争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい 作:大気圏突破
その言葉を耳にしたアザゼルは理解するのに数分の時間を要していた。ロキに襲われ自分たちの窮地を救ってくれた赤龍帝が何でそんなことをするのか分からなかった。近寄ろうとしても結界に阻まれてしまい触れることが出来ない、大声で呼び掛けても振り返ることもなくヴァーリも目を覚まさなかった
アザゼルはソーナを捜した。彼女の言葉なら赤龍帝を止めることが出来るはずだと思ったからだ、離れた場所で眷属たちと治療を受けていた彼女を大声で呼び寄せて事情を説明するが既にヴァーリの肉体から白龍皇の光翼を取り出そうとしていた
「石動君!」
「起きろヴァーリ!」
ソーナと美候は止めさせるために結界に近付いて声を張り上げる。しかし音は遮断されているのか中にいる面々に自分たちの声は伝わらない、如意棒や閻水で攻撃しても弾かれてしまい尻餅をついてしまう
神器は持ち主の生命力や魂と密接に結びついているため強制的に神器を抜き取られた者は大抵死亡する。アザゼルが代表を務める『
「やめてくれ……やめてくれよ、なぁヴァーリが」
膝をつき涙を零し絶望するアザゼルだが彼の手は止まることなく、肉体から白龍皇の光翼が抜き取られてしまった。しかし結界は解かれることなく次の作業に移行する
『相棒…いいのか、今ならまだ引き返せる』
「覚悟を鈍らせないでくれよ、少しだけ長生きするだけだから」
『そうか、なら最期まで共に付き合おう』
ドライグとの会話が終わり目の前に佇むグレートレッドに視線を向けて頷いた。その巨体から耳を塞ぎたくなるような咆哮が地球全体を揺らすように鳴り響くと、伸元の足元に特殊な魔方陣が浮かび高密度の魔力の光球が彼の体内に吸い込まれていった
「いったい何を?……石動君」
初対面の時から彼のやることを理解するのが難しかった。破天荒故に周囲の面々は常に冷や汗を流すことが多く気苦労が絶えなかったが傍若無人ではなく筋は通すので怒るに怒れなかった
目の前で起きていることも伸元にとって日常茶飯事かもしれないが、事情を知らない面々からしたらヴァーリ・ルシファーの生命を終わらせようとしているように見える。そして彼は『白龍皇の光翼』を自身の体内に取り込んだ!
「あっっぐ………!ぐぅぅ…あぁあぁぁぁ」
『意識を集中しろっ!無理に力で抑えつけるな…ゆっくり落ち着つけ、呼吸を深く!』
全身から夥しい量の血液が噴出し呻き声をあげている。四つん這になった伸元の体から龍を模したオーラが放出され空中で回転すると飛び込むようにして戻っていく
痛みを別の痛みで和らげているのかコンクリートの地面を殴り自傷行為を続けていたが、彼の近くにいたイリナから天使の羽が顕現し、背中から覆い被さるように抱きしめて落ち着かせようとしている。段々と殴っていた手が止まり次第に荒かった呼吸も平静を取り戻し落ち着いていった
「ありがとう…イリナ」
「これでアホじゃなくてエースって信じてくれるよね」
「…………そうだな」
「なんで即答してくれないの?」
ジト目で見つめてくるが返答はしなかった。尻尾を振る犬のような彼女を褒めれば確実に鼻が伸びて天狗になるのが明白だから、少しだけ反応に困ったのだ
「最後の仕上げだ!アルビオン」
『赤いの…お前の宿主はいったい、どうなっている?』
『凄いだろ俺の相棒は、そしてこれがグレートレッドからの願いだ!』
戸惑うアルビオンを諭すようにドライグが落ち着かせる。そりゃそうだ今までの1つ体内に赤と白の二天龍を同時に宿した者など存在しなかった。そんな思考に至るヤツが存在しなかったと言えば正しい
そして背中から『白龍皇の光翼』が現れる。それを見ていたアザゼルたちは驚いた表情を浮かべ声が出せなくなっていた。目と鼻の先にいる赤龍帝がヴァーリの神滅具を扱っている。オーディンですら目の前で起きている光景に言葉を失い立ち尽くしていた
「100秒なら1つで十分だな」
「何をする気だ!赤龍帝…ヴァーリはもう………」
ようやく絞り出した声と現実を直視したことでアザゼルは絶望に陥っていた。こんなことなら別の手段で彼を助け出す方法を模索すればよかったと後悔し、美候は泣きながら如意棒で結界を叩いているが傷つくのは己の体だった。
そして伸元はポケットから悪魔の駒を取り出す
「それは私の『兵士』の…どうして!」
「言っただろ冥界に寄っていたって」
白龍皇の光翼を抜き取られ横たわるヴァーリの胸元に『兵士』の駒を1つ乗せると、消えるように吸い込まれていき心臓の鼓動が止まっていた彼の目がゆっくりと開かれた
「俺は?」
「ハッピーニューイヤーは新年だからバースデーか、新しい人生を迎えてどうだ…ヴァーリ」
