争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい   作:大気圏突破

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今日はちょっと長め


このドラゴンは割とコミュ障

 また1人倒れてしまった。留流子が植物の蔦を伸ばして全身が真っ赤に染まったリアス・グレモリーの『騎士』に絡ませると一気に引っ張ってアーシアの所へ投げ渡した。前線に立つゼノヴィアとグレイフィアの顔色も悪く、緊張の糸が切れてしまったら倒れてしまいそうだ

 

 アザゼルとロスヴァイセも受けたダメージは大きくて満身創痍である。そして彼等の前で不敵に笑うのは神を名乗る青年だった

 

 

「ロキよ。どうあっても我々の邪魔をする気か?」

「当然だオーディン!私は北欧神話が余所の神話と交わる事は断じて認めん」

 

 魔方陣から放たれビームをオーディンに向けて放つが

 

 

『Divde』

 

 発せられた機械音と共にビームの威力は減衰しバリアで防ぐことが出来た。白龍皇の光翼を展開する彼の頬はゲッソリし筋肉なんて存在しないレベルで瘦せ細り立っているのがやっとの状態だった。ふらつく足で地面を蹴って敵に接近するが1発のパンチだけで頬の骨が砕けて顔面骨折をしてしまった

 

「牛乳嫌いだと大きくなれないぞ白龍皇」

「ヴァーリ!」

 

 ブロック塀に叩きつけられたヴァーリ・ルシファーを助けようとするが、アザゼルの目の前には銀の鬣と体毛を揺らし鋭い爪と牙を研ぎ澄ませた神喰狼“フェンリル”によって阻まれてしまう。神話の中で語られる怪物は彼に向けて爪を振り下ろすが

 

 

「屈めっ!アザゼル」

 

 背中に十枚の黒い翼を展開し雷光を纏った男がアザゼルの背中で馬飛びするように越えるとフェンリルに向けて体当たりをして力で押しのけた

 

「助かったぜバラキエル」

「アイツは他の奴に任せる。俺たちはフェンリルだ!」

「ちょっと荷が重いな」

「年を食った証拠だ」

 

 ロスヴァイセと一緒にオーディンの警護を担当していたのは姫島朱乃の父親であるバラキエルだ、彼は娘に会って腹を割って話したいと思い今回のことに志願したが未だに彼女と顔を合わせることが出来ていなかった

 

 

「誰かを守りながらって大変そうだなアザゼル」

「このまま回れ右して帰ってくれるんなら最高なんだけどよぉ」

「それは出来ない相談だな、各神話の協力など愚かにもほどがある」

 

 

 いつもなら匙が起爆剤になって周囲を鼓舞しようとするが未だに堕天使領で神器の調整中であり、ソーナたちにとって最も信頼出来る人物は行方不明でパジャマ姿のゼノヴィアが泣きながらシトリー家に突撃して伝えにきた

 

 

「赤龍帝はどうした?何故現れない」

「私たちで十分よ!」

 

 激昂し髪の毛を逆立たせたリアスは滅びの魔力を散弾銃のように浴びせるがロキに対してダメージを与えることが出来なかった

 

「(…石動君どこに?)」

 

 自身の選択肢を見誤ってしまった。彼の力が必要なのにどこにも居ないなんて…後悔したところで状況が好転することなく現実が押し寄せてくるのだ

 

 

 

 

 

 

 

「助かったぜグレートレッド」

「ありがとうございます。グレートさん」

 

 次元の狭間にいる2人は巨大な赤き龍に頭を下げて礼を述べていた。あのブレスは自分たちを攻撃するものではなく背後から近づいてきた邪龍に向けて放たれたもので云わばグレートレッドは命の恩人であり、赤龍真帝のオーラのおかげで2人は空間内で消滅することはなくなった

 

 お礼を言われて照れているのか小さいブレスを吐き出して紛らわそうとしている。人間だと吹けない口笛を吹いているような感じである。とりあえず彼は尋ねたかった本題を切り出すことにした

 

 

 

「オーフィスを追い出したつもりじゃない?どういうことだ」

「伸元君…グレートさんは何て言ってるの?」

 

 イリナにドラゴンの言動は分からない、平成生まれのゆとり教育だとドラゴン語は習わないから理解できないのも…すいません嘘です。ドライグが通訳になってくれるおかげで伸元も言語を理解することが出来るのだ

