争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい   作:大気圏突破

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自由研究で冥界に行ってました

 それは9年前の夏の頃だった。ソーナ・シトリーは領地の自然保護区にて家族とはぐれてしまい鬱蒼と繫る森の中で迷子になってしまった。周囲は薄暗く見たこともない植物ばかりで気味が悪い、怖くなって逃げたくて闇雲に走り回り転んでしまった彼女は遂に泣き出してしまう

 

 いくら泣き叫んでも助けが現れる気配は無かった!しかも間の悪いことに腹の虫まで彼女と同じように鳴き出してしまい最悪な気分に陥っていたが

 

 

「ここはどこなんだよ!ドライグ」

『お前が闇雲に歩くから迷うんだ!』

「婆ちゃんが言っていた。迷った時には枝を投げて決めればいいって」

『産まれる前に天寿を全うしてただろ』

 

 繁みからビニール袋を持った半袖短パン姿の少年が現れ右手に装着された赤い籠手と大声で話していた。この場に似合わない明らかに異質な存在に彼女は身構えてしまうが少年はこちらに気付いて近寄ってくる

 

 

「イスルギ…のぶちか?」

「それでこっちが相棒のドライグ」

 

 互いに自己紹介をしてソーナは伸元の持っていたビニール袋の中に入っていたポンデリングを食べていた。自分の名前を口にしたときに胃袋から重低音が響いてしまい施しを受けた。

 

 転んで擦りむいた膝から出血しているのを見て、ペットボトルの水で洗い流してポケットからハンカチを出して傷口に結んでくれた。しばらくすると血相を欠いた姉や父親たちが全力疾走で駆けつけてくれて自分たちを助けだすのであった

 

 

 

 

「それが2人の出会いという訳ね…そもそも何で彼が冥界にいたの?」

「夏休みの自由研究で冥界の植物を採取していたみたいで」

「自由研究って…」

 

 リアスはオカルト研究部にソーナを呼んで伸元のことを聞き出していた。神滅具所有者の秘匿は罪ではないが今まで明かさなかったことを問い詰めるつもりだ

 

 

「父の判断です。最初は石動君をシトリー家に取り込むつもりだったのですが」

「失敗したと?」

 

 彼女の問い掛けに頷いた。ソーナの父親は彼がいずれ娘の眷属として役に立つと思って交渉を持ちかけ、無論魔王である姉のセラフォルーも同様だった

 

 もちろんだが伸元は首を縦には振らなかった。悪魔になるメリットを魅力と感じていなかったからだ!それでもアプローチが続いたので辟易した彼はセラフォルーに人差し指を向けて

 

「お姉さんが俺に勝ったら眷属になるよ!」

 

 と言い放った。いくら赤龍帝の籠手の持ち主とはいえ小学生の子供が魔王に勝負を挑む光景に周囲の面々は笑っていた。指名されたセラフォルーとしても手間の掛かることだったが愛する妹の為に一肌脱ぐつもり…だった

 

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!』

 

 電子音と共に渦巻いた炎が彼を包み1人の姿が現れる。登場したのは朱色の鎧を身に纏った伸元であった!それは赤龍帝の籠手が禁手化した姿である赤龍帝の鎧だ

 

 彼は彼女の対面に立って頭を下げて礼をすると『Boost!』という音声が何度も鳴り響く、セラフォルーはすぐに距離を詰めて伸元のことを無力化させようとしたが彼は『Explosion!』の声と共に二十面のダイスを投げていた

 

「あっコレは…」

『オイッ!それはかなりヤバいぞ』

「ふぇっ?」

 

 気の抜けた声をあげた瞬間にセラフォルーは猛烈な腹痛に襲われた。お腹からは雷神が太鼓ではなくロックバンドのようにドラムを一心不乱に叩きボーカルの風神がシンバルキックを決める。括約筋に力を込めて両手で尻の穴を押さえているが堤防が決壊寸前だ

 

 

「…いったいなにを……したの?」

「トイレに行った方がよろしいかと」

 

 彼女のお腹はパニック状態で下着は自身の脂汗でビショビショに濡れてしまっている。こんな状態でトイレに向かえば周囲に『大』をしてくるのをバラすようなものだ!恥ずかしくてそんなことは出来ない

 

 

「仕方がないよねドライグ」

『ノブ…お前に任せる』

 

 伸元は汗で濡れたパンツを全開に見せつけて両手で尻を押さえているセラフォルーに近付くと、1回だけ倍加させて彼女の無防備になっているお腹にデコピンをした

 

「うぅぅぐぅ‼」

 

 それは歯を食いしばり涙を零している彼女にとって特大のクリティカルダメージだった。滝のように流れ落ちる汗は苦悶に満ちる顔を濡らし床は水溜りようになっている。更にもう1発デコピンを受けたセラフォルーは映画版のクレしんに登場した『筋肉』のように爪先歩きでトイレに向かった

