争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい   作:大気圏突破

3 / 26
悪魔になる気はありません

 伸元はリアス・グレモリーと邂逅した翌日に生徒会室に向かい昨日のことをソーナたちに伝えた。昨日の今日で堕天使に関する情報を取得したことに若干の苦笑いを浮かべているが事件が早く解決するのであれば問題無いと口にしていた

 

「教会を追放されたシスターですか?」

「ドライグの見立てだと回復系の神器を持ってる。教義を無視したか悪魔・堕天使を治して追い出された可能性がある」

「私たちにどうしろと?」

「もし救うことができて行き場が無かったらセラフォルーさんの庇護下に置いてほしい、交換条件はシトリー眷属に対する赤龍帝の指導と血液の提供」

 

 お願いではなく自分の持っている手札で出せるモノを提示する。こんなことをしなくても彼女なら引き受けてくれると思うが筋は通したい

 

 

「どうしてそのシスターのことを?」

「別に放置しても良かったけど、またどこかで利用された挙句に敵として出てくる可能性が微レ存であるかもしれない」

「分かりました話だけでも伝えてみます」

 

 報告を終えた彼は頭を下げて生徒会室から退出した。それを見送り椅子に座ったソーナは自身の立ち位置と提示された条件を精査しなが思案にふける。シトリー家と赤龍帝の関係は主従ではなく友好である。互いの利益が一致すれば手を取り合うが常に共同歩調という訳ではない

 

「(ことが上手く運べば神器持ちのシスターを眷属にすることも)」

 

 夢の実現には力が必要だ!先のことを考えれば戦力の強化は必須になる。回復系の神器はレアであり喉から手が出る存在なのだ

 

 

 

 

「石動伸元君だね?」

 

 弁当を食べ終わりスマホでニュースサイトをザッピングしていたら、別クラスで学園一のイケメンと名高い木場祐斗が声を掛けてきた

 

「何の用?」

「ちょっと君に聞きたいことがあってね、放課後に旧校舎へ来てくれないかな?僕の所属するオカルト研究部に案内するよ」

 

 眉間に皺を寄せて思いっきり不機嫌な顔をした。昨日のことについて問い詰めるつもりだろう。あの時は名乗らなかったが生徒名簿から地道に探し当てたんだと想像する

 

 

「ヤダ!今日は本屋に寄って立ち読みをする大事な用時がある」

「それって別に今日じゃなくても…それに部長が君に尋ねたいことがあるんだ!」

「こっちは何も聞きたくないし喋りたくない、それに時間は有限だよ…いや木場君たちの1時間は俺の1時間と違うか」

 

 その言葉に彼の額から汗が1つ流れ落ちる。含みのある言い方は自分たちの秘密を知っているような口ぶりだったからだ

 

「30分で終わらせてくれるなら行くがどうする?」

「分かった!部長に伝える。放課後、君のクラスに迎えに来るよ」

 

 キラキラとした笑顔で去っていくと、数人の女子生徒が黄色い歓声をあげながら彼のいた空間に自身の体を合わせている当人曰く『これで私と木場君は一心同体』と口にしていたがスルーすることにした

 

 

「今度はイケメンからのラブコール?」

「俺にそっちの趣味は無いよ」

 

 桐生の言葉に即答でツッコミを返す。百合や薔薇に興味は無いが人妻やお姉さんがショタを襲う作品なら大好きだ!特にYouTubeのショートで流れてきた団地の管理人を襲う作品は原作を通販で注文した

 

「そういえば生徒会に顔を出しているけど次期会長でも狙ってる?」

「もし選ばれたら副会長を任せるよ」

「私利私欲で権力を行使するけど」

「あの2人を追い出してくれるならお好きに」

 

 今日も変態コンビは机の上にアダルト雑誌を並べては品評会を行っている。そろそろ迷惑防止条例違反か何かで退学になってほしいと思う伸元であった

 

 

 

 

 

