争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい   作:大気圏突破

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エキジビション

『リアス・グレモリー様リタイア!よってソーナ・シトリー様の勝利です!!』

 

 

 会場内に勝者の名前が響き渡る。ソーナが勝つ方に賭けていた面々は大喝采で彼女たちを称え奮闘した面々に賛辞の言葉を贈り、敗北者には侮蔑の視線と野次が飛び交い彼女の兄であるサーゼクスの血圧を急上昇させてしまう

 

 

「ワンサイドゲームでしたね」

「これが今の実力差だな」

 

 シーグヴァイラの言葉に同調するように伸元も頷いた。間近で見ていた椿姫の活躍は分かるがソーナを含め他の眷属たちも以前よりレベルアップしていたことに驚いている

 

 自然豊かなシトリー領には様々な植物が存在し、中には悪魔を襲って栄養を吸収する獰猛な危険植物も数多く見受けられる。今回は条件が彼女たちに味方してくれたことで勝利を掴むことが出来た。この映像を見ている他陣営もソーナたちのことを警戒するだろう

 

 

 

「御声援ありがとうございます!」

 

 フィールドから帰還した彼女たちは来場した貴族や上級悪魔に対して頭を下げカメラに向かって感謝の言葉を述べた。今まで現魔王セラフォルー・レヴィアタンの妹という肩書きが先行していたがソーナ・シトリー個人として認知され今後の活躍を期待される

 

 そして醜態を晒したリアスたちは医務室に運ばれていた。眷属たちはギャスパーを除いて相応のダメージを負っていたが重傷ではなく1日休めば回復するだろう

 

 しかしスコップで尻を叩かれる光景を冥界全土に披露してしまった彼女はフェニックスの涙で傷を治療されても心の傷を癒すことは出来なかった。病室に設置されているテレビからはヒーローインタビューが流れてきている

 

 

『圧勝でしたね』

「繋いでくれた縁が私たちを強くしてくれました。今回の結果に満足することなく邁進していきます」

 

『王として今回のMVPを与えるとしたら誰ですか?』

「そうですね…やはり『騎士』の木場君をリタイアさせた椿姫になります。彼はギャスパー君の神器の影響を受けないので序盤に退けたことで私たちにとって有利になりました」

 

 ソーナは彼女だけでなく他の眷属たちの頑張りを褒め称えた。チームとして得た勝利を強調し結束をアピールしている

 

 必要なことを聞き終えてインタビューを締めるはずだったがサーゼクスが登壇しマイクを引ったくるように奪った。その光景にグレイフィアやセラフォルーを含め誰もが疑問符を浮かべる

 

 

 

「お集まりの諸君、本日の勝負はこれだけではございません!」

 

 その発言を耳にして会場内がザワザワと騒ぎ出す。伸元は隣にいるシーグヴァイラへ視線を向けるが彼女も同じようにクエスチョンマークを作り出していた。彼女じゃなければ消去法で選ばれるのはサイラオーグとラティアになるが会合の場で発表しなかった理由が分からない、山籠もりをしている時に宣伝されたとしても今の状況はおかしいのだ

 

 

「今回運良く(・・・)勝利することが出来たシトリー家ですが…彼女は赤龍帝との親交を長年続けています。そしてその赤龍帝は7月に行われた三大勢力の和平協議にて『禍の団』から我々悪魔(・・・・)を守ってくれました」

 

 伸元のことを悪魔陣営の味方のようにする言い方とソーナたちの勝利をマグレ扱いにした言動に怒りのプッツンメーターが段々と臨界点まで上昇していく

 

「そんな彼に挑戦状を叩きつけた勇敢なる若者を紹介しよう!」

 

 明らかに雰囲気がおかしい…今から自分が戦うような空気が作り出されているような気がする。何も聞かされていないし他の面々も困惑した顔を披露している。そしてステージに上がってきたのは

 

 

 

 

「サッ……サイラオーグ?なんで彼が」

 

 素っ頓狂な声をだしているシーグヴァイラをスルーして彼は壇上にいる2人の悪魔のことを睨みつけていた。他の席からも同じように驚きの声があがりザワついているのが分かる。そしてサーゼクスはサイラオーグにマイクを渡して経緯と意気込みを語らせる

 

 

「3週間前の会合が始まる前にリアスから『赤龍帝と戦ってみない?』と問い掛けられた。コカビエルや白龍皇を退けた実力者に己の拳が届くのか試したくなった」

 

 スコップで尻を叩かれたアイツのせいかよ!自分たちじゃ敵わないからバトルジャンキーで実力を持つ親族をけしかけたという訳か

 

「無礼を承知で頼む…赤龍帝よ、俺と戦ってくれ!」

 

 大声で叫びマイクが音割れするが彼の熱意は伝わった。しかし伸元には戦う理由が存在しないうえに厄介なのは逃げてしまえばシトリー家にまで迷惑の掛かる状況になってしまう

 

 

