争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい   作:大気圏突破

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頼ってばかりじゃいられない!

 禍の団との争いは熾烈を極めた。魔法陣を使って転移してくる雑兵たちを結界の外にいる面々で仕留めるが数が多くて休む暇が無い、そして魔王のサーゼクスは乱戦のさなか妻のグレイフィアを探している

 

「くたばれっ!」

 

 本来の実力を発揮すれば襲ってくるテロリストを容易く葬ることが出来るが、彼の力は強大で周囲にいる仲間たちを巻き込んでしまうので手加減をしなければならない、しかも戦いながら視線をキョロキョロと向けているので隙が生じてしまう

 

 

 

「サーゼクス!」

 

 アザゼルが光の槍を放って彼を援護すると、互いに背後を守るように合わせて互いの状況を確認した。昨日敗北したリアスたちは療養と称して会場に訪れていなかったのでグレモリーの邸宅にて安全が確保されている

 

「シトリー家の嬢ちゃんの所にはセラフォルーが向かった。俺達はコイツ等を蹴散らさないと先に進めないぞ!」

「あの結界を破壊すれば赤龍帝の彼を投入することが出来るが」

 

 囚われた伸元を開放すれば戦局を優位にすることが可能になる。終わったあとに法外な要求をしてくると思われるが背に腹は代えられない

 

 

「アザゼル…グレイフィアを見なかったか?」

「そういえば別居中だったな、生徒会の顧問になってから顔が変わったようにイキイキして学生から人気の先生になってる!いったい何をやらかしたんだ」

 

 出ていく少し前から妻の笑った顔を見ることがなかった。失意の籠った瞳で深いため息を吐きながら眉間に皺を寄せることが多く、ミリキャスを介してスキンシップを図ろうとしたが息子も避けるようになりお風呂も一緒に入らなくなった

 

 

「男女のいざこざは外野から見ている方としては最高の娯楽だからな、修復が出来なくなっても赤龍帝が受け入れてくれるだろう」

「アザゼル…それは本当なのか?」

 

 またここでも赤龍帝が出てくる。セラフォルーが庇護下に置いていた彼はリアスが管轄する駒王町で堕天使を撃退したことで表舞台に名前を轟かせた。そのせいで妹の評価は坂道を転がるように落ちて貴族たちから嘲笑の的になっている

 

 母の実家で不遇な扱いを受けていたサイラオーグを焚きつけ、彼を叩きのめして現実を痛感させてやろうと思ったが失敗に終わってしまった。『覇龍』を克服していた赤龍帝は先のステージに上っていたのだ!

 

 

「サーゼクス!よそ見をしている暇があるなら早く終わらせるぞ」

「分かった。今は―――」

 

 転送用の魔方陣が数多く浮かび敵が押し寄せてくる。心が揺らめいて定まらないサーゼクスは雑兵相手に苦戦するのであった

 

 

 

 

 

 

「大したものだ…塵芥の存在で正気を保っていれるとは」

 

 台座に座ったシャルバは足を組んで地に伏している悪魔たちを見下していた。翼紗・巴柄・桃は倒れアーシアが治療を行っている。本来なら回復役の彼女を潰すのが定石だがシャルバは意に介していない、彼にとって雑魚が増えたところで些末な問題でしかない

 

 

「はぁ………あぁ、はぁ…はぁあっ」

「まだ……やれますか、ゼノヴィア」

「大丈夫だ!こんなこと…エクソシストの頃に、何度……だって」

 

 椿姫とゼノヴィアが息を整えながら立ち上がる。既に追憶の鏡を使ったカウンターは見切られてしまい同じ手は通用しない、ソーナは『水兵』を作り出しているが血を失い過ぎて顔色が真っ青で今にも倒れそうだ

 

 

「ラインよ!」

 

 鞭のようにしならせて攻撃を与えようとするがシャルバは右手で軽く受け止める。匙は強く引っ張り彼の体勢を崩そうとしているが巨大な岩のように全く動かない、逆に引っ張られてしまい拳が届く距離まで接近してしまった

 

「ヴリトラか…五大龍王の力も使い手が雑魚では浮かばれない」

「ガッはぁぁ!」

 

 腹部に強烈なパンチを受けて胃液と唾がシャルバにかかってしまった

 

「汚らしい転生悪魔が!恥を知れ」

「ゴがぁぁぁっ!ぁ」

 

 放たれた拳は鼻の骨を折り顔面を陥没させてしまう。しかし匙はラインを外すことなく強く巻き付けたままだ、神器から更に1本伸ばしてゼノヴィアに繋ぐ

 

 

「貴様…なにをするつもりだ?」

「テメェの力でくたばりやがれ!」

「離れろ!匙ぃぃぃ」

 

 シャルバから抜いた魔力を眷属の中で1番の攻撃力を持つ彼女へ送った。強く握った人工神器の刀身は真紅の輝きを放ちながら仕留めようとする

 

 

「アァァカシック・バスタアァァァァ‼」

 

 

 匙は自身の魔力も上乗せしていた。倒せなくても一泡をふかせることが出来ると思っていた。例え勝てなくても時間を稼げれば頼れる人物がやってくるはずだ!しかし

 

 

「なっ………んだ、と」

「ふむ、悪くない攻撃だ!自身を捨て駒のように扱い仲間に託す。ヴリトラを持つ悪魔よ…先ほどの無礼は詫びよう。貴様は刃向かってきたグラシャラボラスの愚図より勝っている」

 

 

 

 

 

 

 ゼノヴィアの攻撃を受けても傷1つすら無かった。匙の行動を称賛するが褒められても嬉しくない、残された手段は1つしかなかった

 

 