 

 

「引きこもるのは体に悪いから外に出て世界を見て成長してこいだとよ」

「そんな理由で…」

「しかも説明無しだったみたい、俺の気持ちを察してくれって」

 

 まるで井戸端会議のように赤龍真帝の相談に相槌を打ちながら今回のことをオーフィスにどうやって伝えるか悩んでしまう。お腹が空けば勝手に我が家に上がり込んで冷蔵庫を物色するヤツだから待っていれば現れるはずだが、下手に仲介を挟むより当人たちで顔を合わせた方が良さそうと思うが少し難しいと感じてしまう

 

 

「喧嘩になるかもしれないから、もしも為に傍にいてほしいって子供か!」

 

 北海道出身の芸人の『欧米か!』みたいにツッコミを入れるとグレートレッドは傷ついたのか小さくなってしまうのだ

 

「でも伸元君に説得を頼む訳じゃないし、居てあげてもよくない?」

「(コクコク)」

 

 イリナのアシストに首を縦に振って呼応するが巨体なので結構危なくなってしまう。結局のところ彼が折れる形となって話し合いに立ち会うことになった。その後もオーフィスの近況について色々尋ねられ、帰還のためにテロリストに対して『蛇』の提供をしていることを伝えたら深く頭を下げてくれた。そして…

 

 

 

『どういうつもりだグレートレッド‼』

「どうしたんだ?」

 

 突然ドライグが声を荒げてしまい隣にいるイリナも"ビクッ!"も驚いて硬直してしまった

 

『あぁ悪いな、コイツは"二天龍の争いを二度と起こさないでほしい"と懇願してきたのだ!』

「…起こさない?白龍皇と戦うなってことだろ」

『そうじゃない、次代に俺の籠手やアルビオンの光翼を受け継がせるなということだ!』

 

 話の意図が見えてこない、赤龍帝の籠手を次の代に渡さないということは自分が持ち続けるということだが人間なら寿命であと100年も経たずにポックリとなる。匙やイリナのように悪魔や天使に転生するのも不可能である

 

『確かに相棒の実力なら可能だが、何故だ!訳を言えグレートレッド』

 

 実体は存在しないが赤龍真帝に唾を飛ばしているように見える。そして伝えられた内容を受け取った伸元は立ち上がってグレートレッドに向けて口を開いた

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、ここまでしぶといのは流石に想定外だったな!頑張ったところでシナリオは変わらずにエンディングに向けてページを捲るだけなんだが」

「くそ!フェンリルが厄介過ぎる!」

 

 回復役のアーシアも体力は限界を迎え搾りカスしか出てこない、まともに戦えるのはアザゼル・バラキエルとグレイフィアに美候だけだった。ソーナの『閻水』も剣の状態を維持することが不可能である

 

「かの堕天使の総督や最強の女王も終わりが近いようだな」

「下っ端にやらせていないで当事者ならテメェも戦いやがれ!」

「どうやらまだ噛みついてくる元気があると見える。ならば更にゲストを呼ぼうではないか」

 

 激昂するアザゼルを見て不敵な笑みを浮かべた。そして指を鳴らしたロキの背後にはフェンリルと同じ銀色の鬣を靡かせる二匹の銀狼が現れると大声で吠えた!

 

 

「この仔らはスコルとハティ…可愛いだろ?今からお前たちの命を断ちきるのさ」

 

 ロキは2匹に指示を出すとオーディンに向けて駆け出した。近くにいた朱乃が雷光を放つが蟻の噛みつき程度の攻撃にびくともせずに標的を切り替えるだけになってしまった

 

 

「朱乃!」

 

 バラキエルの声が虚しく響き渡る。自身が不甲斐なさが原因で妻を巻き込んでしまい娘に暗い過去を与えてしまった。罵られて蔑まれて嫌われても構わない、だけど彼女だけは…娘だけでも…朱乃まで失う訳にはいかないのだが手を伸ばしても届かないのだ

 

 そして彼女も自分の死期を悟り目を閉じるが痛みがやってこなかった。死の痛みすら感じることなく自分はくたばってしまったと思い、閉じていた目を開けると

 

 

 

 

「招待状を貰っていないがパーティーに飛び入り参加しても構わないよな!」

 

 