「30分を過ぎたら勝手に帰るからな」

「もう少し融通を利かせてくれると助かるんだけど」

 

 放課後になり迎えにきたイケメンと共に旧校舎へ向かう。オカルト研究部に近づくにつれて悪魔の臭いが強く鼻を刺激する

 

 

「昼休みのことなんだけど君はどこまで?」

「1時間のことか?言葉のままさ」

「まさかもう僕たちのことを…」

 

 

 はぐらかすように答えると2人はオカルト研究部の前に辿り着いた。室内には1年でマスコット的な人気を博している銀髪の美少女である塔城小猫が座りトッポを黙々と食べている。彼女は2人に視線を向けると軽く頭を下げてお菓子の袋を破った

 

 

「おかえりなさい貴方が石動伸元くんね!もう少し待っていただけないかしら?」

「呼び出しておいて本人不在なら帰ります。姫島先輩」

 

 艶やかな黒髪をポニーテールで纏めた女性で、リアス・グレモリーと共に"駒王学園の二大お姉さま"と呼ばれる姫島朱乃に言葉を残し退出しようとするが木場に止められてしまう

 

 

「まだ30分は経っていないから」

「それもそうだな!ただ来客中にシャワーを浴びているのはどうかと思うが」

 

 

 室内に入ってからず~っと水の流れる音がしていた。身だしなみを整えるつもりなら来る前に済ませてほしいものだ!そもそも水泳部でもないのに部室にシャワーがあるんだというツッコミを入れる気力は無かった

 

 

 

「粗茶をどうぞ」

「お構いなく、もう少しで帰りますから」

 

 机の上にティーカップが置かれる。紅茶の種類は分からないが匂い的に飲んだことのあるやつだと思うが口にするどころか手に付けない

 

「あらお気に召さなくて?」

「隠し事をしている人たちの所で出されたモノに手を付けるほど愚かではないので、非合法な手段を使えば無味無臭な薬や毒も手に入る世の中ですから」

 

 笑顔で悪意たっぷりの言葉で返すと彼女の顔は少し引きつっていた。もしかしたら本当に異物混入をしていたのかもしれない、塔城小猫の食べるお菓子の音以外しばらく沈黙が続くと呼び出した張本人であるリアス・グレモリーが登場した

 

 

「悪いわね。昨日は徹夜でシャワーを浴びる暇がなかったのよ」

「さっさと用件を述べてくれませんか?」

 

 

 不機嫌マックスな顔で彼女を見つめると目を細め怪訝な表情を作るが、すぐに普段の顔に戻り組んでいた腕を解いた

 

「その前に自己紹介するわね。私はこの部の部長のリアス・グレモリーよ」

「知ってますよ2代目魔王サーゼクス・ルシファーの妹さん」

「昨日もそうだけど何でお兄様のことを?」

「四大魔王のことぐらいは知ってますよ、俺の相棒が教えてくれたので」

 

 彼は右手に力を籠めると赤龍帝の籠手の顕現させて周囲に見せつけた。ドライグは寝ていたのか伸元と同じように不快な声を出して周囲に挨拶をすると再び黙ってしまう

 

 

神滅具(ロンギヌス)まさか貴方が」

「分かってくれましたかルシファーの妹さん?」

 

 神滅具は神器の中でも神すら滅ぼすことが可能な力を持つと言われる特殊な神器であり、現在のところ13種が確認されている。上位クラスは使いようによっては、国を滅ぼすことも十分可能であり古来より所有者は悪魔・堕天使・天使いずれかの勢力の監視下に置かれていたが、現在では所有者の発見や特定に難航している

 

 

「それにこの部屋にいる俺以外の面々が悪魔だということも分かってます」

「バレていたの?」

 

 周囲に目を向けると全員が顔を背けた。本人たちはバレていないと思っていたが彼からすれば臭いでバレバレであった

 

