴィアを寝かせ手を組ませる
「待ってください!ゼノヴィアさんは…まだ」
「……………………」
彼も現実を否定したかった。短い間だったが同じ屋根の下で暮らし同じ釜の飯を食べて日々を過ごしていたからアーシアと同じように泣きたかった
『…相棒』
ドライグも察して多くを語らない誰にだって終わりを迎える日はやってくる。それが早いか遅いだけだ、しかし死に対して中指を突き立てる者がそこにいた
「シトリー会長?」
「少し黙ってください」
彼女は懐から悪魔の駒を取り出すとゼノヴィアの胸に置いた。青い魔方陣が現れ光が身を包んでいく、すると胸元にある『戦車』の駒は吸収されるかのように入っていった
次第に光が弱まっていくと彼女の頬に血色が戻ると、閉じられていた目は開かれ2.3回ほど目を開閉すると3人のことを見つめていた。ゼノヴィアは驚いた表情で怪我をしていた部分に手を触れ困惑したままパニックに陥っている
「ゼノヴィアさん!」
飛び込むように抱き着いたアーシアを受け止め彼女は再び倒れてしまった。悪魔の駒は命を落とした者でも生き返ることができる。ソーナは駒を使ってゼノヴィアを転生悪魔として生き返らせた
「私は?どうして…いったい」
「悪魔の駒で生き返りました。ごめんなさい」
「いや…あの謝ってほしいのではなくて、私なんかの為に貴重な……だって」
ゼノヴィアも転生悪魔のことは理解している。レーティングゲームをする悪魔にとって貴重な駒を自分なんかに使うなんて
「私が失いたくないからという理由では駄目ですか?」
「っえ…?」
「みんなと付き合ってきた期間は僅かでしたが、ゼノヴィアさんの真っ直ぐな気持ちは私たちにとって必要な存在です。順番が逆になってしまったのですが私に力を貸してください」
土下座をするように深く頭を下げた。情報のキャパオーバーに頭から煙をモクモクと噴かす彼女はアーシアをどかしてソーナの目を見つめると
「カテレア・レヴィアタンは神は死んだと言った。私は祈る神を無くしてしまった」
「…はい」
「だから、この身の全て髪の毛1本にいたるまで王であるソーナ・シトリーに捧げます」
片膝を立てて王からの命を受ける騎士のようなポーズで了承の意を示した。しばらくして治療を終えたサーゼクスたちが集まり今後は連係して『禍の団』への対策に取り組むことで三大勢力による和平が締結された。
テロリスト相手に殆どの面々が敗戦し砂の味を嚙みしめることになった。若手の転生悪魔たちは己の未熟を恥じた。まだ小さい火だがいつか大きな炎になるだろう
なおアザゼルは捕えていたヴァ―リを美猴の襲撃によって取り逃してしまった。ことをミカエルから何度もネチネチと指摘され小さくなったのは言うまでもない
あれだけ大暴れしたので駒王学園を修繕するのに1日を擁することになった。流石にテロリストの襲撃を受けましたと素直に宣言する訳にはいかないので"不発弾らしきものが見つかった"と吹聴して強制的に休みにした。結界を施して外からは破壊されていない学園が見えるようにしている
セラフォルーは会談終了後にカテレアから受けた怪我を治してもらい、彼女は人間界にあるソーナの家に泊まることなく冥界に帰還した。参加しなかった2人の魔王に今回のことを伝え今後の対策を練ることになった
「ここに居てもいいのか?」
「構わんよ、今まで通り過ごしても」
裸の大将が背負いそうな茶色のカバンと傘を突き刺して石動家から出ていく準備をしていたゼノヴィアを呼び止めた。ソーナの眷属になったのだから彼女を守るために24時間密着して警護するつもりだったらしい
「いいのか私は悪魔なんだぞ」
「人間の知り合いより悪魔が多いから問題無い」
「なんかの弾みで家のモノを壊してしまうかもしれない」
「わざとじゃなければ弁償してくれればいい」
「えっと……その」
「ゼノヴィア、悪魔なんだから欲望のままに生きてもいいぞ」
その言葉を受けた彼女は膝をついて頭を下げる
「不束者だが、私のことを受け入れてくれてありがとう!」
「こちらこそよろしく」
彼女のことを受け入れた。ラブコメ展開ならキスの1つでもありそうな感じだが再び頭を下げたときにカバンの中身が床に散乱して掃除をするはめになった。両親が帰ってきた時の言い訳はまた今度考えよう
「アザゼルから人工神器を要求する?」
