争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい 作:大気圏突破
駒王学園は元々女子高であり共学になっても男女比は女子生徒の方が多い、小等部からエスカレート式で進級する者もいれば伸元のように途中から受験してくる生徒も多く、当たり前のことだが男子生徒には数多くの力仕事が割り当てられる
「ノブさん、テントの骨組みはこっちだから」
「了解!」
医療スタッフの保険医たちが待機するテントの鉄骨を持った伸元を体操服姿の桐生藍華が手を挙げて呼び寄せる。本来なら2人1組で持ち運ぶのだが普段から鍛えているので涼しい顔だ
「重いって」
「男女差別だ!」
変態コンビたちはグランドにあるサッカーゴールを数少ない男子生徒たちと一緒に持ち上げるがメンバー全員文化部なのでパワーが足りない、この2人は普段なら女子生徒たちが着替える女子更衣室を覗きに行くはずなのに突撃することなくグラウンドに現れた
高等部に所属している面々が設営準備をしている傍らで、ミリキャスを含む小等部たちは端の方で行進や自身が出場する競技の練習に汗を流している
「お疲れ…石動君」
「何しにきやがった木場!」
「君を怒らせるようなことをしたかな?」
大概コイツが自分に絡んでくる時はろくでもないことが起きる前触れで、通例イベントと呼ぼうか検討中である
「明後日のレーティングゲームは勝てそうかい?」
「やってみないと分からないが、負けるつもりで挑む奴なんていないぞ」
「そうだね」
「こんなところで油を売っていいのか?」
質問を返すと彼の顔は少し暗くなる。グレモリー家の対戦相手はアガレス家で明日の午後にゲームが始まる予定だ、今回は3日間の日程で行われ最終日はサイラオーグとラティアの対戦カードが組まれている
小猫が抜けたことで戦力が落ちたリアスたちは返納した『悪魔の駒』を寄こすことを求めたがサーゼクス以外の3人が首を横に振ったことで否決された
「朱乃さんの雷光なら戦力の差を補えると思うんだけど」
「向こうは対策してくるな、悪魔にとって堕天使の光は『こうかはばつぐん』なんだ」
「石動君が神器を持たない普通の転生悪魔だったらどうやって朱乃さんを封じる?」
その問い掛けに腕を組んで思案する。自分やゼノヴィアと戦った時も朱乃は足を止めて攻撃をしていた。ソーナにも言えることだがウィザードタイプはどうしても固定砲台になってしまう
木場のように高速移動しながら、雷光をバカスカ放っていたら命中率は格段に落ちて魔力を無駄遣いをするだけでガス欠になるのを待てば勝利は転がってくる
「馬鹿正直にサシでやり合うつもりは無い、スリーマンセルで波状攻撃や牽制を仕掛けながらボロが出るのを待つ」
「君は朱乃さんを見くびっていないか?」
少しムッとした表情をしているが伸元は騎馬戦の練習をしている中等部の方に指を向けた。白帽に対して赤帽の2人が時間差で攻撃を仕掛ける。遠くから白帽の味方が助けに入ろうとするが3人目の赤帽が進路を塞いだことで勝敗は決してしまった
「ほらな!強い能力があっても動かし方次第で戦況は簡単に覆る」
「でも…これだと」
仲間の弱点を指摘され彼の顔は赤くなる。前回のように総力戦になれば対戦相手は騎馬戦と同じような戦法を繰り出すはずだ、仮に朱乃を守る役目を木場が担うとリアスの守りが手薄になるのと敵陣に攻め込むのが不可能になる。2人で開始早々に相手の王を狙う電撃戦を仕掛けたとしても罠に飛び込むようなもので確実に詰む
「こればっかりはルール次第だな、ポケモンみたいに特定のメンバーを決めて1対1なら勝てる見込みはあるんじゃないか?」
「そうなったら忖度されたって言われるのかな」
「俺に聞かれても分からないな…いいのか?そろそろ出発しないと―――」
スマホの画面を見せると木場は慌てた様子で走り出して教室に向かうが、肉体労働でへばっていた変態コンビの腹を踏んづけてしまいバランスを崩し足首を捻る。謝罪の言葉を口にするが周りが見えていない時点で有利なルールだったとしてもグレモリー家の勝率は限りなく0に近いだろう
体育祭の準備が終わった翌日に彼女の眷属たちは集合し冥界に向かったが、このメンバーの中に伸元の姿は無かった。彼はセラフォルーの特訓があるので前日に魔法陣で冥界入りしシトリー家で一夜を明かした
『勝者バフィール・フールカス!3勝0敗によりシーグヴァイラ・アガレス様の勝利になります』
ソーナたちが到着する前に観客席でジャンクフード片手に試合を見ていた伸元は、ティッシュで指と口の周りを拭きながら深くため息を吐いた