「ノブチカが来るまで耐えるんだ!アイツは結界を破って…絶対にやって来る‼」

「そうよ……石動君なら」

 

 心が折れそうになるが自身を鼓舞し周囲の面々を激励する。眷属の中で最後に立っているのが自分だけでも食らいついてみせる

 

 

「赤龍帝か…確かにやってくるかもしれない、しかしお前たちはそれでいいのか?」

「どういうことだ!」

 

 伸元がここへ現れたらピンチに陥るのはそっちのはずなのに、何故こちらの心配をするのか分からない、椿姫と顔を見合わせて思案するが答えが思い浮かばないのだ

 

 

「罠や援軍を隠しているのか?」

「そんなもの私には必要無い」

 

 何とか導き出したテンプレートの答えを口にするがシャルバは首を横に振って否定した

 

 

 

「いつも騒動を解決するのは赤龍帝だ…今回も奴を封じる策に多大な労力を投じて足止めをしている。もしかしたら既に対策を見つけ結界を破っているのかもしれぬ」

「だから何が!」

「私が憂いでいるのは思考することを放棄し面倒なことや荒事を押しつけているように見える。自分たちは何もしなくても奴が全てを万事解決してくるはずだ…それをお前等は助け合いなどと称するが苦難を放棄し成長するチャンスを逃している」

 

 淡々と述べていく言葉にソーナたちは今までのことを振り返っていた。解決の中心にはいつも彼が存在し強敵たちと戦っている。だがこれまで強要したことや押し付けたことは無い!伸元が率先して…率先……

 

 

「理解したようだな、お前たちが弱者だから赤龍帝は自ら危険な場所へ足を踏み入れる。候補は埋まり残っている選択肢に楽な道など存在しない!」

「ちがっ、ち……が」

「強く否定が出来ないか、嘘でも声高々に口にすれば悪魔として見込みがあると思ったが、矮小な存在に今を生きる資格など無い!」

 

 

 ソーナは膝から崩れ落ちシャルバの言葉が頭の中でリフレインしている。出会った時からの付き合いは依存を生み出し、頼ることが当たり前になっていた

 

 無論彼はそれを依存とは思っていない、友人の頼み事を聞いて報酬を得る共存だと自負している。ソーナの夢である出自や階級に関係なく教育の場を与える学校造りを心の底から応援するつもりだ

 

 

「少々戯言が過ぎたな、冥府の王が貴様等の到来を待ち望んでいるぞ!」

 

 

 シャルバの右手に魔力が集中する。椿姫が彼女の前に立って盾になるつもりだが今のままでは2人の命は潰えてしまうだろう。アーシアとゼノヴィアも駆け寄ろうとするが位置が遠く間に合わない、誰もが今から起きる絶望に心が支配されそうになる………が

 

 

 

「ふっごぉぉぉう!」

 

 魔力が込められた右手で彼は自身の顔を殴っていた。その光景を見てソーナを含め眷属たちの時は止まり啞然としている。なんでいきなりこんなことをしたのか皆目見当がつかない、だけど1人だけ答えを知る者が同じように自身の顔を殴っていた

 

 

「ぶっ……っけ、ほん番だ……けど、うあぁくできゅた、な」

 

 陥没し変色していた顔面を渾身の力で殴った匙は血反吐を零しながら笑みを浮かべている。その右手にはシャルバとのラインが未だに繋がっていたのだ

 

 

「何を…した?」

「ラインを…深……く、つない……これで、俺とぉぉぉ、テメェは一心同体だぁぁぁ!」

 

 匙は地面に倒れ込みながら伏せるとシャルバも同様にうつ伏せで地面に熱いキスを交わしていた。彼は床に向けて何度も頭を打ち付けて自傷すると対面にいる相手も頭部を傷つける。空いている左手で自身の足の膝や踝を殴って骨を砕く、耳を掴んで引きちぎる

 

 

「貴様!やめろぉぉ、この私を」

「ヤメテ……たまるか、よ!俺には…おれには、これしか、こんなことしか出来ないが…守りたいんだ!」

「…匙!」

 

 限界まで歯を食いしばり奥歯がボロボロになる。確かにシャルバの言ったことは本当だ!だけどこのままじゃ駄目だと思ってる。だから伸元がピンチに陥った時や困ったら"俺に任せてくれ"と胸を張って口にするつもりだ、今はまだ弱い下級悪魔だが少しだけ待ってほしい、頑張って背中に触れるぐらいまでの距離まで追いつくから

 

 

 

「フルコースに…付き合ってもら……うぞ」

 

 残っているのは視力だけだった。朦朧とする意識の中で匙は自身の親指で突き刺そうとしたが気力だけで頑張ってきた彼に力など余っていなかった。繋がっていたラインは千切れ仰向けなって倒れてしまう

 

 

「惜しい男だ…私をここまで追い詰める下級悪魔よ、名を聞かなかったことを許せ!」

 

 自由になったシャルバの拳が瀕死の匙に向けて放たれるが

 

 

 

「テキサス・コンドルキーックッ!」

 

 

 彼女たちのピンチに真打ちが現れた!




匙のやったことは原作には存在しませんが、ラインでシャルバと深く繋がり同じ行動をさせるNARUTOの影真似のような技です。実はこの作品を最初に考えていたときは主人公に『影真似』と『投射呪法』を扱わせて、敵と一緒に無限に筋トレをする能力にするつもりでした

影を繋いでオートで腕立て伏せを無限に続ければ敵は筋疲労でくたばります。罰ゲームで足つぼマットの上で高速足踏みをする妄想を仕事中にしてました


感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます

明日は府中牝馬ステークス、病気と立ち向かうオーナーに祝福を頑張れニシノティアモ
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