争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい   作:大気圏突破

30 / 31
夢は大きく壮大に

 ボロボロになった会場を片付け負傷したゼファードルは治療の為に別室へ運ばれた。それと入れ替わる形でリアス・グレモリーが眷属たちを引き連れて入室しサイラオーグと握手を交わしている

 

「私はシーグヴァイラ・アガレス。大公アガレス家の次期当主です。先程はお見苦しいところをお見せして申し訳ありません」

 

 メガネっ娘で知的な女性は頭に上っていた血が下がり落ち着きを取り戻すと、伸元たちに謝罪の言葉を述べて互いの眷属も自己紹介をしていた

 

 

「ここでいったいなにが?」

「カクカクシカジカウマウマと面倒で厄介なことがね」

 

 リアスから離れていた木場が今までの惨状を尋ねてきたので詳細を事細かに説明したが理解できていないようだ、これって万国共通じゃないのか?

 

 ここにいる面々は全員『次期当主』と口にしていたが退場していった鳥取県か島根県で生息していそうなヤンキーも同じ立場なのだろうか?

 

「グラシャラボラス家は先日お家騒動があってな、次期当主とされていた者が不慮の事故で亡くなったそうだ。ゼファードルは新たな次期当主候補となる」

 

 

 あれも次期当主に選ばれるということは悪魔もいよいよ人材難の時代に突入したという訳か、この室内にいる中で1番ヤバいのはアレだけど

 

「ところで石動君、さっきスマホが鳴ってましたけど」

「頼んでいた通販が今日届くみたいで…その連絡の着信」

「いったい何を買ったんですか?」

 

 ソーナに問いかけられたのでアプリを起動し購入した商品の一覧表を見せる

 

「これってアニメですか?」

「Gガンダムにジャイアントロボ、ゾイド新世紀ゼロとスクライドをまとめ買いしてね」

 

 転生前とサブカルチャーの文化は一緒であり、討伐金や報奨金で懐に余裕があるので気になっていた作品を一気に購入したのだ、彼のお気に入りはゾイドでライガーゼロがイエーガー・シュナイダー・パンツァーの換装シーンにワクワクしたものだ

 

 

「会合中は電源を切ってくださいね」

「了解です」

 

 目の前で電源をオフにするとシーグヴァイラが落ち着かない様子でそわそわしている。意を決して声をあげようとするが、扉が開かれ使用人が入ってきた

 

 

「大変長らくお待ちいただきました。お集まりください」

 

 伸元は彼女たちと違い観客席へ向かうので別のスタッフに案内された。階段を上り終えると貴族や上級悪魔たちの視線が注がれる

 

 

 

「ノブちゃん☆こっち、こっち~~~☆」

 

 スーツ姿のセラフォルーが飛び跳ねるようにアピールしていたので促されるように彼女の隣に座った

 

「ごめんね☆忙しくて家に帰れなくて」

「会合が終わったら存分にスキンシップをしたらどうですか?」

「もちろん☆それにソーナちゃんの晴れ舞台だもん、撮影スタッフに最高の映像を撮ってもらうからカメラも奮発したの☆それにノブちゃんの言っていたアレもやるから」

 

 会場内が暗くなり中央がスポットライトよって照らされ、タキシードを纏った悪魔がマイクを持っている

 

「よくぞ集まってくれた次世代を若き悪魔たちよ、この場を設けたのは一度この顔合わせで互いの存在の確認、更には将来を競う者の存在を認知するためだ!」

 

 彼のアナウンスが終ると入場門にライトが照らされ若手悪魔たちが入場してきた。肩幅の広いシルエットが登場すると観客席にいた貴族たちは大きな拍手で出迎えサイラオーグは深々と頭を下げている

 

「サイラオーグちゃんは若手悪魔の筆頭格なのよ☆もちろんソーナちゃんだって負けていないわ」

 

 人間界で結果を残してきたソーナが眷属たちを引き連れて入場してくると、先程よりも大きな歓声と拍手に包まれる。雰囲気に気圧されたのかアーシアは右手と右足が同時に出ていた

 

 普段なら隣にいるシスコン魔王が大声を張り上げているが今日は珍しく静かだった。視線を向けるとセラフォルーは妹の晴れ姿に感動して気絶している…そして最後にリアス・グレモリーたちが登場すると手を叩きながら失笑する悪魔が多く見受けられた