 巨大な赤き龍が銀狼たちを薙ぎ祓い主役が背中に佇んでガイナ立ちを決めていた。既に『紅赤朱の兆覇龍』を発動している状態で体に刺青が浮かんでいた

 

 

 

「グレイフィアさん、みんなを連れて安全な場所まで下がってください」

「かしこまりました」

「おい!何をする気だ?それよりも何でグレートレッドがお前と一緒にいるんだ?」

 

 背中から飛び降りてグレイフィアに指示を出すと、猛烈な勢いでアザゼルが距離を詰めてきたが1から全部説明するのが正直面倒くさい

 

「アイツを倒せば終わりなんだろ?コーヒーでも飲んで待っててくれ」

 

 ポケットから冥界(・・)でしか販売されていない缶コーヒーを蓋を開けた状態で顔面に投げつけると、伸元はロキの前に向かおうとするが

 

 

「石動…君、いったい…どこに行って?」

「すいません匙も連れて来るつもりだったんですが、調整するのに戸惑っているみたいで」

「連れて…冥界に?でも、何でグレートレッドが」

「終わったら包み隠さず全部言いますので、おやつは2万円までOKなので」

 

 心配するソーナに向かってニッコリと笑って安心させると、空気を読んで待ってくれていたロキに頭を下げたがスコルとハティの親であるフェンリルが牙を剝き出しにして飛びかかってくるのを拳1発だけで黙らせた

 

 

 

「凄まじいな、噂に聞く『覇龍』を超越した姿か」

「アンタが『絶霧』の所有者で間違いないか?」

「『絶霧』だと?いったい何のことだ、赤龍帝よ貴殿とは初対面だが」

 

 

 ロキの言動は嘘をついているような反応ではなかった。旧魔王派が沈黙しているということは自分たちを次元の狭間に送ったのは消去法で英雄派か別の勢力だろう

 

 

「犬たちと故郷に帰って静かに暮らしてくれると助かるな」

「そんな要求に答えるとでも?」

 

 ノータイムで魔方陣から砲撃魔法が放たれるが彼の数メートル手前で霧散した。ロキはリプレイするように何度も同じ攻撃を撃ち続けているが到達する前に消えてしまう

 

 

「どういうことだ!何故当たらない」

「気付いているんだろ?俺には勝てないって、尻尾を巻いて逃げてしまいたい気持ちを無理やり抑え込んでいるけど心は正直だ、素直に言うことを聞いておけばと後悔してる」

「なん…だと」

 

 狼狽えるロキは呪文を唱えながら両手を天に掲げると、空を覆い尽くすほどの巨大な魔法陣を作り魔力を1点に集中させた。今までと比べ物にならない膨大な威力を誇り、直撃すれば無事では済まないし避けたら日本地図を書き換えなければならない

 

 

「消し飛んでしまえ赤龍帝!」

 

 巨大な魔力の塊が放たれロキは上空へ逃げて甲高い声で高笑いをしている。地上にいる面々は不快な声を気にする余裕もなく学生たちは目を閉じて近くにいる仲間と抱き合い、オーディンですら辞世の句を詠もうとしていたがそれは無意味なことだった

 

 

「なにぃぃ!」

 

 その攻撃を片手だけで受け止めていた。上空のロキは追撃を加え押し潰そうとする。彼の足がアスファルトに沈みコンクリートに亀裂が走って割れてしまうが涼しい表情のままロキのことを見つめている

 

 

「『2001年宇宙の旅』って読んだことあるか?」

「黙れ!黙れ!だまれだまれだまれだまれダマレ!………だまれ黙れ!」

 

 彼の質問に答えることなく更に攻撃を加え魔力の塊は倍以上に大きくなっていた

 

 

「学園に入る前に会長がプレゼントしてくれたんだけど本棚に置いたままで埃を被っちゃって…明日読もうが明後日になって明後日が1週間後に伸びて、夏休みなら時間があるから大丈夫だって思っていたらクリスマスになってた」

 

 それを聞いたソーナはちょっとだけ怒ってしまった。自分のお薦めをプレゼントしたのに全くの手つかずであることに………

 

 

「まだ気軽に宇宙の旅が出来ないんだよな、だから俺からのプレゼントをあげるよ」

「黙れと言ってるのが分からないのか!」

 

 

 怒りに狂った攻撃はやむことなく降り注ぎ、鼻息荒く真っ赤な顔で頭から湯気が噴き出している。それを見て伸元は片手から両手に切り替えて力を込めた

 

