争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい 作:大気圏突破
『長年の夫婦関係に生じた亀裂』
大恋愛の末に結ばれたサーゼクス・ルシファーとグレイフィア・ルキフグスの夫婦が別居していることが当社の調べで発覚した。彼女は既に息子のミリキャスと共にグレモリーの邸宅から出奔し盟友の魔王セラフォルー・レヴィアタンの庇護の下で暮らしている
新年度を迎えてから彼女は赤龍帝との深い関係を表面し、妹のソーナ・シトリーを含め冥界の話題を席巻する魔王に世間の注目が集まる。会場を襲ったカテレア・レヴィアタンとの戦闘で重傷を負ったが翌日から職務に復帰し精力的に活動している
当社は今回のことについてサーゼクス・ルシファーに質問を送ったが期日までに回答はなく公の場にも姿を現さない彼に対して魔王としての責務を果たしてほしいと切に願う
翌日に体育祭を控えた駒王学園では準備が終わり生徒たちも午前中で帰宅した。生徒会メンバーも彼女の命令で強制的に帰らされて部屋にはソーナだけが残っていたが
「今日は残らないでって…伝えたはずですよ石動君」
「クラスの野暮用で残っていただけです」
彼は冷えた缶コーヒーを投げ渡し、彼女の近くに座って蓋を開けるとソーナは普段の癖で目元を弄るがそこに眼鏡は無かった
あの襲撃の日から彼女はトレードマークだった眼鏡を外しコンタクトレンズに切り替えた。本人曰く『弱い自分と決別する為』と口にしていたが彼を含め違和感がぬぐえない
「女子更衣室のあれですか?」
「もう耳に入ってましたか」
単刀直入に言うと女子更衣室に隠しカメラが仕掛けられていた。きっかけは女子生徒が汗拭きシートをクラスメイトへ投げ渡した時に大暴投してしまい壁に当たったことで隠れていたレンズが出現した
こんなことをする奴等は2年の教室にいる。全員の思考が一致し松田と元浜の変態コンビはキリストが裸足で逃げ出すレベルの前衛的な十字架のオブジェにされてしまった。当人たちは容疑を否定したが彼等のスマホに撮影された動画データが残っていたことが決めてとなった
「体育祭前日に退学になるなんて」
「実は…少し厄介なことが」
「?」
講師のグレイフィアが書記になり学園長を含めた職員会議が開催されたが10秒も経たずに『退学処分』で満場一致となったが、変態コンビは"退学は受け入れるが行けなくなった修学旅行費を全額返金しろ"と口にしてきた。既に代金は納付されキャンセルが不可能だということを知っての発言である
要求を跳ね除けて兵藤一誠と同じように警察に突き出せば解決すると思われたが、彼等には映像という人質が存在し指先1つで全世界に公開できる立場なのだ!下手に刺激して被害を拡大されることを恐れた教職員は2人の親を呼び出して説明し一筆を書かせた
【修学旅行には参加させるが撮影した映像を第三者立会いのもと全て破棄する。1つでも残っていたら契約不履行とみなし警察に連行する】
汚い笑みを浮かべていた2人は納得し直筆のサインと血判を押して書類は学園長が保管することになった
「甘い裁定ですわね」
「人質のせいで権力を強く行使できませんし」
松田と元浜は今日から修学旅行当日まで自宅謹慎を命じられ、長い休みにウキウキしていたが当日まで教員たちの仕掛けた罠に気付くことはなかった
「あなたに謝らなければいけません」
「別に何もされていませんが?」
ソーナは彼の対面に椅子を向けてジッと見つめている。先日までとは違い目力が遮断されることなく伝わってくるので少しどぎまぎしてしまう。そして彼女は深々と頭を下げた
「シャルバが石動君のことを勧誘した時に"もしかして"と思ってしまった。私が憎い」
「会長…」
「あなたは何も迷わずに拳を構えてくれて凄く嬉しかった。出会ったときから私を守って助けてくれて今も変わらずに信頼してくれる姿を疑ってしまったんです」
顔を上げると目元には涙が溢れ頬へ伝わり床に落ちていく、垂れていく1粒が懺悔の証であり伝えたかった心情なのだ
『(…相棒、こういう時は……)』
「(何も言うな…ドライグ)」
伸元は腕を広げて胸を開けるとソーナは飛び込むように抱き着いた。堰を切るように大粒の涙で彼のシャツを濡らし弱かった自分を全て洗い流すのであった
ゆっくりと背中を摩り落ち着かせ呼吸を楽にさせる。今までも…そしてこれからも彼にしか見せない年相応の女の子の姿であり、彼の鼓動を耳にしている時だけは素の彼女でいられるのだ
「落ち着きましたか?」
「……はい、もう大丈夫です!」