 

 

 

「君たちは家柄も実力も共に申し分ない、デビュー前に互いに競い合って力を高めてもらいたいと私たちは考えている」

 

 支持率が右肩下がりで落ちているサーゼクスがマイクを握っていた。するとその時サイラオーグが手を挙げた

 

「我々もいずれ禍の団との戦に投入されるのでしょうか?」

 

 ド直球な質問に会場内がざわついてしまった。回答するためにマイクを近づけるとハウリングしてしまい不協和音が耳に響いてくる

 

「私達としては、できるだけ君たちを戦に巻き込みたくはないと思っている」

「なぜです!既に我々の中でテロリストたちと交戦した者たちもいます。冥界のために尽力を尽くしたいと」

「サイラオーグ君のその勇気は認めよう、しかしそれは無謀だ!禍の団の全容が掴めない今の段階で君達ほどの有望な若手を失うのは我々は望んでいない、今は私たちに任せてほしい」

 

 魔王らしいことを口にしているが三大勢力の会談で役に立たず寝ていた奴の言う台詞ではない、彼の醜態を知っている貴族たちは口を手で塞いで笑い声が漏れるのを防いでいる

 

 

 

「さて皆様、中央のモニターをご覧ください」

 

 進行役の悪魔が大型モニターに指を向けると若手悪魔や観客たちの視線が一気に集まった。再生ボタンが押されたのか映像が流れると駒王学園で行った三大勢力の会議が映っている

 

『悪かったな。俺のとこのコカビエルが迷惑かけた!』

『それで何がほしい?金以外ならどんなモノでも用意してやる』

 

 アザゼルがエクスカリバー騒動で謝罪をするシーンが何度も流れている

 

 

「これが謝罪と言えるでしょうか?舐め切った態度は堕天使として正しいと思えますが、受け取る側からすれば顔を赤くするだけです」

 

 会場内はざわついて会談に参加していたサーゼクスやセラフォルーに視線を向けたり、中央のステージでは現場にいた妹たちにサイラオーグが確認をしている

 

「既にソーナ・シトリー様は謝罪の品を受けていますが、本日来場しています赤龍帝様は求めていませんでした。しかし今日ここで彼が望むモノを授与されます!」

 

 彼が指をパチンっと鳴らすとアイマスクに手錠と足に鉄球を巻きつかれたアザゼルが大声で叫びながら入場していた。周囲には魔王の眷属たちが固めていて逃げ出すのは不可能な状態である

 

「おいっ!いったいなんだ!」

「赤龍帝様が望んでいるのは誠心誠意…心の籠った謝罪です」

「だから俺は謝っただろうが!」

 

 未だに叫ぶアザゼルを無視してマイクを持った悪魔は進行を続ける

 

「謝罪とは行為ではなく誠意であり腹の底から謝っていることが必要です。床に額を擦りつけても腹の中で舌を出されていては意味がありません、皆様あの映像に誠意があると思いますか?」

 

 その問い掛けに場内の面々はアザゼルに非難の目を向けて侮蔑の言葉を呪詛のように吐いている。彼のせいで魔王の妹たちが危機に陥ったのに態度が相応しくない

 

「本当にすまないという気持ちで胸がいっぱいであれば出来るのです。そう…場所や日時を問わずどんなところでも」

 

 別の入り口から焼け焦げるような熱気を撒き散らし鉄板の下から火の粉が周囲に飛び散っている

 

「たとえそれが肉焦がし骨を焼く鉄板の上でも!」

 

 

 伸元がアザゼルに求めたのは某有名賭博漫画で話題になった『焼き土下座』であった。貴族たちは彼の提案に歓喜し称賛の言葉を述べている

 

 

「赤龍帝様すいません、10分と求めていましたが進行の都合で原作と同じで構いませんか?」

「それでお願いします」

 

 漫画と同じように自己申告の10秒間の土下座である。もちろん満たすことができなければ成功するまでチャレンジを繰り返す

 

「やめてくれ赤龍帝!これ以外だったらなんでもする。だから頼むやめてくれ!」

「会談の席でふざけた態度でいたのが今回の結果です。腹を括りなさいアザゼル」

 