 誰もが赤龍帝はドラゴンだから日本が世界に誇る漫画作品の技を使うと思われたが、定番中の定番すぎて既に食傷気味である。だから…

 

 

 

紅蓮の炎に眠る 暗黒の龍よ

その咆哮をもて、我が敵を焼き尽くせ

 

「『魔龍烈火砲(ガーヴ・フレア)』」

 

 

 彼の手から放たれた砲撃魔法はロキの攻撃を押し返しながら一直線に向かっている。防御魔法を展開し両手で受け止めているが段々と酸素が薄くなって息苦しくなってきた

 

 雲を突き抜け大気圏を通り越して宇宙空間に飛び出していったが勢いは止まることなく進み続けた。次第に背中が熱くなるのを感じて振り向くと太陽が燦々と輝いている。彼を守っていた防御魔法は崩れ去り、己の魔力と焼け焦げる太陽の熱に挟まれる形となり叫び続けるがロキの声は伝わらず散ってしまった

 

 

 

 

 

「終わったのか?」

 

 全身がコーヒーまみれのアザゼルが尋ねてきて伸元は頷いた。ロキとの戦闘が始まってから生きた心地がしなかった面々は自分たちが勝ったことを実感していたがソーナだけは違っていた。結局いつものように赤龍帝頼みになってしまったことを恥じている

 

 

「赤龍帝!頼みがある。ヴァーリを…ヴァーリを治してくれ!助かるのなら俺っちは何でもする。お願いだ赤龍帝が欲しいものがあったらアザゼルが用意してくれる。俺っちがスパイになって団の情報をアザゼルたちに届けることも出来る」

「俺からも頼む、血は繋がってなくてもテロリストに加担してもヴァーリは俺にとっちゃ大事な息子なんだ!和平を結ぶ立場のトップが私情を持ち込むのはタブーでしかないが、アイツが何かをしでかしたら俺の首を差し出す!」

 

 アスファルトの上で額を地面に叩き付けて血を流しても2人は止めなかった。ふざけたことを口にしている自覚はある。99.9%断るかもしれないが針の穴しかない可能性に賭けるしかない

 

 

 

「治すって言うより『アレルギー』を解除してやるよ!こっちも頼まれたことをやらないといけないんだ、俺のやることに邪魔や口を出さないでくれるよな?」

 

 まさか返事に2人は顔を見合わせて互いの頬を抓って現実であることを確認した

 

「ほっ本当だよな?今日はエイプリルフールじゃないぞ!」

「そんな質の悪い嘘なんてつかないって、アイツはどこだ?」

 

 

 ロキの攻撃で意識を失っていたヴァーリを彼の目の前に寝かせた。飲食が出来ず骨と皮だけの存在になったライバルを見ながら蝕んでいた『アレルギー』を解除した

 

 

「こっ…これで大丈夫なんだな?」

「あぁ、こんだけ弱っているなら当分はリハビリになるな」

 

 歓喜した2人は抱き合って涙を流している。そしてアルビオンからも礼の言葉を述べられたが、今になって治したことに疑問を抱いて問いかけていた

 

 

「グレートレッドやるぞ!イリナも手伝ってくれ」

 

 動けないヴァーリを抱き上げて巨体の前に寝かすと、今回の護衛に参加する予定だった紫藤イリナが背中からジャンプして降りてきた。彼等以外の全員がポカンと呆けた顔をしてる

 

 

「赤龍帝…いったい何を」

「さっき言っただろ!邪魔や口を挟むなって」

 

 確かに約束したことだが嫌な胸騒ぎがする。しかも結界が張られアザゼルは近付こうとしたら手のひらに強い電撃が与えられ拒絶されてしまった

 

 未だに目を覚まさない仰向けのヴァーリに魔方陣が浮かび上がった。そして堕天使総督の彼はこれを知っている

 

 

「おい!まさか赤龍帝……」

「同じことを言わせないでくれよアザゼル、ヴァーリから神滅具を抜き出すのに集中しないといけないんだ!」




ロキの出番は1話で終わりです。彼の最期はクウラやブロリーと同じでした
ただ、かめはめ波は定番すぎるのでスレイヤーズから引用です。向こうは『竜』ですが石動君は『龍』になります

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