今回の勝負は彼が木場に言っていた代表を3人選んでのシングルマッチだった。ルールが発表された瞬間にリアスは勝ち誇った顔をしていたが蓋を開けてみたら3タテのストレート負けだった
「妥当な結果だな」
「有利なルールで惨敗の連敗…グレモリー家の未来は暗いね」
彼の隣に座るサイラオーグの言葉に共感しながら口直しのコーヒーを手渡した。今代の赤龍帝と若手悪魔の筆頭の陣取る空間には独特の空気が流れ、割り込んでくる悪魔はいないが2人の仲は別に険悪ではない
この前の戦闘もリアスたちの甘言に彼の欲望が疼いてしまったことなので攻めることはしなかった。伸元も『紅赤朱の兆覇龍』が実践でどれだけ扱えるかテストしたかったので水に流すことにした
「リアスの敗因はなんだと思う?石動」
「最後が大将戦だと勝手に思い込んでいた。固定観念や先入観だけで物事を考えてしまった愚か者だよ、リアス・グレモリーは」
ルールは確かに3人のメンバーを選抜しての1対1だったが先鋒・中堅・大将が決まっている訳ではなかった。アガレス家は初戦に王のシーグヴァイラが登場したことでリアスたちの歯車は狂った
彼女は木場を相手に圧勝する。3本勝負なら初戦は最も重要な戦いであり是が非でも勝たなければならない、そうなると第2試合は絶対に負けることは許されない状況に陥れば精神面でハンデを背負ってしまい実力を発揮するのが難しくなる。互いの『女王』戦は能力だけなら朱乃の方が上だったが気持ちで負けてしまい、第3戦はお情けで行われた
「しかし木場の動きがいつもよりスローに見えたんだが」
「アガレス家は『時間』に関する魔力を有している。シーグヴァイラは結界内の時間を遅らせることが可能だ!」
「足の早い食べ物を保存するのに便利そうだな」
自慢の機動力が封じられてしまったら木場もなす術が無い、向こうが初戦に木場を出すのは分かりきっていたことなので今回はアガレス側の作戦勝ちなんだと思う
立ち上がってサイラオーグの持っていたハンバーガーの包み紙を自分の持っている紙袋に入れると彼は魔法陣に乗ってシトリー家に帰っていくのであった
「いったい…なんなのよ!もう」
レーティングゲームが終わったリアスは、与えられていた控え室でストレスを発散する勢いで室内を荒らしていた。今回の勝負も眷属の少ない自分たちに配慮された形で行われたが良いところは1つもなくストレート負けしてしまった
小猫が攫われ何もかも上手くいかない、彼女の行方は未だに不明で兄のサーゼクスを問い詰めても事態は進展しなかった
"バリぃぃぃぃン!"
鏡に写る自身の顔に向けて拳で殴りつける。粉々になるまで何度も何度も殴って出血で衣服を汚しても止まることはなく気持ち悪い笑みをこぼして破壊し続ける。その様子を怪しい影が覗いていることも知らずに
「昨日は見てくれましたか?」
「もちろん」
シーグヴァイラが伸元のことを見つけて駆け寄り隣に腰を降ろした。今日はシトリー家とグラシャラボラス家のゲームが行われ、控え室にいた彼女たちに激励の言葉を伝えてきたばかりだった
「リアスが勝手に勘違いしてくれたお陰で、気負うことなく初戦を飾ることが出来ました」
「先入観に囚われていたアイツ等が悪いだけだ」
サイラオーグ同様に彼女との仲も悪くない、この歳でロボットアニメを語れる友人は人間界にはいないのでLINEの文面だけでも熱く語ってしまう。シーグヴァイラどんな駄作でも声優を含め作品に魂を込めた方々へのリスペクトを忘れず褒めてくれる
「この試合が終わった後にお時間をいただけますか?」
「こっちも渡す物がありますので」
アガレス家に呼んでシトリー家と同じように彼と深い交友を持ちたいと願っている。自身の父もロボットアニメに対して愛情を注いでいるので険悪な雰囲気になることは無いはずだ
「ソーナの勝利を願います」
「あとで伝えておきますよ」
モニターが切り替わり彼女たちが映し出された瞬間に観客席にいた面々は結界で閉じ込められてしまった
体育祭の準備とソーナたちの第2戦ですがスムーズに終わることはありません
なおアガレス家のやった初戦に大将格を出すのは「テニプリ」の不動峰が氷帝にやった戦法です
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
石動君の技にキン肉マンから抜粋してもよろしいでしょうか
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マイナーな技も出してくれよ OK
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ハイDにキン肉マンは合わないから NG