 

 

 ソーナは当時のことを思い出し魔王の姉が泣きながらトイレに駆け込んだことを伏せて、伸元が禁手化をして勝利したことをリアスに伝えた

 

 

「いや…それで何で友好関係を結べているのよ?」

「一宿一飯の恩義と夏休みの宿題や勉強を手伝ってくれたお礼だと」

 

 眷属になることを拒否した伸元だが、見ず知らずの自分に飯と布団を用意してくれたシトリー家から受けた恩を返したいと思っていた。当主たちは禁手化を使いこなす赤龍帝を野放しにしたくなかったので"協力者"という形で収まった

 

 はぐれ悪魔の討伐に報奨金を渡し、学校の宿題や勉強で分からないところがあればソーナが先生となって教える。結局のところ彼をセラフォルー又はシトリー家の庇護に置くことは成功した

 

 

 

 

「どうして教えてくれなかったの?」

「さっきも言いましたが父の判断です。それに私も石動君のことを横取りされたくありません!夢を叶える為には彼の力が必要になります」

「でも眷属じゃないなら私が…」

 

 その言葉を発した瞬間にリアスはソーナから放たれた威圧感にたじろいでしまった。悪魔は欲深い生き物だが分水嶺をわきまえないといけない

 

「もしリアスのせいで彼が悪魔と敵対するようになったらどうするつもりですか?」

「冗談よ…冗談、でもこのままでいいの?他の陣営だって」

 

 

 伸元の存在が公になれば堕天使・天使に日本神話も狙ってくるだろう。それなら眷属にしてしまえば問題は解決する

 

「彼は人として生涯を全うしたいと言ってました。無理強いはしたくないので」

「とんだ甘ちゃんね」

 

 カップに注がれた紅茶を口に含みながらリアス・グレモリーは友人を見つめるのであった

 

 

 

 

 

「伸元さん!」

「あら…アーシアさん」

 

 買い物帰りで歩いていると彼はアーシア・アルジェントと遭遇した。近付いてくる彼女は足元の段差で転びそうになるが瞬時に体を支えて抱き締めるような体勢になってしまう

 

「今日も薬局で買い物?」

「はい…レイナーレさんの頭痛が治らなくて、それにフリードさんも足が痛いと」

 

 神器の力で怪我を治してもフリードと呼ばれる男の痛みは収まらず、自身で他の部位を傷つけて痛みを紛らわせようとしている。アーシアが治すと再び傷つけイタチごっこが続いている状態だ

 

 

「教会を追放されたんだろ?」

「どうしてそれを…何で知っているんですか?」

「俺もアーシアさんと同じ神器持ちだ」

 

 籠手を出して制服の下に隠すと周囲の人たちに見えないように彼女へ教えた。アーシアは腰を曲げて丁寧な挨拶をしてくれたのでドライグも気分よく応じてくれる

 

 

「癒しの力を持つシスターが、護衛も付けずに往来を闊歩し薬局で買い物をするなんて普通じゃ有り得ない」

「はい…レイナーレさんは追放された私を拾ってくれました」

「そのレイナーレって黒いボンテージみたいな恰好だった?」

 

 頷いたアーシアを見て確信を持った彼は軽くため息を吐いて地面に落ちていた石を拾い上げる

 

「俺を襲った奴だな!」

「なんでレイナーレさんが伸元さんを?」

「本人から問いただし…た・い・ね」

「うぐぅ!あっ」

 

 アーシアと話している時から赤龍帝の籠手で倍加を続けていた彼は、木々の間に隠れていた堕天使に向けて石を投げつけた。汚い悲鳴をあげて倒れたところに足を運ぶとアーシアが口にしていた堕天使が泡を吹いて倒れていた

 

「なぁ…アーシアさん少し俺に付き合ってくれない?」

 

 

 

 

 伸元から連絡を受けたソーナは急いで彼が住む家まで走っていた。リアスとの話し合いが終わり生徒会室で書類の整理をしていたらディスプレイに彼の名前が浮き上がった

 

『堕天使を捕まえたから家にきて!』

 

 その言葉を耳にした瞬間に書類を投げ出して全速力で石動家まで向かった。家屋の鍵は開いていたので靴を脱いでリビングに駆け上がると

 

 

「いらっしゃいシトリー会長」

 

 電話を寄こした彼の近くには鎖で拘束された3体の堕天使と顔面がボコボコに腫れあがりギャーギャー泣き叫ぶレイナーレと、放心しているアーシア・アルジェントがいた

 

 

「いったい何をしたの?石動君」

 

 それでは答え合わせを始めよう




なのは作品を執筆するよりも考えるからカロリーを使うよ
とりあえず毎日更新は無理なので、次は金曜日か土曜日を目途にしています

推しの子の未完になっているのを公開停止にしたのは、1回改めて執筆し直そうと思ってます

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