 

「赤龍帝さん、サーゼクス様から言質や条件を引き出させましょう」

「そうだよな…こっちは何も得るモノが無いし」

 

 隣にいる彼女から耳打ちされた彼は数秒間だけ思案すると立ち上がってステージに向かって歩いていく、観客席にいる貴族たちはサイラオーグからの勝負を承諾したと思っているようだ

 

 

「受けてくれるのかい石動君」

「タダでやるのは嫌だな」

「君が彼に勝つことができたら『焼き土下座』以外の願いを叶えよう。もし負けたのなら―――」

「言わなくていいよ負けるつもりなんて無いし」

 

 大胆不敵な言い方に会場内は大いに盛り上がる。若手実力者ナンバー1のサイラオーグと赤龍帝のタイマンにボルテージは上昇し、ギャンブルに投じられる金額もどんどん加算されていく

 

「あと…戦闘で床や壁が破壊されたら修繕の責任は魔王さんが負担してくれるんですよね?」

「もちろんだとも、魔王に二言はないさ」

「それを聞いて安心したよ」

 

 サーゼクスからお墨付きをもらった彼は、サイラオーグの前に立つと赤龍帝の籠手を出して拳を握った。早くここで始めよう!さっさと終わらせて皆の初勝利を祝う会を行う準備をしなければならないのだから

 

 

「待ってください!」

 

 今からという状況に割り込んできたのはソーナだった。彼女はグレイフィアから予備のマイクを借りている

 

「石動君…こんな勝負を受けなくても私たちは」

「信じてくださいよシトリー会長、じゃんけん以外で俺が負けたことってありますか?」

「オセロで連戦連敗してますよね」

「でもドンジャラだったら勝ちましたよ」

 

 生徒会の面々でドラえもんのドンジャラではなくウマ娘のドンジャラで勝負したことがあり、オルフェーヴル・ドリームジャーニー・スイープトウショウを揃え『被害者の池添(グランプリ男)』という役で逆転勝利をした

 

「それに俺も特訓の成果を確認したいので」

「分かりました…ですが絶対に勝ってください!」

 

 勝利の女神から賛辞の言葉をもらった彼は再びサイラオーグと向き合って拳を構えた。向こうも同じように臨戦態勢となる。審判が急遽もってきたゴングをサーゼクスが強く叩いて時間無制限のエキジビションマッチが始まった

 

 

"ドォォオオオオオオオン‼"

 

 

 互いの拳がステージ中央で激突し体格差でサイラオーグの方が優勢で伸元は壁際まで吹き飛ばれてしまった。更に接近して追撃していくが全ての拳を蚊を叩き落とす要領で片手で弾かれる

 

「バアル家ってのは滅びの力を持つと聞いたが」

「俺は落ちこぼれで魔力すら持ち合わせていない」

「あぁ…なんかごめん」

「気にするな!魔力を持たないからこそ肉体を極限にまで鍛えることに集中することが出来たのだから」

 

 再び距離を詰めて今度は肘打で鳩尾を狙ってきたのでジャンプしながらシンバルキックの要領で顔面に回り蹴りを炸裂させたが彼は平気な顔で鼻から垂れてくる血を舐めた…ちょっと汚い

 

 パワー馬鹿と思いきや細かいテクニックも見せてくる。攻撃を顔に集中させてガラ空きになった腹にコークスクリューブローを繰り出してきたのを膝を上げてガードをするが不安定な姿勢になってしまい宙に浮かされてしまった

 

「フン!」

 

 大きいバックスイングで溜めを作り渾身の一撃を繰り出して伸元に直撃させようとしたが捉えたのは残像で本人はサイラオーグの背後に立って肩を叩くと振り向いた彼の頬に人差し指でプニプニさせた

 

「なんか焦ってない?」

「…そんなことは」

「悪魔ってのは人間よりもずっと長寿だろ…なにを生き急いでいるんだ?」

「すまないが、それを口にしている余裕など無いのでな」

 

 再び迫ってくるラッシュ攻撃を目を閉じて木の葉が舞うように脱力しながら全て避けてみせた。観客たちは伸元のやっていることに驚愕している。あのサイラオーグが子供のように遊ばれている必殺の一撃が全く当たらない

 

 

「すまないけど俺の八つ当たりに付き合ってもらうから」

 

 その言葉を耳にしたサイラオーグは彼が自分の知らない何かをしてくると思って背中を丸めて防御の姿勢に転じた

 

「やるよドライグ」

『応!』

 

 

我、目覚めるは

終末の日に遣わされた白日の使徒にして紅蓮の龍なり

永遠と須臾の狭間に、無量の願いと夢を抱こう

光なき覇道を往く、我、赤朱の龍神と成りて

汝を真紅に輝く道へ誘おう

 

「『紅赤朱の兆覇龍』」

 




サイラオーグにオーバーキルさせるつもりです
なお覇龍とは少し違いますので次話をお待ち下さい


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