 結局アザゼルは自身の足で焼き土下座を行うことが出来ず、強制執行機を使って無理やり押さえつけられて10秒間の苦痛に耐えた。その後はフェニックスの涙で治療を施したが精神的なショックが大きく車椅子で会場から出てくのであった

 

 

 

 

 

 その後はお偉いさん達の難しい話や他の魔王からの今後のゲームについての話が続いた、長ったらしい内容で右から入った言葉が左に抜けていく

 

 

「さて、余興を含めて長話に付き合わせてしまって申し訳なかった。最後に君たちの目標を聞かせてくれないだろうか?」

 

 サーゼクスの言葉に最初に答えたのはサイラオーグだった

 

「俺は魔王になることが夢です」

 

 場内がその発言にざわついた。どうやら大王家から魔王が出るのは前代未聞らしい、彼は威風堂々に覚悟の言葉を述べて夢を語って後ろに下がった

 

「私の目標はレーティングゲームの指導者を目指すことです!」

「それは教鞭を振うということで?」

 

 質問をしてきた貴族が彼女の目を見て問い掛ける

 

「今はまだ若輩者ですが、ゆくゆくは自身の学び舎を持ってレーティングゲームの醍醐味や奥深さを下の世代に伝えていく所存です」

 

 3年前のソーナなら壮大な夢を語っていたと思うが伸元と出会い現実を直視することで地に足のついたことを語り、最終目標のために基盤を固めていくつもりだ

 

 悪魔側としても優秀な指導者が誕生すれば全体的な戦力の向上に繋がると考えているようで、彼女の夢に対してブーイングをする者は存在しない

 

 

 

「私はグレモリーの次期当主として生き、レーティングゲームの覇者となる。それが現在の、近い未来の目標ですわ」

 

 他の若手悪魔たちも目標を語り何故か大トリを務めたリアス・グレモリーの言葉を耳にした面々は大笑いをしている。彼女の失態は冥界中に知られているのだ

 

 

「夢を見るのは自由だが叶わぬ願いなぞ短冊に書きたまえ」

「流石サーゼクスの妹だ、我々のツボを弁えいる」

 

 悪魔の世界にも七夕はあるんだなと思ってしまう。ここからでも天の川が見えるのだろうか?彦星が牛飼いではなくケルベロスのブリーダーをやっていそうな気がする

 

 

「私は本気で―――」

 

 髪色と同じように顔を真っ赤にする彼女はマイクにノイズを絡ませて憤怒の表情を見せる。ここにいる面々が叶わぬ願いだと思っているのだ

 

 

「私は数ヶ月前まで君に期待をしていた、しかし今まで犯してきた過ちは何事だ!次期当主と述べたがグレモリー家を潰すつもりか?」

 

 年長者の悪魔が代表して意見を口にしていると彼女の握った拳には滅びの魔力が集中している。眷属たちも王のやろうとしていることを身を挺して止めさせないと駄目だろ

 

 しかしここでサーゼクスが強く手を叩いて全員の視線を自身に集中させる

 

「ライザー君との勝負に負けてから妹たちは己を鍛えてきた。皆様には間違った認識を改める機会を妹に与えていただきたい」

 

 なんだろう凄く嫌な予感がする。シスコン魔王の彼がすることでやらかしそうなことを頭の中でピックアップしながら候補を選んでいくと

 

「リアス、ソーナ。二人でゲームをしてみないか?」

 

 その言葉に伸元とセラフォルーは眉間に皺を寄せる。魔王直々のご指名でソーナが断れば逃げたと思われてしまう。眷属の数では有利だがメインアタッカーの不在を狙われてしまった

 

「もともと君達、若手悪魔のゲームをする予定だったのだよ!各勢力のレーティングゲームのファンを集めてデビュー前の若手の試合を観戦させる名目もあったからね」

 

 

 視線をソーナたちがいる中央に向けると2人は既に臨戦態勢となっている。シトリー側としてはここで負けると今まで積み上げてきたものが崩れてしまうのだ、勝って当たり前の勝負というのは相応にして難しいものである

 

 対戦の日取りが決まり、若手悪魔の初会合は終わりを迎えるのであった

 




アザゼルに『焼き土下座』をさせるのが彼の要求でした。なおもう1つの案は男塾の『油風呂』でした。この辺はアンケートにするべきだと痛感しました

次回は修行パートになります

感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。