「それがコカビエルの件で堕天使側に請求する慰謝料です」
1日の休みを経て登校した伸元はソーナに呼び出され生徒会室に向かった。彼女は徹夜でもしていたのか目の下に薄い隈を作っていたが、いつものように凛々しい表情だった
「その前に人工神器って何?」
アザゼルがそれを使用するところを見ていなかったので彼女は当時のことを詳細に伝え、ホワイトボードに独創的な絵を描いて説明した
「理解してくれましたか?」
「とりあえずシトリー会長の絵が壊滅的に下手だというのが分かりました」
持っていたマジックを投げつけられるがキャッチして投げ返した
「この人工神器をゼノヴィアに与えます」
「堕天使側は首を縦に振ってくれますかね?」
「"金以外ならどんなモノでも用意してやる"って言ってましたし、証人も数多くいます」
聖剣を扱う為の因子を抜き取られたゼノヴィアに新たな力を与える。もしかしたら復活させるときにはある程度の道筋がソーナの頭の中にあったのかもしれない
「もちろん石動君も請求できる立場なので」
「とは言っても欲しいものなんて特に…」
人工神器はシトリー家としての要求であり赤龍帝の彼とは別扱いなのだ、欲しいものなんて特にないし謝罪のときのふざけた態度を見て1つのことを思いついた。伸元はスマホのYouTubeを起動させると、某アニメのシーンをソーナに見せる
「そんなことでいいのですか?」
「10秒じゃなくて10分ぐらいやってもらうつもりです」
「分かりました。必要なモノはシトリー家で揃えます」
「いっそのこと冥界中に配信出来る環境を整えたいですね」
この時の2人の顔は魔王よりも恐ろしく生き生きとしていた。ふざけている奴には熱いお灸を据えなければならないのだ
「それでサーゼクス・ルシファーへの処分は下りましたか?」
「そうですね。姉さんの話では妥当だと」
今回の件はサーゼクスが勝手に自身の権限を行使してギャスパーの封印を解除したことから始まった。無論これがなくても禍の団は襲ってきたと思われるが味方側を危機に陥れたことに間違いない、しかも当人は表立って戦闘に参加することなく木場と一緒にくたばっていたので印象も悪くなっている
「減俸とサーゼクス様が所持している土地を返還することが決まってます」
「時間を止めた僧侶は?」
ギャスパーへの対応が1番の難題であった。普通なら再度封印するのが規定路線であったがサーゼクスが"テロリストに居場所を知られているのはらリアスの目の届くところに置くべき"だと口にしたのだ、少なくともお前が言うなという状況であった
「どうなったんですか?」
「他の魔王様はリアスに選択肢を与えました」
現在リアス・グレモリーが所持している未使用の悪魔の駒を全て返納すればギャスパーを封印せずに引き入れても構わないと通達した。『騎士』『僧侶』『戦車』を1駒ずつに『兵士』の8つを手放して時間を止める僧侶を得ることができる。しかしそうなると二度と眷属を増やすことは出来なくなる
もちろんサーゼクスは他の案を求めたが全員から却下されてしまった。2つを天秤に乗せたリアスは迷ったすえに駒を返納しギャスパーを向かい入れることにしたが
「私たちの活躍が魔王様や世間に評価されたら悪魔の駒を返していただきたい!」
と言って4人の魔王は渋々了承することにした
「石動君がいなかったら私たちは死んでいたと思います」
「確実にやられていたはずですね」
ソーナは近づいて彼の目をじっと見つめている
「助けにきてくれた時は安心してホッとしましたが全部が終わったあとに考えたら、依存して頼りっぱなしだって」
「会長?」
「私たちは絶対に強くなります。だから1番近くで成長するところを見ていてください」
「仰せのままに…ソーナ・シトリー様」
少し演技するように頭を下げると彼女は噴き出して笑ってしまい、生徒会室にやってきた椿姫たちは目が点になるのであった
ゼノヴィアもソーナの眷属になりデュランダルの代わりに堕天使側から人工神器を貰います
騎士にするか戦車にするかで迷いました(あと人工神器に関してもモデルを迷ってます)
サーゼクスへの処分は軽いですが彼には少し先に絶望してもらいます
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