とりあえずシャツは彼女の扱う水の魔法で洗ってくれたので乾くのを待つだけである。ソーナは机の上にカバンを置くと中から1本の短刀を取り出した
「これは?」
「シトリー家の初代当主が振るった『閻水』と呼ばれる剣です」
彼女は剣と口にしたが見た目はナイフのように短く、戦闘向きではなく観賞用の刀剣に見えてしまう。言いたいことを察したソーナは『閻水』の刃先を濡れているシャツに向けると一気に水分が無くなり、透き通った日本刀のようなものが握られていた
「ペットボトルくらいの水があれば充分な長さになります」
「水の剣?」
問い掛けられた質問に頷くが、水の剣は形が崩れてしまい床を濡らしてしまった。ソーナは再び剣を作ると水を花瓶の中に注ぎ込んだ
「初代は自由自在に操り空一面を覆っていた邪龍たちを撃退したと伝えられています」
「セラフォルーさんじゃなくて会長が歴史を継ぐということですか」
「はい…まだ未熟者ですが私の覚悟です!皆が私を護ってくれたように私も皆を護れるようになります。もちろん石動君も含まれています!」
今まで明言してこなかったが家督を継ぐことを父親に伝え、その証として『閻水』を譲り受けた。しかしまだ学生の身であり自身の基盤が固まっていないので、引き続きソーナの父がシトリー家の当主としての責務を担うが徐々に代替わりをする予定である
「あなたのことはこれからもシトリー家…違いますね。私が護ります」
「赤龍帝の名において引き続き尽力させていただきます!」
成長して男らしいゴツゴツとした手のひらだが、出会った頃と同じ温かい優しいぬくもりを感じる手を握り、長年の契約は更に延長されるのであった
「ところでグレイフィア様が抱き着いていたと聞きましたが」
「あっ!岩盤浴の台座を持ち運ぶバイトの時間だ」
駆け足で逃げようとする彼の進路上に『閻水』で水溜りを作って滑らせて壁と一体化した伸元に笑顔で近づくソーナを見て笑うしかなかった
ばーん! ばーん!
『次はパン食い競争です。参加する皆さんは所定の位置にお並びください』
澄み切った晴天の空にプログラムを告げる放送がマイクを通じてアナウンスされる。この章で殆ど出番の無かったリアス・グレモリーは歓声をあげる男子生徒たちに対して愛想よく手を振っていた。メタ的なことを言うと段々と存在が薄くなってしまい、最終巻の見開きページで脇役たちと同じ立ち位置にされるぐらい目立たなかった
禍の団が襲撃しても彼女たちは蚊帳の外であり、何もしなかったので評価は忖度されたルールのレーティングゲームでストレート負けをした実績が残るだけだった。せめて章の最後ぐらいは爪跡を残そうと躍起になり気合いをいれる為に頬を叩いた
「(パン食い競争と言っても足が速ければ楽勝ね)」
周囲を見渡すと運動部で結界を残す体力自慢の女子が集まっていた。だけどリアスに敗北の悲壮感は存在しないのだ、人間として優秀だとしても純粋な悪魔である自身の敵ではない
準備が整いスタート位置に向うと前方に机が置かれていた。そして訝しむ彼女の前に係員がやってくると
"ドサッ!"
机の上に置かれた皿には出来立ての湯気が立ち込めるホットドッグが山のように積まれていたのだ!
「……っえ?」
呆気にとられる彼女をスルーし司会進行役がマイクを握り選手たちのクラスとプロフィールを紹介し、リアスのスリーサイズも公表されてしまい男子生徒は野太い雄叫びを腹の底から発する
『パン食い競争ことホットドッグ早食い対決になります。世界ルールに則り10分間で数多く食べた上位3名が決勝進出になります!調味料はご自由にお使いください』
レーティングゲームのトップランカーではなく、フードファイターとして新たな扉を開いたリアス・グレモリーの歴史はこれから始まるのであった!(嘘)
ソーナに合いそうな武器って烈火の炎に登場した『閻水』だと思います。眼鏡からコンタクトレンズになった姿を妄想しています
今回の章ではリアスの出番が殆ど無かったのでコメディーリリーフとして登場させました
変態コンビたちへの処遇が甘いと思われますが、天国から地獄に突き落とす手筈なので楽しみにしてください
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
石動君の技にキン肉マンから抜粋してもよろしいでしょうか
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マイナーな技も出してくれよ OK
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ハイDにキン肉マンは合わないから NG