「それで用件は?もう帰りたいんですが」

「色々と聞きたいことがあるわ…そうね私の眷属にならないかしら?」

「お断りです!」

 

 その場から立ち上がってドアノブに手を掛けるがリアスは大声をあげて呼び止める。彼をここで逃す訳にはいかないからだ

 

 

「貴方の神器はあまりにも強力すぎる。私の眷属になればこの前ように襲われることも……悪魔側につきなさい!そうすれば身の安全も保証できるわ」

「どの口が言うんですか?冗談でも笑えませんよ!」

「それは貴方が私達の敵になると捉えてもよろしくて?」

 

 彼女は殺意を込めた威圧感を放ち空間内を支配しようとする。伸元は深い溜息を長く吐いてから姿勢を正しながら

 

「そういえば言ってませんでしたね。俺セラフォルーさんの庇護に置かれています!」

「えっ!セラフォルーって、ソーナのお姉さんの?」

 

 彼女の言葉に頷いた伸元はスマホの時計を確認する。30分まであと5分ぐらいだった

 

「じゃあソーナの眷属に?」

「神滅具は色々と厄介なんで、悪魔になる気もありませんし互いに困っていたら手を貸す関係です。貴女が無能なせいではぐれ悪魔が湧き出ているので討伐もしています」

「そんなお兄様やソーナは何も」

「多分セラフォルーさんが言わなかったと思いますよ!サーゼクス・ルシファー氏が知ったら無理やり取り込もうとしますし」

 

 淡々と述べる彼の口から語られることにリアスは脳内でパニックになる。本来は昨日のことについて問いただすつもりだったのに斜め上の出来事についていくことができなかった

 

 

「会長と貴女を選べと聞かれたら俺は会長の方に行きますよ!それでは制限時間を過ぎましたので失礼します!無能さん」

「待ちなさい!やはり貴方には入部してもらうわ」

「何でもかんでも思い通りにはなりませんよ!」

 

 部室から出ていく彼を誰も追いかけることはしなかった。事前の調査で彼とソーナが生徒会室で話し合う先輩後輩の関係だと思っていたが事実は違っていた

 

 

「交渉決裂ですわね」

 

 朱乃の声で我に返るリアスだが何度も言われた『無能』という言葉にフツフツと怒りがこみ上げてくる。それは自身のプライドに大きく傷をつけるナイフのような切れ味抜群の台詞なのだから

 

「聞いたかしら?……私に対して無能って」

「……堕天使に気付いていませんでしたよね?」

「小猫!」

 

 トッポから栗ようかんを丸齧りに切り替えた小猫のツッコミにリアスは狼狽えるのであった。とりあえずソーナから事情を聞かないと話は先に進まない

 

 

 

 

『ヤッホー!どうしたのノブちゃん…君の方から掛けてくるなんて珍しいねー』

「今大丈夫ですか?」

『問題ナイヨー!何々ついにソーナちゃんの眷属になりたくなったの?』

 

 下校しながら彼はソーナ・シトリーの姉であるセラフォルー・レヴィアタンのところへ電話を掛けていた

 

「実は俺のことがグレモリー側にバレてしまって」

『リアスちゃんに?う~~~んあまり良いことじゃないね~、サーゼクスちゃんにもバレちゃうだろうし』

「とりあえず勧誘は断りました。あと会長から話があったと思いますが」

『堕天使のところにいる神器持ちのシスターだっけ?いいよ!ノブちゃんにはこれからもソーナちゃんの手助けをしてほしいし』

「ありがとうございます」

『いいのいいの~私たちの仲でしょ!じゃあ切るわね』

 

 

 報告を兼ねた連絡を終わらせた彼は少しだけ気が楽になる。無能たちのせいで面倒なことが起きる日々だが今日はもう帰って休みたい




そろそろどこかで彼の持つダイスの説明を入れないと、感想欄でバレているけど少し内容が違うモノなので

感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます

今日は船橋でかしわ記念、頑張れウィルソンテソーロ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。