「ノブチカ…えっ何故だ!どうしてお前が光翼を、アルビオンどうなっている?いや…なんで俺は生きている?アルビオン!アルビオン答えてくれ!」
戸惑う彼は伸元に詰め寄って今の状況を問いただそうとしているが、新しい宿主の中にいるアルビオンも同じように説明を求めている。とりあえず全員に今回のことを教えなければいけないので阻んでいた結界を解いた
「説明しろ赤龍帝、どうしてお前がヴァーリの光翼を取り込んだ!それに何で天界から派遣された女と一緒に、あと…あ~もう俺は何を知りたいんだ!」
「小僧…グレートレッドがおるということは『次元の狭間』に行ったということじゃな?どうやってあそこまで向かった?」
「石動君、本当にいったいどうしてこんな、とにかく大丈夫なんですよね?」
「どういうことなのハッキリ全部教えなさい!」
全速力でアザゼルが突撃しオーディン・ソーナ・リアスがジェットストリームアタックのように集団でやってきた。ヴァーリの方には美候が向かい身体チェックを行っている
なおイリナはグレートレッドの方へ足を運ぶと巨大な龍は体を屈ませて顔を近づけた。彼女は鼻先を優しく撫でるとくすぐったいのか笑っているように見える。しばらくすると鱗が1枚剥がれイリナの身に纏っていたタイツに溶け込んで『龍』の刻印が浮かび上がっている
「これって…お礼なのグレートさん?」
その問い掛けに頷くとグレートレッドは翼を広げて飛び立ち、咆哮で空間に亀裂を生じさせると次元の狭間へ帰っていった
「どっから説明したらいいのかな?1からだと長いんだよな」
現場から離れソーナたちが訓練で使用している学園地下には、ソーナ・リアス・アザゼル・ヴァーリ・美候・グレイフィア・オーディンにイリナを加えた面々が集まり、バラキエルとロスヴァイセは他の面々と一緒に戦闘で破壊され町を修繕するのに駆り出されている。なお匙はまだ到着していない
「ワシからで構わないか、どうやって『次元の狭間』へ行ったのじゃ?」
「オーディンさんと別れてから飛ばされて…ドライグは『絶霧』って言ってるけど、あの反応だとアイツじゃなくて禍の団が関わっているかもな」
「そこでグレートレッドに会ったという訳じゃな、しかしオーフィスを狭間の外に出した理由が判断に困るのぅ」
白い髭を撫でながらボディラインが扇情的に浮かぶイリナの姿を見て鼻の下を伸ばしているが、ここにはオーディンを嗜める存在はいない
「何でアナタが私の駒を持っていたの?」
「それにグレートレッドの願いって何だ!全部説明してくれ」
リアスとアザゼルが鼻息荒く顔を近づけてくる。それに乗じてヴァーリも彼の肩を掴んで唾を飛ばして質問を繰り出してくるから話が進まないので、この3人は物理で黙らせた
「グレートレッドの願いは"二天龍の争いを二度と起こさない"ことだ」
「どういうことだ…ノブチカ?」
頭の上に巨大なタンコブを作ったイケメンが質問をしてきたが無視をする。話が脱線してしまい前に進まなくなるので質問は最後に受け付けることにした
「二天龍の争いは次元の崩壊を招く可能性がある。最初の頃は小さい傷で自浄作用で治っていたが度重なる争いで段々と追いつかなくなった。多分だが俺とヴァーリが全力でやり合ったら世界ではなく次元そのものが崩壊・消失する」
「それならお前たちが戦わなければ問題無いだろ!」
アザゼルのツッコミに他の面々も頷く
「俺達が戦わなくても次代やその次がやり合うかもしれない、だから白龍皇を取り込んでしまえば二天龍の争いは決して起きない、そして俺の代で終わらせることにした」
その言葉に全員が疑問符を浮かべていた。彼は人間で寿命が存在する
「小僧よ…それだと寿命で70年ぐらいしか持だんぞ、今から転生して悪魔にでもなるつもりか?」
「悪魔になるつもりは無い、だけど
彼のモットーや信条は『人として生涯を全うする』ことで転生してセラフォルーやソーナの眷属にはならなかった。だから意味を理解した唾を飲み込んで、速くなる鼓動を抑えながら彼の目を見つめる
「もう俺は人間じゃなくなった!」
その虚ろげな表情は彼女の胸を締め付けた
ツッコミどころは沢山あると思いますが、独自設定ということにしてください(タグも入れてありますし)
なおヴァーリは今のところリアスの眷属扱いになってますので、ご理解していただけるとありがたいです
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
石動君の技にキン肉マンから抜粋してもよろしいでしょうか
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マイナーな技も出してくれよ OK
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ハイDにキン肉マンは合わないから NG